【完結】推しに求愛された地味で平凡な俺の話

古井重箱

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とっても近いひと

26. 優しい夜 *

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 脱衣所に着くと、響也さんにポロシャツを脱がされた。
 チノパンのベルトも外されてしまう。俺はグレーのボクサーパンツだけになった。半勃ちになったペニスをボクサーパンツ越しに撫でられる。

「あっ……!」
「誠司くん、硬くなってる」

 響也さんは嬉しそうに微笑むと、着ているものをすべて取り去った。引き締まった腹筋に、綺麗に盛り上がった上腕。美しい裸身だった。
 俺は響也さんの性器をちらりと盗み見た。幹が太くて、笠が張り出している。コレが屹立した時、果たして俺のナカに入るだろうか?

「怖い?」
「ちょっとだけ……」
「痛くしないから安心して」

 ちゅっちゅっと俺の肩や鎖骨に唇が押し当てられる。
 響也さんの手がボクサーパンツのウエストゴムを掴む。俺は下着を足首から引き抜かれた。
 
「それじゃ、入ろうか」
「はい」

 響也さんはふたりの頭と体にシャワーを浴びせた。そしてシャンプーを泡立てて、俺の髪を洗った。

「これで僕たち、おそろいの香りになるね」

 響也さんもまたシャンプーをすると、泡をシャワーで洗い流した。
 続いてボディソープで体を清められた。
 響也さんはペニスに触れてこなかった。俺はみずからの手で陰茎を洗った。硬度がどんどん増していっている。

「お風呂でシたら、のぼせちゃうから」
「そうですね」

 シャワーを済ませた俺たちは、バスルームを出た。腰にタオルを巻いて、洗面所でドライヤーのスイッチを入れる。
 髪が乾くと、俺たちは2階へと向かった。響也さんのベッドルームに招かれる。
 広々とした部屋に置かれているのはキングサイズのベッドだった。

「僕、寝相があまりよくなくて。広いベッドじゃないと眠れないんだ」
「そうなんですね」

 この部屋に誰かが訪れたこともあっただろう。でも今、響也さんの隣にいるのはこの俺だ。俺は響也さんに抱きついた。

「積極的だね。嬉しいよ」
「俺、……頑張ります」
「今日は挿れないから安心して」
「はいっ……」
「少しずつ、お互いの体を知っていこう」

 響也さんは俺の頭を撫でると、キスをした。舌を絡めているうちに俺のペニスが膨らみきった。響也さんが俺の腰からタオルを取り去る。そして長い指が伸びてきて、俺のペニスは響也さんの手のひらに包み込まれた。
 響也さんが俺のペニスを上下にしごいた。
 くち、くちと薄い皮がいやらしい音を立てる。

「誠司くんの、立派だね」
「響也さんだって……」

 自分ばかり気持ちよくなるのは本意ではない。俺は響也さんのペニスに恐る恐る触れた。自分以外の男性器に触れるのは初めてだった。力加減に悩む。遠慮がちに手を動かしていると、響也さんに言われた。

「もっと強く握っても大丈夫だよ」
「ごめんなさい。俺、下手くそですよね」
「何を言ってるの。きみに触れられて嬉しいよ」

 俺たちはしばし無言になって、互いの性器を刺激し合った。
 響也さんの先端からこぼれたカウパーが俺の手を濡らす。俺のペニスもぐしょぐしょだった。

「兜合わせ、してみてもいい?」
「……兜合わせって?」
「こういうこと」

 大きな手のひらが俺と響也さんの性器をまとめて握る。指とは違うペニスの感触に俺は悦びを覚えた。響也さんの極めてプライベートな部分が俺のそれと擦り合わさって、快感を増幅させる。俺は鼻にかかった嬌声を上げた。

