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68攫った女の子が聖女だった件
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「ねえ? 俺もしかして人攫いの罪で牢獄にぶち込まれんじゃない?」
「ノア君、安心して♪ アリスはいつまでも待ってるからね♪」
「ぼ、僕だって死ぬまで待っています!」
「もちろん、わたくしだって、ノア様のことずっと待っているのです」
みんな殊勝なこと言ってるけど、同罪だよね?
さり気なく俺だけの罪にするとか酷くねえ?
「お兄ちゃん。リナのせゆでごめんね。後でちゃんと牢獄に差し入れ持って行ゆからね」
まさかの張本人にすら突き放された。
ちょっと聞き、殊勝なように聞こえるけど、みんな俺にだけ罪押し付ける気だろ?
しかし、この子を何とかして家へ無事返してあげれば問題は解決する筈。
ならば。
「ねえ、リナちゃん。お家は何処なの? 送って行くからさ」
「リナ、おうちに帰りたくないゆ」
「そうは言っても絶対みんな心配してるよ」
「……あの人達は心配なんてしてない。リナは自由が欲しい」
そう言えばこの子、両親がいないかのようなことを?
「ねえ、君はどこの子? 何か悩みがあるの? 良かったらお兄さんに話てくれないかな?」
「リナのこと心配してくれるの? おじちゃん?」
今、おじちゃんとか言った?
気のせいだよな?
「……ごめゆ、お兄ちゃん」
よし、一瞬殺意が湧いたけど、許してやろう。俺は心が広いんだ。
その辺にほったらかせば良いことに気がついて、実践しようとしたけど止めておこう。
「話してごらん」
「リナ……。聖女なの」
「は?」
俺は一瞬頭がグルグルしたけど、事態が少し飲み込めて来た。
聖女、能力の中でも勇者の次点に来るほどの優秀な能力。
しかし、この子はまだ能力を授かる年齢ではない。
そして俺達の目的の聖剣教、そこに最近聖女が降臨したという噂を聞いた。
つまり、この子は。
仮初の聖女だ。
俺、やばくねえ?
新興宗教とか絶対盲目的なヤバイ奴らの集団に違いない。
俺は聖女を売ることにした。
背に腹は変えられん。
「リナちゃん。君は聖女なんだろ? それは聖剣教で聖女の役目をしてるんだろ? 帰らないと皆心配するよ」
「リナは聖女だからこそ、助けを呼びにいかなきゃいけないゆ。お父さんが罪を犯しているゆ」
「助け?」
「ノア君、何か犯罪の香りがするよ?」
「そうですご主人様、これは人攫いを誤魔化すいいチャンスです」
「勇者のわたくしとしては放置できない話なのです」
俺はどうも事件に巻き込まれたことを知った。
だが。
「なら、リナちゃん。君を連れて聖剣教の教会に連れて行ってくれないか? 助けが欲しいなら俺が助けてあげるよ」
「で、でも聖剣教にはたくさんの悪い人が……お兄ちゃん達だけでは……」
まあ、普通たった4人で何ができるかと思うのが普通だろう。
だが、俺はリナちゃんの信用を得る機会に恵まれた。
「いたぞ! 聖女様だ!」
「怪しい奴らに捕まっているぞ!」
いや、怪しいのは貴様らの方だろう?
黒装束で腰に短刀、典型的なアッサシンスタイル。
そんな怪しい奴らにこの子を渡す訳にはいかんな。
「怪しいのはお前達の方だろう?」
俺は続々と集まって来た賊のような黒装束の男達に啖呵を切った。
「貴様? 我らが聖剣教の異端審問官だと知って本気でそんなことを言っているのか?」
「正気の沙汰とは思えんな」
「お、お兄ちゃん! 逃げゆの! この人達は人を殺すゆ」
人を殺す?
そう聞いて安心した。
手加減はあまりしなくていいな。
「聖女様を返せ。返せば穏便に済ませてやろう」
「……嫌だな」
俺はニヤリと笑って言った。
リナちゃんが怯えて俺の腰に抱きついて来る。
「ならば仕方ない。殺れ」
そう言った瞬間、3人の男が背後から襲って来た。
目の前の黒ずくめの男達は囮、後ろに3人隠蔽のスキルを発動して隠れていた。
だがな。
俺の探知のレベルはあいにく200でね。
その程度のスキルは筒抜けだ。
「ふん!」
俺は鍛刀で切り掛かって来た男を裏拳で殴り飛ばした。
殴り飛ばした男はそのまま後続の男達をふっ飛ばし、壁に団子三兄弟の様にぶつかり合い血反吐を吐く。
「がはっ!」
「ぐはぁ!」
それを見た正面の男の顔が驚愕の表情に変わる。
「そ、そんな我が異端審査官の精鋭が一瞬で!」
俺は正面に目を向けるとニヤリと更に笑った。
「さあ、後はお前達だけだ」
「ノア君、安心して♪ アリスはいつまでも待ってるからね♪」
「ぼ、僕だって死ぬまで待っています!」
「もちろん、わたくしだって、ノア様のことずっと待っているのです」
みんな殊勝なこと言ってるけど、同罪だよね?
