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午後の日差しも次第に傾き始め、地上では、子島の木々の合間を黄金に染め上げていた。
社の地下トンネルを抜けた土の部屋では、時間の経過は分からないが、次第に剥きあがる柿の実の数を見て、結構な時間が流れた事が伺える。
紅砂は四鵬が落ち着くまで、お茶を淹れ、黙って干し柿作りに専念していた。
瀬菜も四鵬の様子が気になりながらも、紅砂の手伝いをして気を紛らわせていた。
柿の実が、全て剥き終わる頃、紅砂は剥いた柿を紐に一つずつ、数珠繋ぎにぶら下げていった。
すると、今まで黙って座り込んでいただけの四鵬が気だるげに顔を上げ、ポツリと紅砂に尋ねた。
「紅砂……、そもそもお前はどうやってお袋と会ったんだ?」
四鵬の質問に紅砂は少々困った様子で、
「知りたいかい?」
と聞き返した。
「ああ……」
四鵬が紅砂に向き直り、聞く体制に入る。
意外と落ち着いた四鵬の瞳に瀬菜は安心したが、紅砂は長いため息を付いた。
眉を顰め、視線を白閻の寝台に流し、少々言いたくなさそうに重い口を開いた。
「……蘭武を貰う手はずになっていたんだ……」
「は?」
突然、ここで蘭武の名が出てくる意外性に四鵬も瀬菜も驚いた。
しかも、貰うとは──?
「時期的に……羅遠家に女の子が産まれたら、僕にくださいと、前当主であった信綱さんにお願いしていたんだ。悠里はそれに対し、抗議にやってきた。……島の神だか何だか知らないが、蘭武を僕に渡す気はないと……、生贄を要求する神など神ではないと言って殴りこんできた。まあ、最もな話だ。……そもそも僕は神なんかじゃない」
「な、何であなたは蘭武ちゃんを貰い受けようとしたの?親元から離してまで……」
瀬菜もよく分からないといった感じで尋ねた。
「それは妻にするのに最適だと思ったからさ。人間社会の常識を知ってから妻にしたのでは、難しいだろう。だから、赤子のうちから頂こうと思ってね」
「は?!……つ……妻……?」
瀬菜は耳を疑った。四鵬も驚きの表情をしている。
「そう、僕の妻だ。だから、抗議にやってきた悠里とは、じっくり話し合いを続けた。──何故、僕が人間の妻を必要としているのか?その本当の訳を包み隠さず彼女に伝えた。彼女はそれを聞いて納得してくれたが、蘭武を僕に渡す事は拒否した。その代わりに、時期が来たら僕の願いを彼女自身が叶えてくれると、そう言った。だから、蘭武はそのまま羅遠に残す事になり、約束の時期が来るまで、此処には一切立ち入らないという取り決めになった」
「あなたの願いって、何だったの?」
紅砂は背後の白閻を振り返った。
そして、こう言った。
「白閻を完全体にする母体がほしいと……」
瀬菜と四鵬は顔を見合わせた。
「完全体とは、お前と同じく肉体を持った存在という事だよな。お袋は確かに白閻を産んだ。だが、その時は霊体だ。霊体ではなく肉体を持った結鬼が産まれるには一体どうするんだ?」
「それは、結鬼の霊体が母体に進入する前に、体内に受精卵が存在している事が条件だ。結鬼はその受精卵を吸収し、結合する」
「つまり、完全体の白閻を産む母体がほしかったと……それを最初は蘭武にさせようとしていた訳か……だけど、お袋が渡さなかった、代わりにお袋が白閻を産むと……、そういう約束になった訳か?」
「その通りだ。蘭武を渡す事に悠里が拒否し続ける以上、仕方がないと言って信綱さんも承諾した。僕は子供を産む母体として女が欲しかっただけだから、その時期が来るまでは、もう会う事はないと……この禁域には近づかないようにと……そういう約束をした。だけど、この一連の話し合い以来、何が気に入ったのか、悠里は此処へ何度も足を踏み入れた。時期的に成熟した女性が此処を訪れるのは危険だと……再三忠告したはずなのに、悠里は聞き入れてくれなかった。それを悠里が守ってくれていれば、また違う時の流れだったはずだ……」
そう言って、紅砂は沈黙した。悲痛な表情をしながら、何かを口にしようかしまいか迷っている風だった。
瀬菜がそれを促すように呟いた。
