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第19話 騒乱、そして再会
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飛竜の体は小刻みに震えていた。吐く息が荒い。キリエの興奮が飛竜に伝わっているのがよく分かる。
『ダメだ、キリエ。飛竜は繊細な生き物だ。乗り手は感情を抑制しないと、飛竜が暴走してしまう。そうなったら誰にも止められないぞ!』
「暴走上等だよ! テメェが死ねばいいだけの話だ!」
レヴィウス様が武官の腰から剣を引き抜いた。
そして、僕を庇うように前線に出た。
キリエが絶叫する。
「なんで俺じゃないんだよ! どうしてアズリールなんだよ!」
「キリエ・フィレンカ。きみを愛してくれる人、いや。きみ自身が誰か愛する人を見つけることだ」
「説教くさい王太子もいらない! みんな消えちまえ!」
ダメだ。話し合いでどうにかなる状態ではない。
僕はラピステルとの同化を強めた。
青白い炎をその身にまとい、宙に駆け上がる。地上ではレヴィウス様が応戦し、空中では僕が視界を撹乱した。飛竜は混乱のあまり疲れたのか、高度をぐっと下げた。
「うっ、うわあぁぁっ! なんだ、こいつ。自爆する気か!?」
『キリエ! その子の名前を呼んであげて!』
「えーと、ゼンだっけ、リンだっけ? 違う……。センだ!」
『セン! 空に戻って』
僕が呼びかけると、センは正気を取り戻した。そして王宮の庭に軟着陸した。
キリエが飛竜の背中からずり落ちそうになる。僕は地上に下りて、キリエのクッションになった。
「なんでだよ。なんで俺を助けるわけ?」
『友達だから』
「……友達ぃ? 俺は罪人だぞ。王太子を殺そうとしたんだぞ! 俺の人生はもう終わりだ!」
『終わりじゃないよ、キリエ。きみを愛してくれた人だっているだろう? 残りの人生を賭けて、その人たちに愛を返してあげて』
「俺を愛してくれた人なんて……いねぇよ」
「キリエ様!」
取り巻きたちが飛竜に乗って現れた。ばさばさと大きな翼がはためいて、王宮の庭が飛竜だらけになる。
「キリエ様が言いづらいことを見合い相手に言ってくれたおかげで、僕は助かりました」
「私も! オメガに生まれた苦しみを心の底から理解してくれたのはキリエ様だけです」
「飛竜を手配したのはこの俺です。俺も罰を受けます!」
「……おまえたち」
キリエの周りに人でできた輪ができる。
仲間に囲まれたキリエは、ぽろりと涙をこぼした。
「おまえたちは俺を……愛してくれていたのか?」
『そうだよ、キリエ。アルファとの性愛だけがオメガに与えられた愛じゃない。友愛だって愛の一つだ』
「……そんなの、誰も教えてくれなかった。俺はただ、優秀なアルファの子種を獲得しろとだけ言われて育った」
『僕たちが同じ人間として接すれば、相手だって心を返してくれる。きみのたくさんの友人がそれを証明してくれているだろう?』
「アズリールの言うとおりだ。キリエ・フィレンカ。今からでも遅くない。考えを改めてくれ」
「……アズリールくん。きみは王太子殿下とお似合いだね。お馬鹿具合がそっくりだ。俺はもっと賢い人の方が好きだから、この人はきみにあげる」
キリエはそこまで言うと、気を失った。
武官がキリエを拘束する。
レヴィウス様は武官に命じた。
「彼もまた過酷な運命の犠牲者だ。手厚く介抱してあげてくれ」
「王太子殿下に殺意を向けたのですぞ? 殺人未遂及び国家転覆罪を適用すべきです」
「……司法による裁きは彼が回復してからでも遅くはない。まずは彼の傷を癒してやってくれ。心身ともにな」
僕はレヴィウス様にクーンと鼻を近づけた。レヴィウス様が僕を抱き上げる。
「アズリール。気づいてやれなくてすまなかった。きみはずっと俺を助けてくれていたんだな」
『レヴィウス様! 僕の声が聞こえるのですか』
「聞こえるよ」
レヴィウス様が僕を抱きしめた。
「あたたかい……。きみの命を感じる」
『僕もです』
「だが、いつまでもその格好では困るだろう? アズリール。ここは一つ、お伽話を信じてみるか」
