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プレイ前はゲーム廃人①
しおりを挟むアナログ音が八時と主に告げる部屋の片隅で、主の僕はカタカタと音をたて、目の前にある画面を見つめる。
僕の分身である魔導師が炎の壁を築き、敵に向け吹雪が荒れ狂う嵐を操る。大群をきしていた敵は見る影もなく崩れ落ち存在そのものを消し去っていた。
アイリーン :
さっすが~青ちゃん!!
クリストフ=フォード :
上手くなったよなww
ブルーフィン :
ああ、マスターとクリスのお陰だね。
クリストフ=フォード :
大いに感謝しろよ?初心者を賢者まで育てた俺の手腕ww
アイリーン :
くっさ草www
他愛ない文字列が、ブルーフィンとしての僕は小恥ずかしくも頼られている感がなんとも心地良く、親よりも彼らと会話を交わす日が常であった。
時計塔ダンジョンであらかた狩り終え、安全エリア兼メンバーの溜まり場まで下がり過去話に花が咲く。
アイリーン :
マスターとクリちゃんがさぁ~
アイリーン :
世界ランカー上位でPS最上の青ちゃんを育てたって言 われてもねぇ~
クリストフ=フォード :
信じてね~のな(笑)
クリストフ=フォード :
俺がお前の立場だったらゼッテー信じね~わwww
ブルーフィン :
全然分からずにギルドで途方にくれてたら、僕に声かけてくれて嬉しかった。
学校に居場所がなく、現実から少しでも逃げ出したいがためオンラインゲームに思い当たった。
善は急げとマジシャンとして始めたゲームであったものの、初期に魔法のマの字も使えず、スライムでさえ倒せず途方に暮れた僕に当日、騎士を極めていたクリスに声を掛けられたのが始まりだった。
『初心者だと緑のスライムは強いよ?』
晴天の霹靂というのだろうか、よく見るとスライムの中にはピンクと緑...それと青色と複数のスライムがいたのを思い出した。これまでスライムはすべて同じだと思いひたすら叩いて叩いてを繰り返していた。
クリストフ=フォード :
そうだったな(笑)
クリストフ=フォード :
ずっーとグリーンスライム叩いては死に戻りしてたの見てたわww
ブルーフィン :
ちょっと恥ずかしいな。見ていられず一緒に狩りにって誘ってくれたんだろ?
クリストフ=フォード :
ああ、女の子には優しくするのが俺のポリシーだ!
ブルーフィン :
中身男だけどねww
アイリーン :
クリちゃん、詐欺られたんだww
アイリーン :
青ちゃん可愛いから中身も女の子って思っちゃうよねw
クリストフ=フォード :
うるせ〰️過ぎたことだ
ブルーフィン :
言い過ぎたよアイちゃん~
今だから笑い話だなとクリフが言うが、少しでも悪いことをした。
現実から少しでも離れたく、アバターを女の子で初めてしまった。
ゲームながら人見知りで自分から話し掛けられず、クリフに話しかけられてとても嬉しかったのもあり兄貴分な性質な彼に我ながら懐いたのは自然の節理だ。
モンスターを倒すためのマジシャンの立ち位置や戦い方、スキルポイントの振り方までアドバイスをもらったし、後日紹介されたマスターの修道士には装備等で面倒を見てもらってた。
(回復魔法が使えるようになるロザリオとか値段が高いアイテムを無償で貸してくれた)
彼らの恩に恥じず報いるため、スキルを練習しまくっていたら現実ではあり得ないほと評価してくれる人が多く、有り難いことにバトルランキングに名前を刻まれ廃人プレイヤーに至る。
アイリーン :
だよねwwネカマと知れてマスターが寝込んだ話、メンバー内では有名だしww
クリストフ=フォード :
ギルマスはな....何て言うか......一途っていうか
アイリーン :
はいはい!!ゲームにリアルを求めちゃ~いけないと思いま~~す!!
