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第21章 私がショコラ?
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【古城】
〈フィナンシェの部屋でワイワイ騒ぐ8人〉
「わたくしここで生まれましたのよ。お母様はこの城がとっても好きだったの」
「そうだったわね。王妃様ご懐妊で国中お祭り騒ぎになって。そしたら古城でご出産なさるって話しを聞いて…あの日の事は今でもはっきり覚えているわ。お生まれになった日は新聞の号外が出てヴェネツィーの町に花火が上がったのよ」
「餡先生、昔話するお婆さんみたいなニャ」
「失礼ね。その時私はまだ子供だったわよ」
「お母様は身体が弱くて、冬寒くなるといつもここへ療養に来ていたの。フランツの町にも良く行ったのよ」
「フランツって言えばさ、宿屋のフィナンシェさん、どうしてるかな?」
「フィナンシェちゃんとフィナンシェさん、どことなく面影が似ている気がするわ」
「また満は変な事言い出した」
「そう言えば声も似てたよね?」
「シイラまで。名前が同じだからってそんなに似てたりする?」
「さあさ、フィナンシェ様。お着替えになってください。皆さんは出ていてくださいね」
「え?このままで良いでしょう?」
「いけません。女王様なのですから」
「仕方有りませんね。皆さんをお部屋に案内して差し上げてね」
「畏まりました」
「あー、ジジ様とババ様が来たニャ」
「こらこら、侍従長様と女官長様とお言い」
「そこの小間使い。猫魔様に何と言う御無礼を」
「は?侍従長様。猫魔様ですか?」
「申し訳有りません。新しく入った小間使いなもので、お許しください。猫魔様」
「女官長さんまで(汗)良いニャ良いニャ」
「猫魔に様だなんて、いつの間にそんなに偉くなったんだい?」
「千代子さん。彼はドラゴンを退治した英雄ですぞ。それにフィナンシェ様のお友達ですからな」
「千代子さんだって」
「侍従長の爺さんと千代子婆ちゃん、いつの間に仲良くなったんだ?」
「ここまで一緒に旅して来たからじゃない?」
「ハイハイ皆さん。行きますよ」
「あーん、フィナンシェちゃーん、またねー」
〈猫魔達は女官に連れられてフィナンシェの部屋を出る〉
「さて、フィナンシェ様。ヴェネツィーから連れて来た人々の落ち着き先を決めなくてはなりませんな」
「ここに居てはいけないの?」
「なりません」
「爺」
「あれだけの人数ですぞ?」
「お友達だけでも」
「まあ、あの方々はそばに置いておいた方が心強いですがなぁ」
「そうですね…皆んながどこか安心して暮らせる場所は無いのですか?侍従長様」
「女官長の親戚が、確かフランツの街に居たのでしたな?」
「え?ええ。でももう亡くなりました」
「これからはここが本城になるわけですから、城下町フランツに住まわせては如何ですかな?」
「それは良い考えだわ、爺」
【城下町フランツ】
〈工事が始まっている〉
「いったい何をやってるんだね?」
「古城の所まで道をつけるんだ。町が大きくなるんだよ」
「何だってまたそんな事…?」
「あの城にフィナンシェ様が移られた。ここが、このフランツが本城の城下町になったのさ」
「本当かい?それはめでたいね」
【宿屋】
「フィナンシェ様が古城に移られたってさ」
「(世が世ならうちのフィナンシェが女王様だったかも知れないんだ。あんな町長の妾になんか誰がやれるかよ)」
「フィナンシェ。お客様を迎える用意は出来たかい?」
「はい、お母ちゃん」
「(不思議だな。血は繋がって無いのに、良くもまあお母ちゃんにそっくりな娘に育ったもんだ)」
【古城のサロン】
〈ワイワイガヤガヤ騒ぐ市民達に身の振り方を説明している〉
「皆さんにはフランツの空き家に移り住んでもらいます」
「店は出来るかね?」
「フィナンシェ様のお友達の方々の住まいは、城のすぐ近くに家を建てますので、それまでお待ちください」
「あたし達の店はどうなるんだい?ちょっとそこの若いの」
「ミルフィーユです」
