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Part 3
* Е.д 楽しみ *
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「フィロ、馬車の中では仕事をせずに、少し休憩するべきですよ」
「いいえ、私は大丈夫です」
そして、セシルの領地で開発した移動式簡易テーブルの上で、フィロはせっせと手を止めず、書類に埋もれている状態だ。
とうとう、アトレシア大王国に出発する日がやって来た。
セシルはこれからアトレシア大王国で、大半の月日を生活することになるから、セシルが日頃から使用している日常品や、着替え、ドレス、アクセサリーやらなんやらと、セシル個人の荷物は、アトレシア大王国の王都に移動させなければならない。
大引っ越しである。
元々の予定では、11月の中頃からアトレシア大王国に向けて旅立つ予定だったのだが、予期していない天災の救助活動がセシルの時間を押してしまい、コトレア領での政を中途半端に投げ捨てておくこともできず、11月は年末の仕事締めで、毎日が多忙だったセシルだ。
それでも、いつでも、コトレアに居座っているわけにはいかない。
12月初めにはアトレシア大王国に旅立つという予定で、アトレシア大王国からはセシルの迎えに騎士団の護衛が送られてきた。
ずらりと並ぶ、騎士団の騎士達である。簡単に、20人近くはいる護衛だ。
そして、セシルの“お引越し”の荷物があるだけに、親切にも、大型の荷馬車を二台も引き連れてきてくれたのだ。
セシルの迎えには、残念なことにギルバートは一緒ではない。一カ月半近くも仕事を離れていた為、仕事が溜まっているギルバートは、王宮でお留守番、である。
アトレシア大王国騎士団の迎えがやって来ると、今度は、セシルの邸の使用人達が大忙しで、セシルの荷物を荷馬車に詰め込んでいく。
たくさんの木箱があり、それを順番に、丁寧に荷馬車に詰め込んでいく使用人達。
それで、一日が過ぎていった。
次の日はアトレシア大王国に向けて出発するので、邸の全員に見送られてセシルはコトレアを去っていた。
シリルと言えば――実は、あまりに溜まり過ぎている領地の仕事や書類整理の手伝いの為、豊穣祭後もシリルはコトレア領に残っていたのだ。
そして、未だにその仕事は終え切っていない……。
セシルとギルバートの婚儀が二月に予定されている為、ヘルバート伯爵一家は、一月末までにアトレシア大王国に到着していなければならない。
ただ、王国からの護衛がまた送られてくる予定だったのだが、ノーウッド王国の王都に入り、その場からヘルバート伯爵一家を迎えにいくことはあまりに目立ってしまうことを懸念して(なにしろ、アトレシア大王国の王家の紋章入りの馬車だから)、ヘルバート伯爵一家はコトレア領からアトレシア大王国に向かってもらうことになったのだ。
それで、シリルは12月と1月中をコトレアで過ごす羽目になる。
母親のレイナが、シリルの正装着をきちんと持ってきてくれるらしいので、シリルはセシルの仕事の手伝い(後始末) をさせられている以外は、アトレシア大王国での服装を心配する必要がない。
ここだけの話だが、荷馬車に積み込まれているセシルの日常の服は、ほとんどが新着である。
「ええ……? 新着なんて、ものすごい労力と時間がかかってしまうでしょう?」
「いいえっ! 夜なべしてでも、間に合わせて作りますから!」
セシルはその提案に賛成していなかったのだが、領地のお針子は一歩も譲らず。
なにしろ、コトレア領を治めている自分達の領主様が王城に出発するのに、日頃から着慣れている普段着を持ち込むなんて、お針子達だって絶対に賛成できなかったのだ。
自分達の敬愛する領主であるセシルには、アトレシア大王国内の貴族の令嬢達にも負けず、素晴らしい令嬢であることを見せびらかしたいのである。自慢したいのである。
それで、今年の豊穣祭は、十周年記念の大祝典を予定していたので、去年から一年もかけて、豪奢なドレスが制作されていた。
