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瀬菜を海に突き落とした後、RETSUGAは喉の渇きを覚え、自販機の前に立った。左手でポケットの中の小銭を取り、右手で硬貨を入れようとして、ふと動きを止めた。右手の親指の付け根に、紅い血がこびり付いている。さっき、拇指拳を放ったときの返り血だ。
RETSUGAは、その血に釘付けとなった。息遣いが荒くなり、口元まで上昇しようとする右手を慌てて左手で押さえる。瞳の色が次第に変化していくのを、自分でも感じた。サングラスを港に置いてきてしまったのは、間違いだったかもしれない。付着した血を口にしたい衝動に駆られたが、震えながら押さえた左手で一気にその血をぬぐい取った。血の痕跡を残さぬよう、何度も手を擦る。多少なりとも血の臭いが残ってはいるが、紅い血の跡が消えた事に安堵する。後は深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。目を閉じながら、瞳の色が元に戻っていくのを感じた。
安堵感が全身に広がり自販機を背に、一息ついた。
「ふふふ……」
何処からともなく、女の笑い声が聞こえてきた。
「我慢しないで、口にしちゃえば」
RETSUGAの目が開き、瞳だけを右へ向けると、そこには美しい女の顔が浮かんでいた。
RETSUGAの背後の自販機から、全裸の女が生えている。生白い肌はまるでガラス細工のように、向こう側が透けて見えていた。
こいつは夢魔ーー。サキュバスの白閻だ。
白閻は自販機と繋がったまま蛇のようにRETSUGAの前に回りこむと、彼の首に腕を巻いた。透けている癖に肌の感触は冷たく柔らかかった。
「そういえばあなた……、私と契りを交わしたのに、一度も人間の血を欲したことないわね」
まるで恋人に話かけるような甘い囁き。
「私があなたにしてあげたような快感がお互い得られるのよ。どう?吸いたいと思わない?」
「別に……」
「そう……、やっぱりあの娘だけがいいのね。名前は確かーー、卯月って言ったかしら?」
ギロリ、とRETSUGAは白閻を睨んだ。
「ふふふ、当たり。私には分かるのよ、あなたの血を吸ったから……。血があなたの全てを教えてくれる。あなたが、誰に恋しているのかも……」
白閻は色っぽく舌なめずりをすると、体を上昇させ、さらにRTSUGAに近づく。鼻と鼻がぶつかり、唇が微かに触れる。白閻は唇をゆっくりと擦るように、RETSUGAの唇を堪能しながら、さらに語りかけた。
「分かってるでしょ。あなたが恋焦がれているものは、私もほしいのよ。あの娘――、6年前はまだ初潮もきていない子供で、私には手が出せなかったけど、もういい大人になってるんでしょうね」
白閻はRETSUGAの反応を楽しみながら、わざとらしく「……今度こそ、あの娘がほしいわ~」と言った。
RETSUGAはゆっくりと白閻から離れ、向き直る。そして、突然、彼女に向かって右足の一蹴。
白閻は瞬時に消え、自販機が大きな音を立ててひしゃげた。
「俺がそうはさねぇ!」
消えたはずの白閻はRETSUGAの背後に回っていた。RETSUGAは白閻の気配を背中で感じながら振り向き、
「その前にお前を葬ってやる!」
と、宣言した。
RETSUGAは、その血に釘付けとなった。息遣いが荒くなり、口元まで上昇しようとする右手を慌てて左手で押さえる。瞳の色が次第に変化していくのを、自分でも感じた。サングラスを港に置いてきてしまったのは、間違いだったかもしれない。付着した血を口にしたい衝動に駆られたが、震えながら押さえた左手で一気にその血をぬぐい取った。血の痕跡を残さぬよう、何度も手を擦る。多少なりとも血の臭いが残ってはいるが、紅い血の跡が消えた事に安堵する。後は深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。目を閉じながら、瞳の色が元に戻っていくのを感じた。
安堵感が全身に広がり自販機を背に、一息ついた。
「ふふふ……」
何処からともなく、女の笑い声が聞こえてきた。
「我慢しないで、口にしちゃえば」
RETSUGAの目が開き、瞳だけを右へ向けると、そこには美しい女の顔が浮かんでいた。
RETSUGAの背後の自販機から、全裸の女が生えている。生白い肌はまるでガラス細工のように、向こう側が透けて見えていた。
こいつは夢魔ーー。サキュバスの白閻だ。
白閻は自販機と繋がったまま蛇のようにRETSUGAの前に回りこむと、彼の首に腕を巻いた。透けている癖に肌の感触は冷たく柔らかかった。
「そういえばあなた……、私と契りを交わしたのに、一度も人間の血を欲したことないわね」
まるで恋人に話かけるような甘い囁き。
「私があなたにしてあげたような快感がお互い得られるのよ。どう?吸いたいと思わない?」
「別に……」
「そう……、やっぱりあの娘だけがいいのね。名前は確かーー、卯月って言ったかしら?」
ギロリ、とRETSUGAは白閻を睨んだ。
「ふふふ、当たり。私には分かるのよ、あなたの血を吸ったから……。血があなたの全てを教えてくれる。あなたが、誰に恋しているのかも……」
白閻は色っぽく舌なめずりをすると、体を上昇させ、さらにRTSUGAに近づく。鼻と鼻がぶつかり、唇が微かに触れる。白閻は唇をゆっくりと擦るように、RETSUGAの唇を堪能しながら、さらに語りかけた。
「分かってるでしょ。あなたが恋焦がれているものは、私もほしいのよ。あの娘――、6年前はまだ初潮もきていない子供で、私には手が出せなかったけど、もういい大人になってるんでしょうね」
白閻はRETSUGAの反応を楽しみながら、わざとらしく「……今度こそ、あの娘がほしいわ~」と言った。
RETSUGAはゆっくりと白閻から離れ、向き直る。そして、突然、彼女に向かって右足の一蹴。
白閻は瞬時に消え、自販機が大きな音を立ててひしゃげた。
「俺がそうはさねぇ!」
消えたはずの白閻はRETSUGAの背後に回っていた。RETSUGAは白閻の気配を背中で感じながら振り向き、
「その前にお前を葬ってやる!」
と、宣言した。
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