「私が町に出たとき、島のおばあさんが話していたわ。……結局、悠里さんはあなたに恋焦がれて何度も禁域に足を踏み入れたって、そして、四鵬を身ごもったと同時にその足は止まった。……まあ、出産したばかりなら当然よね」
瀬菜が宙を見上げながら考え、何かを思い出した。
「ねぇ……そういえば、あなた、四鵬の出生に関して、妙な事言っていたわね……元から人間でないって……」
瀬菜の言葉に、余計な事を覚えている……、といった感じで紅砂は渋面を作った。
四鵬が反応する。自身の事だ、当然のように質問した。
「……俺の出生って……、紅砂!どういうことなんだ?」
四鵬の脳裏で、少年時代──、卯月の血をみた瞬間の血への渇望を思い出す。以来、自分の出生にいささか疑問を持ち始めた、あの瞬間だ。
四鵬は低い声で、慎重に紅砂に問う。
「紅砂……本当の事を言ってくれ、お前は……本当にお袋とは……」
瀬菜と四鵬、二人の疑うような視線に当てられ、紅砂は溜息を付いた。
「僕は何もしていない……約束の日が来るまでは、悠里は信綱さんの妻だ。しかし、悠里自身は僕と寝たつもりでしょうけど……」
「は?」
四鵬の眉根が寄る。瀬菜が畳み掛けるように問い返した。
「どういう事?」
紅砂は立ち上がり、二人に向き直ると、白閻の上に掛けられた鬼面を指差した。
「……悠里と関係したのは、僕じゃなく、この島にいるもう一人の結鬼だ。しかも、あの面を被り僕の振りしてね……」
四鵬がその面を見るなり後ずさりする。
「な…なんだって?もう一人の結鬼……?その……結鬼はお前の振りして、お袋に何をしたんだ?!」
「血を吸い、交わったのさ。……そして、お前が産まれた」
「──!!」
「四鵬……お前だけは僕の本当の弟なんだよ」
「な……なんだって!?」
「僕の父は、非常に女癖が悪い。此処を女人禁制にしているのはそのためだ」
「う、嘘だ……」
「嘘じゃない!僕ら低位結鬼は老化してゆく、父はその老化が始まるとさらに女癖が悪くなる。美作国にある猿神伝説などその典型さ」
紅砂の言う猿神伝説とは、日本の各地で似た話が広く分布しているが、内容はほぼ同様に若い娘を攫い、通りすがりの僧侶や猟師に退治されるという話だ。
「父は恐らく結鬼の最年長にあたるだろう……。故に太古の誰も知りえない技術を多く持っている。そのせいか人間社会に出るとすぐさま神として祭り上げられる。最初はそれで平和になる。しかし、老年期に入ると神として祭られているのをいい事に若い女性を贄とし、騙し、交わる。その度に僕が出張る羽目になり、結果、この島に封印した。お前の母の場合は、ここによく顔を出していたからな、結局、いい鴨にされてしまったのだ。話を聞く限り、その面を使って神と一体化する神事だとかなんだとか雰囲気に呑ませ、手を出したのだろう……。僕はその頃、丁度白閻を復活させるための新しい細胞探しに大陸に出かけていた。父が老年期に入り、悪事を為す可能性があったため封印をしていったのだが、破られてしまった。だから、僕にもお前の出生には責任がある」
紅砂は震える四鵬の様子を見ながらゆっくりと続けた。
「だから、お前の身の置くところは、信綱さんと相談して決めた。時代が時代でなければ、念のためこちら側で育てるつもりだった。だが、もうすぐ結鬼にとっての節目である繁殖期が近いこともあって、結鬼の世界で生き抜くのは厳し過ぎる。だからお前は羅遠家で普通の人として生かすことに決めたのだ。単なる低位結鬼と人間のハーフなら人と変らない寿命だ。人として生きても支障は無かった。しかし、お前は白閻に一度吸収されてしまった。そして、何よりお前は、僅かとはいえ卯月の血を吸った。……それではもう……人としては暮らせない……」
紅砂が顔をゆがめ哀しそうに呟いた。
「う、卯月の血を……?」
「ああ……、卯月は僕ら結鬼唯一の女性だ。その血を僕らのような低位のものが身の程知らずに口にした場合、高位の者は絶対僕らを許さないだろう……。だから四鵬、お前はもう……人として暮らす事は不可能なのだ。どうしたって卯月の血の香りから逃れる事は出来ない。つまりは、人外の者、結鬼として今後は生きる道しかない」
「な……!?」
