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67ちょっとヤバいな、これ
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「どうだ? 理不尽になすがままにされる気分は?」
終末の化け物の形から話せるなんて思わなかったから、驚いたが、族長ルナの声じゃない。
そして化け物が話している途中で、突然魔法が発動する気配を感じた。
俺に向かい、未知の魔法が襲う。
もちろん、俺は咄嗟にバックステップで逃げた。
だが。
「なんだ、これ……?」
俺が疑問の声をあげるのも無理ないと思って欲しい。化け物が魔法で攻撃した後、その姿を更に変化させ、理解できない物体となっていった。それは無数の触手……無数の蔦のような触手が俺の目の前に現れた。
「アル君、それがその化け物の本当の姿だよ!」
アリーが教えてくれた。終末の化け物の本性、それは、本来、決してこの世に存在している筈もないもの。本来であれば、決してある筈のない異形のものなのだ。生きる者、例え魔物であったとしても生きているという事を理解できる形をしている。だが、化け物の本性には生き物として当たり前のそれがなかった。
「アル君! 気をつけて! 私も聖伝の終末の化け物の事、良く知らない。何なのかな、あれ? というか、どうやって戦えばいいのかな?」
「わからない。だけど……あれは、この世界を終末へ導く存在だ。この世界から細胞の一片だって存在を許しておくわけにはいかない!」
「ア、アル! 気を付けて……情け無いけど、さっきから膝が笑って力が入らない位。でも、ここで踏ん張らないとね……」
「心配するなクリス……必ず俺達は勝つよ」
「良いものだな。仲間とは……一人づつ殺したら、さぞかしいい声で怨嗟の声をあげるのであろう。殺させてもらうぞ。我の力……見るがいい」
「お前は一体何者なんだ?」
族長ルナが変化した化け物は族長とは違う声。
男の声、喋り方も違う。
「我は邪神により創造されしもの。このルナという女の醜い心を吸い取って力を得た。このルナという女は我が主と取り引きをしたのだ。我をその身体に住まわせることを条件に魔道具と永遠の美貌と命を与えた」
「族長の醜い心を食ったのか?」
「ああ、我の力の源は醜い心、恐怖、畏怖、蔑み、嫉妬、恨み、ありとあらえる負の感情が我の糧となる。この女の怨嗟と欲望への忠実な渇望、心地よく、また美味かったぞ」
「一つ聞く、族長ルナの欲望は彼女自身のものだったのか?」
「もちろん、あの女のモノだ。もっとも、欲望も羨望も誰でも持っているものだがな。我がそれを増大させてやった。この女は不遇な人生から人への羨望、妬み、嫉みが強かったからな。それに乗じて心を乗っ取った。だからと言って許される罪ではないがなぁ!」
「こ、こいつ!!」
不遇な族長の心につけ込み、その身体と心を奪い、欲望を増大させたのか。
こいつ、鬼だ。
人の心の弱いところにつけ込み、罪を犯させる。
確かにだからと言って族長の罪が消える訳ではない。
「この卑怯者!!」
「たわけ、弱い存在であるのがいかんのだろう!」
化け物はたくさんの触手を俺に向かって襲い掛からせた。ギリギリギリ! 異音を奏でて襲い掛かってくる触手の蔦はかなりの数だが、俺の剣の腕前によってたちまちいくつががブツブツと切り裂かれる。しかし、それは戦術を間違えていたようだ。
「くっ!?」
「アル?」
「アル君?」
「ご主人様?」
切り裂いた触手から毒々しい色の液体が飛び散り、その一部が俺の身体にかかった。すると、ジュワっという音と共に煙が上がり、俺の服が激しく焼けただれてしまう。
「毒液か? 魔物にそういう類のものもいるけどお前もまさにそうだったとはな!」
「アル! 気を付けて!」
「ああ、わかっているよ。クリス」
俺が斬りつけた触手は10にも及ぶのに、触手たちは分裂、再生を繰り返し、再び先ほどとほぼ変わらない数になる。少し位の斬撃では、大したダメージを与えられないようだ。敵の数が圧倒的であり、しかも下手に反撃すればこちらの方が甚大なダメージを負うことになる。俺はダメージを与える術がなく、回避に徹するしかない。だが、いつまでもこんなことを続けていれば、俺の体力が底をついた時が俺の敗北の時となる。
「それなら!!!!」
俺の叫びと共にゴウッと唸りを上げて、剣に聖なる力が渦巻く。それは、魔族をもってしても目を見開き、恐怖するしかないものの筈だ。俺がありたけの魔力を集めるて光魔法を濃密に聖剣に注ぎ込んだ、そして最後の斬撃。
不知火流剣刀術
紫電一閃
『陽炎』
化け物は、その攻撃が自身にとって危険であることは理解していただろう。だが、理解していてもそれを避ける術はなかった。俺の奥義は彼に逃げる場所等与えなかったのだ。周囲数十メートルがその影響範囲なのだ。そして、ヤツは少しでも防御する為だろう。触手が集まり、再び元のドロドロの塊のような液体へと変わる。そして、魔力を駆使して、魔法壁を作り、防御態勢を必死に整える。そんなヤツを俺の聖剣の聖なる魔力の翻弄と雷撃を飲み込む。
「人にしておくのは惜しいな……だが、その程度で我を倒すことができると考えていたのであれば、あまりに甘いな」
化け物の声の直後、輝く聖なる力の魔力が消えてった後には、一切ダメージを受けていない化け物の姿があった。いや、少し位はダメージ受けていると信じたい、しかし、ヤツはなお、そこに無傷であり続けていた。
「なんだと……」