それと同時に、セシルの結婚が決まり、セシルのアトレシア大王国行きが決定すると、お針子達は、豊穣祭のドレスの制作に加えて、セシルの私用や普段着を作り出したのだ。
セシルは邸にいる間はズボン姿が多い。そうでない時は、セシルがデザインした“洋服”のスタイルの服を着ることもある。
この世界で“洋服”という単語は使用しない。なにしろ、“和服”の概念がないからだ。一般市民が着ている服は、ただ“服”という形容になる。
貴族の令嬢であれば、大抵、ドレス以外に身に着ける衣類はない。
でも、セシルは、シンプル、エレガント、身軽に動きやすい“洋服”が好きなので、上下分かれたツーピースの洋服も多い。ワンピースもたくさんある。
そのどれも、現代のデザインにスタイルだったが。
お針子達の張り切りと、必死の努力で、アトレシア大王国に旅立つセシルの荷物には、ごっそりと、新着の“洋服”が詰め込まれていたのだった。
今回の旅は、セシルが乗っている馬車に、大型の荷馬車が二台。セシルの領地からも荷馬車を一台、最後にオルガとアーシュリンの侍女達が乗っている馬車が一台、計四台も続く、大行列である。
アトレシア大王国の護衛が20人ほど。セシルの領地の護衛が10数人程(コトレアに帰る時の安全を考慮して)。
民族大移動並みの行列だ。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。Enkosi kakhulu ngokufunda le noveli
そろそろ、Part3も終わりに近づいてきました。話の流れから行きますと、Part3でセシルの独身時代が終わります。要は、”独身編”ですね。次からは、”結婚編”ということになるのでしょうか?
エピソードも500以上溜まりましたので、次からは、また、新たな作品をシリーズの一つとして投稿すべきか(例えば、『奮闘記2』など?)、それとも、このまま長く続けていくか考慮中です。
そろそろ、エピソードを読む時に、スクロールするが長くなり、探すことも難しくなってきましたので、どちらの方法がいいでしょうか?
感想をいただけたら助かります
~・~・~・~・~・~・~・~・
「いいえ、私は大丈夫です」
そして、セシルの領地で開発した移動式簡易テーブルの上で、フィロはせっせと手を止めず、書類に埋もれている状態だ。
とうとう、アトレシア大王国に出発する日がやって来た。
セシルはこれからアトレシア大王国で、大半の月日を生活することになるから、セシルが日頃から使用している日常品や、着替え、ドレス、アクセサリーやらなんやらと、セシル個人の荷物は、アトレシア大王国の王都に移動させなければならない。
大引っ越しである。
元々の予定では、11月の中頃からアトレシア大王国に向けて旅立つ予定だったのだが、予期していない天災の救助活動がセシルの時間を押してしまい、コトレア領での政を中途半端に投げ捨てておくこともできず、11月は年末の仕事締めで、毎日が多忙だったセシルだ。
それでも、いつでも、コトレアに居座っているわけにはいかない。
12月初めにはアトレシア大王国に旅立つという予定で、アトレシア大王国からはセシルの迎えに騎士団の護衛が送られてきた。
ずらりと並ぶ、騎士団の騎士達である。簡単に、20人近くはいる護衛だ。
そして、セシルの“お引越し”の荷物があるだけに、親切にも、大型の荷馬車を二台も引き連れてきてくれたのだ。
セシルの迎えには、残念なことにギルバートは一緒ではない。一カ月半近くも仕事を離れていた為、仕事が溜まっているギルバートは、王宮でお留守番、である。
アトレシア大王国騎士団の迎えがやって来ると、今度は、セシルの邸の使用人達が大忙しで、セシルの荷物を荷馬車に詰め込んでいく。
たくさんの木箱があり、それを順番に、丁寧に荷馬車に詰め込んでいく使用人達。
それで、一日が過ぎていった。
次の日はアトレシア大王国に向けて出発するので、邸の全員に見送られてセシルはコトレアを去っていた。
