1 / 3
1
ヒロシの場合
しおりを挟む
返ってきた答案用紙の点数が今まで見たことないものであった。
中学生になって中間テストやら期末テストという定期的なテストが出てきた。小学生から勉強ができるタイプの人間ではないので、テスト期間は地獄であった。机に座り、教科書を開き、ノートにペンを走らせても15分と保たずに傍に置いてあるスマートフォのアプリを起動させる。
悪い癖だ……。嫌なことがあればすぐにゲームへと逃避してしまう。
「俺は、Eスポーツの選手になろう」
と本気でもない夢物語を言い訳のように呟く。
そんなことを毎回やるものだから、母は怒りの頂点に達した。
「今度のテスト赤点だったら、本気でスマホを取りあげるから」
母の怒声が脳内で再生され、途方にくれる。
机の上の答案用紙と、にらめっこをしていると、誰かが俺の前を通った。ハッとして目をやる。同じクラスの木村 李里香であった。長い髪と肌の白さ、中学生とは思えないほどの身長とスタイルの良さ。加えて学年でもトップの成績。俺とはまるで正反対。チビで、ニキビ面。女性にモテる要素なんかまるで皆無だ。そんな俺は彼女と実は関係がある。そうスマホのゲームだ。俺はこのゲーム内で、木村 李里香ちゃんと知り合ったのだ。ハンドルネーム・LiLiKaが李里香ちゃんだったなんて、マッチングでたまたま同じチームになり、チャットでメッセージを交わしていたらなんと、同じ中学で同じクラスだとわかった。そしてりりかという名前の女の子は自分のクラスにただ一人しかいない、なんという運命。
もう一度彼女を見る。将来モデルや女優になるって言ってもおかしくないその姿で、プロゲーマーが夢と、チャットで言っていたのは僕と彼女の二人だけの秘密。
だからスマホを取り上げられたら、俺の二度とない青春は終わってしまう。
そんなことを考えていると誰かにぶつかった。同じクラスの彼女にしたくないランキング1位の田尻であった。
「気をつけろよ。ブス」
と何も悪くない田尻に俺は吐き捨てるように悪態をついた。
午前中の授業が終わり、昼飯を食べようと机の中に教科書をしまった。すると机のから小さく折り畳まれた紙が落ちた。俺はそれをすぐに拾いあげ、開く。
〝放課後、誰も居なくなった教室で待ってます LiLiKa〟
僕は手紙をすぐにポケットにしまった。
放課後、誰もいない教室。僕は自分の席に座り、〇の少ないテスト用紙をじっと見つめていた。
これはやはり告白というイベントが起こるのだろうか。あのチャットから彼女を意識する日々。彼女も同じだったのだ。胸の鼓動が激しく、鳴り止まない。若干吐き気さえおぼえてくる。
教室の扉が開かれる。心臓が跳ねた。扉の方に目をやり、肩の力がぬける。居たのは李里香ちゃんではなく、田尻であった。
驚かせやがって……内心俺は毒づいた。
おそらく何か忘れ物を取りにきたのだろう。そう思っていると、田尻が俺の目の前にまでくる。
「あたし、あのゲームであなたと知り合って、あなたが夢のことをバカにしないから、そこからあなたのことばかり考えて」
一体この女は何を言っているんだ? ゲーム、なんの話だ? 俺にはこの女の言っていることが理解できなかった。
「あ、ごめんなさい。名前言わないと意味わかりませんよね。私がLiLiKaです」
LiLiKa……唖然とする。どうして田尻がLiLiKaなのだ? りりかはこのクラスに一人しかいない筈だ。俺は田尻の名札を凝視する
「おまえ、下の名前は?」
「梨香です」
不思議そうに応える田尻。
田尻梨香――たじりりか――たじ りりか――りりか――LiLiKa
突きつけられた現実。彼女から目線を落とし、俺はバツだらけの答案用紙をひっくり返し、こう思った。
頭が真っ白になりそうだ。