「お前はもう完全にこちら側の人間だ。しかも、高位の結鬼に追われる厳しい道を歩まなければならない」
社の地下トンネルを抜けた土の部屋では、時間の経過は分からないが、次第に剥きあがる柿の実の数を見て、結構な時間が流れた事が伺える。
紅砂は四鵬が落ち着くまで、お茶を淹れ、黙って干し柿作りに専念していた。
瀬菜も四鵬の様子が気になりながらも、紅砂の手伝いをして気を紛らわせていた。
柿の実が、全て剥き終わる頃、紅砂は剥いた柿を紐に一つずつ、数珠繋ぎにぶら下げていった。
すると、今まで黙って座り込んでいただけの四鵬が気だるげに顔を上げ、ポツリと紅砂に尋ねた。
「紅砂……、そもそもお前はどうやってお袋と会ったんだ?」
四鵬の質問に紅砂は少々困った様子で、
「知りたいかい?」
と聞き返した。
「ああ……」
四鵬が紅砂に向き直り、聞く体制に入る。
意外と落ち着いた四鵬の瞳に瀬菜は安心したが、紅砂は長いため息を付いた。
眉を顰め、視線を白閻の寝台に流し、少々言いたくなさそうに重い口を開いた。
「……蘭武を貰う手はずになっていたんだ……」
「は?」
突然、ここで蘭武の名が出てくる意外性に四鵬も瀬菜も驚いた。
しかも、貰うとは──?
「時期的に……羅遠家に女の子が産まれたら、僕にくださいと、前当主であった信綱さんにお願いしていたんだ。悠里はそれに対し、抗議にやってきた。……島の神だか何だか知らないが、蘭武を僕に渡す気はないと……、生贄を要求する神など神ではないと言って殴りこんできた。まあ、最もな話だ。……そもそも僕は神なんかじゃない」
「な、何であなたは蘭武ちゃんを貰い受けようとしたの?親元から離してまで……」
瀬菜もよく分からないといった感じで尋ねた。
「それは妻にするのに最適だと思ったからさ。人間社会の常識を知ってから妻にしたのでは、難しいだろう。だから、赤子のうちから頂こうと思ってね」
「は?!……つ……妻……?」
瀬菜は耳を疑った。四鵬も驚きの表情をしている。
「そう、僕の妻だ。だから、抗議にやってきた悠里とは、じっくり話し合いを続けた。──何故、僕が人間の妻を必要としているのか?その本当の訳を包み隠さず彼女に伝えた。彼女はそれを聞いて納得してくれたが、蘭武を僕に渡す事は拒否した。その代わりに、時期が来たら僕の願いを彼女自身が叶えてくれると、そう言った。だから、蘭武はそのまま羅遠に残す事になり、約束の時期が来るまで、此処には一切立ち入らないという取り決めになった」
「あなたの願いって、何だったの?」
紅砂は背後の白閻を振り返った。
そして、こう言った。
「白閻を完全体にする母体がほしいと……」
瀬菜と四鵬は顔を見合わせた。
「完全体とは、お前と同じく肉体を持った存在という事だよな。お袋は確かに白閻を産んだ。だが、その時は霊体だ。霊体ではなく肉体を持った結鬼が産まれるには一体どうするんだ?」
「それは、結鬼の霊体が母体に進入する前に、体内に受精卵が存在している事が条件だ。結鬼はその受精卵を吸収し、結合する」
「つまり、完全体の白閻を産む母体がほしかったと……それを最初は蘭武にさせようとしていた訳か……だけど、お袋が渡さなかった、代わりにお袋が白閻を産むと……、そういう約束になった訳か?」
「その通りだ。蘭武を渡す事に悠里が拒否し続ける以上、仕方がないと言って信綱さんも承諾した。僕は子供を産む母体として女が欲しかっただけだから、その時期が来るまでは、もう会う事はないと……この禁域には近づかないようにと……そういう約束をした。だけど、この一連の話し合い以来、何が気に入ったのか、悠里は此処へ何度も足を踏み入れた。時期的に成熟した女性が此処を訪れるのは危険だと……再三忠告したはずなのに、悠里は聞き入れてくれなかった。それを悠里が守ってくれていれば、また違う時の流れだったはずだ……」
そう言って、紅砂は沈黙した。悲痛な表情をしながら、何かを口にしようかしまいか迷っている風だった。
瀬菜がそれを促すように呟いた。
「私が町に出たとき、島のおばあさんが話していたわ。……結局、悠里さんはあなたに恋焦がれて何度も禁域に足を踏み入れたって、そして、四鵬を身ごもったと同時にその足は止まった。……まあ、出産したばかりなら当然よね」
