恋愛初心者の恋の行方

あおくん

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学園編~二学年~

6 友達との時間②

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「こ、これでいいの…?」

レースが入った白いブラウスに、ハイウエストの膝まであるスカートに身を包んだ私は両肩をさすさすと摩った。
だって、肩部分だけ大きくあいて、肌が丸出しなのだから気になってしょうがない。
ちなみに首元にはスカートと同じ色の藍色のリボンが結ばれている。
そんな私の姿をみたエステルは喜び、「次は髪ね!」とレロサーナがウキウキと弄り始めた。
前髪を編み込みし、赤い花のコサージュで留めると「完璧!完成!」と一仕事終えたような顔を見せる。

「サラも見てみて」

と鏡に映るのは別人のようにお洒落な服を身に着けた誰か。
いや、顔は私なのだから誰かというのはいいすぎかもしれないけれど、髪型と服装でこんなに印象が変わるとは思わなかっただけになんだか不思議な気分だった。

「エステル、服ありがとう。レロサーナも髪の毛ありがとうね」

可愛くしてもらっただけに、気恥ずかしくてしょうがない。
感謝の言葉をつたえる私に二人は嬉しそうに微笑んだ。

「じゃあお出かけしましょう!」

「そうね!行きましょう!」

学園には平日外出する場合は許可を取る必要があるが、休日には申請は不要だ。
だけど、学園の敷地面積が広大なため、王都、つまり学園に最も近い街に辿り着くには馬車が必要になってくる。
自分で手配しても問題ではないが、学園に外出届を申請すると馬車の手配もやってもらえるのである。
手配してもらった馬車に三人で乗り込み、そして辿り着いた王都の街に私達は降り立った。

「サラは王都に来たことがある?」

「あるよ。入学試験の時と、あと去年」

「一人で?」

「うん」

興味津々な二人の視線に、私は苦笑した。

「図書館にいってみようと思ったのよ。だけど平民だろってことで門前払い」

肩をすくめてみせると、二人は苦笑する。

「そうね。騎士団に平民も入団できるようになってからは、本の閲覧も厳しくなったと聞いたわ」

「うん。図書館の入館は貴族の人と一緒に来いって言われたの」

昔と比べると平民の学習能力も上がり、剣だけじゃなくて魔法も使いこなせるようになり、その為昔は貴族だけしか入団できなかった王立騎士団への入団だって手が届くようになった。
だから王立騎士団は貴族平民合わせて国民の憧れナンバー1の職業である。
勿論各貴族が所有する騎士団も人気はあるが王立騎士団ほどではない。

そして何故騎士団への平民入団が図書館への規制に関係するのかというと、昔の王立騎士団は貴族が占めていたのだ。
それがいつからか平民も入団するようになり、貴族の威厳というか_私にとってはタダのプライドが許せないだけにしかみえないが_魔法書を取り扱う図書館の利用に制限がかかるようになった。
それでも全く入館できなくなるわけではない。
騎士団に入れば平民でも利用できるし、騎士団に入らない平民は貴族と一緒であれば入館を許可されるのだ。
まぁそんなことをマーオ町から出てきたばかりの私は知ることもなく、去年門前払いされたのだが。

「それに学園でまだ習ってないけれど、属性魔法に関する書物については平民は閲覧不可だったと思うわ」

「え!うそ!?」

「あら?高位貴族の許可があれば確か閲覧できるはずよ?」

「え!?」

どっちが正しいのかわからないが、それでも閲覧へのハードルは高いことは変わらない。
だって高位貴族と仲がいいわけではないのだ、私は。

私はがっくりと肩を落とすと、二人が慰めてくれたので元気を取り戻す。
二人がいれば門前払いされた図書館への入館は可能になるが、今回は二人のおススメの場所に行きたいとを告げると嬉しそうに笑った二人に手を引かれて案内された。
平民の私ではお財布の紐が緩むことはないような洋服店に、美味しいケーキやドリンクが飲めるカフェ。
品揃えのいい本屋さんに、毎週のようにイベンドを開催しているという広場等を回って私達は寮へと帰還した。

「疲れたー--!!!!!」

ボフッとベッドに身を預けて、天井をなんとなく見つめる。

(疲れたけど、でも楽しかったなぁ…)

ショートケーキのいちごを大切そうに最後に取っておくエステルを思い出す。
『貴族のお茶会だと好きなものを最後に取っておくことはみっともないことだからってやれないの!この場くらいは見逃して!』と顔を真っ赤にしながら言っていた。

レロサーナも色んな服を体に当てて『剣重視な男一家だから、可愛らしいデザインのドレスばかり着せようとするのよ。私だって好きに服を選びたいのに』って楽しそうにしてた。

貴族である二人には色々しがらみがあるんだろうけど、始終楽しそうにしてくれた二人の様子を思い出して自然と頬が緩む。

「今日一日で二人の色んなところ知れたなぁ……」

学園生活も勉強ばかりじゃなくて、友情も大切だなと身に染みた一日だった。


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