jkたち、trpg風な異世界を大冒険する

丸々 かずきち

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1章 〜我ら初心者冒険者〜

1話

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 ここは影吉台かげよしだい高校。至って普通の公立校だ。

 朝のチャイムが鳴って何人かの生徒が走り込んでくる。

 そして最後に堂々と歩いてくる女子が1人。黒髪のレイヤーのボブカットで、水色のヘッドホンを被っている。ブレザーの下に薄手のパーカーを羽織っていていかにも現代の女子らしい。いや、ちょっと昔のファッションなのかもしれない。

 彼女は坂ノ部羽美さかのべうみ。大のゲーム好きで、ジャンル問わずなんでも好む。なんならビデオゲームじゃなくても、トランプやらtrpgすらもやる。

 ここだけの話、顔やスタイルは女優にだって負けてない。

 しばらくして担任の先生が教室に入ってくる。眼鏡をかけている中年の男だ。

「はーい。ホームルーム始めるぞー」

 先生がそう言ったその時だった。突然、東校舎から爆発音が聞こえたのだ。ある生徒たちは叫び、ある生徒は走って廊下まで行き、東校舎を窓越しに見る。

 間髪入れずにサイレンが鳴り響く。

「火災警報、火災警報。生徒たちは先生の指示に従って今すぐ避難してください」
「何が起きてるの……」羽美は呟く。

 しかし、東校舎に立ち昇る炎は、不自然な軌道で羽美のいる校舎までやってくる。まるで生き物のように。

「な!」

 そして炎はたちまち羽美のいる校舎に襲いかかる。

 そして生徒たちはパニックになる。彼らの叫び声で先生の声が聞こえない。さらに、建物は異常な速度で炭になっていく。

 羽美は生徒たちを押し退け、すぐに先生の方へ向かう。だがその時、羽美が走っている地面が崩れた。

「うそっ……」



「可哀想に……のせいで」

-誰……なにを喋ってる。

「僕は運命の神、ダイスだよ」

 羽美は景色も光も見えない。手足の感覚もない。あるのは聴覚だけだ。それも、どうやら幻聴が聞こえてるようだ。

「君は覚えてるかな? 摩訶不思議な炎によって君は死んでしまった」

-うん。そう。

 羽美は走馬灯のように、最期の景色を思い出す。生きているかのような謎の炎。あまりにも一瞬だった。

「悔しくないのかい?」

-うん。もっとゲームやりたい。死ぬまでやりたい。

「そ、そっか。じゃあチャンスをあげようかな」

-チャンス?

「そう。君には異世界へ転移してもらう」

-はあ……。

「その世界で、君は神話の時代にあった5つの秘宝を見つけるんだ。その5つの秘宝が集まれば、君はどんな願い事だって叶えられる」

-なんか、凄いベタだね。

「う、うるさいなぁ! 王道が一番盛り上がるんだ! とにかく、君が異世界にいる間、地球の時間は進まない。それに、君が異世界で歳をとっても地球に戻れば元通り。火災のない未来を提供してあげる!」

-おお。それはけっこう魅力的だね。

「でしょでしょ! で、やるのやらないの?」

-やるよ。家族にも、友達にもまた会いたい。

「うん。いい意気込みだね。けど君1人では難しいだろうから仲間を提供してあげる。仲間は全員知ってる人のはずだよ」

-え、誰だろう。

「それではいってらっしゃい! 君の冒険、楽しみに見てるよ!」

 その言葉が終わるのと同時に、羽美の感覚は復活していく。



 ようやく目がある、という感覚になり、羽美は瞼を開く。そこには、見覚えのある4人の女子がいた。みんな高校にいる人だ。

 羽美は周りを見て、金髪のストレートヘアの女子を見つける。

「あ、水無月みなつき?」

「ども」。軽い返事だ。

 水無月は高校1年生で俺らの後輩でありギャル。パパ活やったりとか、悪い噂しかない。

「君たち、ここがどこか分かるの?」

 羽美は声が聞こえた方を見る。そちらを見ると、なんと生徒会長がいた。宮野という苗字だ。

 ポニーテールでキリッとした表情。絵に描いたような生徒会長だ。また、この人は剣道の全国大会で優勝したりと優秀な成績を残している。

「分からないです」、と水無月。

 羽美はそこで初めて景色に注目する。ここはどうやら道のようで、周りは森林だ。アスファルトの道じゃない。

「あ、あの……」

 そして最後の1人だ。羽美のクラスメイトの浦星うらほし。眼鏡をかけていて大人しい子だ。喋った事はないし、彼女が誰かと会話しているのも、羽美は見たことがない。

 ギャル水無月は浦星のことを見つめながら「ふっ」と微笑む。

「それで、皆んなもダイスっていう名前の人と話してここへ来たのかしら?」

 生徒会長こと宮野は間に割り込んで話を進める。

「うん。異世界に行って秘宝を探せって言われた」

「ウチもー」、と水無月。

 しばらくの沈黙の後、羽美は口を開く。

「とりあえず、街を探そう。異世界に行ったらまず就職が基本……私のやりたいジョブはゴリゴリのインファイタア。アサシン系のジョブのサブスキルを取って、スピード型の……」

 浦星は苦笑をする。羽美とは同クラスなので、ゲームオタクなのは知っている。

「なに言ってるかわからなーい。でも早く泊まれる場所行こ」

 水無月はさっそうとその場を離れる。

「あ、待って」、と生徒会長。
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