Broken Arrows

蓮華空

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勝負

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 雷亜はチャイムが鳴ると同時に校舎を飛び出し、グラウンドまで走った。

 ジョージが、ランチのお供にグランド前の自動販売機でしか売っていないドリンクを所望したからだ。

『いいか、俺が食堂で飯を食う頃には、俺の前にあるようにしておけよ』

 と、一方的なメールを授業中に押し付けてきた。

 結果、雷亜は授業の終了チャイムと共に慌てて外に飛び出したのだ。

 校舎からグラウンドに行くには、その間に生徒専用駐車場を通らなければならない。対してジョージのいる教室から食堂までは目と鼻先きだ。かなりのスピードで走らないとジョージが言った通りにドリンクを持って行くことが出来ない。この時間なら、動く車もないだろうと周囲に気を配らずに全力疾走をしていたら、目の前に突然車が現れた。

──危ない!

 と思ったと同時に身を翻し、車のボンネットへと転がりながら、反対側へと着地した。

「あっ……ぶねぇな!──こんな所で何してるんだ!お前は!!」

 と、車の運転手に怒鳴られ、そっちに振り返ったら相手はなんとシャノンだった。

「あ、あれ?今、来たの?」

 午後から悠々とした重役出勤とは、それで授業の単位は大丈夫なのだろうか?と余計な心配をしてしまう。

「病院に寄ってから来たんだ」

「そ、そうだったんだ……」

「それより、お前はこんなところで何をしている?今ならランチの時間だろ?」

「あ!そうだった!!ごめん、俺、今、急いでジョージのお気に入りドリンクを買って来なくちゃいけないんだ。また、あとでね」

 そう言って踵を返したら、後ろから「ちょっと待て!」と呼び止められた。

 だが、言う通りに待ったら、ジョージにまたどやされる。仕方なく、「ごめん」と言って構わず走った。だが、シャノンは後ろから追いかけてきて、肩を掴み、瞬く間に雷亜を後ろから抱きすくめてきた。

「俺が待てって言ってんだから待てよ!」

「い、いや、でも……、ジョージに色々と悪い事をしちゃったから」

 背中に当たるシャノンの厚い胸板を感じ、それだけで、急に口どもってしまう。

「あいつに悪い事をしたって言っても、どうせ発端はあいつだろ?放っておけよ」

「……で、でも……」

 問題はジョージの機嫌取りなだけではないのだ。雷亜にとっては達也の存在の方が大きい。達也の意に添わない事をしたら、即、叔父に話が行きそうで怖かった。シャノンと出会った今となっては、余計に叔父から、留学を取り消されやしないかと気になってしまうのだ。
 

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