アイリーン :
リアルに 引く案件でしょ?キモいしw
ブルーフィン :
やっぱり、可愛いからって女キャラやめといた方が良かったかな?
ブルーフィン :
今更ながらギルマスに悪いことをしたなぁ~
クリストフ=フォード :
気にするな!騙そうとしたわけではないだろ?
クリストフ=フォード :
ネカマもゲームの醍醐味さw
アイリーン :
どこで壊れたのやら...当初は酷くなかったのに
アイリーン :
ところで、今更だけどギルマスはどこ?呼んだのギルマスでしょ?
クリストフ=フォード :
アイツ、リアルで補習受けて遅れてるwwあと少しでINってさぁ
ブルーフィン :
話ってなんだろ?
クリストフ=フォード :
オフ会の提案じゃね?アイツ、アオに滅茶苦茶会いたがってたし
キーボードの打つ手が止まる。現実に集まる場所を決め、集まる会なんて僕には無理ゲーでしかない。
対人恐怖症でまともに喋れるのはゲームだけで、両親により学校は無理矢理外に出されるので仕方なく行っている身だ。
他人の視線が怖く、メガネと前髪で隠し下を向いて歩く。
端からみた僕は、ただ鬱陶しいだけで同級生に喝上げをの標的にされる。殴られたく無いのでパシリも甘んじて受け入れた。
助けを求めても無視され、現実はどこまで行っても受け入れがたい世界でしかない。
クリスとマスターは現実でも友達らしく色々と二人で遊びに出掛けるらしい。
でも、僕にその世界は存在しない。だからブルーフィンは行きたくない。
ブルーフィン :
ごめんゴメン。ちょっと、僕は無理そうかな~って
ブルーフィン :
ギルマスには申し訳無いけど
セイリュウ@アオ俺嫁 :
なら結婚しようぜwwwアオちゃんwww
アイリーン :
あ、ギルマスー!補習乙~~
何の前触れもなくブルーフィンに、はだけた胸元から覗くロザリオを下げた修道士が光の中から現れ両手を握られている。口説くように支援魔法が彼の手により付与される。
ブルーフィン :
こんにちは。マスター? 僕がネカマって知ってますよね?
セイリュウ@アオ俺嫁 :
リアル女子より可愛いからいいんだw少なくてもアイリーンよりw
アイリーン :
喧嘩売るなら三倍で買ってあげるぞ~!!
アイリーン :
PVルームに来な!!
ハンターのアイちゃんが自身の鷹を嗾け、セイリュウの髪を引っ張る。ゲームだからいいものの、痛々しいく現実なら禿げる予感しかない。ため息雑じのクリスと共に二人掛りで止めにはいる。
ブルーフィン :
アイちゃん、落ち着いて!! アイちゃんは可愛いよ!!ホントだよ!
クリストフ=フォード :
セイ も落ち着け! オフ会の話をするんじゃねーの?
セイリュウ@アオ俺嫁 :
う~ん、そうなんだけど.....
セイリュウ@アオ俺嫁 :
オフ会の話は又にして、親睦深める?PVルームでw
セイリュウ@アオ俺嫁 :
優勝者には景品が送らますww
アイリーン :
乗ってあげるwww吠え面かかないでよwww
クリストフ=フォード :
やっぱこうなるのか~
ブルーフィン :
景品ってなんだろ?
セイリュウ@アオ俺嫁 :
『現夢×アバター(仮)』テスターの権利 www
クリストフ=フォード : はぁ!?
アイリーン : え?
ブルーフィン :
今、作られている噂の新作VRゲーム?
セイリュウ@アオ俺嫁 :
それ。操作状態やバグ確認するやつの権利。当たったんだ!
話の流れてで、結局は対人バトルが決定したと専用ルームへ行く準備をしながら、何気なく気になった景品について聞いてみた。
僕が欲しいカードアイテムを買うお金の元にでもなってくれたら有りがたいなぁ~っ軽い気持ちが大きく外れ、ゲーム内アイテムではなく、現実アイテムだった。
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