ドジな天使のせいで異世界転生したのでこの天使に仕返ししようとしたら幼馴染まで追いかけてきてこの世界で生き抜こうと思った件について

tai-bo

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第6話 行商人と温泉と!

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「うっ・・・・・・うぐっ・・・・・・。ぐすっ・・・・・・。髪がベトベトする・・・・・・。生臭いよう・・・・・・」

 俺の後を、粘液まみれでまた、装備がところところ溶けている格好のガブリエルがめそめそと泣きながら付いて来る。

「スライムの粘液って舐めるとチーズぽい味がするよ。それに、服が溶かされてみだらな格好にさせられるとこれはこれで・・・・・・。どうしよう、琢磨。何だか新たな性癖が目覚めそうなんだけど!」

 ガブリエルと同じ粘液まみれの彩が俺の横で変態になりそうなことを言っている。そんなことよりちょっとは前を隠してほしい。服が溶けて下着が見えそうで今までろくに女の子と付き合ったことのない俺からすると刺激が強くて困ってしまう。

 俺はさっきの戦いを思い出していた。確かにスライムはすばしこかったが魔法が決して当たらないわけではないはずだ。現に俺の攻撃は当たっていた。観察していたら彩の魔法の命中率が非常に弱い。スライムは動いてなくても当たることは無かった。これはステータスなのか、個人のコントロールが良くないのか今後調べる必要がある。

「今後、新たな魔法を覚えるのは禁止な。これからは命中率と魔力を上げるぞ。せっかくの魔法も当たらないと意味がないからな」

 さっきまで浮かれていた彩が顔面蒼白になり俺の肩を掴んできた。
 その粘液まみれの手でつかむな。汚いだろ

「私の、私のアイデンティティを奪おうというの。今までコスプレを生業としてきたオタクが魔法がある世界に来たら魔法を撃ちたいでしょ。私はいろんな魔法を極めて冒険したいの」
「でも、お前の魔法一発も当たらなかったじゃないか?」
「そ、それは・・・・・・。スライムが予想以上に早かったのよ。スライムがあんな動きできると思う?」
「それもそうだな・・・・・・。じゃぁ、テストしよう。初級魔法一発撃つぐらいなら魔力も回復しただろう。今からこの木を狙って当ててみろ。当たったらこれからも好きに魔法を覚えたらいい」

 彩はたじろぎながら、

「い、今から?」
「自信がないならいいぞ。だがそれだと自分でも認めてるってことになるけどそれでも良ければ」
「や、やってやるわよ。見てなさいよ。あんな木に当てるぐらい朝飯前なんだから。ほえ面かくんじゃないわよ」

 やはり、彩はチョロいなと思う琢磨だった。
 彩が前に出ると初級魔法『ファイヤーボール』を放った。
すると、明後日の方向に飛んで行った。

「・・・・・・」
「・・・・・・い、今のは手が滑っただけよ!」

 それから、しばらくやったがかすりもしなかった。
 もう日も傾いたことから諦めろと言ったところ、

「これが最後」

 彩は『ファイヤーボール』をいくつも作り出し乱れ打ちした。いっぱい放てば当たると思ったんだろうが木の脇を過ぎていくだけだった。それを見届けた彩は魔力切れで倒れた。
 俺は彩を担いで近くの街に行こうとしたら、街道の先の方で「ぎゃぁあああ!!!」と悲鳴が聞こえた。
 行ってみると馬車がありその隣で行商人らしき男の人が体から煙を出して倒れていた。
 どうやら先ほどの彩の『ファイヤーボール』が直撃したらしい。これはやばい状況なんじゃ・・・・・・異世界に来て早々に人を殺すってこの先の人生積んだわ・・・・・・

 その時、ガブリエルが倒れてる男の人に近づいていき、

「この者に癒しの光を。『ヒール』」

 ガブリエルの手から出た緑色の光が行商人を包み込むと傷を癒した。

「これで大丈夫よ」
「よくやった、ガブリエル」
「え、何。私役に立った」
「ああ、いい仕事をした。グッジョブだ!」
「そうなの! やっと天使である私のありがたみが分かったみたいね」