さり気なく俺だけの罪にするとか酷くねえ?
「お兄ちゃん。リナのせゆでごめんね。後でちゃんと牢獄に差し入れ持って行ゆからね」
まさかの張本人にすら突き放された。
ちょっと聞き、殊勝なように聞こえるけど、みんな俺にだけ罪押し付ける気だろ?
しかし、この子を何とかして家へ無事返してあげれば問題は解決する筈。
ならば。
「ねえ、リナちゃん。お家は何処なの? 送って行くからさ」
「リナ、おうちに帰りたくないゆ」
「そうは言っても絶対みんな心配してるよ」
「……あの人達は心配なんてしてない。リナは自由が欲しい」
そう言えばこの子、両親がいないかのようなことを?
「ねえ、君はどこの子? 何か悩みがあるの? 良かったらお兄さんに話てくれないかな?」
「リナのこと心配してくれるの? おじちゃん?」
今、おじちゃんとか言った?
気のせいだよな?
「……ごめゆ、お兄ちゃん」
よし、一瞬殺意が湧いたけど、許してやろう。俺は心が広いんだ。
その辺にほったらかせば良いことに気がついて、実践しようとしたけど止めておこう。
「話してごらん」
「リナ……。聖女なの」
「は?」
俺は一瞬頭がグルグルしたけど、事態が少し飲み込めて来た。
聖女、能力の中でも勇者の次点に来るほどの優秀な能力。
しかし、この子はまだ能力を授かる年齢ではない。
そして俺達の目的の聖剣教、そこに最近聖女が降臨したという噂を聞いた。
つまり、この子は。
仮初の聖女だ。
俺、やばくねえ?
新興宗教とか絶対盲目的なヤバイ奴らの集団に違いない。
俺は聖女を売ることにした。
背に腹は変えられん。
「リナちゃん。君は聖女なんだろ? それは聖剣教で聖女の役目をしてるんだろ? 帰らないと皆心配するよ」
「リナは聖女だからこそ、助けを呼びにいかなきゃいけないゆ。お父さんが罪を犯しているゆ」
「助け?」
「ノア君、何か犯罪の香りがするよ?」
「そうですご主人様、これは人攫いを誤魔化すいいチャンスです」
「勇者のわたくしとしては放置できない話なのです」
俺はどうも事件に巻き込まれたことを知った。
だが。
「なら、リナちゃん。君を連れて聖剣教の教会に連れて行ってくれないか? 助けが欲しいなら俺が助けてあげるよ」
「で、でも聖剣教にはたくさんの悪い人が……お兄ちゃん達だけでは……」
まあ、普通たった4人で何ができるかと思うのが普通だろう。
だが、俺はリナちゃんの信用を得る機会に恵まれた。
「いたぞ! 聖女様だ!」
「怪しい奴らに捕まっているぞ!」
いや、怪しいのは貴様らの方だろう?
黒装束で腰に短刀、典型的なアッサシンスタイル。
そんな怪しい奴らにこの子を渡す訳にはいかんな。
「怪しいのはお前達の方だろう?」
俺は続々と集まって来た賊のような黒装束の男達に啖呵を切った。
「貴様? 我らが聖剣教の異端審問官だと知って本気でそんなことを言っているのか?」
「正気の沙汰とは思えんな」
「お、お兄ちゃん! 逃げゆの! この人達は人を殺すゆ」
人を殺す?
そう聞いて安心した。
手加減はあまりしなくていいな。
「聖女様を返せ。返せば穏便に済ませてやろう」
「……嫌だな」
俺はニヤリと笑って言った。
リナちゃんが怯えて俺の腰に抱きついて来る。
「ならば仕方ない。殺れ」
そう言った瞬間、3人の男が背後から襲って来た。
目の前の黒ずくめの男達は囮、後ろに3人隠蔽のスキルを発動して隠れていた。
だがな。
俺の探知のレベルはあいにく200でね。
その程度のスキルは筒抜けだ。
「ふん!」
俺は鍛刀で切り掛かって来た男を裏拳で殴り飛ばした。
殴り飛ばした男はそのまま後続の男達をふっ飛ばし、壁に団子三兄弟の様にぶつかり合い血反吐を吐く。
「がはっ!」
「ぐはぁ!」
それを見た正面の男の顔が驚愕の表情に変わる。
「そ、そんな我が異端審査官の精鋭が一瞬で!」
俺は正面に目を向けるとニヤリと更に笑った。
「さあ、後はお前達だけだ」
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※小説家になろうにも掲載しています。
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