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第三章 肩こり
第五話 気がつけば1人BLになってしまっている
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そろそろ自己紹介でもしておこうと思う。
私の名前は大森郁夫。
実家が電気屋で父親が死んでからは自分が後を継いでほそぼそとやっている。
田舎の町でも販売は大手メーカーにお客は取られているので、仕事は殆ど修理かついでの便利屋も引き受けている。
とはいってもさほど不満もなく、母親は姉と実家に暮らしているので
自らは故有事的な一人暮らしを楽しんでいる。
おわかりだろうが姉と私は独身である。
いつまでも若い気でいたが、気がつけば今年で33歳。
20代では「これ以上は入らない」と腹筋が食べ物にストップをかけていたけれど、
いつの間にか食べ物が際限なく腹に入るようになってしまった。
そのおかげで居残り脂肪はお餅のように腹にこびりついて居心地良さそうに今日もズボンに乗っかっている。
こんな形で自分の体型が中年体型に変化していくとは夢にも思わなかった。
毎日鏡を見るたびに歳を取るということはこういう事なのだな、と感じる今日この頃であった。
落ちずに居据わる系でいうと肩こりや腰痛もそうだ。
20代まではどちらにも縁がなかった自分は、親のそういった悩みも「運動して筋肉つければ」とか馬鹿にした事を言っていた。
今の自分が運動をすることもなければ、筋肉が付くこともないので
その辺りを想像して物を言わなかった自分を今となっては恥じる。
私が数少ない社員を指導しなければならない立場になって、日々疲れと脂肪だけが溜まっていく中で「運動をする」という項目はいつしか「ストレス解消のビール」に姿を変えてしまっていた。
そして今、己の体の悲鳴を聞くことになったのである。
馬鹿にしていた数々の年寄りの悩みに毎日悩まされる現実と向き合いながら生きている。
さてさてそんな中、いつものようにお客様の家にお邪魔してテレビの修理を請け負っていた時のこと、
家主は年配の女性でその日は女友だちが来ているようだった。
私がリビングで作業をさせてもらってる間、彼女らはキッチンでお茶をしながら旦那がどうの、近所の息子がどうのと話をしている。
そのうちに年配女性ならではのどこの化粧品は良いとか、どこの健康食品がどこに効くとか話は自然と美容系の話で盛り上がり始める。
大体がくだらないと私も聞き流しているのだが話題が「肩こり」の話になると、自然と耳がダンボになっている自分に気が付く。
「肩こりって肩だけをもんでも駄目なのよ。」
「え~?でも肩が凝ってるから揉むんでしょうよ。」
「違うのよ~、どうして肩がこるかって事よ~。」
「どういうこと~?」
私は作業をしながら彼女らの相槌も煩わしく話に聞き入っていた。
「だからね、手を使うでしょ?
手!腕!スマホとかで。」
手なんか腕なんかスマホなんかさっぱりやな
と心の中でツッコミを入れながらも聞いている。
「腕のここのとこ、」
と言いながら女性は相手の腕をおもむろに掴んで押している。
「わぁ気持ちいい~、マッサージやってたん?」
「全然だけど、自分で押してみたらめっちゃ効くとこあるでしょ?」
「え、何処って?もっかい教えてよ~。」
ナイス!おばちゃん友達。くわしく。
「腕の肘から少し手首側の肉の盛り上がった所あたり、カーブのこの辺?、
肘の手首側斜め上ぐらいかなぁ?
この辺よ、押してみて左手で、この辺。」
「この辺」は見えないが、場所を想像しながら聞き耳を立てている。
「はぁ~気持ちええわぁ。」
まさかこんな所でおばちゃん達の嬌声を味わう事になろうとは。
彼女らはその後、上腕から二の腕をつまみ上げ「あぁ」とか「はぁ」とか
同じ空気の中に男性が一人いるにも関わらず切ない声を幾度とあげるのであった。
「修理、終わりました。」
「はぁい、ご苦労さま~。」
おばちゃん達の声の余韻は兎も角として
すぐにでも試してみたかったが、さすがにその場でする訳にもいかなかったのでお昼休みがてら事務所の休憩所で試すことにした。
右の上腕の盛り上がった部分を左の手でもみもみしてみる。
初め親指下にして人差し指の当たる所が少し硬くなっているように感じた。
けれど握り方が悪いのかその部分にうまく力が入らない。
今度は左手を返して人差し指で押しながら探りを入れる。
肘の筋に近い所をぐっと押すと
あ、、、
これはいい、、、、!
何かのツボを押し当てたのか押すたびに気持ち良さが腕中に広がる。
なるほど、
おばちゃん達はこの快感を皆で共有しあっていたわけか、、。
そこまで力を入れなくとも軽くもみもみするだけで何かがほぐれていくのを感じる。
これで肩こりも治れば万々歳だが、むしろこの快感だけで休憩が楽しくなる感じは十分にある。
次は左手もやってみよう、、
今度はなんなくもみもみしてツボを押し当てる。
あぁっ、、!
