ヲタクと腐女子の二人旅

水無月 神楽

文字の大きさ
5 / 7
一章

死の恐怖

しおりを挟む
 内戦中の村に向かった俺たち、羅宗と紅音は、ようやく村に着いた。
 そこには、炎と血が、いや吐き気を模様ような光景が広がっていた。
 そして、聞こえる音は、嘆き声だけ。
 俺は、覚悟してきたが、やはり想像を絶する光景だ。
 紅音は、足から崩れ落ちていた。
 やはり、甘く見ていたらしい。元の世界は、平和すぎて、平和ボケをしていたようだ。ハクの話が、胸の中で語りかけてくる。
 俺は、紅音の肩に腕を回した。そして、耳元で、語りかけた。

「俺たちが、転生してきたこの異世界は、元のいた世界より甘くないんだ。覚悟しとかないと死ぬよ。」
「うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさーい。あなたに私の何がわかるの。何もわからないくせに、偉そうなこと言うなよ。キモいんだよ。黙れよ。」
「俺も怖いよ。死ぬ恐怖は、もうしたくない。俺は、ハクにあったんだ。そして、考えを教えてもらったよ。内戦、戦いが生むものを。」
「何を生むのよ。わけわかんないよ。」
「憎しみを生むんだよ。分かるよ。この内戦を見れば。」
「見たくない。こんな世界から消えたい。」
「後悔することならいくらでも出来る。でも、異世界に転生した以上生き抜くには、前を向いて進むしかないんだ。」
「え、偉そうなこと…………。」
「偉そうなことかもしれない。だが、今ある現実を見なければならないんだ。」
「ん、…………。」

 そして、紅音は涙を流した。立ち上がった紅音の顔には、何かが吹っ切れた感じがした。

「行こうか。」

 黙って紅音は、付いてきた。
 まずは、村の現状を見た。
 俺には、察知する力があるみたいだ。後ろから狙われていることが、すぐわかった。
 木刀もどきを構えた。

「誰だ、俺たちを狙っている輩は。」

 すると、燃えていない家の柱の影から、12歳くらいの男の子が出てきた。

「お父ちゃんもお母ちゃんも死んで一人なんだ。もう食べるものは、何もない。だからお前らを殺して、食料を手に入れようとしたけど、見つかったからしょうがない。僕を殺せよ、心の準備は、とっくに出来てる。」
「お前を殺す。絶対やだね。」
「何でだよ。」
「俺は、人殺しじゃねえ。それに、この内戦を完璧に終わらすために来たんだ。」
「終わらす事なんて出来るわけがない。前だって、平和条約なんていうやつが出来たが、こんな有様だ。僕は、親を殺された憎しみで、いっぱいだよ。」

 俺は、いつの間にか、涙を流していた。こんなまだ政治も知らない子が、憎しみに溢れていたことを。
 俺は、その子を強く抱きしめた。そして、食料をあげた。
 その少年は、すぐに持ち去った。
 だが、すぐに帰ってきた。

「ありがとう。お父ちゃんもお母ちゃんも、お腹いっぱいだと思うから。」

 俺は、その子食料をどうしたのか気になり、案内してもらった。
 そこには、その少年が手で、掘ったと思われる墓が二つあり、その横には、あげた食料があった。
 俺は、そこでもう一度泣いたよ。自分のことより相手のことを先に考える心優しい少年に。
 そして俺は、

「君は、俺についてきてくれるか。厳しい生活になるかもしれないが、俺たち二人が、家族になってやる。そしたら、寂しくなんてないだろ。」

 そういうと、少年は、ありがとうと、何度も繰り返して言っていた。
 そして、

「ついていきたい。」

 そう少年が言った。
 次の瞬間、俺の体に凄まじい痛みが走った。
 かは…………、俺は、死ぬのか。これが死ぬという恐怖なのか。
 寒さを感じた。少年も紅音も何かを言っているが聞こえない。眠くなってきた。
 俺は、死を覚悟した。
 すると、ハクが話しかけてきた。

「お主は、死なせない。我がご加護を受け取れ。」

 ハクが、そう言うと、痛みがやわらいだ。そして、銃の弾みたいなのが、体から出てきた。
 傷は完治した。十分動ける。
 俺は、少年に

「隠れていろ、俺が今からこの周辺にいる悪党を退治してくる。」
「絶対戻ってくる。」
「大丈夫だ。俺は、死なないよ。」

 紅音には、少年を守ってくれと伝えた。
 俺は、すぐさまスキルを使った。そして、敵を察知して、気絶させ、縄で縛った。
 俺は、ずっと手が震えていた。死の恐怖を感じてから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。 その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。 そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。 『悠々自適にぶらり旅』 を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

処理中です...