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しおりを挟むジルベーク様に話しかけられ、私は俯き始めていた顔を持ち上げた。
「……エリーナ嬢は、あの本を最後まで見ていないのですか?」
「へ?あ、はい。…実は私が子供の頃、といってもまだデビュタントもしていないので今も大人という表現が曖昧ですが…。
当時あの本を読んでいた時、側付きのメイドに取り上げられてしまい、それから目に届くところ以外に隠されてしまったのです。
なので、私デビュタントをした後、絶対に読み切ってみようと!!そう心に決めています!」
「そうなのですね」
返事だけを聞くと、いつもと変わらないように感じるが、彼の表情は少し強張って見えた。
それに最近のジルベーク様なら、ネタバレ展開を言ってきてもおかしくないし、馬車の中と同じように私をずっと見つめているはずなのに、今のジルベーク様は気まずいかのように外の風景を眺めていた。
(え!ちょっとまって、見つめている”筈”ってなによ!筈って!)
「あの、ジル様はもうすぐ開かれるデビュタントには参加されるのですか?」
「え?」
慌てて話を変えた私に、目をきょとーんとさせて瞬くジルベーク様に、私も更に焦る。
「あ、あの!別にエスコート役を望んでいるわけではないのですが!もし参加されるのでしたら、その、そう!ダンスを!
一緒にダンスを踊っていただけないかと!そう思いました!」
今の時代、女からダンスへの誘いをかけるのは珍しくないはずなのに、言い終えてから顔が熱くなり、パタパタと手で仰いで熱を冷ます。
でもすぐに返事をしないジルベーク様を不思議に思い、ちらりと盗み見ると、ジルベーク様は悩ましい顔をしていた。
(もしかして、嫌、なのかな…?)
「………申し訳ございません。
俺は参加できないのです。なのでエリーナ嬢とのダンスも……」
「あ、い、いいえ!大丈夫です!無理を強いているわけではないので!
本当に気にしないでください!」
「エリーナ嬢……、すみません。泣かせてしまいましたね」
「え…、あれ…」
私の顔へと伸ばされたジルベーク様の指が確かに濡れているのを見て、私は自分が泣いているのだと認識した。
ジルベーク様は”参加できない”と言われただけで、私と踊りたくないだなんていってなんていないのに…。
なのにどうして、こんなにも胸が痛いのだろうと、そう思うとどんどん涙があふれてくる。
「はぁ…、今日は…いえ、今まですみませんでした。
俺は、今まで貴女に嘘をついてきました」
「う、嘘?」
「はい。俺がついた嘘は_」
「ま、待って!心の準備をさ、させてくださいっ!私、私…」
「言っておきますが、貴女に想いを告げたことに対しては、嘘偽りはありませんからね。
貴女には、会う前から好意を抱いていましたし、会ってからも好きという想いが大きく膨れ上がっています。
勿論機会を見てちゃんとお話ししようとは思っていました。ですがエリーナ嬢の事を以前よりももっと好きになっている今、騙していたことをいつ告白しようと、その告白から貴女に嫌われ、断られてしまったらどうすればいいのか。
今はそれが怖くなり、告げられなかったことがを告げようとしているのです」
「ほ、ほんと…?」
「はい。エリーナ嬢を俺は大好きで、これからもずっと共にいたい。この気持ちは嘘ではありません」
真剣な眼差しでそう告げるジルベーク様に、私は目が離せなくなった。
そして、赤い宝石のようにきれいなジルベーク様の瞳を見つめながら答える。
「なら、聞きます。……遮ることはもう、しません」
私の言葉の後、少しの沈黙の後ジルベーク様が話し出す。
沈黙を置いたのは、きっとジルベーク様も緊張していたからだろう。
話す寸前に、瞳がわずかに揺れた。
「俺の本当の名前は…………ギルベルト・シュタイン。シュタイン公爵の四男です」
「え?でも今までジルベーク・シュタインと………、それに四男というのは…?」
「今まで名乗っていたジルベールというのは、俺のすぐ上の兄の名前です。
ジルベーク兄上は、生まれてすぐ死んでしまいました。
子供が幼い頃に亡くなったという事実から目を背けた母上が、次に俺を産んだのですが、その時にはもう母上は狂ってしまっていたのか、俺をジルベークと認識しました。
父も兄達も俺はジルベークではなくギルベルトなのだと言いましたが、そのたびに母上は癇癪を起こすようになってしまいました。
それはもうかなり手が付けられない程の…、だから俺を成人するまではジルベークとして生きてくれと父はいいました。
成人したらギルベルトとして生きてもいいからと、どうか今だけは、と」
