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第24話 結婚式 上
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時は流れて、結婚式の当日となった。
ついにこの日がやって来たのか。僕は居室で固まっていた。緊張するなと言われても無理な話である。披露宴では各国の重鎮たちとも顔を合わせることになる。愚かな王太子妃だと思われないように頑張らないといけない。
民が待つ王都でのパレードだってある。
ああ、どうしよう。僕、ちゃんとできるかな?
僕が青い顔をしていると、レヴィウス様が呼びに来た。
「そろそろ支度の時間だぞ」
「はい」
「どうした。随分と緊張しているな」
「僕……将来の王妃としてふさわしいでしょうか?」
レヴィウス様がふっと表情を和らげた。
「きみはダンスのステップを完全に覚えた。伝統的な踊りも流行の舞いもその身に叩き込んでいる。そうだな?」
「はい」
「サンダス語も習得したじゃないか。日常会話はもちろん、複雑な話もできるようになった。契約書のたぐいも読み込めるようになっただろう?」
「ミローネ様が紹介してくれたザッハ先生のおかげです」
「背も伸びたな。長身に礼服が映えると周囲から評判だぞ」
「仕立て屋のおかげです」
僕の腰を抱き寄せながら、レヴィウス様が言葉を続けた。
「きみは国内の主要な貴族との顔合わせも済んだ。どこの領主がどんな性格で、どういった政治をしているのか、覚え書きを作っただろう? 奥方たちとも交流して、相手の趣味や社会福祉に関する活動内容を把握した。完璧じゃないか」
「ともかく必死で……」
「俺と一緒に各地の国民学校を訪問したな。子どもたちからのどぎつい質問にも負けず、きみは真摯に答えていた」
「夫婦のベッドの中で起きてることについては、答えられませんでしたけどね」
「これだけやって来たんだ。他に何が必要だ?」
レヴィウス様に励まされて、僕は気持ちが上を向いた。
「衣装係を呼びます! 僕、覚悟を決めました」
「それでこそ俺のアズリールだ」
僕のもとに数人の衣装係がやって来る。僕は彼女たちの指示に従って、シャツを着たり、ズボンを履いたりした。
「素晴らしい着こなしですわ、アズリール様」
「そうかな?」
鏡の前に映る僕は、ボディラインを優美に見せる長衣に白のズボンを合わせている。前髪には花飾り、そして耳には大ぶりのイヤリング。胸元にはセレスティ家から贈られた緑色の宝石が輝いている。
「派手じゃない?」
「主役は花嫁ですよ」
「そうです。アズリール様が一番目立たないと」
「うぅっ。今日だけ頑張るよ」
居室を出て、礼拝堂へと向かう。
道中、レヴィウス様と行き合った。レヴィウス様は上下とも白をお召しになっている。肩帯はレヴィウス様の髪の色に似た白金で、瞳の色と同じ藍色の貴石を胸元につけている。
どうしよう。
僕の旦那様になる人がとてもカッコいい。
「ん? アズリール、俺に惚れ直したか?」
「はい……。すごく素敵です」
「きみもよく似合っているぞ。脱がせがいのある服だな。だが、イヤリングはつけたままの方がそそるな」
「レヴィウス様! 日が高いうちから初夜の話をしないでください」
「はははっ。太陽に手を伸ばして、とっとと地平線に沈めてしまいたいものだ」
「もう。またそんな冗談を言って」
僕たちのやりとりがようやく途切れたタイミングで、内務大臣が「礼拝堂に向かいましょう」と厳かに告げた。
そうだ。
イチャイチャしてる場合じゃない。愛の神に僕たちの結婚を認めてもらわねば。
レヴィウス様と腕を組んで礼拝堂に入る。
会衆はすでに集まっていた。
隣国サンダスの国家元首、ミローネ様の姿もある。僕のお父様は花嫁衣装に身を包んだ僕を見て、目頭を押さえた。お母様に、ミハイロお兄様とその夫君も来ている。ミハイロお兄様は僕に軽く手を振ってくれた。
ものすごい美人がいるなと思ったら、マルセル先生だった。マルセル先生は今日も妖艶な微笑みを浮かべている。隣にいる旦那様は実直そのもので、僕はいいカップルなんだろなと思った。
ああ、ナナセもエルリックさんと一緒に列席してくれた。
シマ先生もヨアキムさん夫妻もいる。シュマックはミランダの肩の上で大人しくしている。
大好きな人たちがお祝いに来てくれた。
僕ってなんて幸せ者だろう。
「ご両人。前へ」
式を取り仕切る第二王子のヘクター様がいつもより畏まった声で告げた。
僕とレヴィウス様は祭壇の前に立った。
「これよりレヴィウス王太子殿下とアズリール・セレスティの結婚式を始めます」
会衆が起立して、愛の神に祈りを捧げる。
ヘクター様はみんなの姿をしばし見守ったあと、式を進めた。
「ご両人に愛の神に届ける鐘を鳴らしてもらいます」
僕とレヴィウス様はハンドベルをそれぞれ持った。二人が奏でた音がうまく響き合えば結婚は成立する。
「始めてください」
僕はドキドキしながらハンドベルを鳴らした。レヴィウス様のハンドベルが僕の奏でた音色に重なる。
まずい。
僕の方が大きな音を立ててしまった。
「ほう。妃殿下が主導権を握ることになりそうですな」
あのーっ、内務大臣ーっ。
ここまでつぶやきが聞こえてますよ!