シリルと言えば――実は、あまりに溜まり過ぎている領地の仕事や書類整理の手伝いの為、豊穣祭後もシリルはコトレア領に残っていたのだ。
そして、未だにその仕事は終え切っていない……。
セシルとギルバートの婚儀が二月に予定されている為、ヘルバート伯爵一家は、一月末までにアトレシア大王国に到着していなければならない。
ただ、王国からの護衛がまた送られてくる予定だったのだが、ノーウッド王国の王都に入り、その場からヘルバート伯爵一家を迎えにいくことはあまりに目立ってしまうことを懸念して(なにしろ、アトレシア大王国の王家の紋章入りの馬車だから)、ヘルバート伯爵一家はコトレア領からアトレシア大王国に向かってもらうことになったのだ。
それで、シリルは12月と1月中をコトレアで過ごす羽目になる。
母親のレイナが、シリルの正装着をきちんと持ってきてくれるらしいので、シリルはセシルの仕事の手伝い(後始末) をさせられている以外は、アトレシア大王国での服装を心配する必要がない。
ここだけの話だが、荷馬車に積み込まれているセシルの日常の服は、ほとんどが新着である。
「ええ……? 新着なんて、ものすごい労力と時間がかかってしまうでしょう?」
「いいえっ! 夜なべしてでも、間に合わせて作りますから!」
セシルはその提案に賛成していなかったのだが、領地のお針子は一歩も譲らず。
なにしろ、コトレア領を治めている自分達の領主様が王城に出発するのに、日頃から着慣れている普段着を持ち込むなんて、お針子達だって絶対に賛成できなかったのだ。
自分達の敬愛する領主であるセシルには、アトレシア大王国内の貴族の令嬢達にも負けず、素晴らしい令嬢であることを見せびらかしたいのである。自慢したいのである。
それで、今年の豊穣祭は、十周年記念の大祝典を予定していたので、去年から一年もかけて、豪奢なドレスが制作されていた。
それと同時に、セシルの結婚が決まり、セシルのアトレシア大王国行きが決定すると、お針子達は、豊穣祭のドレスの制作に加えて、セシルの私用や普段着を作り出したのだ。
セシルは邸にいる間はズボン姿が多い。そうでない時は、セシルがデザインした“洋服”のスタイルの服を着ることもある。
この世界で“洋服”という単語は使用しない。なにしろ、“和服”の概念がないからだ。一般市民が着ている服は、ただ“服”という形容になる。
貴族の令嬢であれば、大抵、ドレス以外に身に着ける衣類はない。
でも、セシルは、シンプル、エレガント、身軽に動きやすい“洋服”が好きなので、上下分かれたツーピースの洋服も多い。ワンピースもたくさんある。
そのどれも、現代のデザインにスタイルだったが。
お針子達の張り切りと、必死の努力で、アトレシア大王国に旅立つセシルの荷物には、ごっそりと、新着の“洋服”が詰め込まれていたのだった。
今回の旅は、セシルが乗っている馬車に、大型の荷馬車が二台。セシルの領地からも荷馬車を一台、最後にオルガとアーシュリンの侍女達が乗っている馬車が一台、計四台も続く、大行列である。
アトレシア大王国の護衛が20人ほど。セシルの領地の護衛が10数人程(コトレアに帰る時の安全を考慮して)。
民族大移動並みの行列だ。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。Enkosi kakhulu ngokufunda le noveli
そろそろ、Part3も終わりに近づいてきました。話の流れから行きますと、Part3でセシルの独身時代が終わります。要は、”独身編”ですね。次からは、”結婚編”ということになるのでしょうか?
エピソードも500以上溜まりましたので、次からは、また、新たな作品をシリーズの一つとして投稿すべきか(例えば、『奮闘記2』など?)、それとも、このまま長く続けていくか考慮中です。
そろそろ、エピソードを読む時に、スクロールするが長くなり、探すことも難しくなってきましたので、どちらの方法がいいでしょうか?
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