「でも貴族の戸籍詐称は罪になるのでは…」
「俺の父親と陛下は遠い親戚のようなものなのです。
そして父は陛下に母上の容態を直に確認させ、そして許可を頂きました。ですから俺が成人を迎える迄は罪にはなりません
俺が成人後に、詐称した際は罪となりますが…」
「嫌、ではなかったのですか?」
自分自身を偽ること、と続けて言うとギルベルト様は首を傾げて答える。
「でもエリーザ嬢に会ってからは嫌に思い始めましたね」
「私に?」
「だって、自分の名前を言ってもらえないのだから、嫌に思うでしょう?」
そうハッキリ告げたギルベルト様に、私は顔が熱くなるのを感じて思わず俯いた。
「そ、そういえば、ギ、ギルベルト様はあの年齢制限がある本を読んでいる、のですよね?まさか成人前に?」
お読みになったの?と最後まで口に出せなかった。
ちらりと見上げた先のギルベルト様はぽっと顔を赤らませ、そしてバツが悪そうな、そんな表情を浮かべていたから。
「………はい。あの時は面白さから一気に読んでしまいました。
…でも誓ってあの後は全年齢本しか読んでいませんからね」
「…ずるいですわ。私は我慢しているというのに」
「そこは、すみません。
エリーナ嬢も熱く語っていたので、俺と同じようにあの本に限っては最後まで読んだものかと思ったのです」
「……つまり、偽っていたのは名前と年齢、ということですか?」
「はい。その為、今回のデビュタントは俺は参加できないのです」
来年が俺の社交デビューですからと、苦笑するギルベルト様に私は少し胸が痛んだ。
「では、私と踊るのが嫌じゃなくて_」
「嫌なわけがないでしょう。
俺としては真っ白なドレスに身を包んだエリーナ嬢をエスコートもしたいし、ダンスもずっと踊っていたいと思っています」
「…ふふふ。ずっとダンスは疲れますね」
「では、壁に背をもたらせながら人間観察でもしてカップリングを考えますか」
「とても楽しそう。でもギルベルト様はいけない、のですよね。貴方がまだ成人を迎える年齢じゃないから」
「はい。来年が俺のデビューの年です」
残念そうな表情を浮かべるギルベルト様に、少しだけ私も残念に思うが、でも私と踊りたいと告げた言葉に嬉しく思う気持ちの方が強く感じた。
「……では、今度は私の番ですね。私もギルベルト様にお伝えしなければいけないことがあります」
「それは、俺の告白の返事、ですか?」
ちらりと私をみるギルベルト様。
期待しているようだけれど、その話ではない為、私ははっきりと否定する。
「私は、………男性が苦手なのです」
「はい。存じています」
「…え?まさか、知って?え?」
「エリーナ嬢への求婚の数は紙に書き起こし積み重ねたら部屋の天井まで届くだろうと噂ですからね。
そんな数を断るのは、男性に苦手意識を持っているのではないかと、噂されています」
「私の素行が悪い、とかではなく?」
「貴方に原因があれば、貴女の女友達が口にしているでしょう。
でもそうじゃないということは、なにかしらの理由があると考えるのが普通です」
そう言い切ったギルベルト様に、私は目を瞬いた。
「そうです。私、小さい頃両親が決めた男の子と婚約を結ぶはずでした」
「……」
「でも、なくなりました。デブで、ブサイクだからと。
たったそれだけのことなのですが、当時の私はとてもショックをうけて、それから男性の方と距離を取って過ごしてきました。
今は見知らぬ男性とすれ違うことも普通に思うようになりましたが、……それでも友達の話を聞くと、男女の恋愛を疑ってしまうのです。本当にそう思っているのだろうか、と…」
本当は言葉だけではなく、あの時のあの私を軽蔑する表情が何よりも怖かったのだけど、
「……もしかして当時の相手は、コニール・スプリント伯爵令息ですか?」
「知っているのですか?」
「ええ。彼はある意味意味で有名ですから」
「ある意味、というと?」
「スプリント伯爵令息は健康的な女性に魅力を感じない。そんな噂が流れています。
彼の好みはやせ細った体をし、そしてこけた頬をした女性に魅力を感じるようで、なんでもスラム街によく足を運んでいるという話を聞いたことがあります。
それに現伯爵は大変お怒りで、子供を産める健康体な女性でなければ認めんと」
「…………」
「エリーナ嬢、貴女はとても美しい人です。
俺は顔をみていない時にも貴女に惹かれた。そして実際に貴女の姿を見て、更に恋に落ちた。
貴女は心も外見もとても美しい。
スプリント伯爵令息の話ではなく、俺の意見を聞いて頂けますか?」
「……なにそれ…」
「エリーナ嬢?」
「なにそれ!なにそれ!!ヒドイ!!!!!!