 俺は初めてガブリエルを連れてきて心底よかったと思う。今後のために覚えられる回復魔法も覚えようと思うのだった。今までは英雄のマントのおかげで自動回復してくれるから回復魔法を覚えようとは思ってもいなかったのだ。だが、これでは他の人を回復できない。俺は学ぶ男なのだ。

「・・・・・・うっ・・・・・・いたたたた・・・・・・」

 行商人が目覚めたようだ。

「大丈夫ですか? 何があったんですか?」

 行商人が今気づいたように俺たちを見ると、

「あんたたちが助けてくれたのか。それがよ、もう、日が沈むからここで野営しようと思って準備してると、空が急に明るくなったと思って振り向いたら突然火の玉が飛んできて当たったんだ――で、気づいたらこのありさまだよ。いったい、誰がこんなことを、あんたたちは知らないか?」

 俺がガブリエルと目線でアイコンタクトをとっていると、彩が俺の背中から降りて、

「すいません。実は私の魔法で・・・・・・ぐふっ!」

 俺は何か言いそうな綾を咄嗟に鳩尾《みぞおち》に肘鉄をくらわせて気絶させると、

「い、いや~、モンスターか何かが魔法でもぶっ放したんじゃないでしょうか。さっきもスライムがいましたし」
「そうなの。おかしいな~、この辺りでモンスターの目撃情報は無かったはずなんだけど――それはそうとその子顔色悪いけど大丈夫?」

 そう言われて彩を見るとぐでーとした顔で口から泡を吹いていた。やばい、強くやりすぎただろうか。ガブリエルは横であたふたしてるし、回復魔法をかけろと思ってたところに、行商人が話しかけてきた。

「あのー、よろしければ私の温泉に入りませんか? 効能はいろいろありますが怪我や体調の変化、モンスターの攻撃でもらった毒や呪いなどもたちまち治ることで有名なのです。中にはそれでも治らないのもありますが、見たところ問題なさそうですし、疲労も回復しますよ? あ、そうそう、助けてもらったお礼ということでお代はいりません」
「確かにあちこち汚れてるので助かります。主にあの二人が」

 行商人がガブリエルと彩を見て「確かに」と言って、温泉を設営していった。俺も全部やってもらうのは気が引けるので、手伝うことにした。暫くすると出来上がったがお湯はどうするんだろうと思ってたら、

「すいませんが魔法で水を出してくれませんか?」
「それぐらいお安い御用よ」

 ガブリエルが温泉に入れるのが嬉しいのか、それともスライムの粘液を早く洗い流したいのか、(恐らく両方だろう)目を輝かせて湯船に水を勢いよく出していた。

「そこまでで結構ですよ。後は――」

 行商人は上着のポケットから赤い宝石みたいなものを出した。

「それは何だ?」
「これは、火の魔法を封じ込めた魔石ですよ。見ててください。これをこうすると――」

 行商人は魔石を湯船にある窪みに嵌めるとみるみる湯船に張っていた水がブクブクとしていきあっという間に湯気が出てきた。

「さあ、準備出来ましたよ。どなたから入られますか?」
「ガブリエルと彩が先に入ってこいよ。さっさと粘液落としてすっきりしたいだろう」
「ありがとう。先にいただくわ。さあ、行くわよ彩!」

 ガブリエルは急ぐように彩を引っ張ていて温泉に入っていった。



 俺は行商人がいるところに向かうと部屋があり、辺り一面に家具がそろっていた。部屋の真ん中のテーブルに向かうと俺に気付いてコーヒーを出してくれた。
 俺は向かい側の椅子に座って一口飲んだ。
 うまい。喉から体全身まで響き渡るようだ。一気に疲れも吹っ飛ぶようだ。

「どうです? うまいでしょ、私のコーヒーは疲れも吹っ飛ぶでしょ」

 確かに疲れどころかありとあらゆるところが完全回復している。それどころかステータスがちょっと向上した。

「これは驚いた。さっきまでの疲れが嘘みたいだ」

 クタクタだった体が嘘みたいに疲れが引いていきステータスが正常値まで回復していた。

「このコーヒーはどうやって作るんだ?」

 俺が尋ねると、行商人は立ち上がり、後ろにある棚からコップを二つ取り、テーブルに置くと、

「これは内緒なんですが信頼のあかしとしてお教えしましょう――と、言っても大したことではないんですが、ここに二つのコップを用意しました。今から水を入れるので飲み比べてみてください。まずはこちらから」

 行商人がポットから水を入れるとこちらに差し出した。俺はそれを手に取り、飲むと、

「ただの水だな・・・・・・」
「では次はこちらを」

 行商人がは同じポットで水を入れると渡してきたので俺は飲んだ。

「・・・・・・!? 何だこれは! さっきと同じ水のはずなのに体の奥からみなぎる感じの力があふれてくるようだ。それに細かい傷も治っている――はっ、そうか、分かったぞ! おっちゃん! 俺をたぶらかして水と言い張ってこっそりポーションを飲ませたな」
「はっはっはっ、そんなはずありません。それは正真正銘ただの水です。そこに私がスキルを使ってその水をポーションと同じ効果にしたのです」

 俺は両方の水を見比べ、見た目ではわからないなと思ってると、

「私の使ったスキルはスキルの中でもその人個人に現れるユニークスキルというものです。私のはありとあらゆる液体をポーションからハイポーションまでと同じ効果を与えられるのです。ただし、それには多くの魔力が伴いますのであまり数が作れなく、商売には向かないのです」
「そうか。けっこう使い勝手よさそうなのにな。都合よくいかないか」

 行商人は改めてコーヒーを入れなおして渡してくれた。

「こればかりはとても。だから、こうして自分が判断して信用できる方にお売りすることにしてるんですよ。というわけでおひとついかがですか。お安くしときますよ」
「そうだな。なら、一本もらえるか?」
「まいどあり」

 俺は代金を払いながら、

「そういえばユニークスキルって誰でも手に入るのか」
「わかりません。噂では天使様の恩恵ともいわれておりまして手に入るとスキル名の横に《ユニークスキル》と表示されてるので、気になるのならステータスを確認したら如何ですか?」
「そうだな」

 俺は冒険者カードをだし、ステータスを開いて下に指でスクロールしてスキルの欄を見ると、ユニークスキルは・・・・・・

「・・・・・・俺には、ないようだな」

 ちょっと期待しただけにガッカリをしてると、

「まあ、気を落とさないでください。そのうち手に入るかもしれません。それはそうとさっきから気になってたんですが、その羽織ってるマントを見せてもらってもいいですか?」
「ああ、かまわない」

 俺は、英雄のマントを外すと行商人に渡した。

 行商人は鑑定用のルーペを手に取り、覗くと、

「どれどれ・・・・・・、これは素晴らしい! これを羽織ってるだけでケガや傷が自動回復する効果がついてるなんて、今までこんなアイテムに早々であったことありません。これは、相当価値があるレアアイテムかもしれません。いいものを見せてもらいました」

 行商人は英雄のマントを琢磨に返しながら、

「ですが、解せませんね。こんな装備まで持っててスライムに苦戦したとは・・・・・・それは本当にスライムだったんですか?」
「ああ、それは――」


「ああ、サッパリした」
「この世界でも温泉に入れるなんて」

 ガチャッと音がしたらガブリエルと彩が温泉から出たところだった。

「どうやら出たようですね。話の続きは後で構いませんのでとりあえず温泉に入ってきてください。汗や汚れを取ってスッキリしたいでしょ」
「ああ、そうだな」

 俺は立ち上がり、行商人が貸してくれたタオルを持つと温泉に入りに行った。
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