「ミルフィーユ。あたしゃハポネで茶屋をやってたんだ。時ちゃんはヴェネツィーの酒場だった。真希ちゃんとこは八百屋。イサキんとこは魚屋だ」
「はあ、店はちゃんと建てますよ。それに、越野餡先生の診療所も建てるようにとフィナンシェ様から仰せつかっておりますので」
「あたくしのドッグカフェはどうなりますの?」
「どうぞフランツの町でおやりください」
「何ですって?どうしてあのアンドーナツの店がお城の近くで、あたくしの店はフランツなのよ?!何だかこの丘から見下ろされてるようで嫌ですわ」
「文句を言わないでください。フィナンシェ様の仰せなのですから」
【フランツの町】
〈町に出たいと言う七都と満と一緒にフィナンシェは変装して出かけて来た〉
「何だか賑やかだね」
「お祭りが有るのさ」
「お祭り?」
「本城の城下町になったんだ、盛大に祝うのさ」
【宿屋】
「さあ、今日こそは耳を揃えて貸した金を返してもらうよ」
「お願いです、もう少し待ってはもらえませんか?」
「今日まで延ばし延ばしにして来たんだ、もう待てないね」
「今すぐ全額お返しするなんて、とても無理です」
「だから、フィナンシェを妾にくれるならもう少し待ってやっても良いって言ってるんだよ」
〈宿屋の主人が来る〉
「あっ、村長。また来やがったな」
「どうするね?この宿屋が私の物になるか、フィナンシェが妾になるか、うん?」
「冗談じゃねえ、あんたなんかにフィナンシェをやれるかよ!」
「じゃあ、この宿屋は私の物だ。好きにさせてもらうよ。おい、ここは取り壊すぞ」
「へい!」
〈大男達が暴れ始める〉
「ちょっと、どうしたの?フィナンシェさん大丈夫?」
「七都さん」
〈七都達が入って来る。フィナンシェは借金の事を七都達に話した〉
「そんなのひどいわ」
「妾だなんてやらしい」
「元々この町は王家の物です。例え村長でもそのような勝手は許しません」
「何だって?この小娘が。そんじゃあ、あんたが借金の肩代わりをしてくれるとでも言うのかね?」
「良いでしょう。それなら文句は有りませんね」
「馬鹿馬鹿しい。お嬢ちゃん。あんたにこれだけの金が払えるのかい?」
「これだけで宜しいのね。どうぞお持ちなさい」
「ムムっ」
〈フィナンシェの差し出した金貨を見た町長は驚いて声も出ない〉
「フィナンシェちゃん。ちゃんと証文を貰っておくのよ」
「餡先生も来てくれた」
「ちくしょう!しょうがないね。ほらよ」
〈証文を叩きつけて去ろうとする村長の背中にフィナンシェの一言〉
「それから、もうこの町に村長はいりませんから。お下がりなさい」
「何であんたにそんな事言われなきゃなんないんだ?!」
〈フィナンシェはカツラを取る〉
「わたくしがこの国の女王だからです」
「あぅ、うぐっ、と、とんだ御無礼を。ど、どうかお許しください」
〈驚く人々〉
「(フィ、フィナンシェ様か…大きくなられたな…昔王妃様と来られた時は、こんなに小さかったのに…本当の事を話す時が来たのかも知れんな。こりゃえらい事になったぞ。ま、まあ、とにかく女官長様に相談するか?)」
【古城の女官長の部屋】
〈小間使いが入って来る〉
「女官長様、文が届いております」
「そうですか、ありがとう」
〈女官長は小間使いから受け取った手紙の封を開けて読んでみる〉
「これは宿屋の…(そうですか…フィナンシェ様がお気づきになるのも時間の問題…これはわたくしからお話しした方が良いのかもしれませんね)」
【侍従長の部屋】
「侍従長様、ちょっと宜しいでしょうか?」
「おや女官長。お入りなさい」
「失礼致します。ご相談したい事が有るのですが」
「何です?」
【古城近くの建設現場】
「ここに家が出来るのか?」
「お父さん」
「しイラ、お帰り」
「何してるの?」
「いやな、店をやるとなったら、漁に出なきゃなんねえだろ?」
「まあ、そうよね」
「船を用意しなきゃな」
「そっか、どうしよう?」
「作れば良いニャ」
「ヴェネツィーから大工も来てるんだが、材料がねえとな」
「木を切るニャ」
「森は魔物が出るしな」
「俺が行くニャ」
「おお!行ってくれるのか?!そんじゃあ、木こりを連れて行ってくれ」
「わかったニャ。俺に任せるニャ」
「今日はもう遅いから明日にしょう。私も一緒に行くよ」
