貧乏男爵家から公爵家に嫁ぐことになりました。

SUZU

文字の大きさ
26 / 37

公爵様からのお誘い

しおりを挟む
部屋に一度戻り手記を机の上に置くと晩餐室へそのまま向かう。

晩餐室へ着き、少し遅れてやってきたウィリアムも席に着くとエルメールが手際よく食事を用意する。

食事をしているとウィリアムがふとフォークを持つ手を止めてこちらを見て

「明々後日から先生とのレッスンが始まるんだろう?よければ明日出掛けないか?」

そう誘う彼にジュリエットはニッコリと笑い「はい!嬉しいですわ!」と返す。

しかし思い出したように「仕事の方はよろしいのですか?」と聞く。

「ああ、アーノルドが気を回して休みにしてくれたんだ。領地の中も案内したいし、予定がなければ是非。」

「あら、それでしたら楽しみにしてますわね!」

そう言った後、食べ終わった皿を片付けるアーノルドの方を見て「気を使ってくださりありがとうございます。」と礼を言う。

それに「お気になさらず」とにこやかに答えた後、料理を全て食べきってないにも関わらずデザートを持ってまいりますと言って部屋の奥の扉を潜り厨房へ向かった。

「あいつが照れるなんて珍しいこともあるもんだな。」

それを見て小さく呟いた後、デザートが来る前にと止めていた手を動かし食事を再開させる。

そして「どこか行きたいところがあったら言ってくれ。」とジュリエットに向かって言った。

「ありがとうございます、何か思いついたら言いますわね!」

今のところ特に思いつかなかったらしくそう返すと、ジュリエットも食事を再開させる。

「そういえば、カリーヌさんもこちらに越してくるんですのね。私、自分のお屋敷から通って来るんだと思ってましたわ。」

食事をしながらふと思いだしたことを口にする。

「ああ、先生が嫁いだ領地は少し遠くてね。それに元来家庭教師カヴァネスは住み込みで雇う方が多かったからな。」

家庭教師カヴァネスが住み込みの方が多いということに少し驚いた表情を見せたジュリエット。

「知りませんでしたわ、私の家に来てくれていた家庭教師カヴァネスは自分の家から通いで来てくれていたものだから。」

「最近では通いで雇う人もいるみたいだから知らなくても仕方がない。それでも滅多にみないが。住み込みの方が伝達がスムーズだし何かあっても臨機応変に出来るからな。」

何とは無しにそう言うと食べ終わったようでワインを飲む。

「そうだったのですね、勉強になりましたわ。」

恥ずかしそうに頬を赤らめて礼を言う。

 「気にするな。自分の家が通いだったのだから知らないのも無理はない。」

そうフォローすると続けて心配そうな顔をして「先生とは上手くやれそうか?」と聞いてくる。

「はい、とってもいい方でしたわ!ダンスが終わったら音楽も教えていただく予定ですの。」

楽しげにそう答えるとジュリエットも食事を終えたようでナイフとフォークを置く。

するとタイミングよくアーノルドが現れてデザートを置いていく。

「本日はリンゴのソルベでございます。」

そう言うと空になった皿を持ち再び厨房へ向かう。

「お腹が一杯だからサッパリ食べられて良いですわね。」

嬉しそうに言ってソルベを食べる。

「ああ、くどくなくて案外うまいな。」

「甘いものはあんまり得意ではないのですか?」

「嫌いってほどではないがあんまり自分から食べようとは思わない。」

「そうだったのですね、たしかに男性はあまり甘いものは食べないのかしら?私のお父様も食べているところはあんまり見なかったですもの。」

「出されれば食べるがな。食後のデザートも今までは出さないようにしていたんだ。」

「私がいるから出すようにしたんですか?それだったら無理せずともたまにとかで良いですのに。」

申し訳なさげに言うジュリエットにウィリアムは

「いや、女性は甘いものが好きだろう?それに無理なようなら私の分はやめるように言うから気にしないでくれ。」

そう言うとソルベをあっという間に食べてしまう。

「わかりましたわ、気を使って出して頂きありがとうございます。」

「気を使ったとかではないから気にしないでくれ。ただそうしたいと勝手に思っただけだから。」

「ですがその心が嬉しいのですわ!」

そう言うジュリエットに「そうか。」と返す。

よくみると照れているようで髪に隠れている耳が赤くなっている。

ジュリエットもソルベを食べ終わったのを確認すると、少し仕事が残っているから戻ると言って立ち上がる。

ウィリアムが戻るのならばとジュリエットも立ち上がると、片付けるために残るであろうエルメールに

「クガイさんとシェフ達に今日も美味しかったです。ご馳走さま。と伝えておいて下さい。」

と言伝を頼んでウィリアムの後へ続いて晩餐室を出た。


そしてジュリエットの部屋の前に着くと

「それじゃあまた明日、楽しみにしている。おやすみ、良い夢を。」

そう言って書斎へ向かおうとするウィリアム。

その背中に「私も楽しみにしておりますわ、おやすみなさい。」と声をかけると部屋に入る。






しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...