僕、レヴィウス様を尻に敷くようになるのかな? 尊敬するレヴィウス様にそんな真似はできないよ。
ハンドベルの音が鳴り止んだ。礼拝堂が静寂に包まれる。
僕とレヴィウス様の頭上に白い花びらが降ってきた。
「愛の神から了承を得ました。ご両人の結婚は成立しました」
ヘクター様の言葉に、会衆から割れるような拍手が湧き起こる。
「アズリール! 幸せになるのだぞ!」
「お父様……」
いつも難しい顔をしてふんぞり返っていたお父様が号泣している。僕ももらい泣きしてしまった。レヴィウス様が僕の髪にくっついた花びらを一枚一枚丁寧に取ってくれる。
「ありがとうございます」
「アズリール。その涙は嬉し泣きという認識で合っているか?」
「はい」
ヘクター様が会衆に呼びかけた。
「さあ、みなさん。儀式はもう終了しました。庭に出てください。宴の準備がしてあります」
「僕たちはその前にパレードに行くんですよね」
「ああ」
僕はレヴィウス様に手を引かれて、二頭立ての馬車に乗り込んだ。
ついにこの日がやって来たのか。僕は居室で固まっていた。緊張するなと言われても無理な話である。披露宴では各国の重鎮たちとも顔を合わせることになる。愚かな王太子妃だと思われないように頑張らないといけない。
民が待つ王都でのパレードだってある。
ああ、どうしよう。僕、ちゃんとできるかな?
僕が青い顔をしていると、レヴィウス様が呼びに来た。
「そろそろ支度の時間だぞ」
「はい」
「どうした。随分と緊張しているな」
「僕……将来の王妃としてふさわしいでしょうか?」
レヴィウス様がふっと表情を和らげた。
「きみはダンスのステップを完全に覚えた。伝統的な踊りも流行の舞いもその身に叩き込んでいる。そうだな?」
「はい」
「サンダス語も習得したじゃないか。日常会話はもちろん、複雑な話もできるようになった。契約書のたぐいも読み込めるようになっただろう?」
「ミローネ様が紹介してくれたザッハ先生のおかげです」
「背も伸びたな。長身に礼服が映えると周囲から評判だぞ」
「仕立て屋のおかげです」
僕の腰を抱き寄せながら、レヴィウス様が言葉を続けた。
「きみは国内の主要な貴族との顔合わせも済んだ。どこの領主がどんな性格で、どういった政治をしているのか、覚え書きを作っただろう? 奥方たちとも交流して、相手の趣味や社会福祉に関する活動内容を把握した。完璧じゃないか」
「ともかく必死で……」
「俺と一緒に各地の国民学校を訪問したな。子どもたちからのどぎつい質問にも負けず、きみは真摯に答えていた」
「夫婦のベッドの中で起きてることについては、答えられませんでしたけどね」
「これだけやって来たんだ。他に何が必要だ?」
レヴィウス様に励まされて、僕は気持ちが上を向いた。
「衣装係を呼びます! 僕、覚悟を決めました」
「それでこそ俺のアズリールだ」
僕のもとに数人の衣装係がやって来る。僕は彼女たちの指示に従って、シャツを着たり、ズボンを履いたりした。
「素晴らしい着こなしですわ、アズリール様」
「そうかな?」
鏡の前に映る僕は、ボディラインを優美に見せる長衣に白のズボンを合わせている。前髪には花飾り、そして耳には大ぶりのイヤリング。胸元にはセレスティ家から贈られた緑色の宝石が輝いている。
「派手じゃない?」
「主役は花嫁ですよ」
「そうです。アズリール様が一番目立たないと」
「うぅっ。今日だけ頑張るよ」
居室を出て、礼拝堂へと向かう。
