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第9章 舞ちゃんの春休み
僕の人生を変えた恋人9
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「約束通り、東京に行こうと思うんだけど」
「え?、今、牧場一番忙しい時でしょう?大丈夫?」
「大学は6年間だから後2年でしょ。卒業したら私自身が忙しくなるから、今のうちに行って来なさい、って、母が」
「そうなんだ」
「おば様に、ご都合伺ってくれる?」
「大丈夫だよ、うちは」
「一応伺ってから、メール頂戴」
「わかった。じゃあ、後でね」
【リビング】
「お母さん。舞ちゃんからメールで、春休みうちに来たいから、お母さんに都合聞いて、って」
「良いって言っておけば良いのに。お母さんがダメって言うわけ無いでしょう」
そうなんだ。
うちって昔から、誰か来てずっと泊まってたりする。
突然来ても、誰も文句を言わない。
この前も、高校の時の友達が家出して来て、1週間以上居たな。
母はいつも「大したご馳走は無いけど、いつでも来なさい」って言うんだ。
小学校の時は、子供が家に上がるのを嫌がったりするお宅も有るので、僕の家が溜まり場になっていて、いつも10人ぐらいは来ていた。
男ばかりだから、暴れたり騒いだするけど、うちだと怒られないからね。
舞ちゃんにメールしないと。
「OKだよ。迎えに行くから」
「荻窪の駅までで良いわ」
「え?大丈夫?」
「大丈夫よ。1人で行ってみたいの。凛だって1人で行けたんだもの」
なるほどね。
僕なんて兄貴と年が離れてるから、小さい頃は何でもやってもらってた。
兄貴に出来て僕に出来ない事が有っても、全然悔しくないけどな。
いつも兄のまねばかりして大きくなったんだ。
兄は絵や工作が得意だけど、僕は全然ダメで、宿題をやってもらったりしてたな。
兄はスポーツ万能だけど、僕はそこそこで、兄貴は僕のヒーローだった。
兄に出来なくて僕が出来た事は、音楽ぐらいだな。
舞ちゃんは、お姉さんだからかな?
上の気持ちって、末っ子にはわらないや。
と、言うわけで、春休み舞ちゃんが来て、買い物に付き合わされてます。
あんなに言ってたのに、凛ちゃんと同じコースは嫌なんだって。
僕が良く使う電車に乗ってみたいと言うので、高井戸から井の頭線に乗った。
「この電車ね」
「うん」
吉祥寺から永福町あたりまでの各駅は良く使うな。
永福町で急行に乗り換えて、渋谷に向かう。
【渋谷】
僕が良く買い物をする所へ連れて行けって?
女の子のフロアは、わからないぞ。
女性の買い物は、時間がかかる。
これは、姉妹共に同じだな。
「沢山買っちゃった」
これも、同じ。
僕が手を伸ばすと…
「良いわよ」
え?
「だって、僕が恥ずかしいから」
「じゃあ、持ってもらっちゃおうかしら?」
で、荷物持ちました。
ここは、違うか。
上の階のお寿司屋さんでランチにした。
魚は、北海道の方が美味しいだろうけどね。
【公園通り】
「東京って、本当に凄い人だわ」
「僕も人混みは、苦手だ」
のんびりの舞ちゃんは、人の歩く速さにもびっくりしていた。
「次は、どこ行く?」
「貴方の小学校が見たいの」
「へ?小学校?」
「何て声出すのよ」
じゃあ、一度帰らないと。
舞ちゃんは、僕のジャケットの袖に掴まって歩いている。
腕を組むでも手を繋ぐでも無く、何とも中途半端だけど…
ま、逸れなければ良いか。
僕達は一度家に帰って、荷物を置いて出かける事にした。
【葉月家】
舞ちゃんは、着替え中。
「お待たせ」
うん、綺麗だ…
でも、アクセが欲しいところだな。
後で行ってみるか。
何で僕の小学校が見たいんだか…?
