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学園編~二学年~
1 二学年になりました
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早いものであっという間に一年が過ぎ、私は二年生となっていた。
一年の授業は主に魔法陣が主で、度々抜き打ちテストが行われた。
先生が決めた基準点に到達していないと居残り授業があり、勿論私は毎回基準点を超えていたが、授業内容の復習を行うことが出来るということで自主的に参加していた。
魔法陣は魔法の基礎だからね。
だけど貴族の子たちは居残り授業に参加することが恥ずかしいようで、一年の後半にもなると休み時間中でも各自席に座り教材を眺めるようになっていった。
その為、友達は出来た私だったけど、それでもまだ関係が良くない子たちのチクチクとした視線攻撃を受けずに済んでいたのは助かった。
(それよりも、よ)
基本的に抜き打ちテストはあったが、居残り授業への強制参加以外テスト結果が張り出されることはない。
その為本来は私は自分がいつもライバルとして認定しているヴェルナス・レルリラに勝っているのかなんて知るわけがないのだが、丁度私はレルリラの後ろの席で、しかも生徒の席は階段状になっている為、少し体を傾け前の席を覗き込むようにするとレルリラのテスト結果がわかるのだ。
勿論その行動がいけないことだってことはわかってる。
だけど一方的にとはいえライバルの成績を知りたいと思うのは皆が共通していることだと思う。
そしてこの一年、私がレルリラに勝つことは出来なかった。
レルリラは一度も満点以外を取ることがなかったのだ。
私は常にケアレスミスがないよう、毎日毎日予習に復習をかかさず努力してきたのだが、二年への昇級テストでもレルリラに勝つことはなかった。
「今日は支援魔法で最も重要な魔法を教えよう」
授業開始のベルが鳴り、開口一番に告げた先生はちょいちょいと指を動かした。
大きな黒板に勝手に持ち上がったチョークが文字を連ねていく。
「治癒だ」
先生の言葉に一瞬、期待が込められた声があがる。
治癒魔法とは、魔力で対象の治癒能力を補い、身体の状態を回復する魔法である。
勿論自己治癒力を発動者の魔力で補うものだから、骨折や切り傷の怪我には効くが、毒など自然治癒でどうにもならない状態には効かない。
そういう場合は毒消しのポーションを服用し、治癒魔法で治癒能力を補い、回復を助けるのが一般的だ。
また治癒魔法の対象はなにも生物だけではない。壊れた物などにも効果はあるが、完全に物の形を失ってしまったものには効くことはない。
ちなみに違う名前の魔法名をつけられているが、括りとしては一緒だったと思う。
だが治癒魔法は魔物との戦闘を生業としている職業では絶対必須の魔法である。
職業ランキング一位の王立騎士団の入団基準でも、身体能力や魔法能力の他に治癒魔法が別で設定している程に重きを置いているぐらいだ。
「皆も知っている通り、治癒魔法はかなり重要な魔法だ。
身体の傷や病気を治したり、破損した物の修復、またアンデッド系への攻撃魔法にも使うことができる。
だが全て魔力で補っているから気をつけなければいけない事もある。
自分の怪我には気にしなくてもいいが、魔力には相性というものがあるんだ。
魔力の波長が合うもの同士なら過剰な魔力量を流しても問題ないが、波長が合わない者同士が魔力を注ぎすぎてしまうとそれは逆に毒になる」
事前に予習してきた内容をすらすらと話す先生に、私は真剣に耳を傾ける。
物や植物に対しての治癒魔法はお母さんと一緒にやったことがあるが、人に対してやったことがないからだ。
それに先生の話を聞いて知ったことだけど、魔力の相性は大事だったんだね。
お母さんやギルドの人に治癒魔法をかけてもらったことはあったけれど、気持ち悪いとか思ったことがないから知らなかった。
教材にも『必要以上の魔力は送り込まないこと』って書いてあったくらいだったから、治癒魔法が相性で左右されるものだとは知らなかった。
「だが合わない魔力でも治癒魔法が効くことは効く。その時に重要なことは魔力を必要以上に使わない事だ。
その為治癒魔法を実践する際には、対象人物の反応を確かめつつ、魔力量を調整することに注視して行ってくれ。
………と言っても、俺が怪我人役をするわけでも誰かを傷つけるつもりもない。痛いしな!」
ハハと笑う先生に一人の生徒が手を上げる。
確か名前は、カイウン・ベジェリノといっていたと思う。
レロサーナたちと同じ男爵の家柄で、私達に魔力の具現化のコツを聞いた子だ。
だから話すには話すが、性別の違いから私よりもマルコ達に話しかけることが多い。
「ではどのように練習するのですか?」
「ふっふっふ。
いい質問だ。皆にこれから渡すものは………これだ!」
ベジェリノの質問に意気揚々と指を鳴らし、私達生徒一人ひとりの前に用意したのは枯れた植物の植木鉢だった。
「植物は、多少なりとも自己治癒力に差はあるが、人と比べると差がないに等しい。
調達も楽だし、過程の様子もわかりやすい。魔力を送りすぎると枯れ始めるからな。
治癒魔法の教材として非常に使い勝手がいいんだ。
じゃあ、さっきも言ったように人を相手にしていると思いながら、治癒魔法をかけてみてくれ」
