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誰かの手記
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昼食を済ませたジュリエットはアンナと別れた後、通りかかったメイドに案内してもらい書庫へ来ていた。
男爵家とは違い多くの書籍があり、種類ごとに並べられていてとても見やすくなっている。
音楽や絵画等の専門書や歴史書、小説などさまざまなジャンルが揃えられており読書が好きな者にとってはとても充実した時間が過ごせるであろう。
とりあえず隅から順番に見て行こうと端から進んで行くと、1番奥にある「公爵家の歴史」と書かれた本が5冊ありそのうち2巻から4巻まで少し前に出ていた。
他の本はとても綺麗に整頓してあったが、そこだけ前に出ていたので不自然に感じたジュリエットは本を奥にやろうと軽く押すが後ろに何かあるようでそれ以上奥に進まなかった。
「公爵家の歴史」を抜いて奥を見てみると一冊のノートが奥にありそれを取り出す。
表紙には何も書いておらず、一見なんのために本の後ろに隠すように入っていたのかわからない。
ノートを開いて軽く読んでみると誰かの手記のようだ。
“今日も私の報告で家が1つ潰れた。いくら罪を犯していたとしても何も知らなかったその家族まで巻き込まれるなんてあんまりだ。その家には家を継ぐであろう長男がいた、少し早いがその子に家を継がせれば少なくともその子は路頭に迷うことにはならなかった。罪を犯していたのはその親たちなのだから。報告することで人々の暮らしを壊すことになる。だけどやらなければならない、これが我が公爵家の役割だからだ。”
これをみる限り、書いた方はその時の公爵家当主かしら?不安や葛藤を吐露するために書いていたのね。
そう考え、続きを読む。
“今回は公爵家の仕事を知るために初めて息子にも手伝わせる。この子は感情があまり表に出にくいが優しい子だ。調査対象には息子よりも小さい姉妹がいるようだ、、手伝わせる事に気が進まないが代々やって来た事を変えるわけにもいかない。”
“諜報員に潜入させたらやはり隣国との繋がりがあった様だ。まさかチャーチス伯爵家が。そんな素振りもなく噂があったから調べてみたが驚きを隠せない。あそこの家は親が姉妹を溺愛していたはずだが、何故!バレたら一家露頭に迷うことになるというのに。しかし隠すことも出来ない、私はそれを王に報告しなければならない。姉妹には申し訳ない、今の幸せを奪ってしまうことになる。当主になって結構経つがなかなか慣れることはない。息子にもこの苦労を味わせてしまい申し訳ない。”
“報告したらやはり伯爵家当主とその妻は罪人として捕らえられた。姉妹は訳がわからず引き離されて泣き続けていた。それを見て息子も胸が痛いのかずっと泣くのを堪えている。姉妹はこれから孤児院へ行くことになる。引取先がどうなるかわからないが、伯爵令嬢として苦労なく暮らすはずの未来は無くなった。姉妹もバラバラになるかも知れない。”
見ているだけでその当時の苦悩が伝わってくる内容だ。
読んでいるジュリエットも胸が痛いが、静かに読み進める。
“普段我儘など何も言わない息子があの姉妹を何処かの家に養子として引き取ってもらえないかと言ってきた。犯罪を犯した者の家族に手を出すことは許されない。最初は断った。しかし諦めない。初めてどういうことをやっているかを知って何か出来ることはないかと考えたのだろう。”
“一度息子を連れて孤児院へ行き姉妹に会った。妹はまだ小さく何があったのかもわかっていない様だ。だが両親が迎えに来ると信じていた。その面倒を見ていた姉は冷静になり周りの人の態度や両親が連れられた時の状況で何があったのか悟った様だった。姉は私に妹が何処かの家に引き取ってもらえないか、その時はどんな形でもいいから私もついて行きたいと頼んできた。姉は階級の高い貴族なら出来るでしょう?と言った。その必死な姿に胸が打たれ私は決心した。”
“姉妹の引取先が決まった。階級の高い家ではなくお金もないようだったがまだ子供がいなかった為多少の謝礼を渡し引き受けて貰った。だが2人となると金銭面も含めて厳しいことを告げられた。だから姉は妹の侍女として使用人としてついて来させることになった。階級が高いとその分国からの目も光るためこの様なことになってしまったが仕方がない。”
“とうとう孤児院から引き取る日が来た。息子も貴族の家に引き取られることを知り喜んでいた。姉に妹は令嬢として引き取られるが君は妹付きの侍女になると告げたら一言ありがとうと言われた。初めて笑顔を見せてくれた。本当は姉も貴族令嬢として家に入れてあげたかった。姉は両親が何をやったか忘れます。妹にも私が姉だということは言いません。侍女として妹を支えます。と言ってきた。息子も私も涙が止まらなかった。これから彼女たちが幸せになることを切実に祈る。”
あっという間に最後のページまで読み進めてしまい、続きは書かれてない様だった。
ジュリエットは気づかないうちに流れていた涙を拭うとノートを閉じる。
すると人が近づく足音が聞こえて
「お嬢様?いらっしゃいますか?」
とアンナの呼ぶ声がする。
手記をどうしようかとワタワタしているとアンナが奥まで来てこちらに気づいた様で
「いたのでしたら、返事して下さいよ。もう夕食の時間ですよ?」
と言いジュリエットの持つノートと出してある「公爵家の歴史」と書かれた本を見て
「こちらで公爵家について勉強していたのですね。」
と言ってきたので咄嗟に「ええ、そうなの。とても勉強になったわ。」と返す。
「それでしたら良かったです。また時間のあるときに来ましょう。」
そうニッコリ笑って言ったアンナに「そうするわね。一度部屋に戻ってノートを置いて来てもいいかしら。」と聞くと勿論ですと返ってくる。