幼い乙女の心を踏みにじった理由が、狂った美醜感覚!?
私がどれだけ!どれだけ傷ついたのか!!!!醜いものをみたかのような目で見られた時、どれほど悲しかったか!!
人の言葉も信じれなくなって、信じれるのは家族と友達で!!
それでも可愛いってきれいになったね、大人っぽくなったねといわれても、本当にそう思っているのかと裏を考えるようになって!
…そんな事考えたくないのに、疑いたくないのに…でも信じれなくて、疑う自分も嫌で……」
私は思わず感情のまま声を上げた。
たった一人、昔は婚約候補であった男の人だったけれど、話が流れたその人とは今では全くの赤の他人。
子供は思ったことを素直に話す。だから私へと向けられた言葉も態度も、真実なのだと、だからこそ傷ついて、心に刻み込まれた。
でもそうじゃなかった。
ただあのときの男の子が狂った美醜感覚をもったことが原因だったのだ。
そんなオカシイ赤の他人との一件で、私は成長してからも大切な人たちを疑ってきたことが、とても胸に突き刺さる。
心臓が張り裂けるほどに痛い。
「人を疑うのは、辛いですね」
「はい…ッ」
「人を信じれなくなるのも、辛いですよね」
「はい、ッ!」
「でも、それでもエリーナ嬢が大好きなのですよ。俺も含めて。
俺のエリーナ嬢に対する気持ちを今まで疑われていたとしても、俺はエリーナ嬢が可愛いし、愛しく思っている」
ドキッと心臓が音を奏でた。
あれ程痛みを訴えていた心臓が、激しく脈うた、私の体温をあげているような気がするくらい。
「…私、ギルベルト様は男性なのに、怖く感じなかったんです」
「運命だね」
「茶化さないでください。
私は本当に人の、特に男性の言葉の裏を考えるようになってから、男性が怖くなっていました。
でも貴方だけには、最初から怖く感じなかった」
「俺が運命の相手ってことだからでしょ」
「だから茶化さない_ッ!」
私は驚いて、言葉を最後まで言えなかった。
ギルベルト様の大きな手が私の顔を包み込み、そしてズイっとギルベルト様自身も顔を寄せたからだ。
あまりの至近距離に目をそらしたくても、逸らせない。
「茶化してない。俺の本心だよ。
俺たちは顔を会わせないうちから知り合った。俺は君に惹かれて、君は俺を支えにしていて。
顔を会わせてからは、俺は君にのめりこんで、君は俺を受け入れてくれて、嬉しいんだ。
運命の相手みたいだなって。そう思ったら、すごく嬉しいんだ」
「ギルベルト様…」
「エリーナはまだ、俺の事恋愛感情で好きになっていないかもしれないから、まだ…まだ返事を貰うわけにはいかないってわかっている。
けれど、ああ、どうしようもなく、君が好きだ。
君の唇にキスしたくてたまらない」
熱い眼差しで私を見つめるギルベルト様の吐息が私にかかる。
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