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Part2
* В.а 合同訓練 *
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「世紀末の大惨事ですか?」
手に持っている手紙を読みながら、なぜかは知らないが、眉間に皺を寄せているギルバートを横目で見やりながら、クリストフがその言葉を投げていた。
つい、手紙を読むのに集中してしまっていたらしいギルバートが、その視線だけを上げる。
「いや……」
クリストフの間違いでなければ、手紙は、もちろん、ギルバートが待ち望んでいた隣国からの手紙である。
隣国ノーウッド王国コトレア領からの手紙である。
最愛のご令嬢からの手紙であるはずだ。
なのに、読んでいる様相から判断しても、あまり良からぬ内容なのか、大喜びでにやけ顔をするのでもなし、ギルバートの眉間に皺が寄せられているのだ。
「悪報ですか?」
「いや、そうではないんだが……」
せーっかく(やっと) 次に会う約束をこぎつけたのに、まさか、今になって、それがキャンセルされたのだろうか。
そうなってしまった場合、今の所、ギルバートには、次にセシルに会える手立てがなくなってしまう。
万事休す、になってしまう。
「ご令嬢から、確認の手紙なんだが……。困ったことに、滞在する場所を決めかねている」
「なぜですか?」
ゲストとして招待するのだから、滞在場所など問題になるはずもない。
もう、とっくに滞在場所など決まっているではないか。
「いや……、ご令嬢は、今回は合同訓練と言うことで、こちら側にも迷惑をかけたくはないとおっしゃって、王都内で泊れる場所でも探そうかと、考えていらっしゃるようなのだ」
それを聞いて、変な間が降りていた。
「いやあ、あからさまに避けられていますねえ」
ギルバートは困ったような顔をみせて、何も言わない。
セシルの提案は、簡潔に言えば、今回は王宮では滞在しないので、王都の街で宿を探す、ということになる。
王宮で滞在しない場合、訓練時間以外、王宮で縛られることもなく、王宮や王家からも絡まれることもない――なんて、アトレシア大王国にやって来る前から、完全に予防策を立てているようなのだ。
そこまで……王国や王家のことを避けなくても良いのに……。
「本当に、あのご令嬢は、初っ端から王国に来ることも嫌がっていましたし、王族に構われるのも(あまりに) 嫌そうでしたよねえ」
そして、ふーむ、と腕を組みながら、クリストフは珍しく素直に感心している。
王国に貴賓として招待されたり、王族に招待されるなんて、一生に一度あるかないかの好機。
それを無視して、あからさまに嫌がる令嬢など前代未聞な珍事だ。
「王族に、構われたくないお気持ちは、分からなくはないのだが……」
嫌われているのではないにしても、そこまで完全に避けられてしまうと、ギルバートなんて、セシルに近付けるチャンスこそなくなってしまう。
とほほ……。
「個人的な理由を抜かしても、ご令嬢が王宮の外で王都に滞在なさるのは、危険すぎる。例え、ご令嬢の護衛達が付き添っていたとしても」
「そうですね。私情は抜いたとしても、やはり、我々の目が届く場所で滞在なさっていただけなければ、万が一の場合でも、対応ができません」
「そうなんだ……」
ギルバートはいつでもセシルに会いたいから、セシルが王宮に滞在してくれたのなら、ギルバートが護衛役として、いつでも理由なしにセシルに会いに行くことが可能だ。
そんな(ささやかな) 私情を抜きにしても、セシルの名は、王国内ですでに知られてしまっている。
本人が望む、望まないにしても、現国王陛下であるアルデーラとすでに繋がりができてしまっただけに、セシル達だけを、王国騎士団の目から離れた場所で、孤立させるわけにはいかないのだ。
あのセシルのことだから、そう言った危険性があることだって百も承知だろうに、それでも、王宮に留まることは避けたいようだった。
下手に王宮に留まってしまったのなら、また、いつどこで、呼び出しがかかってしまうか分からない(全く望んでもいないのに)。
前回だって、王妃陛下であるアデラからの(あまりに急な) お茶会の招待を受けてしまったではないか。
今回、一月近く、合同訓練で王国側に滞在する予定となっている間、今度は――あの(しつこい) レイフが何を言い出すか判ったものではない。
王宮でセシル達が滞在しない場合、ギルバート達の目が行き届いて、ある程度の安全を保障できる場所は、一体、どこにあるのだろうか。
うーむと唸って、考えものである。
「あらあら、少々、無理を言ってしまったかしら?」
アトレシア大王国からの手紙を受け取り、それを読んでいるセシルは、その手紙を書いた本人の苦労した様相を思い浮かべ、ほんの少しだけ同情をみせる。
手紙は、もちろん、ギルバートからの直筆で、申し訳ありませんが……と、何度も述べられている。
セシル達が護衛もなく滞在することは危険であるから、とギルバートが述べる理由も状況も、セシルは簡単に理解している。
それでも、今回は、王宮の(特等室である) 客室での世話をしてもらうのは、避けたかったのだ。
セシル個人としては、もう、王家だろうと、王族だろうと、王国だろうと、セシルに一切関わって欲しくない。
でも、合同訓練は、あの子供達にとって、とても大切な好機だ。
少々、無理を承知で、滞在先を王都の街中に移してみたいなどとお願いしてみたが、ギルバートからは、謝罪がたくさん述べられている。
セシル達が、少々、我儘を言ってしまった事実は認めているので、今回は、ギルバートが謝罪することなんてないのに、王宮側に滞在してください、とお願いしているギルバートの苦渋が簡単に見て取れる。
(そんなに、無理を押し付けたつもりはなかったのですけれど……)
真面目なギルバートは、悩みに悩み、きっと、苦汁を見せて、セシルの我儘を聞き入れてくれようとしたのだろう。
状況が許さないのなら、最悪のケース、セシルも王宮内で滞在することを覚悟していた。
だが、ギルバートは何度も謝罪しながら、王宮内の敷地ではあるが、王国騎士団の宿舎の方に滞在してもらいたい、というような旨を述べて(懇願して) いた。
セシル達の為に、宿舎の一画を譲ってくれるようなのである。
そこにいる現存の騎士達を追い出してしまうのだろうか?
手に持っている手紙を読みながら、なぜかは知らないが、眉間に皺を寄せているギルバートを横目で見やりながら、クリストフがその言葉を投げていた。
つい、手紙を読むのに集中してしまっていたらしいギルバートが、その視線だけを上げる。
「いや……」
クリストフの間違いでなければ、手紙は、もちろん、ギルバートが待ち望んでいた隣国からの手紙である。
隣国ノーウッド王国コトレア領からの手紙である。
最愛のご令嬢からの手紙であるはずだ。
なのに、読んでいる様相から判断しても、あまり良からぬ内容なのか、大喜びでにやけ顔をするのでもなし、ギルバートの眉間に皺が寄せられているのだ。
「悪報ですか?」
「いや、そうではないんだが……」
せーっかく(やっと) 次に会う約束をこぎつけたのに、まさか、今になって、それがキャンセルされたのだろうか。
そうなってしまった場合、今の所、ギルバートには、次にセシルに会える手立てがなくなってしまう。
万事休す、になってしまう。
「ご令嬢から、確認の手紙なんだが……。困ったことに、滞在する場所を決めかねている」
「なぜですか?」
ゲストとして招待するのだから、滞在場所など問題になるはずもない。
もう、とっくに滞在場所など決まっているではないか。
「いや……、ご令嬢は、今回は合同訓練と言うことで、こちら側にも迷惑をかけたくはないとおっしゃって、王都内で泊れる場所でも探そうかと、考えていらっしゃるようなのだ」
それを聞いて、変な間が降りていた。
「いやあ、あからさまに避けられていますねえ」
ギルバートは困ったような顔をみせて、何も言わない。
セシルの提案は、簡潔に言えば、今回は王宮では滞在しないので、王都の街で宿を探す、ということになる。
王宮で滞在しない場合、訓練時間以外、王宮で縛られることもなく、王宮や王家からも絡まれることもない――なんて、アトレシア大王国にやって来る前から、完全に予防策を立てているようなのだ。
