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83親父との決闘〜こいつが卑怯なこと忘れてた~
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「うぽうぽうぽうぽうぽうぽぽぽぽぽぽ……!」
空を飛ぶ父はせっかくの経験を堪能せず、情けない悲鳴とともに落下して来た。
ドカンッ!!
地面に落ちて、やはり大きな穴を大の字に作り深い穴に落ち込んでいた。
死んでたら、さすがにちょっとな。嫌いでも、育ての父、さすがに気分が悪い、だが。
さすがに賢者の称号を持つ男。
いつかの冒険者とは違っていた。
「ぐ……ゆ、油断した……!」
父はしぶとかった。穴をジリジリと上がってくる。
貞子みたいで怖い。
そうか、親父は水魔法の治癒魔法が使える。詠唱破棄か無詠唱でとっさに治癒して、意外とダメージはないのだろう。
だが、父は激怒していた。
「ふ、ふざけるでない! なんでお前が魔法使えるだ! 卑怯だろ!」
いや、そのなんだ。魔法使えない相手に挑むだけでも卑怯だけど。魔法使えるから卑怯ってちょっと酷くないか?
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
俺はムカついたので追撃をかけることにした。親父の呪文詠唱が間に合わなければ、効果がある筈。
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
俺の放った火の符術を宿した光球が親父に向かって吸い込まれる、かに見えた。
「氷晶の刑戮【ネーレーイデス・ブリリアント……!?】」
親父が詠唱破棄で神級の氷属性の光球を打ち出してきた。
氷魔法は水属性だ。
魔法と魔法がぶつかり合う。当然、弱いほうが圧し負ける。
神級の氷魔法。魔法には属性というものがあり、有利、不利が存在する。
俺の火の符術は氷や水魔法に弱いらしい。魔法と同じならおおよそ半分の力で相殺される。
俺の符術は神級魔法を超える筈だ。だが、属性の相性が悪すぎた。故に圧される。
俺の火の符術は弾かれて、親父の氷魔法が俺の近くに着弾する。
「残念だったな! 卑怯な魔法さえ使わなければ、私の敵ではない!」
「それはどうかな? 親父はたったの2属性しか魔法使えないだろ?」
「何?」
ブラフではない。親父は2つの属性を使える賢者、だが俺の符術は既に3属性ある。
それに、ただ魔力に恵まれ、才能に恵まれただけ。そこに努力や進化はなかった、だから。
「親父、バカの一つ覚えの爆裂魔法に複合した簡単な魔法で勝ってやろう」
符術のことはあくまで魔法と言い切った。俺にもわからん、符術は魔法にしか見えんけど。
「気でも触れたか? 私がたったの2つの属性しか魔法を使えないだと? お前だって火しか使ってないではないか! 私の2属性を使った爆裂魔法を凌駕すると? 戯けたことを言うでない。天地がひっくり返ってもありえん」
「なら、天地をひっくり返してやろう。俺の3つの属性の符術でな」
「……笑止」
まずは火の符術で親父の爆裂魔法を上回るか。
俺はとっておきの符術を披露することにした。
普段威力があり過ぎて使えない。だが、この闘技場は中の魔法の威力は外へはいかないバリアが張られている。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
『我は土、堅牢にてあらゆる物質の頂点。汝の敵の攻撃を防ぐ者なり』
2つの属性の言霊が記された符術、その結果生じるのは?
「燃え盛る火はその真価を我が身に示し…… 喜びの声を持って女神の鉾となれ!」
親父は自身最大の魔法、爆裂魔法を唱えた。火の火炎の魔法に土の元素を取り入れて大爆発を起こす史上最強の攻撃魔法。その爆裂魔法の光球が俺に向かって飛んで来る。
そして、それを迎撃する俺の2属性の符術。
「無駄無駄無駄無駄ぁ!!」
しかし、親父の放った光球はあっさり俺の符術の光球に掻き消される。
「な! ば、馬鹿な!」
「親父、あんたは何も学んでないな。恵まれ過ぎていたんだよ。不自由がないから、進化がない。あんたのは神に見放されたハズレスキルなんだよ!」
親父の顔が羞恥で引き攣る。俺の符術が史上最強の爆裂魔法と同等と理解出来るが故に。
「どうせ、卑怯な魔道具か何かの力を借りたんだろう。私の神級の爆裂魔法の最終形を見せてやろう。お前は見たことがないだろう。冥土の土産に見せてやる。それがせめてもの親心だ。彼我の差を思い知れ!」
そう言うと、父は目をキョロキョロと闘技場のある一団に向かって目くばせをした。
俺の探知のスキルに感があった。
白いローブを着た集団の声が聞こえた。
「賢者様よりプランA作戦の命あり、直ちに賢者様の魔力強化せよ。直ちに賢者様の魔力強化せよ。繰り返す、これは演習ではない。直ちに賢者様の魔力強化せよ。」
空を飛ぶ父はせっかくの経験を堪能せず、情けない悲鳴とともに落下して来た。
ドカンッ!!