あ、詠唱魔法でやれよーと一言かけて腰を下ろす先生に、生徒たちは渡された鉢に手をかざし始める。
早いものであっという間に一年が過ぎ、私は二年生となっていた。
一年の授業は主に魔法陣が主で、度々抜き打ちテストが行われた。
先生が決めた基準点に到達していないと居残り授業があり、勿論私は毎回基準点を超えていたが、授業内容の復習を行うことが出来るということで自主的に参加していた。
魔法陣は魔法の基礎だからね。
だけど貴族の子たちは居残り授業に参加することが恥ずかしいようで、一年の後半にもなると休み時間中でも各自席に座り教材を眺めるようになっていった。
その為、友達は出来た私だったけど、それでもまだ関係が良くない子たちのチクチクとした視線攻撃を受けずに済んでいたのは助かった。
(それよりも、よ)
基本的に抜き打ちテストはあったが、居残り授業への強制参加以外テスト結果が張り出されることはない。
その為本来は私は自分がいつもライバルとして認定しているヴェルナス・レルリラに勝っているのかなんて知るわけがないのだが、丁度私はレルリラの後ろの席で、しかも生徒の席は階段状になっている為、少し体を傾け前の席を覗き込むようにするとレルリラのテスト結果がわかるのだ。
勿論その行動がいけないことだってことはわかってる。
だけど一方的にとはいえライバルの成績を知りたいと思うのは皆が共通していることだと思う。
そしてこの一年、私がレルリラに勝つことは出来なかった。
レルリラは一度も満点以外を取ることがなかったのだ。
私は常にケアレスミスがないよう、毎日毎日予習に復習をかかさず努力してきたのだが、二年への昇級テストでもレルリラに勝つことはなかった。
「今日は支援魔法で最も重要な魔法を教えよう」
授業開始のベルが鳴り、開口一番に告げた先生はちょいちょいと指を動かした。
大きな黒板に勝手に持ち上がったチョークが文字を連ねていく。
「治癒だ」
先生の言葉に一瞬、期待が込められた声があがる。
治癒魔法とは、魔力で対象の治癒能力を補い、身体の状態を回復する魔法である。
勿論自己治癒力を発動者の魔力で補うものだから、骨折や切り傷の怪我には効くが、毒など自然治癒でどうにもならない状態には効かない。
そういう場合は毒消しのポーションを服用し、治癒魔法で治癒能力を補い、回復を助けるのが一般的だ。
また治癒魔法の対象はなにも生物だけではない。壊れた物などにも効果はあるが、完全に物の形を失ってしまったものには効くことはない。
ちなみに違う名前の魔法名をつけられているが、括りとしては一緒だったと思う。
だが治癒魔法は魔物との戦闘を生業としている職業では絶対必須の魔法である。
職業ランキング一位の王立騎士団の入団基準でも、身体能力や魔法能力の他に治癒魔法が別で設定している程に重きを置いているぐらいだ。
「皆も知っている通り、治癒魔法はかなり重要な魔法だ。
身体の傷や病気を治したり、破損した物の修復、またアンデッド系への攻撃魔法にも使うことができる。
だが全て魔力で補っているから気をつけなければいけない事もある。
自分の怪我には気にしなくてもいいが、魔力には相性というものがあるんだ。
魔力の波長が合うもの同士なら過剰な魔力量を流しても問題ないが、波長が合わない者同士が魔力を注ぎすぎてしまうとそれは逆に毒になる」
事前に予習してきた内容をすらすらと話す先生に、私は真剣に耳を傾ける。
物や植物に対しての治癒魔法はお母さんと一緒にやったことがあるが、人に対してやったことがないからだ。
それに先生の話を聞いて知ったことだけど、魔力の相性は大事だったんだね。
お母さんやギルドの人に治癒魔法をかけてもらったことはあったけれど、気持ち悪いとか思ったことがないから知らなかった。
教材にも『必要以上の魔力は送り込まないこと』って書いてあったくらいだったから、治癒魔法が相性で左右されるものだとは知らなかった。
「だが合わない魔力でも治癒魔法が効くことは効く。その時に重要なことは魔力を必要以上に使わない事だ。
その為治癒魔法を実践する際には、対象人物の反応を確かめつつ、魔力量を調整することに注視して行ってくれ。
………と言っても、俺が怪我人役をするわけでも誰かを傷つけるつもりもない。痛いしな!」
ハハと笑う先生に一人の生徒が手を上げる。
確か名前は、カイウン・ベジェリノといっていたと思う。
レロサーナたちと同じ男爵の家柄で、私達に魔力の具現化のコツを聞いた子だ。
だから話すには話すが、性別の違いから私よりもマルコ達に話しかけることが多い。
「ではどのように練習するのですか?」
「ふっふっふ。
いい質問だ。皆にこれから渡すものは………これだ!」
ベジェリノの質問に意気揚々と指を鳴らし、私達生徒一人ひとりの前に用意したのは枯れた植物の植木鉢だった。
「植物は、多少なりとも自己治癒力に差はあるが、人と比べると差がないに等しい。
調達も楽だし、過程の様子もわかりやすい。魔力を送りすぎると枯れ始めるからな。
治癒魔法の教材として非常に使い勝手がいいんだ。
じゃあ、さっきも言ったように人を相手にしていると思いながら、治癒魔法をかけてみてくれ」
あ、詠唱魔法でやれよーと一言かけて腰を下ろす先生に、生徒たちは渡された鉢に手をかざし始める。
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