そして、再びヤツの触手が多数の蔦に姿を変えると、蔦の触手が剣の形に姿を変え、触手の剣は俺の身体を貫いていた。
終末の化け物の形から話せるなんて思わなかったから、驚いたが、族長ルナの声じゃない。
そして化け物が話している途中で、突然魔法が発動する気配を感じた。
俺に向かい、未知の魔法が襲う。
もちろん、俺は咄嗟にバックステップで逃げた。
だが。
「なんだ、これ……?」
俺が疑問の声をあげるのも無理ないと思って欲しい。化け物が魔法で攻撃した後、その姿を更に変化させ、理解できない物体となっていった。それは無数の触手……無数の蔦のような触手が俺の目の前に現れた。
「アル君、それがその化け物の本当の姿だよ!」
アリーが教えてくれた。終末の化け物の本性、それは、本来、決してこの世に存在している筈もないもの。本来であれば、決してある筈のない異形のものなのだ。生きる者、例え魔物であったとしても生きているという事を理解できる形をしている。だが、化け物の本性には生き物として当たり前のそれがなかった。
「アル君! 気をつけて! 私も聖伝の終末の化け物の事、良く知らない。何なのかな、あれ? というか、どうやって戦えばいいのかな?」
「わからない。だけど……あれは、この世界を終末へ導く存在だ。この世界から細胞の一片だって存在を許しておくわけにはいかない!」
「ア、アル! 気を付けて……情け無いけど、さっきから膝が笑って力が入らない位。でも、ここで踏ん張らないとね……」
「心配するなクリス……必ず俺達は勝つよ」
「良いものだな。仲間とは……一人づつ殺したら、さぞかしいい声で怨嗟の声をあげるのであろう。殺させてもらうぞ。我の力……見るがいい」
「お前は一体何者なんだ?」
族長ルナが変化した化け物は族長とは違う声。
男の声、喋り方も違う。
「我は邪神により創造されしもの。このルナという女の醜い心を吸い取って力を得た。このルナという女は我が主と取り引きをしたのだ。我をその身体に住まわせることを条件に魔道具と永遠の美貌と命を与えた」
「族長の醜い心を食ったのか?」
「ああ、我の力の源は醜い心、恐怖、畏怖、蔑み、嫉妬、恨み、ありとあらえる負の感情が我の糧となる。この女の怨嗟と欲望への忠実な渇望、心地よく、また美味かったぞ」
「一つ聞く、族長ルナの欲望は彼女自身のものだったのか?」
「もちろん、あの女のモノだ。もっとも、欲望も羨望も誰でも持っているものだがな。我がそれを増大させてやった。この女は不遇な人生から人への羨望、妬み、嫉みが強かったからな。それに乗じて心を乗っ取った。だからと言って許される罪ではないがなぁ!」
「こ、こいつ!!」
不遇な族長の心につけ込み、その身体と心を奪い、欲望を増大させたのか。
こいつ、鬼だ。
人の心の弱いところにつけ込み、罪を犯させる。
確かにだからと言って族長の罪が消える訳ではない。
「この卑怯者!!」
「たわけ、弱い存在であるのがいかんのだろう!」
化け物はたくさんの触手を俺に向かって襲い掛からせた。ギリギリギリ! 異音を奏でて襲い掛かってくる触手の蔦はかなりの数だが、俺の剣の腕前によってたちまちいくつががブツブツと切り裂かれる。しかし、それは戦術を間違えていたようだ。
「くっ!?」
「アル?」
「アル君?」
「ご主人様?」
切り裂いた触手から毒々しい色の液体が飛び散り、その一部が俺の身体にかかった。すると、ジュワっという音と共に煙が上がり、俺の服が激しく焼けただれてしまう。
「毒液か? 魔物にそういう類のものもいるけどお前もまさにそうだったとはな!」
「アル! 気を付けて!」
「ああ、わかっているよ。クリス」
俺が斬りつけた触手は10にも及ぶのに、触手たちは分裂、再生を繰り返し、再び先ほどとほぼ変わらない数になる。少し位の斬撃では、大したダメージを与えられないようだ。敵の数が圧倒的であり、しかも下手に反撃すればこちらの方が甚大なダメージを負うことになる。俺はダメージを与える術がなく、回避に徹するしかない。だが、いつまでもこんなことを続けていれば、俺の体力が底をついた時が俺の敗北の時となる。
「それなら!!!!」
俺の叫びと共にゴウッと唸りを上げて、剣に聖なる力が渦巻く。それは、魔族をもってしても目を見開き、恐怖するしかないものの筈だ。俺がありたけの魔力を集めるて光魔法を濃密に聖剣に注ぎ込んだ、そして最後の斬撃。
不知火流剣刀術
紫電一閃
『陽炎』
化け物は、その攻撃が自身にとって危険であることは理解していただろう。だが、理解していてもそれを避ける術はなかった。俺の奥義は彼に逃げる場所等与えなかったのだ。周囲数十メートルがその影響範囲なのだ。そして、ヤツは少しでも防御する為だろう。触手が集まり、再び元のドロドロの塊のような液体へと変わる。そして、魔力を駆使して、魔法壁を作り、防御態勢を必死に整える。そんなヤツを俺の聖剣の聖なる魔力の翻弄と雷撃を飲み込む。
「人にしておくのは惜しいな……だが、その程度で我を倒すことができると考えていたのであれば、あまりに甘いな」
化け物の声の直後、輝く聖なる力の魔力が消えてった後には、一切ダメージを受けていない化け物の姿があった。いや、少し位はダメージ受けていると信じたい、しかし、ヤツはなお、そこに無傷であり続けていた。
「なんだと……」
そして、再びヤツの触手が多数の蔦に姿を変えると、蔦の触手が剣の形に姿を変え、触手の剣は俺の身体を貫いていた。
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