【侍従長の部屋】
「それは本当ですか?!まさかそんな…」
「わたくしが王妃様から言い付かって、密かに」
「そうですか…貴女は王妃様のご出産の時そばについて居たのだから…そうですか…そんな事が…これは大変な事ですぞ」
「承知しております。双子と言えば当時は忌み嫌われ一人はその場で闇に葬られました。でも母となられた王妃様のお気持ちを思うと、どうしても出来ませんでした」
「それで貴女が?」
「フランツに居た親戚から、ちょうどその頃産まれたばかりの乳飲み子を亡くした夫婦の話しを聞いたのです。それでその宿屋の夫婦に預けました」
「しかし、何か証拠となる物は…?」
「王妃様の指輪を一緒に…それに確か背中に2つのホクロが斜めに有りました。これはフィナンシェ様と同じです。お生まれになった時拝見して、双子というものはこうまで同じなのかと驚きました」
「今の話しは本当なの?」
「フィナンシェ様」
「ごめんなさい、立ち聞きなんてはしたないですけれど、女官長を探してここまで来たら聞こえてしまったのです」
「フィナンシェ様…ええ、事実です。フィナンシェ様には双子の妹君がいらっしいます。お名前は」
「何と言うのです?わたくしの妹の名前は?」
「ショコラ様です」
「ショコラ。あの子がわたくしの妹のショコラなのね」
「しかし、本当にその宿屋の娘が姫様なのか確かめなくてはなりませんぞ」
「お母様の指輪と、背中にわたくしと同じホクロが有れば良いのでしょう?確かめてみます」
「わたくしも一緒に参ります」
「爺も参りますぞ。今日はもう遅うございます。明日になさいませ」
【フランツの町】
〈翌朝〉
「木こりの家はどこニャ?」
「オノさんちなら、ほれ、そこの家だよ」
「ありがとニャ」
【オノの家】
「おはようございます」
「迎えに来たニャ」
「あんたが猫魔かい?イサキから聞いてるよ「ドラゴンを倒した強えー猫が来るから一緒に行きゃ安心だ」ってな」
「私はイサキの娘のシイラです」
「おおっ、こんな可愛い娘が居たのかい?」
「可愛いだなんてそんな…」
「んじゃ、行くニャ」
〈モジモジするシイラをよそ目に出かける2人〉
「待ってよ」
〈慌ててついて行くシイラ〉
【宿屋】
「まさか!私がお姫様だなんて、そんな話し信じられるわけないでしょう。どうしちゃったのよ?お父ちゃん」
「信じられなくたって本当の話しなんだよ。もうすぐお迎えが来る」
「お迎えって何よ?私この家を出て行くの?そんなの嫌よ」
「お前の本当の名前はショコラ。ショコラ姫だよ」
「もう、お父ちゃんたら、やめてよ」
【森】
〈猫魔は魔物を倒しながら進む〉
「その辺りの木が良さそうだな。一緒に来てくれて助かったよ。一人じゃとてもここまで来れやしなかったぜ」
「手伝うニャ」
「有難いが、素人にはちと無理だ。魔物に邪魔されないように見張っててくれや」
「わかったニャ」
【フランツの町】
〈騎士達に護られて馬車が町に入って来る〉
「何だ?あの行列は」
「あれは…王家の紋章。女王様の馬車だ」
〈宿屋の前で馬車が止まり騎士隊長にエスコートされてフィナンシェが降りて来る。続いて女官長と侍従長が降りる〉
「やっぱりそうだ、女王様だ」
「フィナンシェ様!」
「わー!わー!」
「こら、そんなに近づいてはならん!」
「下がれ!」
〈いつの間にか人集りが出来ている〉
「フィナンシェ様!」
「わー!わー!」
〈フィナンシェが微笑むといっそう騒がしくなる〉
「わー!フィナンシェ様!」
「わー!わー!」
「ええい、下がれと言っているのに!」
【森】
「フー…これだけ有れば良いだろう」
〈大きな木が切り倒されている〉
「これを運ぶにょか?」
「ああ、船大工の所までな」
「ちょっと休憩してから帰ろうよ。はい、お弁当」
「わーい、魚ニャ」
【宿屋】
〈フィナンシェが入って来る。続いて侍従長、女官長、騎士隊長が入る〉
「フィ、フィナンシェ様(ほ、本当にいらっしゃった。うちの子を迎えに、本当に…)」
「こんにちは」
〈微笑むフィナンシェ。固まる宿屋の主人〉
「娘に会いたいのですけど」
「はい、女官長様。た、ただいま呼んで参ります」