「気持ちいい? 声が出ちゃう誠司くん、可愛い」
「あぁっ」

 響也さんの指が俺の小さな乳首をくにくにとこね回す。首すじにキスをされながら胸の突起をいじられて、俺は窮地に陥った。まずい。次にペニスに触れられたら、きっと射精してしまう。
 濡れた舌が俺の乳首を舐める。ぷっくりと勃ち上がった粒を吸われながらペニスをしごかれれば、俺は呆気なく果てた。先端から飛び出たものが響也さんの腹を汚す。
 
「やっ……! 恥ずかしいです……」
「恥じらう誠司くん、最高に可愛い」
「……もう。意地悪」

 俺は響也さんの性器を両手で包み込んだ。そして、片手で竿を握り、空いた手で先端を刺激した。響也さんが心地よさそうに息を吐く。

「これ、イイですか?」
「すごく……感じる」
「響也さん。大好きです……」

 浮き出た裏筋を指先でたどる。続いてカリを指先で擦れば、響也さんが背中を震わせた。どっぷりと精が放たれたる。俺の手のひらがじっとりと濡れた。
 響也さんはティッシュで俺の手を清めた。

「ごめんね、汚しちゃって」
「あなたのものなら構いません」
「誠司くんの腕、綺麗な筋肉がついてる」
「そっちだって。着痩せするタイプなんですね」

 俺たちは抱き合って、キスをした。濡れた舌を絡め合わせる。

「本当の愛なんて、幻想だと思ってた。でも僕はきみに出会って分かった。本当の愛って最初から出来上がっているんじゃなくて、少しずつお互いの気持ちを持ち寄って築き上げていくものなんだね」
「俺は……誰かに愛されることがこんなにも幸せなことだなんて知りませんでした。男なんだから自分から行かないとダメだとか、俗説に振り回されていました」
「僕たち、大事なものを見つけたんだね」
「そうですね」

 響也さんが指の腹で俺の乳首を転がした。小さな器官に与えられた甘美な刺激に俺は酔いしれた。

「あぁんっ」
「男は感じないっていうの、嘘だね。誠司くん、すごく気持ちよさそう」
「響也さんに触られるのが嬉しいんです……」
「もっといじめたくなっちゃう」
「んっ、あぁっ!」

 乳首を執拗にいじられているうちに、俺は再び勃ってしまった。とろとろと先端から透明な液がこぼれ出る。響也さんが俺のペニスを上下にさすった。

「舐めてもいい?」
「そ、それはまだダメです」
「分かった」

 響也さんは俺の竿を丁寧に擦った。触れられた箇所がじんじんと熱くなり、頭がぼうっとしていく。俺は今、大好きな人に求められている。自分を卑下するのはもうやめよう。響也さんが俺を選んでくれたんだから、もっと堂々としていたい。
 響也さんが力加減を調節して、俺を快感に導こうとする。優しい気遣いが嬉しくてたまらない。
 俺は幸せを感じながら、2回目の吐精に至った。

「手、汚しちゃってすみません」
「いいよ、大丈夫。誠司くん、お顔がポーッとなってる」
「響也さんだって」

 俺たちはキスを交わした。
 響也さんの唇が、体のあちこちに押し当てられる。

「キスマーク、ここにならつけてもいい?」
「あっ」

 太ももの内側をちゅうっと吸われる。響也さんにつけられた所有のしるしが、人からは見えない秘密の場所に花開いている。俺は恍惚に包まれながら、赤く鬱血した痕を眺めた。

「汗かいちゃったね。もう一回シャワーを浴びてこようか」
「はい」

 俺たちはバスルームで体を清めた。
 響也さんが用意してくれた下着とオーバーサイズのTシャツ、そしてハーフパンツを身にまとう。

「今夜は泊まっていって」
「ありがとうございます」

 ベッドルームに戻る。響也さんは俺を懐に抱いて、ベッドに横たわった。

「明日から、とある案件のレコーディングが始まるんだ。しばらく会えなくなる」
「今度会う時は、もっと成長した俺を見せられるよう頑張ります」
「きみの前向きなところ、大好きだよ」
「愛してます。おやすみなさい」
「……おやすみ」

 ついばむようなキスをしたあと、俺たちは眠りについた。
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