道中、レヴィウス様と行き合った。レヴィウス様は上下とも白をお召しになっている。肩帯はレヴィウス様の髪の色に似た白金で、瞳の色と同じ藍色の貴石を胸元につけている。
どうしよう。
僕の旦那様になる人がとてもカッコいい。
「ん? アズリール、俺に惚れ直したか?」
「はい……。すごく素敵です」
「きみもよく似合っているぞ。脱がせがいのある服だな。だが、イヤリングはつけたままの方がそそるな」
「レヴィウス様! 日が高いうちから初夜の話をしないでください」
「はははっ。太陽に手を伸ばして、とっとと地平線に沈めてしまいたいものだ」
「もう。またそんな冗談を言って」
僕たちのやりとりがようやく途切れたタイミングで、内務大臣が「礼拝堂に向かいましょう」と厳かに告げた。
そうだ。
イチャイチャしてる場合じゃない。愛の神に僕たちの結婚を認めてもらわねば。
レヴィウス様と腕を組んで礼拝堂に入る。
会衆はすでに集まっていた。
隣国サンダスの国家元首、ミローネ様の姿もある。僕のお父様は花嫁衣装に身を包んだ僕を見て、目頭を押さえた。お母様に、ミハイロお兄様とその夫君も来ている。ミハイロお兄様は僕に軽く手を振ってくれた。
ものすごい美人がいるなと思ったら、マルセル先生だった。マルセル先生は今日も妖艶な微笑みを浮かべている。隣にいる旦那様は実直そのもので、僕はいいカップルなんだろなと思った。
ああ、ナナセもエルリックさんと一緒に列席してくれた。
シマ先生もヨアキムさん夫妻もいる。シュマックはミランダの肩の上で大人しくしている。
大好きな人たちがお祝いに来てくれた。
僕ってなんて幸せ者だろう。
「ご両人。前へ」
式を取り仕切る第二王子のヘクター様がいつもより畏まった声で告げた。
僕とレヴィウス様は祭壇の前に立った。
「これよりレヴィウス王太子殿下とアズリール・セレスティの結婚式を始めます」
会衆が起立して、愛の神に祈りを捧げる。
ヘクター様はみんなの姿をしばし見守ったあと、式を進めた。
「ご両人に愛の神に届ける鐘を鳴らしてもらいます」
僕とレヴィウス様はハンドベルをそれぞれ持った。二人が奏でた音がうまく響き合えば結婚は成立する。
「始めてください」
僕はドキドキしながらハンドベルを鳴らした。レヴィウス様のハンドベルが僕の奏でた音色に重なる。
まずい。
僕の方が大きな音を立ててしまった。
「ほう。妃殿下が主導権を握ることになりそうですな」
あのーっ、内務大臣ーっ。
ここまでつぶやきが聞こえてますよ!
僕、レヴィウス様を尻に敷くようになるのかな? 尊敬するレヴィウス様にそんな真似はできないよ。
ハンドベルの音が鳴り止んだ。礼拝堂が静寂に包まれる。
僕とレヴィウス様の頭上に白い花びらが降ってきた。
「愛の神から了承を得ました。ご両人の結婚は成立しました」
ヘクター様の言葉に、会衆から割れるような拍手が湧き起こる。
「アズリール! 幸せになるのだぞ!」
「お父様……」
いつも難しい顔をしてふんぞり返っていたお父様が号泣している。僕ももらい泣きしてしまった。レヴィウス様が僕の髪にくっついた花びらを一枚一枚丁寧に取ってくれる。
「ありがとうございます」
「アズリール。その涙は嬉し泣きという認識で合っているか?」
「はい」
ヘクター様が会衆に呼びかけた。
「さあ、みなさん。儀式はもう終了しました。庭に出てください。宴の準備がしてあります」
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