転生したら○○だった件

とりむねにく

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転生したらハトだった件

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 飛行機事故で死んだ俺は、いつも地元の駅に群がっていた鳩の中の一羽になっていた。飛行機事故で死んでからの転生先が鳩というのは、転生先というのは死んだ場所で決められるのだろうか・・・しかし、自由に空も飛べていいなぁと思った。

 しばらくパタパタ飛んでいると、鳩って多いんだなと気付かされた。鳩苦手な人間が多いのだから、鳩の駆除とかやってるのか、やり始めるのではないのかとか思いつつ、腹が減ったので、飯を食いたいと思った。

 そこで思い出したのが、いつも駅で鳩に餌をやってる謎のおばあちゃんである。鳩に餌をあげるのは禁止されているのに、そのおばあちゃんは鳩に餌をあげ続けていた。そして、そのせいで鳩は糞を撒き散らすので、朝駅は臭かったし、駅を掃除する人が大変そうだった。俺は幾度か警察に囲まれているのを見た事がある。俺達はいつも「鳩ばぁ」とよび、気味悪がっていた。しかし、鳩となった今、「鳩ばぁ」は神なのだ。

 俺は駅に着くと鳩ばぁの存在を確認。俺はすかさずばら蒔いているパンをつまみに行こうとしたと同時に、元々鳩である鳩がバサバサと餌の元に集まってきて、俺は鳩になりたてなので上手いこと食えない。くそう、いくら鳩になったからといえ、虫とか食いたくねぇよォ・・・

 てか、鳩って何食っていいんだァ!

 俺はその日は泣く泣く他の鳩も食ってたその辺に落ちてるたべカスとかを食って過ごすことにした。

 意外と食べ物には困らないが、鳩の餌を増やしているのは普段鳩を迷惑がってる人間なんだなということに気づけた。

 数日後、また鳩ばぁのところに行ってみることにした。最近はスナック菓子の食べかすとか、ハンバーガーからこぼれたキャベツとか食って過ごしていたが、誰も食ってないパンが食いたくなった。

 案の定、既に鳩ばぁは餌をまき散らしてたし、ほかの鳩も食いに来ていた。しかし、前より鳩の数が少なかったので、俺も僅かながらぱくぱくすることが出来た。

 その数日後である。街でパンを撒く人が増えた。何故だろうか?人間はみんな鳩のことを迷惑がってるのに、これでは鳩が繁殖するではないか・・・。しかし、俺も鳩なので、有難く頂こう。

 俺はうまいパンをたらふく食って巣に帰った。また明日も食えたらいいなぁと思いながら・・・。






 俺たち人間は気づいた。鳩を増やしているのは人間だと、そして、鳩が増えすぎているということにだ。

 俺達は鳩にのみ効く毒をパンに混ぜてばらまいた。これによってよってきた鳩は駆除されるし、街は綺麗になる。

 こうして、この街の鳩の数は減少し、市民からも喜びの声が聞こえたのだが、鳩の死骸の後始末が大変だったし、道徳的にどうなのかと問題になったため、もう二度と毒入りパンを撒き散らすことはありませんでした。
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