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方舟
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走り出したシャノンを追って雷亜は慌てて自転車に股がった。だが、サドルに座った途端、お尻の感覚がいつもと違って思わず「ふわあ!」なんて大声を上げてしまった。
(な、なんだこれ??──ふ、普通に座れない──!!)
見ると前方のシャノンはこっちを見て、意味深に微笑んでいた。
「お前こそ大丈夫か?ケツ」
そう言って、自分の尻を叩いて見せた。
(──あ、あんたがそれを言うのか?!!)
雷亜は言葉もなく、シャノンに向かって歯を剥いた。
それを見たシャノンは心底愉しげに声を出して笑った。
登り始めた目映い太陽の光がシャノンの笑顔に降り注いだ。
その瞬間、雷亜は懐かしさで陶然となった。
6年前もオレンジに染まった砂浜を二人で走った。あの逃避行の感覚が甦る。雷亜にとって、シャノンの笑顔は両親の愛を忘れられる幸福なひとときだった。
今のシャノンとの問題は色々と山積みだけれども、それでもやっぱり彼の笑顔には雷亜を動かす何かがあった。
雷亜は意気揚々とシャノンを追いかけた。
「お、お尻……全然大丈夫じゃない!これじゃあ暫くサドルに座れないよ!責任取ってよね!」
雷亜は立ち漕ぎで、走るシャノンの隣に付いた。
「責任ってどういう事だ?お前と付き合えとでも言うのか?」
涼しげな流し目を寄越され、雷亜は動揺した。
「えええ?!べ、別にそういう事じゃ……俺と君とでは、どう考えてたって不釣り合いだし、それは無理でしょ!」
「はっ!よく分かってるじゃないか。俺の隣に居座りたければそれ相応にならないとな!」
はっきりそう言われ、雷亜は余計に落ち込んだ。
「うん……そうだね。俺には君の隣はやっぱ無理だ。ナードとジョックじゃえらい差だし……ごめん……ちゃんと身の程を弁えるよ。だから、今言った事は気にしないで……」
すると、何故かシャノンが目を剥いて怒りだした。
「おま……そこで落ちるのか!ちっとは──努力しろよっ!」
「へっ?何の?」
目を点にしながらシャノンを見つめたら、「もういい!」と言ってそっぽ向かれた。
(何で急に怒り出したのだろう?)
「シャノン待って!努力って、俺は何を努力すればいいの?」
訊いたら、また殺されそうな勢いで睨み付けられた。
「知るか!俺はお前が嫌いだ!底辺でずっとぐずぐすになって腐ってろ!馬鹿!」
言われて今度は雷亜が仰天した。なんで今『嫌い』なんて言われなきゃならないのだろう?
訳が分からなくて胸が搾られるように痛かった。
自分が馬鹿でどうしようもない事は雷亜自身がよく分かってる。
それでも、『嫌い』と言われるのはやっぱり嫌だった。
思い起こすと両親の事にしたって、雷亜が想いを寄せた人は、悉く雷亜が望むようには愛を返してくれない。
だから、「うん。腐っとく」と言ったら、すっかり呆れられ、もう口をきいてくれなくなった。
どうやら俺は完全に嫌われてしまったらしい。
(な、なんだこれ??──ふ、普通に座れない──!!)
見ると前方のシャノンはこっちを見て、意味深に微笑んでいた。
「お前こそ大丈夫か?ケツ」
そう言って、自分の尻を叩いて見せた。
(──あ、あんたがそれを言うのか?!!)
雷亜は言葉もなく、シャノンに向かって歯を剥いた。
それを見たシャノンは心底愉しげに声を出して笑った。
登り始めた目映い太陽の光がシャノンの笑顔に降り注いだ。
その瞬間、雷亜は懐かしさで陶然となった。
6年前もオレンジに染まった砂浜を二人で走った。あの逃避行の感覚が甦る。雷亜にとって、シャノンの笑顔は両親の愛を忘れられる幸福なひとときだった。
今のシャノンとの問題は色々と山積みだけれども、それでもやっぱり彼の笑顔には雷亜を動かす何かがあった。
雷亜は意気揚々とシャノンを追いかけた。
「お、お尻……全然大丈夫じゃない!これじゃあ暫くサドルに座れないよ!責任取ってよね!」
雷亜は立ち漕ぎで、走るシャノンの隣に付いた。
「責任ってどういう事だ?お前と付き合えとでも言うのか?」
涼しげな流し目を寄越され、雷亜は動揺した。
「えええ?!べ、別にそういう事じゃ……俺と君とでは、どう考えてたって不釣り合いだし、それは無理でしょ!」
「はっ!よく分かってるじゃないか。俺の隣に居座りたければそれ相応にならないとな!」
はっきりそう言われ、雷亜は余計に落ち込んだ。
「うん……そうだね。俺には君の隣はやっぱ無理だ。ナードとジョックじゃえらい差だし……ごめん……ちゃんと身の程を弁えるよ。だから、今言った事は気にしないで……」
すると、何故かシャノンが目を剥いて怒りだした。
「おま……そこで落ちるのか!ちっとは──努力しろよっ!」
「へっ?何の?」
目を点にしながらシャノンを見つめたら、「もういい!」と言ってそっぽ向かれた。
(何で急に怒り出したのだろう?)
「シャノン待って!努力って、俺は何を努力すればいいの?」
訊いたら、また殺されそうな勢いで睨み付けられた。
「知るか!俺はお前が嫌いだ!底辺でずっとぐずぐすになって腐ってろ!馬鹿!」
言われて今度は雷亜が仰天した。なんで今『嫌い』なんて言われなきゃならないのだろう?
訳が分からなくて胸が搾られるように痛かった。
自分が馬鹿でどうしようもない事は雷亜自身がよく分かってる。
それでも、『嫌い』と言われるのはやっぱり嫌だった。
思い起こすと両親の事にしたって、雷亜が想いを寄せた人は、悉く雷亜が望むようには愛を返してくれない。
だから、「うん。腐っとく」と言ったら、すっかり呆れられ、もう口をきいてくれなくなった。
どうやら俺は完全に嫌われてしまったらしい。
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