地面に落ちて、やはり大きな穴を大の字に作り深い穴に落ち込んでいた。
死んでたら、さすがにちょっとな。嫌いでも、育ての父、さすがに気分が悪い、だが。
さすがに賢者の称号を持つ男。
いつかの冒険者とは違っていた。
「ぐ……ゆ、油断した……!」
父はしぶとかった。穴をジリジリと上がってくる。
貞子みたいで怖い。
そうか、親父は水魔法の治癒魔法が使える。詠唱破棄か無詠唱でとっさに治癒して、意外とダメージはないのだろう。
だが、父は激怒していた。
「ふ、ふざけるでない! なんでお前が魔法使えるだ! 卑怯だろ!」
いや、そのなんだ。魔法使えない相手に挑むだけでも卑怯だけど。魔法使えるから卑怯ってちょっと酷くないか?
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
俺はムカついたので追撃をかけることにした。親父の呪文詠唱が間に合わなければ、効果がある筈。
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
俺の放った火の符術を宿した光球が親父に向かって吸い込まれる、かに見えた。
「氷晶の刑戮【ネーレーイデス・ブリリアント……!?】」
親父が詠唱破棄で神級の氷属性の光球を打ち出してきた。
氷魔法は水属性だ。
魔法と魔法がぶつかり合う。当然、弱いほうが圧し負ける。
神級の氷魔法。魔法には属性というものがあり、有利、不利が存在する。
俺の火の符術は氷や水魔法に弱いらしい。魔法と同じならおおよそ半分の力で相殺される。
俺の符術は神級魔法を超える筈だ。だが、属性の相性が悪すぎた。故に圧される。
俺の火の符術は弾かれて、親父の氷魔法が俺の近くに着弾する。
「残念だったな! 卑怯な魔法さえ使わなければ、私の敵ではない!」
「それはどうかな? 親父はたったの2属性しか魔法使えないだろ?」
「何?」
ブラフではない。親父は2つの属性を使える賢者、だが俺の符術は既に3属性ある。
それに、ただ魔力に恵まれ、才能に恵まれただけ。そこに努力や進化はなかった、だから。
「親父、バカの一つ覚えの爆裂魔法に複合した簡単な魔法で勝ってやろう」
符術のことはあくまで魔法と言い切った。俺にもわからん、符術は魔法にしか見えんけど。
「気でも触れたか? 私がたったの2つの属性しか魔法を使えないだと? お前だって火しか使ってないではないか! 私の2属性を使った爆裂魔法を凌駕すると? 戯けたことを言うでない。天地がひっくり返ってもありえん」
「なら、天地をひっくり返してやろう。俺の3つの属性の符術でな」
「……笑止」
まずは火の符術で親父の爆裂魔法を上回るか。
俺はとっておきの符術を披露することにした。
普段威力があり過ぎて使えない。だが、この闘技場は中の魔法の威力は外へはいかないバリアが張られている。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
『我は土、堅牢にてあらゆる物質の頂点。汝の敵の攻撃を防ぐ者なり』
2つの属性の言霊が記された符術、その結果生じるのは?
「燃え盛る火はその真価を我が身に示し…… 喜びの声を持って女神の鉾となれ!」
親父は自身最大の魔法、爆裂魔法を唱えた。火の火炎の魔法に土の元素を取り入れて大爆発を起こす史上最強の攻撃魔法。その爆裂魔法の光球が俺に向かって飛んで来る。
そして、それを迎撃する俺の2属性の符術。
「無駄無駄無駄無駄ぁ!!」
しかし、親父の放った光球はあっさり俺の符術の光球に掻き消される。
「な! ば、馬鹿な!」
「親父、あんたは何も学んでないな。恵まれ過ぎていたんだよ。不自由がないから、進化がない。あんたのは神に見放されたハズレスキルなんだよ!」
親父の顔が羞恥で引き攣る。俺の符術が史上最強の爆裂魔法と同等と理解出来るが故に。
「どうせ、卑怯な魔道具か何かの力を借りたんだろう。私の神級の爆裂魔法の最終形を見せてやろう。お前は見たことがないだろう。冥土の土産に見せてやる。それがせめてもの親心だ。彼我の差を思い知れ!」
そう言うと、父は目をキョロキョロと闘技場のある一団に向かって目くばせをした。
俺の探知のスキルに感があった。
白いローブを着た集団の声が聞こえた。
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