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しおりを挟む「プロポーズ? きゃぁぁぁ」
真っ赤なお姉さん傘が、恥ずかしそうに黄色い声を上げる。
「いやぁ、プロポーズくらいで赤くなるなんて、お姉さん、純粋だねぇ」
「赤いのは元からよ!」
紺のおじさん傘に、からかい口調で言われ、真っ赤なお姉さん傘がプンッと怒る。
「ぷろぽーず?」
ももがキョトンと聞き直すと、紺のおじさん傘がももに笑いかけた。
「結婚してください。って言うんだよ。ももには、まだわからないかな」
「けっこん?」
「んーと、そうだな。家族になりませんか?って聞くことかな」
「ふぅん……」
ももは、よくわからないなぁと思いながらも、みんなが、あーでもないこーでもない、きゃーきゃーと楽しそうだから、きっと良いことなのねと思う。
「わたしも、ぷろぽーず、聞ける?」
「うーん、どうかな。ももは子供用だから、ちょっと無理かも」
黒のおじさん傘に言われ、ももはつまんないのっとそっぽをむいた。
「それにしても、黒じいの持ち主は、ずいぶん黒じいを連れ歩いてたんだなぁ」
ビニールの傘が「いいなぁ」と黒じいに言うのを聞いて、ももは黒じいを見た。
「そうさな。持ち主は雨男だったからなぁ。折り畳み傘は嫌いとかで、わしは、いつも連れて行かれたよ」
はっはっはっと黒じいが笑い「雨男か! そりゃあいい!」とみんなも笑い、ももは、あめおとこの意味がわからなかったが、みんなが楽しそうだったので、つられて笑ってしまう。
桃岡駅忘れ物センターでは、毎日、楽しく、騒がしい時間がすぎていく。
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