どうせ明日も晴れている。

とりむねにく

文字の大きさ
33 / 74
札と刀と怪物と

《第33話》札と刀と怪物と その5

しおりを挟む
 「なんで?なんで当たらないの?」

 このメンメンとかいう男に私の拳が一つも当たらない。どういう能力なんだ?

 『遅いよォ♪』

 「ぐはっ!」

 私はぴゅーんと弾き飛ばされた。遅い?この私が遅い?まさか、この男、私より速いの?

 『君の攻撃が私に当たらない理由などシンプルな理由さっ』

 「お前が私より速いということか」

 『ご名答☆よって君は私の敵じゃない。私の世界について来れないのっさ☆』

 正直な話。メンメンの動きは全く見えない。いつの間にか私の前にたっていた。

 「うわぁ!」

 私は殴り飛ばされ、上に数メートル飛んだ。

 「双刀 爛漫!」

 私は腰に携えていた爛漫の片方をメンメンに上から飛ばした。もちろん弾き返されるのは承知の上だ。

 『遅いよォ!』

 メンメンが短刀を弾き飛ばし、着地した私に近づいてきた。分かってる。あいつは私を攻撃する。移動している時の動きは見えないが、ギリギリ攻撃のモーションは見えなくもない。

 『ふぁぃっ!』

 「今だ!」

 私はメンメンの拳にもう片方の爛漫で切りつけた。

 『ないよォ・・・痛くないよォ!何一つとして僕に勝てていないじゃあないか!確かに、攻撃する時少し速度ダウンするけど、それを見破れたところで、その隙をついて攻撃したところでこの程度なら意味が無いよォ!』

 メンメンは一人笑い転げている。

 「あんた。死ぬよ。なにか言い残したことは?」

 『ファーーーーwwwwwwまぁ、死なないからこっちから攻撃しに行くんですけどねぇ!』

 しかし、メンメンのスピードは今までより遅い。その事に気づいたのか、メンメンも立ち止まり、動揺している。

 『何をした』

 さっきまでの余裕の表情は消え、焦りの表情が出ている。

 「私はさ、爛漫を渡された時、ていうかその理由に納得がいかなかった。もしかしたら自分より速い敵が出てくるかもしれないだろって言われたんだ」

 『いいから早く説明しろやぁ!』

 そんな声も無視して私は話し続ける。

 「私より速い奴がいるわけがない。今日までそう思ってたけど、お前がいたんだ。最初はビックリしたよ、なんせ速いもん。勝てないとすら思った。でもさ、爛漫を使わせる隙を作るとは・・・」

 『その爛漫とやらは・・・』

 「あんた、思ってたより100倍弱いわ」

 私はメンメンに近寄ると全身に拳を叩き込んだ。

 『ごパァっ』

 「一秒間に二千発!新記録だぁ!」

 『なっ・・・なにを・・・』

 「見えなかっただろう?だって、この刀の能力は相手の素早さを奪い、自分の素早さに上乗せさせることが可能なんだからね。あんたは私より速かった。その素早さを奪えば私はもっと速くなる」

 『くっ・・・』

 「まっ、十秒間だけなんだけどね」

 『お前はあのみせながとかいう男がどこまで危険な存在かわかっていない・・・』

 よく喋る口だ。人間じゃないから生命力も相当強いらしい。

 「それがどうした。私達はみんな店長が大好きなんだ」

 私はメンメンにトドメをさした。メンメンはボコボコに変形しており、もう誰かわからない・・・。さすがに死んだか

 「唯野さんししょーが言っていた。お前より速いやつがその刀に触れるわけがないって」

 そして、私はボコボコになったメンメンに背を向け、町中に徘徊している雑魚を処理しに行くべく歩き出した。

 「もし、その刀で傷つけられたらその相手がよっぽどの阿呆だったか、雑魚だったかと思えか・・・」

  ま、私が強かっただけだろう。


 はて、店長たちの方は上手くやっているだろうか。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...