「ここを真っ直ぐ行くと西荻で、こっちが小学校だよ」
【小学校】
「へー…ここに通ってたのね…」
「そう」
「中学校は、近く?」
「すぐそこ」
「行きたい」
【中学】
「小学校も、中学校も、家のすぐ近くなのね」
「うん」
「北海道では考えられないわ」
まあ、そうだろうね。
「どんな子供だったのかしら?卒業アルバムが見たいわ」
「良いよ、帰ったらね。その前に行きたい所が有る」
【アクセサリーショップ】
舞ちゃんは長い髪を下ろしてるから、イヤリングは目立たないな。
レッドジャスパーのネックレスと、ブレス…
どうかな?
「可愛い色ね」
お気に召して頂けたようです。
ではでは…
【菱の部屋】
「どうぞ」
ああ、散らかってなくて良かった。
中学迄は、幼馴染みの女の子が遊びに来た時、片付けてくれたりしたけど、今はちゃんと自分でやっている。
何か…2人っきりだと息苦しいぞ。
CDかけよう。
ラフマニノフのピアノコンチェルト第3番。
舞ちゃんは、CDの棚を見てる。
「同じピアニストのばっかりね」
「好きな人のしか、聞かないからね」
「マルタ・アルゲリッチさんと伊藤恵さん」
「ラフマニノフは、アルヘリッチさんね」
「え?アルゲリッチって書いて有るわよ」
「最初に名前を知った時、母国語読みだったからな、ご本人はアルゲリッチが気に入ってるらしいけど」
「そんなに好きなの?この2人」
「うん。他の人のは買っても聞かないな、時間無いし」
テレビやラジオでは聞くけどね。
「馬に例えると、エアグルーヴとダイワスカーレットぐらい好き?」
「ハハ、そうかな?」
「どっちがエアグルーヴ?」
「どっちがエアグルーヴって言えないぐらい2人共大好きだけど、アルヘリッチさんは、他の人とは次元が違うから、キンチェム?」
出た~キンチェムだよな~
54戦54勝、距離不問の怪物。
猫が親友で、猫の為に歌ってあげたり、厩務員さんが寝てると馬服をかけてあげたり、ヒナギクが好きだったり、人間みたいなエピソードが沢山有る栗毛の牝馬だ。
「じゃあ、伊藤恵さんがエアグルーヴね」
「そうだね、特別な人」
アルヘリッチさんは、初恋のピアニスト。
小さい頃聞いていたのは、ポリーニさん、ホロヴィッツさん、ルービンシュタインさん、アシュケナージさんなど凄い人ばかりだった。
その中で僕が恋したのはアルヘリッチさんだ。
指が吸盤みたいに鍵盤に吸い付くように弾く。
まるでピアノが身体の一部のようだ。
情熱的に歌い上げるその演奏は、恐ろしいほどのテクニックは当たり前。
ベルベットのような繊細なピアニッシモから、もしピアノが喋ったら「もう限界…でも頑張る」って言うほど物凄いスフォルツァンド。
でも一つ一つの音が輝いているから、少しもうるさくないんだ。
早いテンポと独特のリズムは、誰も真似出来ないだろうね。
清元志寿太夫さんの唄い方を真似してもダメって言うのと一緒だな。
彼女のピアノしか聞かなくなってからは、それが普通だと思っていたけど、他の人で同じ曲を聞くと、違う曲のように聞こえる。
ずっと好きで、他の人のピアノを聞けなかったんだけど、恵さんの演奏を初めて聞いた時、最初の一音を聞いた瞬間、凄い衝撃を受けたんだ。
それからずっとファン。
「はい、卒業アルバム」
「トランペット吹いてる…これは、指揮をしてるの?」
「あ、それ、メガネかけてて変な顔」
「何の時?」
「杉並区の音楽祭」
それから舞ちゃんは、色々なアルバムを見始めた。
「ピアノの発表会?白いスーツなんて、キザね…蝶ネクタイが可愛い。これは何歳ぐらい?」
「5年生」
「ニャー」
ニコロが、舞ちゃんの膝に乗って抱っこだ。
助かった。
ラフマニノフが終わった。
「一番好きなCDは、どれ?」
「ブラームスの第1コンチェルト」
「伊藤恵さんの、2枚有るわよ」
「録音した時期が違うから」
「どっちを聞こうかしら?」
「昔の方が少しテンポが早いよ」
「じゃあ、それ聞かせて」
CDをかけた。
今は、どんなに好きか言うのはやめておこう。
僕は、ソファに座って聞いた。
「交響曲みたいね」
「そうだね。ピアノが入ると、オケが変わってくるよ」
1曲の中でオケの表情がガラッと変わる。
「ロマンチックね」
「でしょ?でも、好きな人の演奏じゃないと飽きちゃうんだよな」
「そうなの?全然飽きないわ」
そうなんだ。
恵さんの演奏だと、1時間近く有る長い曲だけど、あっという間に終わってしまう気がするんだよね。
「ピアノがキラキラしてる」
「手が動いてるわよ」
「無意識に動いちゃうんだ」
手を止めるんだけど、また自然と動いてしまう。
舞ちゃんが、面白がって僕の腕を押さえている。
それでも動いてしまうので、必死になって押さえる。
そんなに、くっついて来ないでよ。
2人っきりの部屋で、こんなロマンチックな音楽を聞きながら、女の子にそんなにされたら…
いやいや…
恵さんのピアノを聞いてるんだから、変な事は考えないぞ。
変な事って…?
「ワーオン」
「あら、ニコロちゃんが起きちゃったわ」
舞ちゃんの膝の上で寝てたんだけど、あんまり動くから起きた。
タイミング悪いぞ。
いやいや、良い子だね。
【キッチン】
「何飲む?」
「コーヒーが良い。私入れるわ」
「僕は、アレルギーだから」
「あら、覚えておくわ」
僕は、紅茶。
食いしん坊のブルーが来たぞ。
「ブルーちゃん、来たのね」
「ワゥ」
シェルティなんだけど、毛色がシルバーで、ブルーマールなので、母がつけた名前がブルー。
僕は、マエストロが良い、って言ったんだけどね…
ニコロは僕の猫だから、僕がつけたんだけど、うちは変なネーミング多いぞ。
舞ちゃんが北海道に帰ると、凛ちゃんからメールが来た。
舞ちゃんは、こっちでの事をどんなふうに話したんだろう?
「コーヒーは、身体に良いのに、アレルギー?メモメモ」
だって…
一番興味を示した話しが、それ?
健康オタクの凛ちゃんらしいと言えば、らしいか。
「え?、今、牧場一番忙しい時でしょう?大丈夫?」
「大学は6年間だから後2年でしょ。卒業したら私自身が忙しくなるから、今のうちに行って来なさい、って、母が」
「そうなんだ」
「おば様に、ご都合伺ってくれる?」
「大丈夫だよ、うちは」
「一応伺ってから、メール頂戴」
「わかった。じゃあ、後でね」
【リビング】
「お母さん。舞ちゃんからメールで、春休みうちに来たいから、お母さんに都合聞いて、って」
「良いって言っておけば良いのに。お母さんがダメって言うわけ無いでしょう」
そうなんだ。
うちって昔から、誰か来てずっと泊まってたりする。
突然来ても、誰も文句を言わない。
この前も、高校の時の友達が家出して来て、1週間以上居たな。
母はいつも「大したご馳走は無いけど、いつでも来なさい」って言うんだ。
小学校の時は、子供が家に上がるのを嫌がったりするお宅も有るので、僕の家が溜まり場になっていて、いつも10人ぐらいは来ていた。
男ばかりだから、暴れたり騒いだするけど、うちだと怒られないからね。
舞ちゃんにメールしないと。
「OKだよ。迎えに行くから」
「荻窪の駅までで良いわ」
「え?大丈夫?」
「大丈夫よ。1人で行ってみたいの。凛だって1人で行けたんだもの」
なるほどね。
僕なんて兄貴と年が離れてるから、小さい頃は何でもやってもらってた。
兄貴に出来て僕に出来ない事が有っても、全然悔しくないけどな。
いつも兄のまねばかりして大きくなったんだ。
兄は絵や工作が得意だけど、僕は全然ダメで、宿題をやってもらったりしてたな。
兄はスポーツ万能だけど、僕はそこそこで、兄貴は僕のヒーローだった。
兄に出来なくて僕が出来た事は、音楽ぐらいだな。
舞ちゃんは、お姉さんだからかな?
