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第28話 抱擁 *
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一ヶ月が経ち、僕の体はなんとか元どおりになった。
僕の回復を誰よりもリシャールが喜んでくれた。彼のようなパートナーに巡り会えて、僕は幸せ者である。
この命はリシャールが守ってくれた命だ。もう無謀な戦いに挑んだりはしない。 砂漠に春が訪れた頃、僕とリシャールは結婚し、連合王国を築くことになった。
「新たな名前を定めよう、ウィルレイン」
「何がいいかな」
「ナシェル=ガイスト連合王国。それでどうだ」
「……ナシェルの名を残せるのだな」
ナシェルの民は僕の選択を受け入れてくれた。リシャールの居城にある僕の部屋に多くの民が訪れては、ナシェル=ガイスト連合王国の誕生を祝っていった。
革命によってナシェル王国は滅んだ。
でも、新たにナシェルの名を冠した連合王国が砂漠に生まれた。ここにはナシェルの魂を受け継いでくれる民たちがいる。僕はこの先もナシェルの民のために尽くそう。
◇◇◇
司祭の前で誓いの杯を交わす。
リシャールと僕の結婚が成立した。
「ナシェル=ガイスト連合王国に栄えあれ!」
民の歓声は夜になっても止まらなかった。元から砂漠に住んでいた人々、砂漠に流れてきたナシェル王国の人々。出自に関係なく肩を組んで酒を酌み交わしている姿に僕は目頭が熱くなった。
リシャールがそんな僕の手をぎゅっと握ってきた。
「よかったな、ウィルレイン」
「うん……」
「あんたとあんたの民にも帰る場所ができた」
「この砂漠で僕はきみと生きていくよ」
「もう無茶はするんじゃないぞ?」
「ああ。約束する」
「……それで、そろそろ俺は部屋に行きたいんだが」
今夜のリシャールはいつもより酒を控えていた。さすがの僕も、それが初夜を意識した行動であることに気づかないほど鈍くはない。
僕の手を握るリシャールの指先が熱を帯びていく。
彼にはさんざん我慢をさせてしまった。
僕は覚悟を決めて、宴席を辞することにした。
「リシャール。まずは湯浴みをさせてくれ……」
「そうだな」
いつものように二人でお湯を使う。
結婚したのだからもう遠慮はいらないというのに、リシャールは僕の反応をうかがいながら肌に触れてきた。彼らしい繊細な気遣いに心がほぐれていく。僕とリシャールは濡れた体を布で拭くと、リシャールの居室に雪崩れ込んだ。
ベッドの上で僕たちは抱き合った。
リシャールの指が僕の夜着の帯をほどいていく。肩から夜着が滑り落ちた瞬間、僕の緊張が高まった。聡いリシャールが僕の心の微細な動きを逃すわけはなく、優しい手つきで髪を撫でられた。
「ウィルレイン。本当に俺のものになってくれるのか……?」
「うん」
「俺の命もあんたのものだ」
リシャールがちゅくちゅくと僕の唇を吸う。いつにも増して丁寧な舌遣いを受けて、僕はとろけるような心地になった。触れられていないのに下腹部が上を向く。リシャールの雄もまた膨らんでいった。
僕は腰布を取り去られた。リシャールもすべてを脱いで、たくましい裸身を晒した。
「ああもう、どうにかなっちまいそうだ」
「……あぁっ」
「あんたのここ、みずみずしい果実みたいだ」
乳首をゆっくりとこね回されて、僕は腰を揺らした。悦楽が全身に広がっていき、唇がだらしなく開く。リシャールは僕の舌を吸いながら、僕の胸の小さな尖りを執拗に指の腹で転がした。きゅうっと強めの力加減で粒を押し潰されれば、僕は「はぁん……っ」と甘えた声を漏らすことしかできなかった。男としてのプライドなどもはやどうでもいい。感じたことを率直に表現する。
リシャールは僕の乳首を口に含み、ちゅぱちゅぱと粘ついた音を立てた。
尖らせた舌で芯の通った突起をつつかれる。こんな小さな器官にどうしてこれほどまでに快美が生まれるのだろう。僕はリシャールにされるがままになった。
