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Part 3
* В.г 後夜祭 *
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夕食の時間ですからと、一息ついた一行は、シリルの案内で、領地の大通りにやってきていた。
もうすでに、両端には、たくさんの机の上にたくさんのご馳走が。中央には、所狭しと並んだ移動式のテーブルとベンチが。
大通りに続く通りに、一歩、足を入れたオスミンの瞳は、もう真ん丸だ。
今日一日、あまりにオスミンの知らない楽しい出来事ばかりが盛りだくさんで、お祭りだって参加したことのないオスミンにとって、一日中、その子供らしい丸い瞳を真ん丸にして、大はしゃぎだった。
「――――す、す、すごいですっ!!」
もう興奮が収まり切らない様子で、オスミンが叫んでいた。
「そうだろう? 私も初めての時は、驚いたものだ」
「こんなに、ごはんがたくさんっ! おじうえっ、おじうえっ、あんなにたくさんのごはんなんて、たべられません」
それで興奮した勢いのまま、ギルバートの着ている制服の上着の裾を引っ張り回すオスミンだ。
「あれを全部食べられる者は、いないんじゃないのかな? たくさんあるだろう?」
「たくさんのごはんですっ!」
「この領地の領民全員が一緒になって、ご飯を食べるんだよ。だから、あんなにたくさんのご馳走があるんだ。デザートもたくさんある」
「すごいですっ! たくさんたべてもいいんですか?」
「もちろん。好きなものを好きなだけ、食べてもいいんだよ」
なんて――夢のような世界なのだろうか!
文句も言われず、好きなものを好きなだけ食べても、叱られもしないなんて。
興奮気味のオスミンの顔が、キラキラと輝きっぱなしだ。
「このような普通の食事を用意していても、その数が揃うと、壮観だなあ」
「ええ、そうですね」
静かに全員の後をついてくるリドウィナだって、初めて見る光景に圧倒されて、キョロキョロ、キョロキョロと、物珍しそうに、通り過ぎ様、大通りの光景を眺めてしまっていた。
「ここに並んであるテーブルは、昼間、公園に並べられていたテーブルと作りが同じだ」
「ええ、そうですね。公園から、こちらまで運んでくるのです」
「この数を? ものすごい移動ではないか。それも、これだけ賑わった祭りのど真ん中で」
「いえ、テーブルごと持ち運ぶのではないんです」
よく意味の判らないことを話すギルバートに、レイフが通りの光景から目を離し、振り返る。
「どういう意味だ?」
「ここのテーブルなどは、全て折りたたみ式なのです。ですから、会場の移動をする際、全部、一度解体されて、平らになった木材を積み重ね、それを運び、この場所で、もう一度、組み立てるという方法だそうです」
「ほうっ! そんな話も、方法も、聞いたことがないなあ」
「ええ、そうですね。初めて説明された時は、私も驚きました」
そして、“折り畳み式”などという便利な収納術は、この世界には存在しない。
だが、セシルは元日本人。
性格的にも、細々と散らかった様子は好きではない。
スッキリ、きっちり、整頓術! ――やはり、前世(なのか現世) の記憶持ちですもの、その経験と知識を生かさずなんて、勿体ないでしょう?
