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第12章 新しく入ったバイトですぅ

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【天然石ショップLapis】

「あ、オーナー、おはようございますぅ」

「おはようございます」

この前の、シトリンのタンブルを持ってこられたお客様だけど…

「ここでバイトさせてもらう事にしましたー。宜しくお願いしますぅ」

「そうなんだ…宜しく。お腹の具合はどう?」

「少し良い感じ?本当に石のおかげなのかな?だったら凄いよね。だからここでバイトしようと思ったんですぅ」

「篠崎さん。仕事中は職場にふさわしい言葉遣いをしてください」

「はぁーい。エヘッ、店長さんに怒られちゃった」

「篠崎さん」

「由良で良いですぅ」

「由良ちゃん、ちょっとおいで」

【セッションルーム】

「ここに入るんですかぁ?」

「どうぞ」

「失礼しまーすぅ。ベッドなんか置いて有って…由良に変な事しないでくださいねぇ」

「ベッドは、施術する為に置いてあるの。変な事なんてしないから、そこに寝てご覧」

「えーっ?やっぱり危ない事しようと思ってるぅ」

やれやれ…

「ヒーリングするだけだよ」

「えー?やってもらえるんですかぁ?。お願いしますぅ」

足元からクリスタルを並べる。

「何してるんですかぁ?」

「グラウンディングするんだよ」

「今度は何してるんですかぁ?」

「オーラクリーニング」

「オーラクリーニング?」

「興味有るなら後で教えてあげるから、今は黙って目を閉じてリラックスして」

「はぁーい」

ローズクォーツのワンドで浄化したらエネルギーを交換だ。

それからまたオーラクリーニングして、今度はペンデュラム。

やっぱり第2と第3チャクラの辺りだな。

ペンデュラムが激しく動いてる。

止まるまで念入りにヒーリングしたら、オーラクリーニングして終了だ。

「起きてるかい?」

「ふぁ~~~気持ち良かったぁ」

「終わったよ」

「ありがとうございました。あ、これって社員割引き出来ます?」

「良いよ、料金は貰わなくても」

「良いんですかぁ?ありがとうございますぅ。じゃあブレス買おうかな?社割りで」

「社割り有るよ」

「何が良いかなあ?」

「君に必要な石は、やっぱりシトリンとか、このあたりの黄色い石だね」

「やっぱりですかぁ。疲れやすいしなぁ」

「それならアベンチュリンだな。シトリンと相性も良いしね」

「お店に有るかなぁ?シトリンとアベンチュリンのやつ」

「作ってあげようか?」

「はいー。お願いしますぅ」

【工房】

由良ちゃんが、工房までついて来た。

せっかくだから、石を選んでもらおうかな。

「アベンチュリンとシトリン。それから水晶。好きなのいくつか選んで」

「え?自分で選ぶんですかぁ?」

「左手で握って、気持ち良いのを選ぶんだよ」

「はぁーい」

店に並べているのは、僕が選んだ石で作ってあるけど、セッションをしたお客様は、その場で選んでもらって作るんだ。

「選びましたぁ。これで良いですかぁ?」

「うん、大丈夫。じゃあ作るね」

デザインボードに並べる。

8mアベンチュリン×12

8mmシトリン×6

6mm水晶×6

「シトリンの方が少ないんですね」

ちょっと不満そうな顔してるな。

シトリン×12

アベンチュリン×6

水晶×6

こっちも見せてエネルギーを感じれば納得してくれるかな?

「どう?」

「やっぱりこっちが良いー」

「でしょう?エネルギー的にこっちが良いと思うよ。そっちはちょっと君には強い」

「グリーンが多い方が綺麗ですぅ」

納得してくれたところで作りますか。

「うーん、綺麗だね~。由良ちゃんの健康のサポート頑張るんだよ」

「オーナー、石とお話ししてるー」

「いつも石の精霊と話しながら作るんだよ」

「精霊って、フェアリー?」

「石のエネルギーと話すんだ」

「意味が良くわかりませんっ」

「石のエネルギーの事を、精霊って呼んでる」

「益々わかりません」

「君は、お花とお喋りしない?」

「しますよー」

「それと同じだね」

「ふーん…」

「出来たよ」

「わーい、ありがとうございますぅ」

「1日浄化するから、明日だね」

「待ち遠しいですぅ」

「あ、私サボり過ぎー。売り場戻りますぅ」

「フッ」

面白い子だな。

でも良い子だ。

だから麻友さんが採用したんだろうね。

スタッフの面接は全て彼女がやるからな。

僕が面接すると、タイプの女性を選ぶといけないとか何とか言ってたっけ。

「だから私がします」って言うから任せてある。

【駅前】

さて、今日はLapisのご飯は買わなくて良いし、真っ直ぐ帰るかな。

「こんばんは。今帰りですか?」

「こんばんは」

「今日は早いんですね」

「え?同じ時間だよ。ドラッグストアに寄らなかったからかな?」

「そうなのね。うちはまだこれから、夜のお店とかにプレゼントでお花を買って行ってくださるお客様がいらっしゃるから」

「そうなんだね」

「(残念だわ。もう少し遅く通りかかってくれたら一緒に帰れたのに)」

「じゃあ、またね」

「お疲れ様」

【天空路家】

「ニャー(パパちゃん)」

「Lapisただいま、お腹空いたか?」

「ニャーニャー(寂しかったわ)」

【キッチン】

あ、また食べてないな。

「どうしてパパちゃんが居ないと食べられないんだよ」

「ニャー(お腹空いたわ。早くちょうだい)」

「はい、どーじょ」

あれ?

