お仕事辞めて、推しごと解禁!

桜乃

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「その……応援してくれるのは嬉しいけど……マネージャーとして応援してくれれば良くない?」

「それじゃあ違うんですよぉ」

 そう、マネージャーはあくまで仕事。
 私がしたいのは、しごとなのだっ。

 きぃ君は不機嫌そうにムスッとしていたけれど、ふと何かひらめいたのか、急にアイドルスマイル、キラッキラの笑顔で私の手を取った。

 うぎゃー、何をなさるの!?
 私の精神を破壊する気ですかぁぁ!!

「月子さん、しごとってさ。推しているアイドルの幸せを願うものでしょう?」

 キュルリンと子犬のようなかわいい顔で見つめてくる。

 ま、眩しくて直視できないよぉ。

 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいぃぃ。

 意味もなく、心の中で謝罪を繰り返す私。

「だからさ、僕の幸せは月子さんにマネージャーについてもらう事なんだよね。これも、推しごとだよね?」

 ヤバい……

 推しの幸せ。

 それを言われたら、何も言えなくなる。

「あ、あ、あ……」

 きぃ君は最高の微笑みで首を傾げ、私の手をキュッと握り、甘えた声を出す。

「ね?」


 チーーーーーーン。


 五十嵐月子、35歳。

 推しごと終了の鐘がなった。

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