上の気持ちって、末っ子にはわらないや。
と、言うわけで、春休み舞ちゃんが来て、買い物に付き合わされてます。
あんなに言ってたのに、凛ちゃんと同じコースは嫌なんだって。
僕が良く使う電車に乗ってみたいと言うので、高井戸から井の頭線に乗った。
「この電車ね」
「うん」
吉祥寺から永福町あたりまでの各駅は良く使うな。
永福町で急行に乗り換えて、渋谷に向かう。
【渋谷】
僕が良く買い物をする所へ連れて行けって?
女の子のフロアは、わからないぞ。
女性の買い物は、時間がかかる。
これは、姉妹共に同じだな。
「沢山買っちゃった」
これも、同じ。
僕が手を伸ばすと…
「良いわよ」
え?
「だって、僕が恥ずかしいから」
「じゃあ、持ってもらっちゃおうかしら?」
で、荷物持ちました。
ここは、違うか。
上の階のお寿司屋さんでランチにした。
魚は、北海道の方が美味しいだろうけどね。
【公園通り】
「東京って、本当に凄い人だわ」
「僕も人混みは、苦手だ」
のんびりの舞ちゃんは、人の歩く速さにもびっくりしていた。
「次は、どこ行く?」
「貴方の小学校が見たいの」
「へ?小学校?」
「何て声出すのよ」
じゃあ、一度帰らないと。
舞ちゃんは、僕のジャケットの袖に掴まって歩いている。
腕を組むでも手を繋ぐでも無く、何とも中途半端だけど…
ま、逸れなければ良いか。
僕達は一度家に帰って、荷物を置いて出かける事にした。
【葉月家】
舞ちゃんは、着替え中。
「お待たせ」
うん、綺麗だ…
でも、アクセが欲しいところだな。
後で行ってみるか。
何で僕の小学校が見たいんだか…?
「ここを真っ直ぐ行くと西荻で、こっちが小学校だよ」
【小学校】
「へー…ここに通ってたのね…」
「そう」
「中学校は、近く?」
「すぐそこ」
「行きたい」
【中学】
「小学校も、中学校も、家のすぐ近くなのね」
「うん」
「北海道では考えられないわ」
まあ、そうだろうね。
「どんな子供だったのかしら?卒業アルバムが見たいわ」
「良いよ、帰ったらね。その前に行きたい所が有る」
【アクセサリーショップ】
舞ちゃんは長い髪を下ろしてるから、イヤリングは目立たないな。
レッドジャスパーのネックレスと、ブレス…
どうかな?
「可愛い色ね」
お気に召して頂けたようです。
ではでは…
【菱の部屋】
「どうぞ」
ああ、散らかってなくて良かった。
中学迄は、幼馴染みの女の子が遊びに来た時、片付けてくれたりしたけど、今はちゃんと自分でやっている。
何か…2人っきりだと息苦しいぞ。
CDかけよう。
ラフマニノフのピアノコンチェルト第3番。
舞ちゃんは、CDの棚を見てる。
「同じピアニストのばっかりね」
「好きな人のしか、聞かないからね」
「マルタ・アルゲリッチさんと伊藤恵さん」
「ラフマニノフは、アルヘリッチさんね」
「え?アルゲリッチって書いて有るわよ」
「最初に名前を知った時、母国語読みだったからな、ご本人はアルゲリッチが気に入ってるらしいけど」
「そんなに好きなの?この2人」
「うん。他の人のは買っても聞かないな、時間無いし」
テレビやラジオでは聞くけどね。
「馬に例えると、エアグルーヴとダイワスカーレットぐらい好き?」
「ハハ、そうかな?」
「どっちがエアグルーヴ?」
「どっちがエアグルーヴって言えないぐらい2人共大好きだけど、アルヘリッチさんは、他の人とは次元が違うから、キンチェム?」
出た~キンチェムだよな~
54戦54勝、距離不問の怪物。
猫が親友で、猫の為に歌ってあげたり、厩務員さんが寝てると馬服をかけてあげたり、ヒナギクが好きだったり、人間みたいなエピソードが沢山有る栗毛の牝馬だ。
「じゃあ、伊藤恵さんがエアグルーヴね」
「そうだね、特別な人」
アルヘリッチさんは、初恋のピアニスト。