瀬菜が宙を見上げながら考え、何かを思い出した。
「ねぇ……そういえば、あなた、四鵬の出生に関して、妙な事言っていたわね……元から人間でないって……」
瀬菜の言葉に、余計な事を覚えている……、といった感じで紅砂は渋面を作った。
四鵬が反応する。自身の事だ、当然のように質問した。
「……俺の出生って……、紅砂!どういうことなんだ?」
四鵬の脳裏で、少年時代──、卯月の血をみた瞬間の血への渇望を思い出す。以来、自分の出生にいささか疑問を持ち始めた、あの瞬間だ。
四鵬は低い声で、慎重に紅砂に問う。
「紅砂……本当の事を言ってくれ、お前は……本当にお袋とは……」
瀬菜と四鵬、二人の疑うような視線に当てられ、紅砂は溜息を付いた。
「僕は何もしていない……約束の日が来るまでは、悠里は信綱さんの妻だ。しかし、悠里自身は僕と寝たつもりでしょうけど……」
「は?」
四鵬の眉根が寄る。瀬菜が畳み掛けるように問い返した。
「どういう事?」
紅砂は立ち上がり、二人に向き直ると、白閻の上に掛けられた鬼面を指差した。
「……悠里と関係したのは、僕じゃなく、この島にいるもう一人の結鬼だ。しかも、あの面を被り僕の振りしてね……」
四鵬がその面を見るなり後ずさりする。
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「血を吸い、交わったのさ。……そして、お前が産まれた」
「──!!」
「四鵬……お前だけは僕の本当の弟なんだよ」
「な……なんだって!?」
「僕の父は、非常に女癖が悪い。此処を女人禁制にしているのはそのためだ」
「う、嘘だ……」
「嘘じゃない!僕ら低位結鬼は老化してゆく、父はその老化が始まるとさらに女癖が悪くなる。美作国にある猿神伝説などその典型さ」
紅砂の言う猿神伝説とは、日本の各地で似た話が広く分布しているが、内容はほぼ同様に若い娘を攫い、通りすがりの僧侶や猟師に退治されるという話だ。
「父は恐らく結鬼の最年長にあたるだろう……。故に太古の誰も知りえない技術を多く持っている。そのせいか人間社会に出るとすぐさま神として祭り上げられる。最初はそれで平和になる。しかし、老年期に入ると神として祭られているのをいい事に若い女性を贄とし、騙し、交わる。その度に僕が出張る羽目になり、結果、この島に封印した。お前の母の場合は、ここによく顔を出していたからな、結局、いい鴨にされてしまったのだ。話を聞く限り、その面を使って神と一体化する神事だとかなんだとか雰囲気に呑ませ、手を出したのだろう……。僕はその頃、丁度白閻を復活させるための新しい細胞探しに大陸に出かけていた。父が老年期に入り、悪事を為す可能性があったため封印をしていったのだが、破られてしまった。だから、僕にもお前の出生には責任がある」
紅砂は震える四鵬の様子を見ながらゆっくりと続けた。
「だから、お前の身の置くところは、信綱さんと相談して決めた。時代が時代でなければ、念のためこちら側で育てるつもりだった。だが、もうすぐ結鬼にとっての節目である繁殖期が近いこともあって、結鬼の世界で生き抜くのは厳し過ぎる。だからお前は羅遠家で普通の人として生かすことに決めたのだ。単なる低位結鬼と人間のハーフなら人と変らない寿命だ。人として生きても支障は無かった。しかし、お前は白閻に一度吸収されてしまった。そして、何よりお前は、僅かとはいえ卯月の血を吸った。……それではもう……人としては暮らせない……」
紅砂が顔をゆがめ哀しそうに呟いた。
「う、卯月の血を……?」
「ああ……、卯月は僕ら結鬼唯一の女性だ。その血を僕らのような低位のものが身の程知らずに口にした場合、高位の者は絶対僕らを許さないだろう……。だから四鵬、お前はもう……人として暮らす事は不可能なのだ。どうしたって卯月の血の香りから逃れる事は出来ない。つまりは、人外の者、結鬼として今後は生きる道しかない」
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