スマホをいじるせいか左手の方が硬くなっていて刺激されると気持ちが良い。
多少周囲を確認しつつ、一人何度も腕をもみもみしながら快感を味わう中年の姿がそこにはあった。
私の名前は大森郁夫。
実家が電気屋で父親が死んでからは自分が後を継いでほそぼそとやっている。
田舎の町でも販売は大手メーカーにお客は取られているので、仕事は殆ど修理かついでの便利屋も引き受けている。
とはいってもさほど不満もなく、母親は姉と実家に暮らしているので
自らは故有事的な一人暮らしを楽しんでいる。
おわかりだろうが姉と私は独身である。
いつまでも若い気でいたが、気がつけば今年で33歳。
20代では「これ以上は入らない」と腹筋が食べ物にストップをかけていたけれど、
いつの間にか食べ物が際限なく腹に入るようになってしまった。
そのおかげで居残り脂肪はお餅のように腹にこびりついて居心地良さそうに今日もズボンに乗っかっている。
こんな形で自分の体型が中年体型に変化していくとは夢にも思わなかった。
毎日鏡を見るたびに歳を取るということはこういう事なのだな、と感じる今日この頃であった。
落ちずに居据わる系でいうと肩こりや腰痛もそうだ。
20代まではどちらにも縁がなかった自分は、親のそういった悩みも「運動して筋肉つければ」とか馬鹿にした事を言っていた。
今の自分が運動をすることもなければ、筋肉が付くこともないので
その辺りを想像して物を言わなかった自分を今となっては恥じる。
私が数少ない社員を指導しなければならない立場になって、日々疲れと脂肪だけが溜まっていく中で「運動をする」という項目はいつしか「ストレス解消のビール」に姿を変えてしまっていた。
そして今、己の体の悲鳴を聞くことになったのである。
馬鹿にしていた数々の年寄りの悩みに毎日悩まされる現実と向き合いながら生きている。
さてさてそんな中、いつものようにお客様の家にお邪魔してテレビの修理を請け負っていた時のこと、
家主は年配の女性でその日は女友だちが来ているようだった。
私がリビングで作業をさせてもらってる間、彼女らはキッチンでお茶をしながら旦那がどうの、近所の息子がどうのと話をしている。
そのうちに年配女性ならではのどこの化粧品は良いとか、どこの健康食品がどこに効くとか話は自然と美容系の話で盛り上がり始める。
大体がくだらないと私も聞き流しているのだが話題が「肩こり」の話になると、自然と耳がダンボになっている自分に気が付く。
「肩こりって肩だけをもんでも駄目なのよ。」
「え~?でも肩が凝ってるから揉むんでしょうよ。」
「違うのよ~、どうして肩がこるかって事よ~。」
「どういうこと~?」
私は作業をしながら彼女らの相槌も煩わしく話に聞き入っていた。
「だからね、手を使うでしょ?
手!腕!スマホとかで。」
手なんか腕なんかスマホなんかさっぱりやな
と心の中でツッコミを入れながらも聞いている。
「腕のここのとこ、」
と言いながら女性は相手の腕をおもむろに掴んで押している。
「わぁ気持ちいい~、マッサージやってたん?」
「全然だけど、自分で押してみたらめっちゃ効くとこあるでしょ?」
「え、何処って?もっかい教えてよ~。」
ナイス!おばちゃん友達。くわしく。
「腕の肘から少し手首側の肉の盛り上がった所あたり、カーブのこの辺?、
肘の手首側斜め上ぐらいかなぁ?
この辺よ、押してみて左手で、この辺。」
「この辺」は見えないが、場所を想像しながら聞き耳を立てている。
「はぁ~気持ちええわぁ。」
まさかこんな所でおばちゃん達の嬌声を味わう事になろうとは。
彼女らはその後、上腕から二の腕をつまみ上げ「あぁ」とか「はぁ」とか
同じ空気の中に男性が一人いるにも関わらず切ない声を幾度とあげるのであった。
「修理、終わりました。」
「はぁい、ご苦労さま~。」
おばちゃん達の声の余韻は兎も角として
すぐにでも試してみたかったが、さすがにその場でする訳にもいかなかったのでお昼休みがてら事務所の休憩所で試すことにした。
右の上腕の盛り上がった部分を左の手でもみもみしてみる。
初め親指下にして人差し指の当たる所が少し硬くなっているように感じた。
けれど握り方が悪いのかその部分にうまく力が入らない。
今度は左手を返して人差し指で押しながら探りを入れる。
肘の筋に近い所をぐっと押すと
あ、、、
これはいい、、、、!
何かのツボを押し当てたのか押すたびに気持ち良さが腕中に広がる。
なるほど、
おばちゃん達はこの快感を皆で共有しあっていたわけか、、。
そこまで力を入れなくとも軽くもみもみするだけで何かがほぐれていくのを感じる。
これで肩こりも治れば万々歳だが、むしろこの快感だけで休憩が楽しくなる感じは十分にある。
次は左手もやってみよう、、
今度はなんなくもみもみしてツボを押し当てる。
あぁっ、、!
スマホをいじるせいか左手の方が硬くなっていて刺激されると気持ちが良い。
多少周囲を確認しつつ、一人何度も腕をもみもみしながら快感を味わう中年の姿がそこにはあった。
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