〈宿屋の主人は奥に娘を呼びに行く〉
「おーい、フィナンシェ。フィナンシェは居るか?」
〈フィナンシェの部屋でワイワイ騒ぐ8人〉
「わたくしここで生まれましたのよ。お母様はこの城がとっても好きだったの」
「そうだったわね。王妃様ご懐妊で国中お祭り騒ぎになって。そしたら古城でご出産なさるって話しを聞いて…あの日の事は今でもはっきり覚えているわ。お生まれになった日は新聞の号外が出てヴェネツィーの町に花火が上がったのよ」
「餡先生、昔話するお婆さんみたいなニャ」
「失礼ね。その時私はまだ子供だったわよ」
「お母様は身体が弱くて、冬寒くなるといつもここへ療養に来ていたの。フランツの町にも良く行ったのよ」
「フランツって言えばさ、宿屋のフィナンシェさん、どうしてるかな?」
「フィナンシェちゃんとフィナンシェさん、どことなく面影が似ている気がするわ」
「また満は変な事言い出した」
「そう言えば声も似てたよね?」
「シイラまで。名前が同じだからってそんなに似てたりする?」
「さあさ、フィナンシェ様。お着替えになってください。皆さんは出ていてくださいね」
「え?このままで良いでしょう?」
「いけません。女王様なのですから」
「仕方有りませんね。皆さんをお部屋に案内して差し上げてね」
「畏まりました」
「あー、ジジ様とババ様が来たニャ」
「こらこら、侍従長様と女官長様とお言い」
「そこの小間使い。猫魔様に何と言う御無礼を」
「は?侍従長様。猫魔様ですか?」
「申し訳有りません。新しく入った小間使いなもので、お許しください。猫魔様」
「女官長さんまで(汗)良いニャ良いニャ」
「猫魔に様だなんて、いつの間にそんなに偉くなったんだい?」
「千代子さん。彼はドラゴンを退治した英雄ですぞ。それにフィナンシェ様のお友達ですからな」
「千代子さんだって」
「侍従長の爺さんと千代子婆ちゃん、いつの間に仲良くなったんだ?」
「ここまで一緒に旅して来たからじゃない?」
「ハイハイ皆さん。行きますよ」
「あーん、フィナンシェちゃーん、またねー」
〈猫魔達は女官に連れられてフィナンシェの部屋を出る〉
「さて、フィナンシェ様。ヴェネツィーから連れて来た人々の落ち着き先を決めなくてはなりませんな」
「ここに居てはいけないの?」
「なりません」
「爺」
「あれだけの人数ですぞ?」
「お友達だけでも」
「まあ、あの方々はそばに置いておいた方が心強いですがなぁ」
「そうですね…皆んながどこか安心して暮らせる場所は無いのですか?侍従長様」
「女官長の親戚が、確かフランツの街に居たのでしたな?」
「え?ええ。でももう亡くなりました」
「これからはここが本城になるわけですから、城下町フランツに住まわせては如何ですかな?」
「それは良い考えだわ、爺」
【城下町フランツ】
〈工事が始まっている〉
「いったい何をやってるんだね?」
「古城の所まで道をつけるんだ。町が大きくなるんだよ」
「何だってまたそんな事…?」
「あの城にフィナンシェ様が移られた。ここが、このフランツが本城の城下町になったのさ」
「本当かい?それはめでたいね」
【宿屋】
「フィナンシェ様が古城に移られたってさ」
「(世が世ならうちのフィナンシェが女王様だったかも知れないんだ。あんな町長の妾になんか誰がやれるかよ)」
「フィナンシェ。お客様を迎える用意は出来たかい?」
「はい、お母ちゃん」
「(不思議だな。血は繋がって無いのに、良くもまあお母ちゃんにそっくりな娘に育ったもんだ)」
【古城のサロン】
〈ワイワイガヤガヤ騒ぐ市民達に身の振り方を説明している〉
「皆さんにはフランツの空き家に移り住んでもらいます」
「店は出来るかね?」
「フィナンシェ様のお友達の方々の住まいは、城のすぐ近くに家を建てますので、それまでお待ちください」
「あたし達の店はどうなるんだい?ちょっとそこの若いの」
「ミルフィーユです」
「ミルフィーユ。あたしゃハポネで茶屋をやってたんだ。時ちゃんはヴェネツィーの酒場だった。真希ちゃんとこは八百屋。イサキんとこは魚屋だ」
「はあ、店はちゃんと建てますよ。それに、越野餡先生の診療所も建てるようにとフィナンシェ様から仰せつかっておりますので」