中学生になって中間テストやら期末テストという定期的なテストが出てきた。小学生から勉強ができるタイプの人間ではないので、テスト期間は地獄であった。机に座り、教科書を開き、ノートにペンを走らせても15分と保たずに傍に置いてあるスマートフォのアプリを起動させる。
悪い癖だ……。嫌なことがあればすぐにゲームへと逃避してしまう。
「俺は、Eスポーツの選手になろう」
と本気でもない夢物語を言い訳のように呟く。
そんなことを毎回やるものだから、母は怒りの頂点に達した。
「今度のテスト赤点だったら、本気でスマホを取りあげるから」
母の怒声が脳内で再生され、途方にくれる。
机の上の答案用紙と、にらめっこをしていると、誰かが俺の前を通った。ハッとして目をやる。同じクラスの木村 李里香であった。長い髪と肌の白さ、中学生とは思えないほどの身長とスタイルの良さ。加えて学年でもトップの成績。俺とはまるで正反対。チビで、ニキビ面。女性にモテる要素なんかまるで皆無だ。そんな俺は彼女と実は関係がある。そうスマホのゲームだ。俺はこのゲーム内で、木村 李里香ちゃんと知り合ったのだ。ハンドルネーム・LiLiKaが李里香ちゃんだったなんて、マッチングでたまたま同じチームになり、チャットでメッセージを交わしていたらなんと、同じ中学で同じクラスだとわかった。そしてりりかという名前の女の子は自分のクラスにただ一人しかいない、なんという運命。
もう一度彼女を見る。将来モデルや女優になるって言ってもおかしくないその姿で、プロゲーマーが夢と、チャットで言っていたのは僕と彼女の二人だけの秘密。
だからスマホを取り上げられたら、俺の二度とない青春は終わってしまう。
そんなことを考えていると誰かにぶつかった。同じクラスの彼女にしたくないランキング1位の田尻であった。
「気をつけろよ。ブス」
と何も悪くない田尻に俺は吐き捨てるように悪態をついた。
午前中の授業が終わり、昼飯を食べようと机の中に教科書をしまった。すると机のから小さく折り畳まれた紙が落ちた。俺はそれをすぐに拾いあげ、開く。
〝放課後、誰も居なくなった教室で待ってます LiLiKa〟
僕は手紙をすぐにポケットにしまった。
放課後、誰もいない教室。僕は自分の席に座り、〇の少ないテスト用紙をじっと見つめていた。
これはやはり告白というイベントが起こるのだろうか。あのチャットから彼女を意識する日々。彼女も同じだったのだ。胸の鼓動が激しく、鳴り止まない。若干吐き気さえおぼえてくる。
教室の扉が開かれる。心臓が跳ねた。扉の方に目をやり、肩の力がぬける。居たのは李里香ちゃんではなく、田尻であった。
驚かせやがって……内心俺は毒づいた。
おそらく何か忘れ物を取りにきたのだろう。そう思っていると、田尻が俺の目の前にまでくる。
「あたし、あのゲームであなたと知り合って、あなたが夢のことをバカにしないから、そこからあなたのことばかり考えて」
一体この女は何を言っているんだ? ゲーム、なんの話だ? 俺にはこの女の言っていることが理解できなかった。
「あ、ごめんなさい。名前言わないと意味わかりませんよね。私がLiLiKaです」
LiLiKa……唖然とする。どうして田尻がLiLiKaなのだ? りりかはこのクラスに一人しかいない筈だ。俺は田尻の名札を凝視する
「おまえ、下の名前は?」
「梨香です」
不思議そうに応える田尻。
田尻梨香――たじりりか――たじ りりか――りりか――LiLiKa
突きつけられた現実。彼女から目線を落とし、俺はバツだらけの答案用紙をひっくり返し、こう思った。
頭が真っ白になりそうだ。
4
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる