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Part1
А.б 慰謝料、もちろん請求します - 05
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侍女達は残念がることだろうが、セシルは前世(または現世) の記憶がある為、個人的な趣味でいったら、“シンプルでエレガント”、それでいて、ほんのりと色香が漂うような大人のドレスが好きだ。
前世の時もそういった服装を選んでいたし、ドレスもそういう系統を選んでいた。
“クラシック”な50年代のニュールックやヴィンテージの形も好きだ。腰を絞って、そこから流れるように落ちる傘型のAラインのフレアスカートだ。
でも、あまりにひらひらさせるのではなく、シンプルさを生かした柄や模様だ。
かわいらしく見えるが“シンプル”で、それでいて“クラシック”。
そのせいか、この時代に――飛ばされて――来た時も、セシルの着る洋服やドレスはそういった傾向が強くでていた。
この世界では見慣れない、おまけに、かなり変わっていると思われても仕方ないドレスの形でも、セシルは気に入って着ているものだ。
初めは、両親もシリルも見慣れないドレスの形に驚いていたが、セシルがあまりに違和感なく普通に着こなしているので、今では、そのセシルに慣れてしまった家族だった。
今夜の為に、セシルは少し趣向を変えて、マーメイドドレスの形のドレスを着てみた。
この形は、まだ家族にも見せていない形だが、セシルの細身の体にそって流れるような優しいドレスの形のカーブが美しく、コルセットをしていない体躯でも、その流れるような優美な曲線がほんのりとした色香を見せ、目が離せない。
真っ直ぐで癖のないサラサラとした銀髪が肩を流れ、黒地に見える濃い青色のドレスとは対照的に反射して、キラキラと眩しいほどだ。
後ろのドレスの裾は少し長めに。歩く度にその裾が広がり、とても美しいラインを見せていた。
ダンスには不向きなドレスでも、屋敷の中で着ているくらいには、十分なドレスだった。
「ああ……、とてもきれいだよ、セシル……」
感慨深げに、可愛い一人娘のドレス姿を見つめながら、父のリチャードソンは、この上ないと言っても過言ではない嬉しそうな、優し気な眼差しをセシルに向けている。
亡くなった最愛の妻の面影をそのままに受け継ぐかのような美しい娘のセシルには、リチャードソンのこれでもか、というほどの愛情が注がれている。
「これを、セシル。卒業祝いのプレゼントだよ」
「まあっ、ありがとうございます、お父様。開けてもよろしいですか?」
「もちろんだよ」
にこにこと、溺愛する一人娘の前で顔が緩みっぱなしの父のリチャードソンから小箱を受け取り、セシルがそっと中を確認してみる。
「ああ……、なんてきれいなネックレスかしら……」
キラキラと、室内の灯りにもほんのりと反射するダイヤモンドのネックレスが、ヴェルベットの布に包まれて、箱の中から顔を出していた。
「きっとそのドレスにも似合うだろうね」
「ありがとうございます。――オルガ、つけてみてくれませんか?」
「かしこまりました」
傍で控えていた付き人の侍女が頭を下げ、静々と、セシルからネックレスを受け取った。
セシルは少しだけ自分の髪の毛を上げ、オルガが、落とさないようにネックレスを飾っていた。
「どうかしら、お父様?」
「ああ……、とても良く似合っているよ、セシル」
そして、嬉しさが隠せないといった風に、リチャードソンの顔がまた緩んで行く。
「ありがとうございます、お父様。大切にしますね」
「とても良く似合っているよ、セシル。なんて美しいんだ。私の娘以上に美しい令嬢などいないよ」
さっきから顔が緩みっぱなしの父親の顔を見ながら、セシルも可笑しそうに、ふふふ、と笑っている。
「ああ……、セシルはこんなにも大きくなっていたんだね……」
「お父様ったら。毎日、顔を合わせているではありませんか」
「そうだがね……」
それでも、こんな風に正装して、美しく着飾った一人娘の美しい姿を見つめていると、本当に立派な貴婦人になったのだと、リチャードソンが更に感慨深げにしんみりしてしまう。
思えば、七年前、リチャードソンの前で、
「婚約解消します、絶対に」
などと、言い切ったまだ幼い娘に驚かされて、それからというもの、かわいい一人娘は一気に子供時代を駆け抜けていってしまった感じだ。
「婚約解消したい」 でも、「して欲しい」 でも、なかった。
「婚約解消します」 との強い意思の表れで、その深い藍の瞳が強く、リチャードソンは驚くのと同時に、そのあまりの豹変に言葉を失っていた。
あれから、七年もの歳月が過ぎてしまったのだ。
今では、もう、子供などとは呼べないほど美しい令嬢に育ち、立派な貴婦人となった。
「セシル」
「なんですか、お父様?」
「いずれ、状況が落ちついたら、コトレア領の領地を、セシルに譲渡したいと考えている」
「譲渡などできるのですか?」
「今の状況なら、そう頼んでも、あまり問題はないだろうからね」
その暗黙の意味を示唆するように、リチャードソンが軽くウィンクしてみせた。
まあっ、とセシルもすぐにその意味を理解して、可笑しそうに笑みをみせる。
今の状況――そう、セシルは卒業式という公式の場で、婚約破棄を言い渡され、浮気が原因で婚約解消したばかりの、あまりに可哀そうな令嬢だったのだ。
