自傷をする少女の話

朱華

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自傷をする少女の話

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 あーあ。また、やっちゃったなぁ。痛いや。

 だけど、何故か安心するんだよなぁ。

 少女の左腕の傷口から、鮮血が湧き出る。しかし、少女はそのまま血を見つめている。

 痛いけど、痛くない。この傷は、そんなに痛くない。

 あぁ。そっか。

 

 心の奥のキズが……痛いんだ。

 何故か心がぽっかり空いたような。

 やっと、わかった気がする。
 
 最近、『これ』がやめられない理由を。




 その少女の左腕には、たくさんの切り傷があった。逸れは、カッターで切った跡だった。逸れだけではない。

 右手首には、歯型のような跡がある。噛んだ跡なのだ。

 少女は、傷口にガーゼを当てると、包帯を巻いた。包帯を巻けばバレないからだ。友達にも、先生にも、家族にも。何か言われれば、筋肉痛なの。とでもいえばいいからだ。


 カッターが無いと、落ち着かないのは可笑しくなんてないよね?

 『こんなこと』をしてるのは……


 リスカしてるのは……可笑しくないよ……ね?
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