食べないぞ。

「どーじょ」

あ、食べた。

犬じゃないんだから「待て」を教えたわけじゃないのに、お行儀良く座って待つんだよな。

僕の顔見て待ってて「どーじょ」って言わないと食べない。

「Lapisはお姫様だね~」

「(もっとちょうだい)」

「良い子に食べまちゅね。たくさん食べるんだよ」

【bar】

「残念だったな、天空路さんもう少し遅く帰ってくれたら一緒に駅まで行けたのに」

「時々一緒に帰ってるの?」

「1度だけよ」

「でもさ、毎日通りかかるんだから、チャンスは有るわよね」

「素子なんて、この前彼の家に行ってたのよね」

「アハ、ま、まあ良いじゃないですか」

「素子。天空路さんとやり直すき気?」

「ま、まさか!だ・か・ら・キャットフード届けに行ってだけって、言ってるじゃないですか(あれから会ってないし)」

「変な関係よね、美容室には毎月来るんでしょ?」

「はあい、来ますよ。ったく、何考えてるんだか天空路。あ、そう言えばそろそろ来るな」

【天然石ショップLapis】

「オーナー。私のブレス出来てますぅ?」

「もう良い頃だね」

「うわぁ、楽しみですぅ!」

「はい、由良ちゃんのブレス」

「わー、凄い良い感じ。綺麗ですぅ」

「ふわっと優しいけど、しっかりしたエネルギーだよ」

「何か気持ち良い」

「木漏れ日を浴びながら森林浴してる感じだね。アベンチュリンは、疲労回復、眼精疲労回復、健康維持促進、老廃物の排除、自律神経…」

「私も勉強しましたよ。精神的にも良い作用が有るんですよねー」

「有るね」

「ストレス解消、対人関係の改善…あと、家庭円満とかも」

「うん。良く覚えたね」

「お仕事ですからぁ。それに、色々わかると楽しいですぅ」

「そうか、それは良かった。後はね、アベンチュリンは、病気の回復を助けるんだよ」

「凄く偉い子ですね。シトリンも胃腸の働きを助けるし、黄色い石は金運も有りますよね」

「そうだね。シトリンは精神面では、気力回復、憂鬱の改善、激しい感情を鎮めるというような効果も期待出来るね」

「益々シトリンちゃんが好きになっちゃいましたぁ」

嬉しそうだね。

「そのブレスは、心も体もケアするベテラン看護師さんみたいだよね」

「なるほどぉ、本当にそうですぅ」

僕は『フローレンス・ナイチンゲール』って名前をつけたけど、由良ちゃんは何てつけるかな?

石の精霊達。

由良ちゃんが元気になるように頑張るんだよ。

【公園前の美容室】

「あ、遊ちゃん、いらっしゃい(本当に毎月来る気よね。ま、良いわよ、そういう人だってわかってたし)今日はどうする?」

「お任せ」

「一応聞いてみただけー。好きにさせてもらうわよ」

まあ、素子ちゃんに任せておけば、ちゃんとカッコ良くしてくれるからね。

「遊ちゃんの髪、前より癖強くなってるわよね」

「そうだね。だから、なるようにしかならないよ」

「遊ちゃん面倒くさがりやだから手ぐしだもんね。自分でも形つくようにカットしとくわよ」

「うん」

素子ちゃんにカットしてもらうと、ひと月たっても良い感じなんだよな。

「(ああ、何か別れたのに何も変わってない感じ?裏を返せば、付き合ってた時もこんな感じだったって事よね。ちゃんと恋人だったんだけど、プラトニックだったしね…)」

ふあ~

眠くなっちゃった。

「(何も始まって無かったのかな?これからまた始める?やだ、何考えてるのよ!終わったのよ、終わったの!)」

居眠りしそうだ…

「遊ちゃん。どう?」

「うん。良い感じ」

「はい、お疲れ様」

「ありがとう」

「(この関係いつまで続くんだあ?この人平気でこの先もずっと来るわよね)はあ…」

「素子ちゃん、恋人出来た?」

「出来ないわよ!」

「何か怒ってる?まずい事言ったかな?」

「誰のせいよ」

「え?僕?何か悪い事した?」

「もう良いわよ(こういう人だからね、遊ちゃんは…でも優しくて好き…じゃない、好きじゃない!)」

「じゃあね」

「ありがとうございました…はあ…(本当はまだ好きなのかな?)」

【bar】

「ああ、もう今日は呑もう。頭がおかしくなりそう」

「どうしたのよ?素子」

「どうって事無いんですけどね…」

「何か有った?」

「今日、宴先輩は来ないんですかねえ?」

「ここんとこ来てないよ」

「(合わす顔が無いわよね…まだ遊ちゃんと会ってるんだから)」

「本当にどうしたのよ、素子」

「ああ、私…遊ちゃんの事忘れられてないみたいです」

「そうか。まあ、良いんじゃない?別れたってそう直ぐに忘れられるもんじゃないわよ」

「宴先輩には内緒にしてくださいよー」

「わかってるって。さ、ほら、呑も呑も」

「酔ったら介抱してくださいねー」

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