小さい頃聞いていたのは、ポリーニさん、ホロヴィッツさん、ルービンシュタインさん、アシュケナージさんなど凄い人ばかりだった。
その中で僕が恋したのはアルヘリッチさんだ。
指が吸盤みたいに鍵盤に吸い付くように弾く。
まるでピアノが身体の一部のようだ。
情熱的に歌い上げるその演奏は、恐ろしいほどのテクニックは当たり前。
ベルベットのような繊細なピアニッシモから、もしピアノが喋ったら「もう限界…でも頑張る」って言うほど物凄いスフォルツァンド。
でも一つ一つの音が輝いているから、少しもうるさくないんだ。
早いテンポと独特のリズムは、誰も真似出来ないだろうね。
清元志寿太夫さんの唄い方を真似してもダメって言うのと一緒だな。
彼女のピアノしか聞かなくなってからは、それが普通だと思っていたけど、他の人で同じ曲を聞くと、違う曲のように聞こえる。
ずっと好きで、他の人のピアノを聞けなかったんだけど、恵さんの演奏を初めて聞いた時、最初の一音を聞いた瞬間、凄い衝撃を受けたんだ。
それからずっとファン。
「はい、卒業アルバム」
「トランペット吹いてる…これは、指揮をしてるの?」
「あ、それ、メガネかけてて変な顔」
「何の時?」
「杉並区の音楽祭」
それから舞ちゃんは、色々なアルバムを見始めた。
「ピアノの発表会?白いスーツなんて、キザね…蝶ネクタイが可愛い。これは何歳ぐらい?」
「5年生」
「ニャー」
ニコロが、舞ちゃんの膝に乗って抱っこだ。
助かった。
ラフマニノフが終わった。
「一番好きなCDは、どれ?」
「ブラームスの第1コンチェルト」
「伊藤恵さんの、2枚有るわよ」
「録音した時期が違うから」
「どっちを聞こうかしら?」
「昔の方が少しテンポが早いよ」
「じゃあ、それ聞かせて」
CDをかけた。
今は、どんなに好きか言うのはやめておこう。
僕は、ソファに座って聞いた。
「交響曲みたいね」
「そうだね。ピアノが入ると、オケが変わってくるよ」
1曲の中でオケの表情がガラッと変わる。
「ロマンチックね」
「でしょ?でも、好きな人の演奏じゃないと飽きちゃうんだよな」
「そうなの?全然飽きないわ」
そうなんだ。
恵さんの演奏だと、1時間近く有る長い曲だけど、あっという間に終わってしまう気がするんだよね。
「ピアノがキラキラしてる」
「手が動いてるわよ」
「無意識に動いちゃうんだ」
手を止めるんだけど、また自然と動いてしまう。
舞ちゃんが、面白がって僕の腕を押さえている。
それでも動いてしまうので、必死になって押さえる。
そんなに、くっついて来ないでよ。
2人っきりの部屋で、こんなロマンチックな音楽を聞きながら、女の子にそんなにされたら…
いやいや…
恵さんのピアノを聞いてるんだから、変な事は考えないぞ。
変な事って…?
「ワーオン」
「あら、ニコロちゃんが起きちゃったわ」
舞ちゃんの膝の上で寝てたんだけど、あんまり動くから起きた。
タイミング悪いぞ。
いやいや、良い子だね。
【キッチン】
「何飲む?」
「コーヒーが良い。私入れるわ」
「僕は、アレルギーだから」
「あら、覚えておくわ」
僕は、紅茶。
食いしん坊のブルーが来たぞ。
「ブルーちゃん、来たのね」
「ワゥ」
シェルティなんだけど、毛色がシルバーで、ブルーマールなので、母がつけた名前がブルー。
僕は、マエストロが良い、って言ったんだけどね…
ニコロは僕の猫だから、僕がつけたんだけど、うちは変なネーミング多いぞ。
舞ちゃんが北海道に帰ると、凛ちゃんからメールが来た。
舞ちゃんは、こっちでの事をどんなふうに話したんだろう?
「コーヒーは、身体に良いのに、アレルギー?メモメモ」
だって…
一番興味を示した話しが、それ?
健康オタクの凛ちゃんらしいと言えば、らしいか。
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