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あなたは誰をゾンビにしたのですか 7
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「そう。じゃあ行こうか。」
アッシュが家に入っていくのに続いてアンリも家に入る。
そして、そこでアンリが最初に見つけたものは、床に転がったイスと床に散らばるように割れた皿の破片だった。
(ひどい。)
お父さんは家にあるものを手あたり次第に壊していったのだろう。そう思えるほど、家は荒れており、そこらじゅうにモノが散らばっていた。
「お母さんはあそこにいるみたいだよ。」
アンリは壊れた物に目を奪われていたが、アッシュの言葉にハッとしてアッシュが示す方を見た。
そこはアンリが見ていた床とは対角線にある場所で、投げ倒された家具が多く溜まっている場所だった。
そして、割れた皿などに覆われるようにして、横倒しになったアンリの母親の姿が見えた。
「お母さん!」
アンリは急いで母親のもとへ駆け寄り、母親の体にかぶさった破片を振り払った。
アンリの母親は椅子に縛られた状態で倒されており、顔には何度も殴られたような痕が見えた。
「お母さん!大丈夫!?」
肩を揺さぶって呼びかけるが、返事はない。
本当に生きているのだろうか。アンリの不安はどんどん大きくなっていく。
「落ち着きなよ。眠ってるだけだから。」
アッシュから声が掛けられる。
「本当に?」
アンリは母親から目を離さずにアッシュに聞き返した。
そして、落ち着いて母親の様子を見ると、母親がゆっくりと呼吸をしていることに気づいた。血が流れているようなところもない。
(よかった。生きてる。)
「はぁ~。よかった~。」
アンリは母親が生きていることがわかると、大きくため息をついてその場に座り込んだ。
「そう。よかったね。」
アッシュから声が掛けられる。よかったという言葉とは裏腹に、アッシュの声は棒読みだったが、アンリは素直に言葉を受け取った。
「うん。よかった。」
そして、改めて母親の様子を見て、イスに縛られて倒されている状態を解放しようと考えた。
(このままだとかわいそうだ。けど、どうしよう。まずお母さんを縛っているヒモをどうにかするべきだろうか。)
アンリはヒモの結び目をほどくために指に力を入れた。しかしながら、硬く結ばれたヒモはびくともしない。
身近にヒモを切れそうなものもなく、アンリはアッシュに声を掛けた。
「ねぇ、ナイフとか持ってない?ヒモを切りたいの。」
「あるよ。」
アッシュはポケットから折り畳み式のナイフを取り出してアンリに渡した。
「これなら切れるはず。」
アンリはナイフを受け取ると、母親の体を傷つけないように注意しながら、ヒモを切っていった。
ぶつん、ぶつんと、ヒモの繊維が切り裂かれ、ヒモが緩んでいく。そして、ヒモが完全に切断されると、
どさりと、アンリの母親の体が椅子から解放されて床に落ちた。
アンリはお母さんが床に落ちてケガをしなかったか慌てた。床にはガラス片などが散らばっているのだ。
(この場所じゃだめだ。どこか安全なところに寝かせないと。)
そう考えたアンリは母親の体を動かそうとした。しかしながら、一人で大人を運ぶ力はない。
「助けてアッシュ。お母さんをベッドに運びたいの。」
ベッドに寝かせればこれ以上体が傷つくことはないはずだ。そう考えて母親の両脇に手を入れて上半身を持ち上げる。
その様子を見て、アンリの近くに寄ってきたアッシュは両足を抱えた。
「じゃあいくよ。」
そう掛け声をかけて、2人で体を持ちあげる。しかしながら2人ともあまり力がないので、母親の体をわずかに持ち上げるだけでもやっとという感じだ。
「ねぇ、ベッドに運ぶならあっちの部屋がいいと思うよ。」
大人の重さにふらつきながら、アッシュがアンリに言った。
「え、なんで?」
アンリに浮かんだのは疑問だった。
この家には、今いる居間とは別に2つの部屋があり、1つはアンリと母親が使っており、もう1つの部屋は父親が使っていた。
そして、アンリが母親を運ぼうとしていたのはもちろん、自分達が使っている部屋だったが、アッシュが示したのは父親が使っている部屋だった。
アンリの疑問はもっともなモノだった。そして、アッシュの答えは簡潔だった。
「もうひとつの部屋の方には君のお父さんがいるから。」
「そんな。」
アッシュの答えをきいて、アンリは恐怖を感じた。一体、私達の部屋で何をしていたのだろうか。
アンリは正直なところ、父親の部屋に入りたくないと考えていた。また、お母さんにとっても目が覚めた時にお父さんの部屋にいるのはよくないだろうと思っていたのだ。
しかしながら、自分達の部屋にお父さんがいるなら話は別だ。しかたなく、アンリは母親を父親の使っている部屋に運ぶことにした。
父親の部屋は意外にも荒らされていなかった。
空いた酒瓶が何本かあり、キレイというほどでもなかったが、モノが散らばっていたりはしない。ベッドも危険はなさそうだ。
アンリとアッシュは息を合わせて母親の体をベッドに乗せた。
仰向けになった母親の姿は痛ましいものだったが、少なくともこれ以上ひどくなることはないだろう。
アンリの母親は身じろぎをすることもなく、苦しそうな顔もせず静かに眠っている。
アンリは、母親の安全をある程度確保することができたと感じて少し安心した。
そして、アンリは自分を鼓舞するように自らの両手をパン、と打ち付けると、次にやるべきことに目を向けることにした。
(私達の部屋に行かなきゃ、そして、お父さんをどうにかしないと。)
アンリが部屋を出ると、アッシュはすでにアンリ達の部屋のドアを開け放ってアンリを待っていた。
アッシュが家に入っていくのに続いてアンリも家に入る。
そして、そこでアンリが最初に見つけたものは、床に転がったイスと床に散らばるように割れた皿の破片だった。
(ひどい。)
お父さんは家にあるものを手あたり次第に壊していったのだろう。そう思えるほど、家は荒れており、そこらじゅうにモノが散らばっていた。
「お母さんはあそこにいるみたいだよ。」
アンリは壊れた物に目を奪われていたが、アッシュの言葉にハッとしてアッシュが示す方を見た。
そこはアンリが見ていた床とは対角線にある場所で、投げ倒された家具が多く溜まっている場所だった。
そして、割れた皿などに覆われるようにして、横倒しになったアンリの母親の姿が見えた。
「お母さん!」
アンリは急いで母親のもとへ駆け寄り、母親の体にかぶさった破片を振り払った。
アンリの母親は椅子に縛られた状態で倒されており、顔には何度も殴られたような痕が見えた。
「お母さん!大丈夫!?」
肩を揺さぶって呼びかけるが、返事はない。
本当に生きているのだろうか。アンリの不安はどんどん大きくなっていく。
「落ち着きなよ。眠ってるだけだから。」
アッシュから声が掛けられる。
「本当に?」
アンリは母親から目を離さずにアッシュに聞き返した。
そして、落ち着いて母親の様子を見ると、母親がゆっくりと呼吸をしていることに気づいた。血が流れているようなところもない。
(よかった。生きてる。)
「はぁ~。よかった~。」
アンリは母親が生きていることがわかると、大きくため息をついてその場に座り込んだ。
「そう。よかったね。」
アッシュから声が掛けられる。よかったという言葉とは裏腹に、アッシュの声は棒読みだったが、アンリは素直に言葉を受け取った。
「うん。よかった。」
そして、改めて母親の様子を見て、イスに縛られて倒されている状態を解放しようと考えた。
(このままだとかわいそうだ。けど、どうしよう。まずお母さんを縛っているヒモをどうにかするべきだろうか。)
アンリはヒモの結び目をほどくために指に力を入れた。しかしながら、硬く結ばれたヒモはびくともしない。
身近にヒモを切れそうなものもなく、アンリはアッシュに声を掛けた。
「ねぇ、ナイフとか持ってない?ヒモを切りたいの。」
「あるよ。」
アッシュはポケットから折り畳み式のナイフを取り出してアンリに渡した。
「これなら切れるはず。」
アンリはナイフを受け取ると、母親の体を傷つけないように注意しながら、ヒモを切っていった。
ぶつん、ぶつんと、ヒモの繊維が切り裂かれ、ヒモが緩んでいく。そして、ヒモが完全に切断されると、
どさりと、アンリの母親の体が椅子から解放されて床に落ちた。
アンリはお母さんが床に落ちてケガをしなかったか慌てた。床にはガラス片などが散らばっているのだ。
(この場所じゃだめだ。どこか安全なところに寝かせないと。)
そう考えたアンリは母親の体を動かそうとした。しかしながら、一人で大人を運ぶ力はない。
「助けてアッシュ。お母さんをベッドに運びたいの。」
ベッドに寝かせればこれ以上体が傷つくことはないはずだ。そう考えて母親の両脇に手を入れて上半身を持ち上げる。
その様子を見て、アンリの近くに寄ってきたアッシュは両足を抱えた。
「じゃあいくよ。」
そう掛け声をかけて、2人で体を持ちあげる。しかしながら2人ともあまり力がないので、母親の体をわずかに持ち上げるだけでもやっとという感じだ。
「ねぇ、ベッドに運ぶならあっちの部屋がいいと思うよ。」
大人の重さにふらつきながら、アッシュがアンリに言った。
「え、なんで?」
アンリに浮かんだのは疑問だった。
この家には、今いる居間とは別に2つの部屋があり、1つはアンリと母親が使っており、もう1つの部屋は父親が使っていた。
そして、アンリが母親を運ぼうとしていたのはもちろん、自分達が使っている部屋だったが、アッシュが示したのは父親が使っている部屋だった。
アンリの疑問はもっともなモノだった。そして、アッシュの答えは簡潔だった。
「もうひとつの部屋の方には君のお父さんがいるから。」
「そんな。」
アッシュの答えをきいて、アンリは恐怖を感じた。一体、私達の部屋で何をしていたのだろうか。
アンリは正直なところ、父親の部屋に入りたくないと考えていた。また、お母さんにとっても目が覚めた時にお父さんの部屋にいるのはよくないだろうと思っていたのだ。
しかしながら、自分達の部屋にお父さんがいるなら話は別だ。しかたなく、アンリは母親を父親の使っている部屋に運ぶことにした。
父親の部屋は意外にも荒らされていなかった。
空いた酒瓶が何本かあり、キレイというほどでもなかったが、モノが散らばっていたりはしない。ベッドも危険はなさそうだ。
アンリとアッシュは息を合わせて母親の体をベッドに乗せた。
仰向けになった母親の姿は痛ましいものだったが、少なくともこれ以上ひどくなることはないだろう。
アンリの母親は身じろぎをすることもなく、苦しそうな顔もせず静かに眠っている。
アンリは、母親の安全をある程度確保することができたと感じて少し安心した。
そして、アンリは自分を鼓舞するように自らの両手をパン、と打ち付けると、次にやるべきことに目を向けることにした。
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