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本編 イザヤside1
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「僕とお爺ちゃんは正確には血が繋がってないんです。僕の母はお爺ちゃんと再婚したお婆ちゃんの連れ子だったので……、これがその頃の写真です」
ひょいと見せられたアルバムには、若き日の爺さんが、背の低い日本人女性と写っていた。そして、その間には制服を着た女の子、陶也の母親が写っていた。
どの写真も笑顔が溢れていて、幸せそうだった。
「僕の母は高校を卒業すると、一人暮らしをしながら東京の大学に通っていました。しかし、途中で僕を妊娠し、相手の男性には逃げられたらしくて……。でも、母はひとりで産むってきかなかったそうです。
学校を辞めて仕事を見つけ、ひとりで僕を育てるつもりだったらしいのです。でも、産まれた僕には障害があって、恐らくとても苦労したんだと思います。育児ノイローゼになってしまって……。
それで僕はお爺ちゃんに引き取られたんです。その頃にはお婆ちゃんも亡くなってましたから、僕はずっとお爺ちゃんと二人きりで生活してきました」
陶也がアルバムのページをめくる。
「お爺ちゃんも初めは僕にすごく苦労していたと思います。あの頃の僕は人に触れられると奇声を上げて暴れましたから、何度も児童相談所に虐待を疑われましたし、医師も自閉症と診断を下しましたが、正確には僕の症状は特殊過ぎて、その診断にも首を傾げていました。出口の見えないものを抱え込んで本当に困ったと思います。でも、お爺ちゃんは僕に対して出来る限りの努力をしてくれました」
アルバムの写真を見ると奇妙な棒の間に服がかけられていて、袖を通そうとする幼い陶也の写真があった。
「これはお爺ちゃんが僕に触らないで僕を着替えさせる装置です。僕がお爺ちゃんに預けられた時は4歳だったので、普段は自分で脱ぎ着が出来たけど、体調が悪くなると上手に出来なくて、困ったお爺ちゃんが作ってくれました」
次のページを見ると陶也がふわふわのヒヨコに囲まれて笑っている写真が多く写っていた。
「鶏卵農家だから沢山のヒヨコを仕入れる時があるんです。母といた頃は東京のアパート暮らしでしたから、動物に触れても平気だって知らなくて……。
けど、ヒヨコ達は直ぐに大きくなって、卵を産むため別の鶏舎に移されてしまい、寂しくなった僕にお爺ちゃんがウサギを飼ってくれたのですが……」
そう言うと陶也が突然、可笑しそうに吹き出した。
「そのウサギ。子ウサギの頃はすごく可愛かったんです」
写真を差し出されたので覗き込むと、確かに可愛らしいもふもふのウサギが写っていた。
「でも成長したらこうなった」
見た瞬間、イザヤも思わず吹き出した。
そこにはウサギとは思えない貫禄のふてぶてしい生き物がドーン!と写っていた。
「ちょっと待て!この、ビフォアーアフターはヤバいだろ!」
イザヤも陶也と一緒に腹を抱えて笑った。
どの写真を見ても、そのウサギはふてぶてしい貫禄と微妙なブサイク具合で、ともかく笑いを誘った。
「しかも、お爺ちゃんはウサギって、大人しくて優しい生き物だと思っていたらしく、大きくなったら割りと狂暴で頑固な性格だったんです。だから、僕に対してすごく申し訳なさそうに『こんなウサギになるとは思わなかったんだ……』ってブツブツ言いながら謝ってるのがまた可笑しくて……僕は全然この子で良かったですけどね」
「狂暴で頑固なのに?」
「はい。それもこの子らしいと思えば可愛くて、例えば気に入らない餌や量を与えると、細い目でギラリと睨んだ後、星一徹の卓袱台返しみたいに食器を口で咥えて、バーン!ってひっくり返すの!それが可笑しくて……可笑しくて」
そう言って陶也はひとりで笑い転げていたが、イザヤにはその笑いのツボが分からない。
「星……?なんだ?茶返し?」
「昔そういうアニメがあったんです。頑固親父が食事の乗ったテーブルを怒ってひっくり返すシーンが……そうこんな感じで」
陶也が携帯を弄って見せてきた。
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
「これをウサギがやるのか?」
陶也は可笑しそうに頷いた。
「そうなんです。だからこの子は最初メグちゃんなんて可愛らしい名前がついていたんですが、いつの間にか一徹さんと呼ぶようになっちゃって、お陰で女の子だってのをつい忘れてしまうんです。でも、それもいい思い出になりました」
「一徹さんはもういないのか?」
「ええ、去年亡くなりました」
陶也が淋しそうに言った。
「それは残念だ。俺も一徹さんに会ってみたかったな」
イザヤがそう呟くと陶也がいたずらっ子のように目を光らせてきた。
「実物を見たらすごい可愛いくて惚れますよ!」
「どこがだ!すげーブサイクじゃないか!」
陶也が爆笑する。
「でも、こういうのを日本ではブサカワって言って愛されキャラになるんですよ!」
「本当かよ?」
二人でブサカワ一徹さんの写真を挟んでよく笑った。
イザヤがこんなに笑ったのは何年ぶりだろうか?
