男子高校生ヒロサダの毎日極楽

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2018年下半期〜2019年

ヒロサダの部活動見学8-6(競技)

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 開会式も無事終わり、最初の競技である女子50m自由形の選手が招集されている中、ヒロサダ達は更衣室へと戻った。
 「ま、眞名井ちゅわ~んから水着貸してもらったのはいいものの、これは………」
 女子用のスクール水着を手にヒロサダは考え込んでいる。
 「………。ヒロサダ君!!!。それを着て競技に出るしか他に手はない!。それに男子でも上半身まで覆うような競泳水着を着て出場している選手もいるから、その格好でも大して目立つことはないだろう!」
 「そうですよヒロサダさん!。着替えましょう!!!」
 「お前が着替えなきゃ始まらないぞ」
 創部以来初のメドレーリレー出場がかかっているため、男子部員達は必死にヒロサダに女子用スクール水着を着せようとしている。
 「わ、わかりましたじゃ~。ここまで来て辞めるわけにはいきませんじゃ~!!!。いけえりっちゃんに近づくためにもこのくらいのことで引き下がれませんじゃ~!!!」
 決意したヒロサダは、女子の高校制服を脱ぎ、女子用スクール水着に着替えた。
 
 「サ、サイズはギリギリ入りましたじゃ~」
 眞名井ちゃんはスタイルがよく、身長は177cmとヒロサダとそんなに変わらないため水着の丈はちょうど良かった。
 「着替え終わったかヒロサダ君!!!。首はきつそうだが大丈夫かね?」
 「喋れるからなんとか大丈夫ですじゃ~」
 丈はちょうど良かったが、眞名井ちゃんは完璧なモデル体型であるため、ヒロサダの身体に水着が食い込んでいる。

 ヒロサダ達4人は水着に着替え準備万端。更衣室の椅子に、世界大会に出場した日本代表選手のように腰掛けて出番を待っている。特に3年の田所豊は更衣室内だというのにサングラスをかけ、ヘッドホンをし、腕を頭の上で組み椅子に寝転がっている。

 「次は男子4×100mメドレーリレーです。出場される選手の方々は、お集まりください」
 ヒロサダ達が招集されたのは更衣室内で準備を済ませてから4時間30分後だった。男子メドレーリレーがちょうど午前最後の種目のようだ。
 「よしみんな。準備はいいな!それじゃあ行くぞ!!!」
 部長の田所康雄が先陣を切って更衣室を出た。
 「じゃあヒロサダさん、行きますか!」
 「いけえりっちゃんに追いついてみせますじゃ~!!」
 田所梓とヒロサダも部長に続いた。
 「フンガッ!?…………。出番か」
 頬に見事なヨダレ跡をつけた田所豊もそれに続いたが、ゴーグルをしていなかったことに気づきすぐさま更衣室へ戻った。
 「しまった………。ゴーグル忘れた………」
 「おーい豊!!!急げよ~!!!」
 ゴーグルを家に忘れたらしい豊は、部長の声により仕方なく更衣室を出た。

 「じゃあ作戦通り、頑張るぞ!!!」
 部長が気合を入れ、いよいよ競技が開始する。ヒロサダの女子用スクール水着姿に会場がざわつきながらも、ヒロサダ達は3コースに入り、第1泳者の3年田所豊が水に入った。
 「おい豊!?お前ゴーグルはどうした??」
 「俺には必要ないさ。まあ見ていろ」
 そう言って豊は背泳ぎのスタート体制についた。
 
 「Take your mark.テイキュア マーク Setセットゥ. ピッ!」
 皆が一斉にスタートした。3コースの豊もまずまずのスタートのようだ。
 「いけ~!!!!」
 部長が必死になって応援する中、梓は精神統一をしている。

 会場では歓声が大きく上がる中レースが進み、1位を泳ぐチームが早くも第2泳者に引き継いだ。その後すぐに2位、3位、4位のチームも同様に引き継いだ。豊はというと、ようやく50mを折り返した所だ。
 7位のチームが引き継ぎを済ませた12秒後。ようやく豊が来た。左右のコースロープにぶつかり続けながらも、ゴーグルがない中よく泳いだ。8チーム中最下位だが無事に第2泳者の田所康雄へとつないだ。
 「俺の役目はここまでだ」
 「豊さんおつかれ様です!。自己ベストに迫るタイムですね!」

 豊と梓が談笑する中、引き継いだ康雄もプール中央で平泳ぎをしている。
 応援する部員がいない中、康雄も50mを折り返し引き継ぎへと急ぐ。
 差はさらに開いたようだが、無事に引き継ぎ、第3泳者の田所梓が飛び込んだ。
 「梓ならやってくれるさ」
 部長がそう呟いたころには、他のチームはすでに最終泳者がスタートし始めている。

 梓が折り返した頃。他のチームとの差はさらに開き、1位のチーム、2位のチームが続けてゴールした。
 「い、いよいよわしの出番ですじゃ~」
 緊張しながら梓の到着を待つヒロサダ。他のチームが次々とゴールする中、まだ梓は引き継がない。

 会場の歓声も静まってきた頃、7位のチームの最終泳者と競うように梓がやってきた。他のチームはタイムを確認し終え、すでに休憩に向かっている。
 辛うじて7位のチームの最終泳者に競り勝った梓はヒロサダに引き継いだ。しかしヒロサダは緊張のあまり飛び込めない。
 「ヒロサダ君!行くんだほら!!!」
 部長と豊に背中を押され飛び込んだのは、7位のチームがゴールした後だった。

 “ボシャーン”
 ヒロサダがプールへ落とされた時には既にプールは彼の独壇場であった。観客の声援もすっかり止んだと思ったら、
 「ヒロサダくぅ~ん!!!!。いっけ~!!」
 と、眞名井ちゃんの黄色い声援が鳴り響いた。
 ヒロサダにその声が聞こえているかどうかは定かではないが、眞名井ちゃんの声援がヒロサダの原動力になったのは会場の皆には自明だ。
 
 「ヒロサダ君!。頑張ってくれ!!」
 部長がヒロサダに声をかける。飛び込んだ(落とされた)ヒロサダがちょうど水面に上がってきた時だった。
 「あ、あの泳ぎは!?」
 メンバー全員と、会場がヒロサダの泳ぎを見てざわついた。無理もない。自由形でクロールを泳いでいないのだから。
 「バシャーン、ブヒャッ!バシャーン、ブヒャッ!」
 ヒロサダは更衣室でメンバーに公言したように、バタフライを泳いでいるようだか、スクロールが速すぎてもはや溺れているようにしか見えない。

 「ヒロサダ君~!!!!!。ステキよ~!!!!」
 ヒロサダが泳ぎ始めて5分後。ゴールを目前として、会場には眞名井ちゃんの声しか聞こえない。
 「ヒロサダ君!!!あとちょっとダー!!!」
 部長も拳を突き上げヒロサダのラストスパートを応援する。もはや泳いでいるのかすらわからないヒロサダは、歩くように100mを泳ぎきった。
 
 「ブヒャッ!!。い、いけえりっちゃん~」
 泳ぎ終わったヒロサダに、会場からは惜しみない拍手が2.1秒に渡って送られた。すぐにでもヒロサダの元へ駆けつけたい眞名井ちゃんだが、感動のあまり泣き崩れており、立ち上がることができない。

 「ヒロサダ君お疲れ様!!!。よく頑張ってくれた!!!!」
 「お前がいなかったら今回の結果はなかったよ」
 「ヒロサダさん!。お疲れ様です!!!」
 「や、やりましたじゃ~!!!」
 部員たちの声に、ヒロサダは達成感に満ち溢れている。
 「初出場で8位入賞!!!。胸を張って学校に帰ることができるよ!。みんな、本当にありがとう!!!」
 涙腺が弱まった部長をよそに、場内にアナウンスが流れる。
 「これにて午前の部最後となる男子4×100mメドレーリレー予選の全組が終了いたしました。午後は各種目の決勝を行います」
 
 「よ、予選だったんですじゃが~!?」
 驚くヒロサダと部長と田所豊の事を驚いた田所梓。
 「まさかこれが予選だって知らなかったんですか!?」
 梓の声にぐうの音も出ないヒロサダ達。男子4×100mメドレーリレーは地区大会予選敗退という結果となった。
 
 更衣室へ戻ろうとしたところ、何やら本部の方が騒がしい。ヒロサダ達がそのことに気がついたと同時に場内に再びアナウンスが流れてきた。
 「先ほどの男子4×100mメドレーリレー予選の結果について修正がございます。3コースの最終泳者につきまして、審議の結果、バタフライを泳いでいると判断が下ったため、ルール違反により失格といたします」
 思いもよらないアナウンスに、ヒロサダが本部に押しかける。
 「ど、どういうことですかじゃ~!!!!????。わしは自由形で、自由にバタフライを泳いだんですじゃ~!!!!。いけえりっちゃん~!!!!!」
 混乱しているヒロサダに、審判副部長が説明する。
 「メドレーリレーの自由形は、第1~3泳者が行う背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ以外の泳法で泳がないといけないというのが公式ルールになっているので、アナウンス通り失格になります」
 「ぶ、ぶちょぉ~!!!!」
 「す、すまないヒロサダ君……。私の知識不足でっ……」
 男子4×100mメドレーリレーは地区大会予選失格という結果に終わった。

 「ホー!オラフミタケ!
 ヒロサダ達は残念な結果だったよホーじゃが、ダントツで最下位のチームの審議をわざわざ行ってくれた本部をオラは讃えたいホー!。
 泣き崩れた眞名井ちゃんはだいじょホーぶなんかホー……。心配ホー。
 これでヒロサダの部活動見学水泳部編は終わりホーね。
 ………ホーん当に終わりかって?。それはオラにも分からんホー。ここで終わったら泣き崩れたままの眞名井ちゃんが黙ってない気もするホーじゃが果たしてどホーかのホー……」
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