それに礼を言うと本を元あった場所に戻して、ノートを持つと部屋に向かうために書庫を出る。
男爵家とは違い多くの書籍があり、種類ごとに並べられていてとても見やすくなっている。
音楽や絵画等の専門書や歴史書、小説などさまざまなジャンルが揃えられており読書が好きな者にとってはとても充実した時間が過ごせるであろう。
とりあえず隅から順番に見て行こうと端から進んで行くと、1番奥にある「公爵家の歴史」と書かれた本が5冊ありそのうち2巻から4巻まで少し前に出ていた。
他の本はとても綺麗に整頓してあったが、そこだけ前に出ていたので不自然に感じたジュリエットは本を奥にやろうと軽く押すが後ろに何かあるようでそれ以上奥に進まなかった。
「公爵家の歴史」を抜いて奥を見てみると一冊のノートが奥にありそれを取り出す。
表紙には何も書いておらず、一見なんのために本の後ろに隠すように入っていたのかわからない。
ノートを開いて軽く読んでみると誰かの手記のようだ。
“今日も私の報告で家が1つ潰れた。いくら罪を犯していたとしても何も知らなかったその家族まで巻き込まれるなんてあんまりだ。その家には家を継ぐであろう長男がいた、少し早いがその子に家を継がせれば少なくともその子は路頭に迷うことにはならなかった。罪を犯していたのはその親たちなのだから。報告することで人々の暮らしを壊すことになる。だけどやらなければならない、これが我が公爵家の役割だからだ。”
これをみる限り、書いた方はその時の公爵家当主かしら?不安や葛藤を吐露するために書いていたのね。
そう考え、続きを読む。
“今回は公爵家の仕事を知るために初めて息子にも手伝わせる。この子は感情があまり表に出にくいが優しい子だ。調査対象には息子よりも小さい姉妹がいるようだ、、手伝わせる事に気が進まないが代々やって来た事を変えるわけにもいかない。”
“諜報員に潜入させたらやはり隣国との繋がりがあった様だ。まさかチャーチス伯爵家が。そんな素振りもなく噂があったから調べてみたが驚きを隠せない。あそこの家は親が姉妹を溺愛していたはずだが、何故!バレたら一家露頭に迷うことになるというのに。しかし隠すことも出来ない、私はそれを王に報告しなければならない。姉妹には申し訳ない、今の幸せを奪ってしまうことになる。当主になって結構経つがなかなか慣れることはない。息子にもこの苦労を味わせてしまい申し訳ない。”
“報告したらやはり伯爵家当主とその妻は罪人として捕らえられた。姉妹は訳がわからず引き離されて泣き続けていた。それを見て息子も胸が痛いのかずっと泣くのを堪えている。姉妹はこれから孤児院へ行くことになる。引取先がどうなるかわからないが、伯爵令嬢として苦労なく暮らすはずの未来は無くなった。姉妹もバラバラになるかも知れない。”
見ているだけでその当時の苦悩が伝わってくる内容だ。
読んでいるジュリエットも胸が痛いが、静かに読み進める。
“普段我儘など何も言わない息子があの姉妹を何処かの家に養子として引き取ってもらえないかと言ってきた。犯罪を犯した者の家族に手を出すことは許されない。最初は断った。しかし諦めない。初めてどういうことをやっているかを知って何か出来ることはないかと考えたのだろう。”
“一度息子を連れて孤児院へ行き姉妹に会った。妹はまだ小さく何があったのかもわかっていない様だ。だが両親が迎えに来ると信じていた。その面倒を見ていた姉は冷静になり周りの人の態度や両親が連れられた時の状況で何があったのか悟った様だった。姉は私に妹が何処かの家に引き取ってもらえないか、その時はどんな形でもいいから私もついて行きたいと頼んできた。姉は階級の高い貴族なら出来るでしょう?と言った。その必死な姿に胸が打たれ私は決心した。”
“姉妹の引取先が決まった。階級の高い家ではなくお金もないようだったがまだ子供がいなかった為多少の謝礼を渡し引き受けて貰った。だが2人となると金銭面も含めて厳しいことを告げられた。だから姉は妹の侍女として使用人としてついて来させることになった。階級が高いとその分国からの目も光るためこの様なことになってしまったが仕方がない。”
“とうとう孤児院から引き取る日が来た。息子も貴族の家に引き取られることを知り喜んでいた。姉に妹は令嬢として引き取られるが君は妹付きの侍女になると告げたら一言ありがとうと言われた。初めて笑顔を見せてくれた。本当は姉も貴族令嬢として家に入れてあげたかった。姉は両親が何をやったか忘れます。妹にも私が姉だということは言いません。侍女として妹を支えます。と言ってきた。息子も私も涙が止まらなかった。これから彼女たちが幸せになることを切実に祈る。”
あっという間に最後のページまで読み進めてしまい、続きは書かれてない様だった。
ジュリエットは気づかないうちに流れていた涙を拭うとノートを閉じる。
すると人が近づく足音が聞こえて
「お嬢様?いらっしゃいますか?」
とアンナの呼ぶ声がする。
手記をどうしようかとワタワタしているとアンナが奥まで来てこちらに気づいた様で
「いたのでしたら、返事して下さいよ。もう夕食の時間ですよ?」
と言いジュリエットの持つノートと出してある「公爵家の歴史」と書かれた本を見て
「こちらで公爵家について勉強していたのですね。」
と言ってきたので咄嗟に「ええ、そうなの。とても勉強になったわ。」と返す。
「それでしたら良かったです。また時間のあるときに来ましょう。」
そうニッコリ笑って言ったアンナに「そうするわね。一度部屋に戻ってノートを置いて来てもいいかしら。」と聞くと勿論ですと返ってくる。
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