1 / 3
#01 クマのおじさんとウサギ
しおりを挟む
クマのおじさんは今日も釣りをしに、みくりが池へやって来ました。
お気に入りの丁度いい大きな岩にこしをかけ、小さなミミズを針にかけるとそれを チャポン と水面に投げ入れます。
水面に写った青空がとてもキレイで、水に浸かった釣り糸が風でゆっくりと揺れています。
遠くの山から、鳥の鳴き声が響いては消えていきました。
クマのおじさんは、空に流れる雲をぼんやりと眺めていました。
するとそこへ、
何やら泣き声が聞こえてきます。
グスン、、グッスン、、ズズっ
鼻をすする音でクマのおじさんは振り向くと、
そこにはウサギの少年が泣きながら立っていました。
「みんなで遊びに来たのに、僕だけ置いてけぼりで、だーれもいなくなっちゃったんだよう。」
グズグズ、、鼻をすすりながらウサギは、クマのおじさんの隣に座ります。
「釣り、、、してみるか?」
クマはウサギに聞きました。
するとウサギは、
「いいよ、僕、釣りは全く興味がないんだ。」
そう言うと、体育座りをしたまま水面近くの丸い石を見つめています。
「そうか。」
クマは差し出した釣りざおをリュックにしまうとまた、岩に座り、自分の釣りざおを持ち直しました。
ウサギは体育座りのまま言いました。
「僕、、、いじめられてるんだ。」
「なんかみんなと違うんだって。」
それを聞いてクマがいいました。
「みんな、違うのは、普通じゃないのか?」
それを聞きながらウサギは水面を見つめて、石を一つ手に取ったかと思うと、いきなり釣り糸を垂れている水面に向かって投げました。
クマはビクッとして背中の毛がブルブルッと逆立ちました。
するとウサギは
「なんかね、僕はみんなと違って、変なんだ。」
と、いいながら別の丸い石を手にとると、撫でたり転がしたりしています。
クマは言いました。
「みんなおんなじものなんか、この世界では、一つだってないんじゃないのかな。」
すると、ウサギが
「、、、、そうだけど、皆んなはおんなじが好きなんだと思う。」と寂しそうに呟きました。
そうしてまた、石を バチャン!と池に投げ入れます。
クマはまた背中の毛がブルルッっと逆立ちました。
それからウサギは石を積み重ねて遊び始めました。
そのうちにあちこちとせわしく行ったり来たりして、
丸い石、三角の石、四角い石、色も形も違う石をたくさん拾って来ては一つずつ並べ始めました。
クマはその様子を横目で静かに見ていました。
石集めに夢中になっているウサギの耳がピョコピョコと動いています。
クマは喉の奥がグゥ、、と鳴りました。
ウサギがあちこちに飛び回るたびに、シッポもせわしなくピクピクと動いています。
クマはその様子が気になって気になって、仕方ありません。
今度は唾を飲み込み、必死で落ち着こうとしていました。
そうとは知らずにウサギは 石をあれこれ並べては、眺めてまた順番を替えて、その中の1つを手に取るととても満足そうに撫で回していました。
そのたんびに耳がピョコピョコ
シッポがピクリピクリと動いています。
もう、いい加減にしんぼうたまらん!とクマが大きな口をあんぐり開けた時、
「そうか!」とウサギがいきなり ガバッと顔を上げました。
クマは驚いて口を閉じ、ウサギの背中をじっと見つめています。
そしてウサギは続けます。
「僕!この石が好き!」
「よく見たら石って全部、違うんだね!」
「そっか~、同じじゃなくていいんだね!だってひとつひとつ、違うほうがこんなにも楽しいもの!!」
そう言ってウサギはポケットにせっせと石を詰め込むと、
「ありがとう!おじさん!」とニッコリ笑って手をふって、ピョンピョンと楽しそうに山をおりて行きました。
クマのおじさんはそれを呆然と見送ります。
ふと池の水面を見ると糸がクイクイと動いていました。
糸を引き上げてみると、
緑と灰色の背中で体に白い点が散らばった魚がかかっていました。
イワナでした。
これは、、、塩焼きにすると旨いんだ。
クマは少し、嬉しくなりました。
