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パーティーで
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極彩色のライトアップがぐるぐると回るでかいジョージ邸のリビングで、雷亜はコーラを飲みながら隅で身を縮めていた。
「ったく!ルーカスの野郎……適当な事を言いやがって!DJマッシュじゃなくて、DJミッシェって誰だよ?!あーもー、糞面白くねえなあ!」
実は宇辰のお目当てのDJはこのパーティーに来て居なかった。
どういう事かと、怒って責め立てる宇辰にルーカスは一言、『おれもDJマッシュって聞いてたんだけどなー。おかしいなあ?聞き間違いかなあ?』なんて、しらを切った。
その瞬間、ジョージの笑いが一気に爆発して雷亜の背中を何度も叩いてきた。
(こいつ、やっぱりあの時分かってたんだな……本当に意地が悪い……)
バカうけしているジョージに軽蔑の目を送っていると、後から女子たちに囲まれたシャノンの美影を見つけた。やっぱり大層モテるようだった。
彼がカウンターに座る瞬間、目が合ったような気がして雷亜は慌てて顔を逸らせた。
雷亜は、なに食わぬ顔を装い、手元のコーラを一気に煽った。隣では宇辰が、耳を押さえながら、悲鳴を上げた。
「うぎゃー!!何だこの音は!俺はゴリゴリのEDMは大っ嫌いなのにっ、ふざけるなあーー!」
と、のたうち回る。
雷亜もこの音は苦手だ。歪むようなノコギリ派の音が次第にピッチを上げて、脳内に響いてくる。
「畜生ー!やっぱりQBなんてポジションやってる男の言うことなんかまともに聞くもんじゃねぇーー!雷亜、お前も気を付けろ!」
宇辰はずっとルーカスに対する呪詛を繰り返していたが、周りは暖簾に腕押し、宇辰が叫べば叫ぶほど、アメフト部の面々は楽しそうに大口を開けて笑った。
その後、宇辰とアメフト部達が音楽談義で対決している間、雷亜は見るなと言われているシャノンの様子を横目で伺ってみた。きっと雷亜の鬱陶しい前髪は簾のような役割を果たしているはずだ。
同じ場所に居て、シャノンを見ないで済ませるなんて、雷亜には無理な事だった。
彼の隣には、授業中、雷亜の後ろで女友達と乱闘を起こした、例の彼女が貼り付いていた。
グラスを傾けるシャノンの肩に、馴れ馴れしく触れ、耳元で何かを囁いている。
雷亜は正直、嫌だった。
あの娘は今夜、シャノンと寝ることを狙っているのだ。
彼女は胸の開いたドレスを着て、食ってくれと言わんばかりに、体を押し付けていた。
飢餓に貧した肉食系なら、直ぐにでも飛び付くんだろうが、シャノンはなんの反応も示さず、煙草をスパスパと吸っていた。
スポーツ選手が煙草なんて体に悪いんじゃないかと心配になった。しかも、その吸い方がどうみてもよくない。
1本吸い終えるのが異常に早いのだ。その癖、直ぐにまた火を点け、次から次に灰皿を満杯にしていく。
カウンターに置かれた手は苛立たしげに指で叩き、グラスに注がれた琥珀色の液体も、次々と空にしていった。
「よう、嘘つき君。な~にお前までのんびりソフトドリンク飲んでるんだ?君は提供者に回らないとダメでしょ。さもないと手足を縛って裸に剥いて、こいつで乳首を弄っちゃうよ~」
と、言ってジョージは雷亜の肩に腕を回し、羽箒を目の前でチラチラさせた。
「あ、や……、それは流石に止めて下さい……」
ジョージを押し退けながら、ちらりとシャノンの方を見ると、紫色の目と合った。
(うっわ!何でこっち見てるんだ!やっぱり、俺がここに居るのが気に食わないのか?