ひょいと見せられたアルバムには、若き日の爺さんが、背の低い日本人女性と写っていた。そして、その間には制服を着た女の子、陶也の母親が写っていた。
どの写真も笑顔が溢れていて、幸せそうだった。
「僕の母は高校を卒業すると、一人暮らしをしながら東京の大学に通っていました。しかし、途中で僕を妊娠し、相手の男性には逃げられたらしくて……。でも、母はひとりで産むってきかなかったそうです。
学校を辞めて仕事を見つけ、ひとりで僕を育てるつもりだったらしいのです。でも、産まれた僕には障害があって、恐らくとても苦労したんだと思います。育児ノイローゼになってしまって……。
それで僕はお爺ちゃんに引き取られたんです。その頃にはお婆ちゃんも亡くなってましたから、僕はずっとお爺ちゃんと二人きりで生活してきました」
陶也がアルバムのページをめくる。
「お爺ちゃんも初めは僕にすごく苦労していたと思います。あの頃の僕は人に触れられると奇声を上げて暴れましたから、何度も児童相談所に虐待を疑われましたし、医師も自閉症と診断を下しましたが、正確には僕の症状は特殊過ぎて、その診断にも首を傾げていました。出口の見えないものを抱え込んで本当に困ったと思います。でも、お爺ちゃんは僕に対して出来る限りの努力をしてくれました」
アルバムの写真を見ると奇妙な棒の間に服がかけられていて、袖を通そうとする幼い陶也の写真があった。
「これはお爺ちゃんが僕に触らないで僕を着替えさせる装置です。僕がお爺ちゃんに預けられた時は4歳だったので、普段は自分で脱ぎ着が出来たけど、体調が悪くなると上手に出来なくて、困ったお爺ちゃんが作ってくれました」
次のページを見ると陶也がふわふわのヒヨコに囲まれて笑っている写真が多く写っていた。
「鶏卵農家だから沢山のヒヨコを仕入れる時があるんです。母といた頃は東京のアパート暮らしでしたから、動物に触れても平気だって知らなくて……。
けど、ヒヨコ達は直ぐに大きくなって、卵を産むため別の鶏舎に移されてしまい、寂しくなった僕にお爺ちゃんがウサギを飼ってくれたのですが……」
そう言うと陶也が突然、可笑しそうに吹き出した。
「そのウサギ。子ウサギの頃はすごく可愛かったんです」
写真を差し出されたので覗き込むと、確かに可愛らしいもふもふのウサギが写っていた。
「でも成長したらこうなった」
見た瞬間、イザヤも思わず吹き出した。
そこにはウサギとは思えない貫禄のふてぶてしい生き物がドーン!と写っていた。
「ちょっと待て!この、ビフォアーアフターはヤバいだろ!」
イザヤも陶也と一緒に腹を抱えて笑った。
どの写真を見ても、そのウサギはふてぶてしい貫禄と微妙なブサイク具合で、ともかく笑いを誘った。
「しかも、お爺ちゃんはウサギって、大人しくて優しい生き物だと思っていたらしく、大きくなったら割りと狂暴で頑固な性格だったんです。だから、僕に対してすごく申し訳なさそうに『こんなウサギになるとは思わなかったんだ……』ってブツブツ言いながら謝ってるのがまた可笑しくて……僕は全然この子で良かったですけどね」
「狂暴で頑固なのに?」
「はい。それもこの子らしいと思えば可愛くて、例えば気に入らない餌や量を与えると、細い目でギラリと睨んだ後、星一徹の卓袱台返しみたいに食器を口で咥えて、バーン!ってひっくり返すの!それが可笑しくて……可笑しくて」
そう言って陶也はひとりで笑い転げていたが、イザヤにはその笑いのツボが分からない。
「星……?なんだ?茶返し?」
「昔そういうアニメがあったんです。頑固親父が食事の乗ったテーブルを怒ってひっくり返すシーンが……そうこんな感じで」
陶也が携帯を弄って見せてきた。
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
「これをウサギがやるのか?」
陶也は可笑しそうに頷いた。
「そうなんです。だからこの子は最初メグちゃんなんて可愛らしい名前がついていたんですが、いつの間にか一徹さんと呼ぶようになっちゃって、お陰で女の子だってのをつい忘れてしまうんです。でも、それもいい思い出になりました」
「一徹さんはもういないのか?」
「ええ、去年亡くなりました」
陶也が淋しそうに言った。
「それは残念だ。俺も一徹さんに会ってみたかったな」
イザヤがそう呟くと陶也がいたずらっ子のように目を光らせてきた。
「実物を見たらすごい可愛いくて惚れますよ!」
「どこがだ!すげーブサイクじゃないか!」
陶也が爆笑する。
「でも、こういうのを日本ではブサカワって言って愛されキャラになるんですよ!」
「本当かよ?」
二人でブサカワ一徹さんの写真を挟んでよく笑った。
イザヤがこんなに笑ったのは何年ぶりだろうか?
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