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62冒険者ギルドの憂鬱2
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試験官Side
「普通に考えると、明らかに頭おかしい少年だ」
俺は魔力0にもかかわらず魔法に勝る攻撃を見せたあの少年のことを思い出していた。
「あの少年、俺のこと恨んであの指パッチンで殺そうとしたりしないかな?」
俺はじんわり涙が浮かんで来た。
怖いでち。
きっとあれは魔族か悪魔に違いない。
人間な訳がない。
そんな風に落ち込んでいると、受付嬢のクロエちゃんが駆け込んでいた。
「た、大変なの! ノアお兄ちゃんの筆記試験がぁ!!」
一体、ノア君の筆記試験がどうしたんだと言うんだ?
まあ、今更少しくらいのことでは驚かんが。
「ノアお兄ちゃんの筆記試験が全問正解です!! そ、それに……」
「何だ、そんなことか?」
俺、ちょっとおかしくなってるよな?
「クロエちゃん、安心しろ。どうせノア君が頭おかしいレベルの筆記試験の結果を見せたのだろう? 心配するな、彼は魔法試験も頭おかしかったぞ。魔法使ってないけど……」
「ギルド長……それ、何の説明にもなっていないよ。ギルド長おかしくなってゆよ」
うう。言われてみるとそうかもしれん。
今まで全問正解した新人冒険者はいなかったような気がするが、あのノア君だと、あ? やっぱりなとしか思えん。
「いえ、それに問題はそこじゃないの!!」
「いや、もう勘弁してくれないかな? 未だ、何かあるのか?」
もう、これ以上は勘弁して欲しいです。
「魔法の学科試験の量子魔法学の問題。回答外に確率統計学を用いると簡単に解けるよ(笑)と書いてあって、例として、魔法素粒子の軌道計算式、確率統計学の公式を適用して解いてあったのですが、見事観測結果に一致……念のため、王立魔法学園に打診してみたのですが……今、今世紀最大の発見だと大騒ぎになってるの!」
「はぁ?」
もう、ヤダあの子。怖すぎるでち。
「ギルド長、これは、一ギルドには荷が重すぎる問題ですぞ。ギルド連盟長経由で、国王陛下にご報告をした方が?」
俺に声をかけたのは副ギルド長のクルゥだった。
「た、確かにそうだな、クロエちゃん、試験結果と試験に関するレポートをまとめて、ギルド連盟長宛に国王陛下にご報告くださいと、至急魔法通信を送ってくれ」
俺は安堵した。
一時はどうすればいいかと思ったが、連盟長や国王に丸投げできそうだ。
「ギルド長……もしかしたら、彼は魔王かもしれません」
「!?」
確かにあんな頭おかしいレベルの少年は魔王だと言われた方が理解できる。
「なあ、副ギルド長、彼を冒険者になんてしていいんだろうか?」
「実は私もちょっと、心細くなって来ました」
☆☆☆
ギルド長バーニィと副ギルド長のクルゥはノアが魔王ではと疑い始めたが、彼らは毎日本物の魔王を可愛がって頭をなでなでしたり、クロエちゃん可愛いねと魔王を溺愛していた。
彼らがクロエの正体を知った時、どんな顔をするのだろうか?
一方、アシュフォードの冒険者ギルドからの発信で王立魔法協会の理事長の耳にこの情報が入ることになる。
もちろん理事長はそれが最果てのダンジョンに追放刑になったノア・ユングリングその人だと言うことにすぐに気が付く。
それは人類にとっては魔王の降臨以上に危険なこととは二人は知る由もない。
また、ノアの今後の活躍が原因でノアの実家のユングリング家はドンドンと没落していくことになるということももちろん知らない。
物語はいよいよユングリング家の落日に向かって突き進んでいた。
「普通に考えると、明らかに頭おかしい少年だ」
俺は魔力0にもかかわらず魔法に勝る攻撃を見せたあの少年のことを思い出していた。
「あの少年、俺のこと恨んであの指パッチンで殺そうとしたりしないかな?」
俺はじんわり涙が浮かんで来た。
怖いでち。
きっとあれは魔族か悪魔に違いない。
人間な訳がない。
そんな風に落ち込んでいると、受付嬢のクロエちゃんが駆け込んでいた。
「た、大変なの! ノアお兄ちゃんの筆記試験がぁ!!」
一体、ノア君の筆記試験がどうしたんだと言うんだ?
まあ、今更少しくらいのことでは驚かんが。
「ノアお兄ちゃんの筆記試験が全問正解です!! そ、それに……」
「何だ、そんなことか?」
俺、ちょっとおかしくなってるよな?
「クロエちゃん、安心しろ。どうせノア君が頭おかしいレベルの筆記試験の結果を見せたのだろう? 心配するな、彼は魔法試験も頭おかしかったぞ。魔法使ってないけど……」
「ギルド長……それ、何の説明にもなっていないよ。ギルド長おかしくなってゆよ」
うう。言われてみるとそうかもしれん。
今まで全問正解した新人冒険者はいなかったような気がするが、あのノア君だと、あ? やっぱりなとしか思えん。
「いえ、それに問題はそこじゃないの!!」
「いや、もう勘弁してくれないかな? 未だ、何かあるのか?」
もう、これ以上は勘弁して欲しいです。
「魔法の学科試験の量子魔法学の問題。回答外に確率統計学を用いると簡単に解けるよ(笑)と書いてあって、例として、魔法素粒子の軌道計算式、確率統計学の公式を適用して解いてあったのですが、見事観測結果に一致……念のため、王立魔法学園に打診してみたのですが……今、今世紀最大の発見だと大騒ぎになってるの!」
「はぁ?」
もう、ヤダあの子。怖すぎるでち。
「ギルド長、これは、一ギルドには荷が重すぎる問題ですぞ。ギルド連盟長経由で、国王陛下にご報告をした方が?」
俺に声をかけたのは副ギルド長のクルゥだった。
「た、確かにそうだな、クロエちゃん、試験結果と試験に関するレポートをまとめて、ギルド連盟長宛に国王陛下にご報告くださいと、至急魔法通信を送ってくれ」
俺は安堵した。
一時はどうすればいいかと思ったが、連盟長や国王に丸投げできそうだ。
「ギルド長……もしかしたら、彼は魔王かもしれません」
「!?」
確かにあんな頭おかしいレベルの少年は魔王だと言われた方が理解できる。
「なあ、副ギルド長、彼を冒険者になんてしていいんだろうか?」
「実は私もちょっと、心細くなって来ました」
☆☆☆
ギルド長バーニィと副ギルド長のクルゥはノアが魔王ではと疑い始めたが、彼らは毎日本物の魔王を可愛がって頭をなでなでしたり、クロエちゃん可愛いねと魔王を溺愛していた。
彼らがクロエの正体を知った時、どんな顔をするのだろうか?
一方、アシュフォードの冒険者ギルドからの発信で王立魔法協会の理事長の耳にこの情報が入ることになる。
もちろん理事長はそれが最果てのダンジョンに追放刑になったノア・ユングリングその人だと言うことにすぐに気が付く。
それは人類にとっては魔王の降臨以上に危険なこととは二人は知る由もない。
また、ノアの今後の活躍が原因でノアの実家のユングリング家はドンドンと没落していくことになるということももちろん知らない。
物語はいよいよユングリング家の落日に向かって突き進んでいた。
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