『えっ?』
「俺の部屋に来てくれ」
レヴィウス様の藍色の瞳は真剣そのものだった。
『ダメだ、キリエ。飛竜は繊細な生き物だ。乗り手は感情を抑制しないと、飛竜が暴走してしまう。そうなったら誰にも止められないぞ!』
「暴走上等だよ! テメェが死ねばいいだけの話だ!」
レヴィウス様が武官の腰から剣を引き抜いた。
そして、僕を庇うように前線に出た。
キリエが絶叫する。
「なんで俺じゃないんだよ! どうしてアズリールなんだよ!」
「キリエ・フィレンカ。きみを愛してくれる人、いや。きみ自身が誰か愛する人を見つけることだ」
「説教くさい王太子もいらない! みんな消えちまえ!」
ダメだ。話し合いでどうにかなる状態ではない。
僕はラピステルとの同化を強めた。
青白い炎をその身にまとい、宙に駆け上がる。地上ではレヴィウス様が応戦し、空中では僕が視界を撹乱した。飛竜は混乱のあまり疲れたのか、高度をぐっと下げた。
「うっ、うわあぁぁっ! なんだ、こいつ。自爆する気か!?」
『キリエ! その子の名前を呼んであげて!』
「えーと、ゼンだっけ、リンだっけ? 違う……。センだ!」
『セン! 空に戻って』
僕が呼びかけると、センは正気を取り戻した。そして王宮の庭に軟着陸した。
キリエが飛竜の背中からずり落ちそうになる。僕は地上に下りて、キリエのクッションになった。
「なんでだよ。なんで俺を助けるわけ?」
『友達だから』
「……友達ぃ? 俺は罪人だぞ。王太子を殺そうとしたんだぞ! 俺の人生はもう終わりだ!」
『終わりじゃないよ、キリエ。きみを愛してくれた人だっているだろう? 残りの人生を賭けて、その人たちに愛を返してあげて』
「俺を愛してくれた人なんて……いねぇよ」
「キリエ様!」
取り巻きたちが飛竜に乗って現れた。ばさばさと大きな翼がはためいて、王宮の庭が飛竜だらけになる。
「キリエ様が言いづらいことを見合い相手に言ってくれたおかげで、僕は助かりました」
「私も! オメガに生まれた苦しみを心の底から理解してくれたのはキリエ様だけです」
「飛竜を手配したのはこの俺です。俺も罰を受けます!」
「……おまえたち」
キリエの周りに人でできた輪ができる。
仲間に囲まれたキリエは、ぽろりと涙をこぼした。
「おまえたちは俺を……愛してくれていたのか?」
『そうだよ、キリエ。アルファとの性愛だけがオメガに与えられた愛じゃない。友愛だって愛の一つだ』
「……そんなの、誰も教えてくれなかった。俺はただ、優秀なアルファの子種を獲得しろとだけ言われて育った」
『僕たちが同じ人間として接すれば、相手だって心を返してくれる。きみのたくさんの友人がそれを証明してくれているだろう?』
「アズリールの言うとおりだ。キリエ・フィレンカ。今からでも遅くない。考えを改めてくれ」
「……アズリールくん。きみは王太子殿下とお似合いだね。お馬鹿具合がそっくりだ。俺はもっと賢い人の方が好きだから、この人はきみにあげる」
キリエはそこまで言うと、気を失った。
武官がキリエを拘束する。
レヴィウス様は武官に命じた。
「彼もまた過酷な運命の犠牲者だ。手厚く介抱してあげてくれ」
「王太子殿下に殺意を向けたのですぞ? 殺人未遂及び国家転覆罪を適用すべきです」
「……司法による裁きは彼が回復してからでも遅くはない。まずは彼の傷を癒してやってくれ。心身ともにな」
僕はレヴィウス様にクーンと鼻を近づけた。レヴィウス様が僕を抱き上げる。
「アズリール。気づいてやれなくてすまなかった。きみはずっと俺を助けてくれていたんだな」
『レヴィウス様! 僕の声が聞こえるのですか』
「聞こえるよ」
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「あたたかい……。きみの命を感じる」
『僕もです』
「だが、いつまでもその格好では困るだろう? アズリール。ここは一つ、お伽話を信じてみるか」
『えっ?』
「俺の部屋に来てくれ」
レヴィウス様の藍色の瞳は真剣そのものだった。
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