「あんっ……。リシャール……っ」
ぷくんと腫れた乳首を見下ろす。
僕のペニスはまたしても角度を上げていった。リシャールに愛されるたび、羞恥心が剥がれ落ちていく。僕はリシャールに口づけると、彼の男らしい部分に指を這わせた。そこはビクビクと脈打っていて、僕の指に先走りが絡みついてくる。かすかに感じる潮の匂いが僕を興奮させた。
頭をリシャールのへその下に滑り込ませて、彼の性器をしゃぶる。
熱い竿に口づければ、リシャールが気持ちよさそうに息を吐いた。僕はちゅぽんとリシャールの亀頭を飲み込むと、頬肉をすぼめて圧を加えた。リシャールの吐息が乱れる。僕は鈴口からじゅくじゅくと滲み出てくる先走りを唾液とともに飲み込んだ。
「やっぱり大胆だな、あんたは」
僕の拙い口淫を受け入れたあと、リシャールが苦笑した。僕は濡れた唇で微笑んだ。リシャールの情熱的なキスが僕から呼吸を奪っていく。リシャールの唇はやがて僕の鎖骨や首筋を辿っていった。へその周りに濃厚なキスを敷き詰められる。今夜はこの腹の奥をリシャールの肉棒が暴くのだと思うと、僕の目は潤んでいった。
「足を開かせてもいいか?」
「ああ……」
僕は顔を隠しながら、膝と膝のあいだを離していった。ぷるぷると震える僕の太ももにリシャールが粘っこいキスをする。僕の太ももの内側にキスマークがついた。紅い花びらのようなそれがとても好ましくて、僕はうっとりとリシャールを見つめた。
リシャールは僕のアヌスをのぞき込んだあと、肉の環の丸い輪郭を舌でなぞった。
「やぁっ!」
「俺だってあんたを口で愛したい……」
会陰をマッサージされながらアヌスを舐められる。僕ははしたないと思いつつもリシャールの頭を太ももで挟み込んでしまった。リシャールの舌遣いが濃度を増していく。小さく開いた後孔に舌先を入れられて、僕は背中を反らした。リシャールは僕の竿にちゅっちゅっとキスを落とすと、香油の瓶を開けた。そして香油を指先に絡め、僕の後孔に突き入れる。
まだ一本目なのに僕のナカは狭くて、リシャールはなかなか指を動かせないと苦笑した。
「キツいな」
「……あんっ! ちくび……、一緒にいじらないでっ」
「すごい。胸を触ったら、ナカが連動して蠢いてる……」
リシャールは入念に僕の秘所をほぐしていった。徐々に指を増やされるたび、僕は苦しさのあまり喘いだ。しかし、あまり痛がっていたらリシャールは興醒めであろう。僕が手のひらを噛んで声を殺していると、リシャールに手首を掴まれた。
「声、聞かせてくれ」
「……恥ずかしい」
「あんたの全部を俺にくれ」
「ん、ぁああっ!」
三本目の指が僕のナカを圧迫する。ぐちぐちとかき混ぜられるたび、目の前で小さな星が瞬いた。リシャールの中指が僕のいいところに当たっている。僕は快楽を我慢できず、腰を揺らしてしまった。
「あんたの艶かしい肢体がくねるの、最高だな」
「……そんなに、じっと見ないでくれ」
「ウィルレイン。もう入ってもいいか?」
僕のナカはもう充分にほぐされている。リシャールの雄しべが入ってきても大丈夫だろう。僕はこくんとうなずいた。
「行くぞ……」
リシャールが僕の腹に乗り上げる。
アヌスにあてがわれた切っ先が、ゆっくりとナカに入ってくる。亀頭を飲み込んだあとは、すんなりと受け入れることができた。僕は今、リシャールと繋がっているんだ。嬉しさのあまり泣いてしまう。
「リシャール……!」
「ナカ、すごい……っ。吸い込まれる……っ」
「あ、あぁっ! そこ、もっとこすってぇ」
僕の悦点をリシャールのペニスが往復する。じゅぽじゅぽという水音が僕の耳に注がれた。大好きなリシャールといやらしいことをしている。そう思うとカラダが疼いて仕方なかった。
僕はリシャールの首に抱きついた。
潤んだ瞳でリシャールを見上げ、さらなる律動をねだる。リシャールが円を描くように腰を遣ったあと、前後運動を開始した。最初はゆるやかだった速度が、やがて切羽詰まったものへと変わっていく。
「やっ! あっ、あっ! あ、あぁんっ」
「ウィルレイン……!」
リシャールもまた泣いていた。
温かな涙が僕の顔に降りかかった。慈雨のようなそれを僕は好ましく思った。僕たちはこれから、ずっと一緒に生きていく。これはその誓いの儀式なのだ。リシャールの指先が僕のペニスに触れる。僕は愛しい人に導かれるまま、欲望を解放した。
「くっ、ぅっ……!」
リシャールもまた終わりを迎えた。
僕のナカがぬるりと濡れていく。すっかり大人しくなったペニスを引き抜かれれば、僕の隘路はすぐに閉じ合わさった。白濁がとろりと垂れて僕の太ももを濡らす。リシャールは僕を抱きしめたまま離そうとしなかった。僕もまた彼から離れる気は起きなかった。
「これで俺たち……正真正銘の夫婦だな」
「うん……」
「ウィルレイン。綺麗だ……」
「よしてくれ。こんなに汗でぐちゃぐちゃなのに」
「どんな時だって、あんたは綺麗だよ」
僕たちはキスを交わした。
事後に囁き合う睦言は甘露のようで、僕は夢の中にいるような心地になった。リシャールにせがまれるまま、今度は後背位で交わる。リシャールと獣のような格好で番っているのだと思うと、僕は興奮を抑えることができなかった。
リシャールは疲れ知らずだった。
三回目も求められたので、僕は騎乗位で跨った。
「あぁんっ! 奥、きちゃうっ」
「ウィルレイン。自分で胸をいじってみてくれ」
「んっ、んんっ。恥ずかしいから……見ないでぇ」
下から突き上げられて、僕は絶頂に達した。
ペニスの先端から透明な液体が噴き出た。お漏らしをしてしまったのだろうかと落ち込んでいると、リシャールにそれは潮吹きだと教えられた。
「そんなによかったか」
「……僕、これがすごく好きみたいだ」
「嬉しいことを言ってくれる」
リシャールは僕を腕の中に招き入れると、優しいキスをした。
「これからはずっと一緒だぞ、ウィルレイン」
「うん……」
「今日は無理をさせてしまったな。もう休もう」
「リシャール」
「ん?」
「愛してる……」
「俺もだよ」
そして僕たちは抱き合いながら眠りについた。
翌日は日が高くなるまで目覚めることはなかった。
僕の回復を誰よりもリシャールが喜んでくれた。彼のようなパートナーに巡り会えて、僕は幸せ者である。
この命はリシャールが守ってくれた命だ。もう無謀な戦いに挑んだりはしない。 砂漠に春が訪れた頃、僕とリシャールは結婚し、連合王国を築くことになった。
「新たな名前を定めよう、ウィルレイン」
「何がいいかな」
「ナシェル=ガイスト連合王国。それでどうだ」
「……ナシェルの名を残せるのだな」
ナシェルの民は僕の選択を受け入れてくれた。リシャールの居城にある僕の部屋に多くの民が訪れては、ナシェル=ガイスト連合王国の誕生を祝っていった。
革命によってナシェル王国は滅んだ。
でも、新たにナシェルの名を冠した連合王国が砂漠に生まれた。ここにはナシェルの魂を受け継いでくれる民たちがいる。僕はこの先もナシェルの民のために尽くそう。
◇◇◇
司祭の前で誓いの杯を交わす。
リシャールと僕の結婚が成立した。
「ナシェル=ガイスト連合王国に栄えあれ!」
民の歓声は夜になっても止まらなかった。元から砂漠に住んでいた人々、砂漠に流れてきたナシェル王国の人々。出自に関係なく肩を組んで酒を酌み交わしている姿に僕は目頭が熱くなった。
リシャールがそんな僕の手をぎゅっと握ってきた。
「よかったな、ウィルレイン」
「うん……」
「あんたとあんたの民にも帰る場所ができた」
「この砂漠で僕はきみと生きていくよ」
「もう無茶はするんじゃないぞ?」
「ああ。約束する」
「……それで、そろそろ俺は部屋に行きたいんだが」
今夜のリシャールはいつもより酒を控えていた。さすがの僕も、それが初夜を意識した行動であることに気づかないほど鈍くはない。
僕の手を握るリシャールの指先が熱を帯びていく。
彼にはさんざん我慢をさせてしまった。
僕は覚悟を決めて、宴席を辞することにした。
「リシャール。まずは湯浴みをさせてくれ……」
「そうだな」
いつものように二人でお湯を使う。
結婚したのだからもう遠慮はいらないというのに、リシャールは僕の反応をうかがいながら肌に触れてきた。彼らしい繊細な気遣いに心がほぐれていく。僕とリシャールは濡れた体を布で拭くと、リシャールの居室に雪崩れ込んだ。
ベッドの上で僕たちは抱き合った。
リシャールの指が僕の夜着の帯をほどいていく。肩から夜着が滑り落ちた瞬間、僕の緊張が高まった。聡いリシャールが僕の心の微細な動きを逃すわけはなく、優しい手つきで髪を撫でられた。
「ウィルレイン。本当に俺のものになってくれるのか……?」
「うん」
「俺の命もあんたのものだ」
リシャールがちゅくちゅくと僕の唇を吸う。いつにも増して丁寧な舌遣いを受けて、僕はとろけるような心地になった。触れられていないのに下腹部が上を向く。リシャールの雄もまた膨らんでいった。
僕は腰布を取り去られた。リシャールもすべてを脱いで、たくましい裸身を晒した。
「ああもう、どうにかなっちまいそうだ」
「……あぁっ」
「あんたのここ、みずみずしい果実みたいだ」
乳首をゆっくりとこね回されて、僕は腰を揺らした。悦楽が全身に広がっていき、唇がだらしなく開く。リシャールは僕の舌を吸いながら、僕の胸の小さな尖りを執拗に指の腹で転がした。きゅうっと強めの力加減で粒を押し潰されれば、僕は「はぁん……っ」と甘えた声を漏らすことしかできなかった。男としてのプライドなどもはやどうでもいい。感じたことを率直に表現する。
リシャールは僕の乳首を口に含み、ちゅぱちゅぱと粘ついた音を立てた。
尖らせた舌で芯の通った突起をつつかれる。こんな小さな器官にどうしてこれほどまでに快美が生まれるのだろう。僕はリシャールにされるがままになった。
「あんっ……。リシャール……っ」
ぷくんと腫れた乳首を見下ろす。
僕のペニスはまたしても角度を上げていった。リシャールに愛されるたび、羞恥心が剥がれ落ちていく。僕はリシャールに口づけると、彼の男らしい部分に指を這わせた。そこはビクビクと脈打っていて、僕の指に先走りが絡みついてくる。かすかに感じる潮の匂いが僕を興奮させた。
頭をリシャールのへその下に滑り込ませて、彼の性器をしゃぶる。
熱い竿に口づければ、リシャールが気持ちよさそうに息を吐いた。僕はちゅぽんとリシャールの亀頭を飲み込むと、頬肉をすぼめて圧を加えた。リシャールの吐息が乱れる。僕は鈴口からじゅくじゅくと滲み出てくる先走りを唾液とともに飲み込んだ。
「やっぱり大胆だな、あんたは」
僕の拙い口淫を受け入れたあと、リシャールが苦笑した。僕は濡れた唇で微笑んだ。リシャールの情熱的なキスが僕から呼吸を奪っていく。リシャールの唇はやがて僕の鎖骨や首筋を辿っていった。へその周りに濃厚なキスを敷き詰められる。今夜はこの腹の奥をリシャールの肉棒が暴くのだと思うと、僕の目は潤んでいった。
「足を開かせてもいいか?」
「ああ……」
僕は顔を隠しながら、膝と膝のあいだを離していった。ぷるぷると震える僕の太ももにリシャールが粘っこいキスをする。僕の太ももの内側にキスマークがついた。紅い花びらのようなそれがとても好ましくて、僕はうっとりとリシャールを見つめた。
リシャールは僕のアヌスをのぞき込んだあと、肉の環の丸い輪郭を舌でなぞった。
「やぁっ!」
「俺だってあんたを口で愛したい……」
会陰をマッサージされながらアヌスを舐められる。僕ははしたないと思いつつもリシャールの頭を太ももで挟み込んでしまった。リシャールの舌遣いが濃度を増していく。小さく開いた後孔に舌先を入れられて、僕は背中を反らした。リシャールは僕の竿にちゅっちゅっとキスを落とすと、香油の瓶を開けた。そして香油を指先に絡め、僕の後孔に突き入れる。
まだ一本目なのに僕のナカは狭くて、リシャールはなかなか指を動かせないと苦笑した。
「キツいな」
「……あんっ! ちくび……、一緒にいじらないでっ」
「すごい。胸を触ったら、ナカが連動して蠢いてる……」
リシャールは入念に僕の秘所をほぐしていった。徐々に指を増やされるたび、僕は苦しさのあまり喘いだ。しかし、あまり痛がっていたらリシャールは興醒めであろう。僕が手のひらを噛んで声を殺していると、リシャールに手首を掴まれた。
「声、聞かせてくれ」
「……恥ずかしい」
「あんたの全部を俺にくれ」
「ん、ぁああっ!」
三本目の指が僕のナカを圧迫する。ぐちぐちとかき混ぜられるたび、目の前で小さな星が瞬いた。リシャールの中指が僕のいいところに当たっている。僕は快楽を我慢できず、腰を揺らしてしまった。
「あんたの艶かしい肢体がくねるの、最高だな」
「……そんなに、じっと見ないでくれ」
「ウィルレイン。もう入ってもいいか?」
僕のナカはもう充分にほぐされている。リシャールの雄しべが入ってきても大丈夫だろう。僕はこくんとうなずいた。
「行くぞ……」
リシャールが僕の腹に乗り上げる。
アヌスにあてがわれた切っ先が、ゆっくりとナカに入ってくる。亀頭を飲み込んだあとは、すんなりと受け入れることができた。僕は今、リシャールと繋がっているんだ。嬉しさのあまり泣いてしまう。
「リシャール……!」
「ナカ、すごい……っ。吸い込まれる……っ」
「あ、あぁっ! そこ、もっとこすってぇ」
僕の悦点をリシャールのペニスが往復する。じゅぽじゅぽという水音が僕の耳に注がれた。大好きなリシャールといやらしいことをしている。そう思うとカラダが疼いて仕方なかった。
僕はリシャールの首に抱きついた。
潤んだ瞳でリシャールを見上げ、さらなる律動をねだる。リシャールが円を描くように腰を遣ったあと、前後運動を開始した。最初はゆるやかだった速度が、やがて切羽詰まったものへと変わっていく。
「やっ! あっ、あっ! あ、あぁんっ」
「ウィルレイン……!」
リシャールもまた泣いていた。
温かな涙が僕の顔に降りかかった。慈雨のようなそれを僕は好ましく思った。僕たちはこれから、ずっと一緒に生きていく。これはその誓いの儀式なのだ。リシャールの指先が僕のペニスに触れる。僕は愛しい人に導かれるまま、欲望を解放した。
「くっ、ぅっ……!」
リシャールもまた終わりを迎えた。
僕のナカがぬるりと濡れていく。すっかり大人しくなったペニスを引き抜かれれば、僕の隘路はすぐに閉じ合わさった。白濁がとろりと垂れて僕の太ももを濡らす。リシャールは僕を抱きしめたまま離そうとしなかった。僕もまた彼から離れる気は起きなかった。
「これで俺たち……正真正銘の夫婦だな」
「うん……」
「ウィルレイン。綺麗だ……」
「よしてくれ。こんなに汗でぐちゃぐちゃなのに」
「どんな時だって、あんたは綺麗だよ」
僕たちはキスを交わした。
事後に囁き合う睦言は甘露のようで、僕は夢の中にいるような心地になった。リシャールにせがまれるまま、今度は後背位で交わる。リシャールと獣のような格好で番っているのだと思うと、僕は興奮を抑えることができなかった。
リシャールは疲れ知らずだった。
三回目も求められたので、僕は騎乗位で跨った。
「あぁんっ! 奥、きちゃうっ」
「ウィルレイン。自分で胸をいじってみてくれ」
「んっ、んんっ。恥ずかしいから……見ないでぇ」
下から突き上げられて、僕は絶頂に達した。
ペニスの先端から透明な液体が噴き出た。お漏らしをしてしまったのだろうかと落ち込んでいると、リシャールにそれは潮吹きだと教えられた。
「そんなによかったか」
「……僕、これがすごく好きみたいだ」
「嬉しいことを言ってくれる」
リシャールは僕を腕の中に招き入れると、優しいキスをした。
「これからはずっと一緒だぞ、ウィルレイン」
「うん……」
「今日は無理をさせてしまったな。もう休もう」
「リシャール」
「ん?」
「愛してる……」
「俺もだよ」
そして僕たちは抱き合いながら眠りについた。
翌日は日が高くなるまで目覚めることはなかった。
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