公で恥をかかされ、婚約解消で伯爵家の名も汚され、これから、セシルに求婚して来る貴族の子息だって、なかなかいるものではない。
ホルメン侯爵側が全面的に悪いとは周知の事実でも、現実問題、セシルは婚約解消された令嬢である。嫁入り前の娘なのに、婚約解消という立場も状況も、貴族社会ではあまり好まれるものではなかった。
だから、大事な一人娘がそんな苦痛を押し付けられ、貴族社会からつまはじきされるのなら――領地を譲渡して、爵位を継がない娘でも、これからのセシルの生活を一応は保障できるものが必要だと、そう心配している父親が考えたとしても、全く不思議はない。
前世の時もそういった服装を選んでいたし、ドレスもそういう系統を選んでいた。
“クラシック”な50年代のニュールックやヴィンテージの形も好きだ。腰を絞って、そこから流れるように落ちる傘型のAラインのフレアスカートだ。
でも、あまりにひらひらさせるのではなく、シンプルさを生かした柄や模様だ。
かわいらしく見えるが“シンプル”で、それでいて“クラシック”。
そのせいか、この時代に――飛ばされて――来た時も、セシルの着る洋服やドレスはそういった傾向が強くでていた。
この世界では見慣れない、おまけに、かなり変わっていると思われても仕方ないドレスの形でも、セシルは気に入って着ているものだ。
初めは、両親もシリルも見慣れないドレスの形に驚いていたが、セシルがあまりに違和感なく普通に着こなしているので、今では、そのセシルに慣れてしまった家族だった。
今夜の為に、セシルは少し趣向を変えて、マーメイドドレスの形のドレスを着てみた。
この形は、まだ家族にも見せていない形だが、セシルの細身の体にそって流れるような優しいドレスの形のカーブが美しく、コルセットをしていない体躯でも、その流れるような優美な曲線がほんのりとした色香を見せ、目が離せない。
真っ直ぐで癖のないサラサラとした銀髪が肩を流れ、黒地に見える濃い青色のドレスとは対照的に反射して、キラキラと眩しいほどだ。
後ろのドレスの裾は少し長めに。歩く度にその裾が広がり、とても美しいラインを見せていた。
ダンスには不向きなドレスでも、屋敷の中で着ているくらいには、十分なドレスだった。
「ああ……、とてもきれいだよ、セシル……」
感慨深げに、可愛い一人娘のドレス姿を見つめながら、父のリチャードソンは、この上ないと言っても過言ではない嬉しそうな、優し気な眼差しをセシルに向けている。
亡くなった最愛の妻の面影をそのままに受け継ぐかのような美しい娘のセシルには、リチャードソンのこれでもか、というほどの愛情が注がれている。
「これを、セシル。卒業祝いのプレゼントだよ」
「まあっ、ありがとうございます、お父様。開けてもよろしいですか?」
「もちろんだよ」
にこにこと、溺愛する一人娘の前で顔が緩みっぱなしの父のリチャードソンから小箱を受け取り、セシルがそっと中を確認してみる。
「ああ……、なんてきれいなネックレスかしら……」
キラキラと、室内の灯りにもほんのりと反射するダイヤモンドのネックレスが、ヴェルベットの布に包まれて、箱の中から顔を出していた。
「きっとそのドレスにも似合うだろうね」
「ありがとうございます。――オルガ、つけてみてくれませんか?」
「かしこまりました」
傍で控えていた付き人の侍女が頭を下げ、静々と、セシルからネックレスを受け取った。
セシルは少しだけ自分の髪の毛を上げ、オルガが、落とさないようにネックレスを飾っていた。
「どうかしら、お父様?」
「ああ……、とても良く似合っているよ、セシル」
そして、嬉しさが隠せないといった風に、リチャードソンの顔がまた緩んで行く。
「ありがとうございます、お父様。大切にしますね」
「とても良く似合っているよ、セシル。なんて美しいんだ。私の娘以上に美しい令嬢などいないよ」
さっきから顔が緩みっぱなしの父親の顔を見ながら、セシルも可笑しそうに、ふふふ、と笑っている。
「ああ……、セシルはこんなにも大きくなっていたんだね……」
「お父様ったら。毎日、顔を合わせているではありませんか」
「そうだがね……」
それでも、こんな風に正装して、美しく着飾った一人娘の美しい姿を見つめていると、本当に立派な貴婦人になったのだと、リチャードソンが更に感慨深げにしんみりしてしまう。
思えば、七年前、リチャードソンの前で、
「婚約解消します、絶対に」
などと、言い切ったまだ幼い娘に驚かされて、それからというもの、かわいい一人娘は一気に子供時代を駆け抜けていってしまった感じだ。
「婚約解消したい」 でも、「して欲しい」 でも、なかった。
「婚約解消します」 との強い意思の表れで、その深い藍の瞳が強く、リチャードソンは驚くのと同時に、そのあまりの豹変に言葉を失っていた。
あれから、七年もの歳月が過ぎてしまったのだ。
今では、もう、子供などとは呼べないほど美しい令嬢に育ち、立派な貴婦人となった。
「セシル」
「なんですか、お父様?」
「いずれ、状況が落ちついたら、コトレア領の領地を、セシルに譲渡したいと考えている」
「譲渡などできるのですか?」
「今の状況なら、そう頼んでも、あまり問題はないだろうからね」
その暗黙の意味を示唆するように、リチャードソンが軽くウィンクしてみせた。
まあっ、とセシルもすぐにその意味を理解して、可笑しそうに笑みをみせる。
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