お気に入りの丁度いい大きな岩にこしをかけ、小さなミミズを針にかけるとそれを チャポン と水面に投げ入れます。
水面に写った青空がとてもキレイで、水に浸かった釣り糸が風でゆっくりと揺れています。
遠くの山から、鳥の鳴き声が響いては消えていきました。
クマのおじさんは、空に流れる雲をぼんやりと眺めていました。
するとそこへ、
何やら泣き声が聞こえてきます。
グスン、、グッスン、、ズズっ
鼻をすする音でクマのおじさんは振り向くと、
そこにはウサギの少年が泣きながら立っていました。
「みんなで遊びに来たのに、僕だけ置いてけぼりで、だーれもいなくなっちゃったんだよう。」
グズグズ、、鼻をすすりながらウサギは、クマのおじさんの隣に座ります。
「釣り、、、してみるか?」
クマはウサギに聞きました。
するとウサギは、
「いいよ、僕、釣りは全く興味がないんだ。」
そう言うと、体育座りをしたまま水面近くの丸い石を見つめています。
「そうか。」
クマは差し出した釣りざおをリュックにしまうとまた、岩に座り、自分の釣りざおを持ち直しました。
ウサギは体育座りのまま言いました。
「僕、、、いじめられてるんだ。」
「なんかみんなと違うんだって。」
それを聞いてクマがいいました。
「みんな、違うのは、普通じゃないのか?」
それを聞きながらウサギは水面を見つめて、石を一つ手に取ったかと思うと、いきなり釣り糸を垂れている水面に向かって投げました。
クマはビクッとして背中の毛がブルブルッと逆立ちました。
するとウサギは
「なんかね、僕はみんなと違って、変なんだ。」
と、いいながら別の丸い石を手にとると、撫でたり転がしたりしています。
クマは言いました。
「みんなおんなじものなんか、この世界では、一つだってないんじゃないのかな。」
すると、ウサギが
「、、、、そうだけど、皆んなはおんなじが好きなんだと思う。」と寂しそうに呟きました。
そうしてまた、石を バチャン!と池に投げ入れます。
クマはまた背中の毛がブルルッっと逆立ちました。
それからウサギは石を積み重ねて遊び始めました。
そのうちにあちこちとせわしく行ったり来たりして、
丸い石、三角の石、四角い石、色も形も違う石をたくさん拾って来ては一つずつ並べ始めました。
クマはその様子を横目で静かに見ていました。
石集めに夢中になっているウサギの耳がピョコピョコと動いています。
クマは喉の奥がグゥ、、と鳴りました。
ウサギがあちこちに飛び回るたびに、シッポもせわしなくピクピクと動いています。
クマはその様子が気になって気になって、仕方ありません。
今度は唾を飲み込み、必死で落ち着こうとしていました。
そうとは知らずにウサギは 石をあれこれ並べては、眺めてまた順番を替えて、その中の1つを手に取るととても満足そうに撫で回していました。
そのたんびに耳がピョコピョコ
シッポがピクリピクリと動いています。
もう、いい加減にしんぼうたまらん!とクマが大きな口をあんぐり開けた時、
「そうか!」とウサギがいきなり ガバッと顔を上げました。
クマは驚いて口を閉じ、ウサギの背中をじっと見つめています。
そしてウサギは続けます。
「僕!この石が好き!」
「よく見たら石って全部、違うんだね!」
「そっか~、同じじゃなくていいんだね!だってひとつひとつ、違うほうがこんなにも楽しいもの!!」
そう言ってウサギはポケットにせっせと石を詰め込むと、
「ありがとう!おじさん!」とニッコリ笑って手をふって、ピョンピョンと楽しそうに山をおりて行きました。
クマのおじさんはそれを呆然と見送ります。
ふと池の水面を見ると糸がクイクイと動いていました。
糸を引き上げてみると、
緑と灰色の背中で体に白い点が散らばった魚がかかっていました。
イワナでした。
これは、、、塩焼きにすると旨いんだ。
クマは少し、嬉しくなりました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる