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背中
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いつからだろうか。満員電車に揺られながら出勤すること、職場で作業すること、飲み会で同僚や上司と大騒ぎすること、酔いがまわり終電あるいはタクシーで帰宅すること。全てが楽しかった。今ではかった。となってしまう。
若い連中はこのルーティーンをこなしていくことが当たり前でそのなかにはまだまだエネルギーが有り余って見える者もいる。ついこないだまで20代だったはずの博だが気づけば37歳になっていた。まだまだいけるぜ!という年かもうきつい…という年齢の境目とも言えるだろう。博はどっちかというと後者だ。博は日々の生活に疲れを感じているが、妻の朱里と娘の唯のため、ただそれだけ…のために日々を過ごしていると言っても過言ではない。朱里は博と同い年であり、唯は11歳である。
唯は可愛い!唯はまだ可愛い!唯は可愛いはずだ!日に日に成長していく娘の姿を見ているとこういう発想になってしまう。博はごく自然だと考えている。いずれ反抗期が来て「キモいんだよ!」「うるさいなぁ!」などの罵声を大切に育ててきた娘に浴びせられると博は承知しているからだ。日々の生活の中でも悩みが多いがそういう親子関係での悩みほど頭を悩ます悩みはない。
日曜日は唯から誘ってくれる。「お父さん!どっか出掛けない?」と。この上ない幸せだ。家庭を持つとは辛いことばかりではないんだなあと博はつくづく思う。つまり博にとって唯の誘いは救いの一言と言うことだ。だいたい日曜は唯と朱里と三人で出掛ける。家族団欒というやつか。本当に幸せなこの時間があとどのくらい続けられるか。唯もそのうち友達を優先して親は二の次にするだろう。博は今を楽しもうと心の中で思う。疲れることは多いが体は動くし、娘と出掛けられる環境のある中で一生懸命に楽しもうと博は思う。
日曜日の家族団欒も終わりを迎えようとしていた。家族三人でディナーを楽しんでいる時だった。娘が言った。「今度学校で尊敬する人をテーマに文を書くんだよね」「へー、そうか!唯は誰をテーマにするんだ!」「決まってるじゃん!お父さんだよ!」「何言ってるんだよ唯。他にたくさんいるだろ」「私は私のために働いて休みの日は色々なところに連れてってくれるお父さんを一番尊敬しているの!」。
博は何も言えずに固まった。娘にこんな風に思われてたのか。まだ反抗期も始まってないから嫌われてるとも思ってはいなかったが、こんなにも感謝され尊敬されているとは知らなかった。照れ臭くなってしまうこのやりとりはごく自然に訪れた。急な娘の台詞に博は笑みを隠せなかった。きっとこれが親子だ。いくら中の悪い親子でも子は親の背中というやつをしっかりと見て育つのだ。良い子になろうが悪い子になろうが親の背中をしっかりと見て育つのだ。
博は唯と朱里をこの先も守ろうと決意する。いくら唯が悪い子になろうがこの子を一人前の大人にしてみせるさ。心の中で博は誓った。
子はいつか巣立っていくものだ。だが親子の関係は続く。親とはいつまでも良くも悪くも子供にとってデカイ存在だ。親の背中も同様のものだ。
博は少し間をおいて唯に言った。「嬉しいなぁ!唯がそんな風に言ってくれて!よし!何でも好きなものを注文していいぞ!」。
朱里は微笑みながら言った。「あなたって本当に単純なんだから」。家族三人で笑いあった。博のテーブルは店内のライトで照らされていた。しかし他のテーブル以上に博のテーブルは何かで輝いているように感じた。
若い連中はこのルーティーンをこなしていくことが当たり前でそのなかにはまだまだエネルギーが有り余って見える者もいる。ついこないだまで20代だったはずの博だが気づけば37歳になっていた。まだまだいけるぜ!という年かもうきつい…という年齢の境目とも言えるだろう。博はどっちかというと後者だ。博は日々の生活に疲れを感じているが、妻の朱里と娘の唯のため、ただそれだけ…のために日々を過ごしていると言っても過言ではない。朱里は博と同い年であり、唯は11歳である。
唯は可愛い!唯はまだ可愛い!唯は可愛いはずだ!日に日に成長していく娘の姿を見ているとこういう発想になってしまう。博はごく自然だと考えている。いずれ反抗期が来て「キモいんだよ!」「うるさいなぁ!」などの罵声を大切に育ててきた娘に浴びせられると博は承知しているからだ。日々の生活の中でも悩みが多いがそういう親子関係での悩みほど頭を悩ます悩みはない。
日曜日は唯から誘ってくれる。「お父さん!どっか出掛けない?」と。この上ない幸せだ。家庭を持つとは辛いことばかりではないんだなあと博はつくづく思う。つまり博にとって唯の誘いは救いの一言と言うことだ。だいたい日曜は唯と朱里と三人で出掛ける。家族団欒というやつか。本当に幸せなこの時間があとどのくらい続けられるか。唯もそのうち友達を優先して親は二の次にするだろう。博は今を楽しもうと心の中で思う。疲れることは多いが体は動くし、娘と出掛けられる環境のある中で一生懸命に楽しもうと博は思う。
日曜日の家族団欒も終わりを迎えようとしていた。家族三人でディナーを楽しんでいる時だった。娘が言った。「今度学校で尊敬する人をテーマに文を書くんだよね」「へー、そうか!唯は誰をテーマにするんだ!」「決まってるじゃん!お父さんだよ!」「何言ってるんだよ唯。他にたくさんいるだろ」「私は私のために働いて休みの日は色々なところに連れてってくれるお父さんを一番尊敬しているの!」。
博は何も言えずに固まった。娘にこんな風に思われてたのか。まだ反抗期も始まってないから嫌われてるとも思ってはいなかったが、こんなにも感謝され尊敬されているとは知らなかった。照れ臭くなってしまうこのやりとりはごく自然に訪れた。急な娘の台詞に博は笑みを隠せなかった。きっとこれが親子だ。いくら中の悪い親子でも子は親の背中というやつをしっかりと見て育つのだ。良い子になろうが悪い子になろうが親の背中をしっかりと見て育つのだ。
博は唯と朱里をこの先も守ろうと決意する。いくら唯が悪い子になろうがこの子を一人前の大人にしてみせるさ。心の中で博は誓った。
子はいつか巣立っていくものだ。だが親子の関係は続く。親とはいつまでも良くも悪くも子供にとってデカイ存在だ。親の背中も同様のものだ。
博は少し間をおいて唯に言った。「嬉しいなぁ!唯がそんな風に言ってくれて!よし!何でも好きなものを注文していいぞ!」。
朱里は微笑みながら言った。「あなたって本当に単純なんだから」。家族三人で笑いあった。博のテーブルは店内のライトで照らされていた。しかし他のテーブル以上に博のテーブルは何かで輝いているように感じた。
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