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再会
綺良くん 5
しおりを挟む社長はニカッと白い歯を見せ、僕の肩をポンポンと叩いた。
「そうだ、今日の打ち上げ、ホテル貸切ってっから。招待者席に来てた人も呼ぶし、大賑わいだぞ。綺良、盛り上げ、よろしくな! 詳しいことは小竹に聞いて!」
「ふぁぁぁい」
「ほらほら、疲れた顔しない。若いんだからさ。元気、元気。笑顔、笑顔」
自分の両ほっぺたに人差し指を押し当て、首を傾け、二カァと笑う社長。
ひげ面おっさんの笑顔…………嬉しくない。
社長のパワフルさに当てられ、元気になるどころかどっと疲れが増した気がした。
「大丈夫ですって。打ち上げではニッコニコの完璧スマイル見せますから」
「頼むでぇぇぇ! 今や綺良は、わが社の顔! わが社のエース! わが社の稼ぎ頭! バンバン稼いでくれよー! バンバンなっ!!」
「ふぉぉい」
やる気なく返事をすると、社長は、よろしく頼むでぇと笑いながら控室を出ていった。
うちの事務所はアットホームで、若造の僕でも社長にガンガン文句が言えてしまう。普段から社長とはあんな感じで話しているけど、社長も僕の人生を変えてくれた恩人だ。
僕はクスリと笑い、うーんと大きく伸びをした。
「さぁぁてと。打ち上げ、盛り上げますかっ」
打ち上げの詳しい事を小竹くんに聞かなきゃ……小竹くん見かけないけど、どこ行ったんだろ?
僕はスマホを取り出し、小竹くんに電話した。
『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていない為、かかりません』
…………おいっ! タレントほっといて何してるんだよ……まったく。参ったな。この後のスケジュールは小竹くんに聞かなきゃわからない。
何度電話を掛けても、機械的な声のアナウンスが流れるだけ。僕が困り果て、頭を抱えているとドアをノックする音がした。
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