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愛は試されているか?
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ぷらっと遊びに来た神社で。
「子ども、いいなぁ」
琴子が、ぽつりと言った。
彼女の長い黒髪が、風にさらさらとなびいている。
その様に見惚れていた私は、彼女の言葉を聞き目を見開いた。
彼女の視線の先には、お子さん連れのご家族が居る。若いお父さん(もしかしたら、年の離れたお兄さんかも)と女の子とか。お母さんと叔母さんあるいはお友だちと、女の子とか。そんな色んな組み合わせのご家族たち。
彼ら彼女らを見つめる瞳は、どこかうっとりと夢見がちだ。目を細め、眩しそうに彼の人たちを見つめる眼差しには、愛おしさすらある。
「琴子……?」
ふと不安を覚え、思わず名前を呼んだ。すると琴子はこちらを向き、
「だから、あのね」
何やら言いにくそうに、もじもじし始める。
彼女の様子に、不安はより大きくなった。心臓が、ばくばくと速くなる。
(もしかして、子ども欲しくなったから別れたい……とか言われたりする!?)
つ、と背中に冷たい汗が流れた。
琴子とは、高校の頃からかれこれ十年以上付き合っている。別れることになるかもなんて、思い付きもしなかった。それくらい、隣に居るのが当たり前の存在。
『ミコトちゃんって言うんだ。私、琴子って名前なの。似てるなぁって思ったから声かけちゃった』
『確かに。漢字しりとり出来そう』
『実琴、琴子……って?』
『そう』
『あはは、次に続く言葉思い付かんわー』
そんなしょうもない会話から始まった。けど、あの会話は、いま思い出しても好きだなと思えるものだ。
(別れるなんて、嫌だ。でも、琴子を縛るのはもっと嫌だし……っ)
琴子が好きだ。このままずっと一緒に居たい。
けれど、琴子が好きだからこそ、琴子の好きなように生きて欲しいという気持ちが近年しっかりと育ってきている。
愛が試されている──ッ!
私が、腹に力を込め、どんな発言も受け止める覚悟を決めたところで。
「今日、赤ちゃんプレイしたいなあって」
と、大真面目な顔と声で、彼女は言った。
確かにそう言った。
赤 ち ゃ ん プ レ イ と。
「……」
ゴッ
「ちょっ、そんな殴るようなことかなあ!?」
思わず手が出たのは、許されたい。
「子ども、いいなぁ」
琴子が、ぽつりと言った。
彼女の長い黒髪が、風にさらさらとなびいている。
その様に見惚れていた私は、彼女の言葉を聞き目を見開いた。
彼女の視線の先には、お子さん連れのご家族が居る。若いお父さん(もしかしたら、年の離れたお兄さんかも)と女の子とか。お母さんと叔母さんあるいはお友だちと、女の子とか。そんな色んな組み合わせのご家族たち。
彼ら彼女らを見つめる瞳は、どこかうっとりと夢見がちだ。目を細め、眩しそうに彼の人たちを見つめる眼差しには、愛おしさすらある。
「琴子……?」
ふと不安を覚え、思わず名前を呼んだ。すると琴子はこちらを向き、
「だから、あのね」
何やら言いにくそうに、もじもじし始める。
彼女の様子に、不安はより大きくなった。心臓が、ばくばくと速くなる。
(もしかして、子ども欲しくなったから別れたい……とか言われたりする!?)
つ、と背中に冷たい汗が流れた。
琴子とは、高校の頃からかれこれ十年以上付き合っている。別れることになるかもなんて、思い付きもしなかった。それくらい、隣に居るのが当たり前の存在。
『ミコトちゃんって言うんだ。私、琴子って名前なの。似てるなぁって思ったから声かけちゃった』
『確かに。漢字しりとり出来そう』
『実琴、琴子……って?』
『そう』
『あはは、次に続く言葉思い付かんわー』
そんなしょうもない会話から始まった。けど、あの会話は、いま思い出しても好きだなと思えるものだ。
(別れるなんて、嫌だ。でも、琴子を縛るのはもっと嫌だし……っ)
琴子が好きだ。このままずっと一緒に居たい。
けれど、琴子が好きだからこそ、琴子の好きなように生きて欲しいという気持ちが近年しっかりと育ってきている。
愛が試されている──ッ!
私が、腹に力を込め、どんな発言も受け止める覚悟を決めたところで。
「今日、赤ちゃんプレイしたいなあって」
と、大真面目な顔と声で、彼女は言った。
確かにそう言った。
赤 ち ゃ ん プ レ イ と。
「……」
ゴッ
「ちょっ、そんな殴るようなことかなあ!?」
思わず手が出たのは、許されたい。
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