何とかしてこっそり帰れないかなあ……)
雷亜は辺りを見回した。
だが、玄関の方向には運悪く達也が居た。隣には学校の廊下で雷亜に蹴りを入れてきた、すきっ歯の赤毛も居る。
ガムをクチャクチャ噛みながら、ギラつく目でこっちの様子を伺っていた。
(ああ……、これは外に出たらダメなやつだ……)
嫌な予感しかしない。
「ったく!ルーカスの野郎……適当な事を言いやがって!DJマッシュじゃなくて、DJミッシェって誰だよ?!あーもー、糞面白くねえなあ!」
実は宇辰のお目当てのDJはこのパーティーに来て居なかった。
どういう事かと、怒って責め立てる宇辰にルーカスは一言、『おれもDJマッシュって聞いてたんだけどなー。おかしいなあ?聞き間違いかなあ?』なんて、しらを切った。
その瞬間、ジョージの笑いが一気に爆発して雷亜の背中を何度も叩いてきた。
(こいつ、やっぱりあの時分かってたんだな……本当に意地が悪い……)
バカうけしているジョージに軽蔑の目を送っていると、後から女子たちに囲まれたシャノンの美影を見つけた。やっぱり大層モテるようだった。
彼がカウンターに座る瞬間、目が合ったような気がして雷亜は慌てて顔を逸らせた。
雷亜は、なに食わぬ顔を装い、手元のコーラを一気に煽った。隣では宇辰が、耳を押さえながら、悲鳴を上げた。
「うぎゃー!!何だこの音は!俺はゴリゴリのEDMは大っ嫌いなのにっ、ふざけるなあーー!」
と、のたうち回る。
雷亜もこの音は苦手だ。歪むようなノコギリ派の音が次第にピッチを上げて、脳内に響いてくる。
「畜生ー!やっぱりQBなんてポジションやってる男の言うことなんかまともに聞くもんじゃねぇーー!雷亜、お前も気を付けろ!」
宇辰はずっとルーカスに対する呪詛を繰り返していたが、周りは暖簾に腕押し、宇辰が叫べば叫ぶほど、アメフト部の面々は楽しそうに大口を開けて笑った。
その後、宇辰とアメフト部達が音楽談義で対決している間、雷亜は見るなと言われているシャノンの様子を横目で伺ってみた。きっと雷亜の鬱陶しい前髪は簾のような役割を果たしているはずだ。
同じ場所に居て、シャノンを見ないで済ませるなんて、雷亜には無理な事だった。
彼の隣には、授業中、雷亜の後ろで女友達と乱闘を起こした、例の彼女が貼り付いていた。
グラスを傾けるシャノンの肩に、馴れ馴れしく触れ、耳元で何かを囁いている。
雷亜は正直、嫌だった。
あの娘は今夜、シャノンと寝ることを狙っているのだ。
彼女は胸の開いたドレスを着て、食ってくれと言わんばかりに、体を押し付けていた。
飢餓に貧した肉食系なら、直ぐにでも飛び付くんだろうが、シャノンはなんの反応も示さず、煙草をスパスパと吸っていた。
スポーツ選手が煙草なんて体に悪いんじゃないかと心配になった。しかも、その吸い方がどうみてもよくない。
1本吸い終えるのが異常に早いのだ。その癖、直ぐにまた火を点け、次から次に灰皿を満杯にしていく。
カウンターに置かれた手は苛立たしげに指で叩き、グラスに注がれた琥珀色の液体も、次々と空にしていった。
「よう、嘘つき君。な~にお前までのんびりソフトドリンク飲んでるんだ?君は提供者に回らないとダメでしょ。さもないと手足を縛って裸に剥いて、こいつで乳首を弄っちゃうよ~」
と、言ってジョージは雷亜の肩に腕を回し、羽箒を目の前でチラチラさせた。
「あ、や……、それは流石に止めて下さい……」
ジョージを押し退けながら、ちらりとシャノンの方を見ると、紫色の目と合った。
(うっわ!何でこっち見てるんだ!やっぱり、俺がここに居るのが気に食わないのか?
何とかしてこっそり帰れないかなあ……)
雷亜は辺りを見回した。
だが、玄関の方向には運悪く達也が居た。隣には学校の廊下で雷亜に蹴りを入れてきた、すきっ歯の赤毛も居る。
ガムをクチャクチャ噛みながら、ギラつく目でこっちの様子を伺っていた。
(ああ……、これは外に出たらダメなやつだ……)
嫌な予感しかしない。
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