そこまで……王国や王家のことを避けなくても良いのに……。
「本当に、あのご令嬢は、初っ端から王国に来ることも嫌がっていましたし、王族に構われるのも(あまりに) 嫌そうでしたよねえ」
そして、ふーむ、と腕を組みながら、クリストフは珍しく素直に感心している。
王国に貴賓として招待されたり、王族に招待されるなんて、一生に一度あるかないかの好機。
それを無視して、あからさまに嫌がる令嬢など前代未聞な珍事だ。
「王族に、構われたくないお気持ちは、分からなくはないのだが……」
嫌われているのではないにしても、そこまで完全に避けられてしまうと、ギルバートなんて、セシルに近付けるチャンスこそなくなってしまう。
とほほ……。
「個人的な理由を抜かしても、ご令嬢が王宮の外で王都に滞在なさるのは、危険すぎる。例え、ご令嬢の護衛達が付き添っていたとしても」
「そうですね。私情は抜いたとしても、やはり、我々の目が届く場所で滞在なさっていただけなければ、万が一の場合でも、対応ができません」
「そうなんだ……」
ギルバートはいつでもセシルに会いたいから、セシルが王宮に滞在してくれたのなら、ギルバートが護衛役として、いつでも理由なしにセシルに会いに行くことが可能だ。
そんな(ささやかな) 私情を抜きにしても、セシルの名は、王国内ですでに知られてしまっている。
本人が望む、望まないにしても、現国王陛下であるアルデーラとすでに繋がりができてしまっただけに、セシル達だけを、王国騎士団の目から離れた場所で、孤立させるわけにはいかないのだ。
あのセシルのことだから、そう言った危険性があることだって百も承知だろうに、それでも、王宮に留まることは避けたいようだった。
下手に王宮に留まってしまったのなら、また、いつどこで、呼び出しがかかってしまうか分からない(全く望んでもいないのに)。
前回だって、王妃陛下であるアデラからの(あまりに急な) お茶会の招待を受けてしまったではないか。
今回、一月近く、合同訓練で王国側に滞在する予定となっている間、今度は――あの(しつこい) レイフが何を言い出すか判ったものではない。
王宮でセシル達が滞在しない場合、ギルバート達の目が行き届いて、ある程度の安全を保障できる場所は、一体、どこにあるのだろうか。
うーむと唸って、考えものである。
「あらあら、少々、無理を言ってしまったかしら?」
アトレシア大王国からの手紙を受け取り、それを読んでいるセシルは、その手紙を書いた本人の苦労した様相を思い浮かべ、ほんの少しだけ同情をみせる。
手紙は、もちろん、ギルバートからの直筆で、申し訳ありませんが……と、何度も述べられている。
セシル達が護衛もなく滞在することは危険であるから、とギルバートが述べる理由も状況も、セシルは簡単に理解している。
それでも、今回は、王宮の(特等室である) 客室での世話をしてもらうのは、避けたかったのだ。
セシル個人としては、もう、王家だろうと、王族だろうと、王国だろうと、セシルに一切関わって欲しくない。
でも、合同訓練は、あの子供達にとって、とても大切な好機だ。
少々、無理を承知で、滞在先を王都の街中に移してみたいなどとお願いしてみたが、ギルバートからは、謝罪がたくさん述べられている。
セシル達が、少々、我儘を言ってしまった事実は認めているので、今回は、ギルバートが謝罪することなんてないのに、王宮側に滞在してください、とお願いしているギルバートの苦渋が簡単に見て取れる。
(そんなに、無理を押し付けたつもりはなかったのですけれど……)
真面目なギルバートは、悩みに悩み、きっと、苦汁を見せて、セシルの我儘を聞き入れてくれようとしたのだろう。
状況が許さないのなら、最悪のケース、セシルも王宮内で滞在することを覚悟していた。
だが、ギルバートは何度も謝罪しながら、王宮内の敷地ではあるが、王国騎士団の宿舎の方に滞在してもらいたい、というような旨を述べて(懇願して) いた。
セシル達の為に、宿舎の一画を譲ってくれるようなのである。
そこにいる現存の騎士達を追い出してしまうのだろうか?
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