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02 こたろうのぱんつ

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 せんたくきにおしっこがまにあわなかったままのパンツが入っているときがある。
 とうぜん おしっこのにおいでだいたいは あらうまえにきがつく。

 「こたろうー?、おしっこ まにあわなかったの?」

 いちばんしたのおとうとの こたろうにきくと、

 「あぶなかったけど ぎりぎり、 まにあったよ。」
 とうそをついてごまかした。

 「えーでもパンツ、あらってからせんたくきにいれないとダメだよー。」

 わたしがそういうと こたろうはぎょっとしたようなかおをしてこちらをみている。

 『え?なんでわかったのかな。せんたくしちゃえばわからなかったのに!』

 こたろうの こころのこえがきこえてきた。
 わたしはフゥっといきをついて こたろうのところへいく。

 「あのね こたろう、やってしまったことは なかったことにはできないんだよ。 もしもこのまませんたくしちゃったら せんたくものがぜんぶおしっこくさくなっちゃうでしょ。」

 「うん、 、ごめんなさい。」

 『あーあ、 ぼくがしっぱいしなければ、おねえちゃんもおかあさんもおこらずにすんだのに、 、 、 』

 こたろうはしたをむいてしょげている。

 あぁ、このこが これをなかったことにしたかったのは おとなにわらっていてほしかったからなのか。
 そう きがつくと、しょげているそのすがたがとてもかわいらしくおもえた。

 「あのね、ねえちゃんは こたろうがしっぱいしても『わるいこだ』なんておもわないよ。」

 そういってわたしはこたろうのあたまをなでる。

 「だからこれからはちゃんといってね。」

 「ねえちゃんも なるべくおこらないようにするから。」

 わたしがフフッとわらうと こたろうもあんしんしたように かおをあげて「うんっ」とうなづいた。


 こどもはこどもなりにいつも おとなをおこらせないように、ぜんしんでいっぱいかんがえてうそをついているのかもしれない。
 

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