「あたくしのドッグカフェはどうなりますの?」
「どうぞフランツの町でおやりください」
「何ですって?どうしてあのアンドーナツの店がお城の近くで、あたくしの店はフランツなのよ?!何だかこの丘から見下ろされてるようで嫌ですわ」
「文句を言わないでください。フィナンシェ様の仰せなのですから」
【フランツの町】
〈町に出たいと言う七都と満と一緒にフィナンシェは変装して出かけて来た〉
「何だか賑やかだね」
「お祭りが有るのさ」
「お祭り?」
「本城の城下町になったんだ、盛大に祝うのさ」
【宿屋】
「さあ、今日こそは耳を揃えて貸した金を返してもらうよ」
「お願いです、もう少し待ってはもらえませんか?」
「今日まで延ばし延ばしにして来たんだ、もう待てないね」
「今すぐ全額お返しするなんて、とても無理です」
「だから、フィナンシェを妾にくれるならもう少し待ってやっても良いって言ってるんだよ」
〈宿屋の主人が来る〉
「あっ、村長。また来やがったな」
「どうするね?この宿屋が私の物になるか、フィナンシェが妾になるか、うん?」
「冗談じゃねえ、あんたなんかにフィナンシェをやれるかよ!」
「じゃあ、この宿屋は私の物だ。好きにさせてもらうよ。おい、ここは取り壊すぞ」
「へい!」
〈大男達が暴れ始める〉
「ちょっと、どうしたの?フィナンシェさん大丈夫?」
「七都さん」
〈七都達が入って来る。フィナンシェは借金の事を七都達に話した〉
「そんなのひどいわ」
「妾だなんてやらしい」
「元々この町は王家の物です。例え村長でもそのような勝手は許しません」
「何だって?この小娘が。そんじゃあ、あんたが借金の肩代わりをしてくれるとでも言うのかね?」
「良いでしょう。それなら文句は有りませんね」
「馬鹿馬鹿しい。お嬢ちゃん。あんたにこれだけの金が払えるのかい?」
「これだけで宜しいのね。どうぞお持ちなさい」
「ムムっ」
〈フィナンシェの差し出した金貨を見た町長は驚いて声も出ない〉
「フィナンシェちゃん。ちゃんと証文を貰っておくのよ」
「餡先生も来てくれた」
「ちくしょう!しょうがないね。ほらよ」
〈証文を叩きつけて去ろうとする村長の背中にフィナンシェの一言〉
「それから、もうこの町に村長はいりませんから。お下がりなさい」
「何であんたにそんな事言われなきゃなんないんだ?!」
〈フィナンシェはカツラを取る〉
「わたくしがこの国の女王だからです」
「あぅ、うぐっ、と、とんだ御無礼を。ど、どうかお許しください」
〈驚く人々〉
「(フィ、フィナンシェ様か…大きくなられたな…昔王妃様と来られた時は、こんなに小さかったのに…本当の事を話す時が来たのかも知れんな。こりゃえらい事になったぞ。ま、まあ、とにかく女官長様に相談するか?)」
【古城の女官長の部屋】
〈小間使いが入って来る〉
「女官長様、文が届いております」
「そうですか、ありがとう」
〈女官長は小間使いから受け取った手紙の封を開けて読んでみる〉
「これは宿屋の…(そうですか…フィナンシェ様がお気づきになるのも時間の問題…これはわたくしからお話しした方が良いのかもしれませんね)」
【侍従長の部屋】
「侍従長様、ちょっと宜しいでしょうか?」
「おや女官長。お入りなさい」
「失礼致します。ご相談したい事が有るのですが」
「何です?」
【古城近くの建設現場】
「ここに家が出来るのか?」
「お父さん」
「しイラ、お帰り」
「何してるの?」
「いやな、店をやるとなったら、漁に出なきゃなんねえだろ?」
「まあ、そうよね」
「船を用意しなきゃな」
「そっか、どうしよう?」
「作れば良いニャ」
「ヴェネツィーから大工も来てるんだが、材料がねえとな」
「木を切るニャ」
「森は魔物が出るしな」
「俺が行くニャ」
「おお!行ってくれるのか?!そんじゃあ、木こりを連れて行ってくれ」
「わかったニャ。俺に任せるニャ」
「今日はもう遅いから明日にしょう。私も一緒に行くよ」
【侍従長の部屋】
「それは本当ですか?!まさかそんな…」
「わたくしが王妃様から言い付かって、密かに」
「そうですか…貴女は王妃様のご出産の時そばについて居たのだから…そうですか…そんな事が…これは大変な事ですぞ」