この領地で、折り畳み式の物資などを考案している際、技術師達からも、
「おおぉっ!」
という歓声が、毎回、上がっていた。
見たこともないアイディアを見て、更にやる気が出たようだった。
腕のいい技術師がいると、大助かりです、ホント。
今回は、王族の王子殿下が三人も揃う大掛かりなイベントとなってしまったので、広場に続く一番間近なテーブルは、王子殿下達とリドウィナなど貴族のゲスト用として、すでに大きなテーブルが確保されていた。
テーブルの横で待っていたのはセシルの両親であるヘルバート伯爵夫妻で、王子殿下達が近寄って来ると、ほんの微かにだけ、頭を下げるような礼をした。
「皆様、お疲れではありませんか?」
「いえ、全く問題はないので」
それは、レイフ一人だけの話ではないのだろうか……。
にこやかな笑みを浮かべているヘルバート伯爵も、そこら辺のことを深く突っ込みはしない。
「オスミン様、豊穣祭はいかがでしたか?」
ヘルバート伯爵夫人が少し屈みながら、オスミンの顔の前で微笑んできた。
「とてもおもしろかったですっ! たくさんおみせがあって、たくさんごはんがあって、ぼくはゲームもしましたっ! ゲームは、はじめてなんですっ。かいものは、おじうえが、たくさんならんでいるから、こんどのきかいにしよう、といいました。だから、ぼくは、つぎのときにかうので、いいんです。ショルダーバッグを、かうんです」
興奮が収まりきらず、一度、喋り出したオスミンは、今日一日の出来事を一気に話し出してしまう。
「それをお聞きしまして、安心いたしました。楽しまれたようで、なによりでございます」
「はい、たのしかったですっ!」
大喜びのオスミンの様子を見て、実は、セシルの母親であるレイナも、ほっと……一安心。
さすがに、これから一人娘が嫁いでいく国の王族の身内がやって来ただけではなく、次期国王陛下ともなる重要な王子殿下が二人も揃っているだけに、豊穣祭の間中、レイナも気が気ではなかったのだ。
まさか、領民や他の観光客が粗相などしていないだろうか……。
人込みに埋もれて、腹を立てていないだろうか……。
一般市民と同等の扱いをされて、怒っていないだろうか……。
心配事は尽きない。
セシルは、あまり深く考えず、心配し過ぎないように、とレイナにも仄めかしていたが、レイナは、この(あまりに重い) 状況を、セシルのような大らかさで扱うことはできなかった。
息子のシリルは礼儀正しいし、粗相を働くような子供ではないから、シリルのことは全く心配していなかったのだが、それでも、シリルが王子殿下達と一緒に行動している間に問題などが起きてしまったのなら……、などとそんな懸念も拭えず、レイナは一日中生きた心地がしなかったほどだ。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
Děkujeme, že jste si přečetli tento román
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もうすでに、両端には、たくさんの机の上にたくさんのご馳走が。中央には、所狭しと並んだ移動式のテーブルとベンチが。
大通りに続く通りに、一歩、足を入れたオスミンの瞳は、もう真ん丸だ。
今日一日、あまりにオスミンの知らない楽しい出来事ばかりが盛りだくさんで、お祭りだって参加したことのないオスミンにとって、一日中、その子供らしい丸い瞳を真ん丸にして、大はしゃぎだった。
「――――す、す、すごいですっ!!」
もう興奮が収まり切らない様子で、オスミンが叫んでいた。
「そうだろう? 私も初めての時は、驚いたものだ」
「こんなに、ごはんがたくさんっ! おじうえっ、おじうえっ、あんなにたくさんのごはんなんて、たべられません」
それで興奮した勢いのまま、ギルバートの着ている制服の上着の裾を引っ張り回すオスミンだ。
「あれを全部食べられる者は、いないんじゃないのかな? たくさんあるだろう?」
「たくさんのごはんですっ!」
「この領地の領民全員が一緒になって、ご飯を食べるんだよ。だから、あんなにたくさんのご馳走があるんだ。デザートもたくさんある」
「すごいですっ! たくさんたべてもいいんですか?」
「もちろん。好きなものを好きなだけ、食べてもいいんだよ」
なんて――夢のような世界なのだろうか!
文句も言われず、好きなものを好きなだけ食べても、叱られもしないなんて。
興奮気味のオスミンの顔が、キラキラと輝きっぱなしだ。
「このような普通の食事を用意していても、その数が揃うと、壮観だなあ」
「ええ、そうですね」
静かに全員の後をついてくるリドウィナだって、初めて見る光景に圧倒されて、キョロキョロ、キョロキョロと、物珍しそうに、通り過ぎ様、大通りの光景を眺めてしまっていた。
「ここに並んであるテーブルは、昼間、公園に並べられていたテーブルと作りが同じだ」
「ええ、そうですね。公園から、こちらまで運んでくるのです」
「この数を? ものすごい移動ではないか。それも、これだけ賑わった祭りのど真ん中で」
「いえ、テーブルごと持ち運ぶのではないんです」
よく意味の判らないことを話すギルバートに、レイフが通りの光景から目を離し、振り返る。
「どういう意味だ?」
「ここのテーブルなどは、全て折りたたみ式なのです。ですから、会場の移動をする際、全部、一度解体されて、平らになった木材を積み重ね、それを運び、この場所で、もう一度、組み立てるという方法だそうです」
「ほうっ! そんな話も、方法も、聞いたことがないなあ」
「ええ、そうですね。初めて説明された時は、私も驚きました」
そして、“折り畳み式”などという便利な収納術は、この世界には存在しない。
だが、セシルは元日本人。
性格的にも、細々と散らかった様子は好きではない。
スッキリ、きっちり、整頓術! ――やはり、前世(なのか現世) の記憶持ちですもの、その経験と知識を生かさずなんて、勿体ないでしょう?
この領地で、折り畳み式の物資などを考案している際、技術師達からも、
「おおぉっ!」
という歓声が、毎回、上がっていた。
見たこともないアイディアを見て、更にやる気が出たようだった。
腕のいい技術師がいると、大助かりです、ホント。
今回は、王族の王子殿下が三人も揃う大掛かりなイベントとなってしまったので、広場に続く一番間近なテーブルは、王子殿下達とリドウィナなど貴族のゲスト用として、すでに大きなテーブルが確保されていた。
テーブルの横で待っていたのはセシルの両親であるヘルバート伯爵夫妻で、王子殿下達が近寄って来ると、ほんの微かにだけ、頭を下げるような礼をした。
「皆様、お疲れではありませんか?」
「いえ、全く問題はないので」
それは、レイフ一人だけの話ではないのだろうか……。
にこやかな笑みを浮かべているヘルバート伯爵も、そこら辺のことを深く突っ込みはしない。
「オスミン様、豊穣祭はいかがでしたか?」
ヘルバート伯爵夫人が少し屈みながら、オスミンの顔の前で微笑んできた。
「とてもおもしろかったですっ! たくさんおみせがあって、たくさんごはんがあって、ぼくはゲームもしましたっ! ゲームは、はじめてなんですっ。かいものは、おじうえが、たくさんならんでいるから、こんどのきかいにしよう、といいました。だから、ぼくは、つぎのときにかうので、いいんです。ショルダーバッグを、かうんです」
興奮が収まりきらず、一度、喋り出したオスミンは、今日一日の出来事を一気に話し出してしまう。
「それをお聞きしまして、安心いたしました。楽しまれたようで、なによりでございます」
「はい、たのしかったですっ!」
大喜びのオスミンの様子を見て、実は、セシルの母親であるレイナも、ほっと……一安心。
さすがに、これから一人娘が嫁いでいく国の王族の身内がやって来ただけではなく、次期国王陛下ともなる重要な王子殿下が二人も揃っているだけに、豊穣祭の間中、レイナも気が気ではなかったのだ。
まさか、領民や他の観光客が粗相などしていないだろうか……。
人込みに埋もれて、腹を立てていないだろうか……。
一般市民と同等の扱いをされて、怒っていないだろうか……。
心配事は尽きない。
セシルは、あまり深く考えず、心配し過ぎないように、とレイナにも仄めかしていたが、レイナは、この(あまりに重い) 状況を、セシルのような大らかさで扱うことはできなかった。
息子のシリルは礼儀正しいし、粗相を働くような子供ではないから、シリルのことは全く心配していなかったのだが、それでも、シリルが王子殿下達と一緒に行動している間に問題などが起きてしまったのなら……、などとそんな懸念も拭えず、レイナは一日中生きた心地がしなかったほどだ。
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読んでいただき、ありがとうございます。
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