「承知しております。双子と言えば当時は忌み嫌われ一人はその場で闇に葬られました。でも母となられた王妃様のお気持ちを思うと、どうしても出来ませんでした」
「それで貴女が?」
「フランツに居た親戚から、ちょうどその頃産まれたばかりの乳飲み子を亡くした夫婦の話しを聞いたのです。それでその宿屋の夫婦に預けました」
「しかし、何か証拠となる物は…?」
「王妃様の指輪を一緒に…それに確か背中に2つのホクロが斜めに有りました。これはフィナンシェ様と同じです。お生まれになった時拝見して、双子というものはこうまで同じなのかと驚きました」
「今の話しは本当なの?」
「フィナンシェ様」
「ごめんなさい、立ち聞きなんてはしたないですけれど、女官長を探してここまで来たら聞こえてしまったのです」
「フィナンシェ様…ええ、事実です。フィナンシェ様には双子の妹君がいらっしいます。お名前は」
「何と言うのです?わたくしの妹の名前は?」
「ショコラ様です」
「ショコラ。あの子がわたくしの妹のショコラなのね」
「しかし、本当にその宿屋の娘が姫様なのか確かめなくてはなりませんぞ」
「お母様の指輪と、背中にわたくしと同じホクロが有れば良いのでしょう?確かめてみます」
「わたくしも一緒に参ります」
「爺も参りますぞ。今日はもう遅うございます。明日になさいませ」
【フランツの町】
〈翌朝〉
「木こりの家はどこニャ?」
「オノさんちなら、ほれ、そこの家だよ」
「ありがとニャ」
【オノの家】
「おはようございます」
「迎えに来たニャ」
「あんたが猫魔かい?イサキから聞いてるよ「ドラゴンを倒した強えー猫が来るから一緒に行きゃ安心だ」ってな」
「私はイサキの娘のシイラです」
「おおっ、こんな可愛い娘が居たのかい?」
「可愛いだなんてそんな…」
「んじゃ、行くニャ」
〈モジモジするシイラをよそ目に出かける2人〉
「待ってよ」
〈慌ててついて行くシイラ〉
【宿屋】
「まさか!私がお姫様だなんて、そんな話し信じられるわけないでしょう。どうしちゃったのよ?お父ちゃん」
「信じられなくたって本当の話しなんだよ。もうすぐお迎えが来る」
「お迎えって何よ?私この家を出て行くの?そんなの嫌よ」
「お前の本当の名前はショコラ。ショコラ姫だよ」
「もう、お父ちゃんたら、やめてよ」
【森】
〈猫魔は魔物を倒しながら進む〉
「その辺りの木が良さそうだな。一緒に来てくれて助かったよ。一人じゃとてもここまで来れやしなかったぜ」
「手伝うニャ」
「有難いが、素人にはちと無理だ。魔物に邪魔されないように見張っててくれや」
「わかったニャ」
【フランツの町】
〈騎士達に護られて馬車が町に入って来る〉
「何だ?あの行列は」
「あれは…王家の紋章。女王様の馬車だ」
〈宿屋の前で馬車が止まり騎士隊長にエスコートされてフィナンシェが降りて来る。続いて女官長と侍従長が降りる〉
「やっぱりそうだ、女王様だ」
「フィナンシェ様!」
「わー!わー!」
「こら、そんなに近づいてはならん!」
「下がれ!」
〈いつの間にか人集りが出来ている〉
「フィナンシェ様!」
「わー!わー!」
〈フィナンシェが微笑むといっそう騒がしくなる〉
「わー!フィナンシェ様!」
「わー!わー!」
「ええい、下がれと言っているのに!」
【森】
「フー…これだけ有れば良いだろう」
〈大きな木が切り倒されている〉
「これを運ぶにょか?」
「ああ、船大工の所までな」
「ちょっと休憩してから帰ろうよ。はい、お弁当」
「わーい、魚ニャ」
【宿屋】
〈フィナンシェが入って来る。続いて侍従長、女官長、騎士隊長が入る〉
「フィ、フィナンシェ様(ほ、本当にいらっしゃった。うちの子を迎えに、本当に…)」
「こんにちは」
〈微笑むフィナンシェ。固まる宿屋の主人〉
「娘に会いたいのですけど」
「はい、女官長様。た、ただいま呼んで参ります」
〈宿屋の主人は奥に娘を呼びに行く〉
「おーい、フィナンシェ。フィナンシェは居るか?」
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