3 / 26
ヒロインという存在
しおりを挟む
◆
学園に入学して二年。
私の執事兼従者として今後レリスロート子爵家を守っていくことになるだろうアレンは、授業以外私の傍を離れることはなかった。
常に私を主として寄り添うアレンに、私も頼もしさを感じていた。
だからこのときもアレンと共に廊下を歩き、帰宅しようとしていたところだった。
そんな時だった。
ピンク色の髪の毛を耳よりも高い位置に二つに分けて結っている女性に出会った。
女性は人差し指を私に突き刺し、開口一番でこういった。
「なによ!アンタ!私の攻略対象を奪っていいと思ってんの!?」
と。
私は意味がわからなかった。
ううん。漠然とだけど前世の記憶がある私には目の前の女性が何をいいたいのかという意図はわかってしまった。
何故ならピンク色の髪の毛は王道なヒロインの髪色で、攻略対象というのはゲームという遊び道具やマンガやラノベという小説によく出てくる言葉なのだ。
攻略対象の言葉の意味はヒロインと恋愛関係になる対象の人物という意味である。
だから目の前の女性がいう言葉の意味はわかった。
だけどそれでも意味がわからなかったのだ。
だってここはゲームやマンガ、小説の世界ではない現実世界。
私はお父様とお母様から命を授かって生まれた一人の人間だ。
キャラクターなどではない、本物の命を持ち、自分の意志で行動する人間なのだ。
そしてそれはアレンにも当てはまるし、他の全ての人たちに当てはまることだ。
だからシナリオなどないし、攻略対象という言葉だってあり得ない。
人の人生は決められているものではないのだから。
「お初にお見えになります。私はミレーナ・レリスロートと申します。
先程のお話しですが“攻略対象”…というものがどのようなものなのか存じませんが、アレンは私の従者です。
……失礼ですが、貴方のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
アレンがヒロイン(仮)に対し、私を守るように前に出ようとするのを私は止めてそう告げた。
ヒロイン(仮)は言い返されるとは思っていなかったのか、顔を真っ赤に染め上げて地団駄を踏む。
子供のような人だというのが正直な感想だ。
「うるさいうるさい!“名無し”がいないと始まらないのよ!
そいつがいないと必要なアイテムだって手に入らない!他の攻略対象にも容易に近づけないの!」
“名無し”というのはおそらくアレンのことだろう。
私がアレンを拾った時、アレンには名がなかったから。
それにしてもアイテムというのはなんだろうか。
そのアイテムがないと、攻略対象に近づけないというのは少しばかり穏やかなじゃなさそうだ。
「…色々と理解が出来ない言葉がありますが……。
どうやら貴方様は先ほどから私と会話をしようとしていないように窺えます」
はっきりいってヒロイン(仮)と話しが通じない事に私は眉をひそめた。
上下関係が厳しい貴族社会だとしても、常識が通じない相手には例え自分より家格が上の相手でも優位に立てる。
それほど常識というものは貴族社会にとって重要な問題なのだ。
貴族社会では最初に名を名乗る。
名を名乗らないのに本題を話すというのは、詐欺師のような手口を使う人間だと思われてしまうからだ。
名を明かすということは、信頼を得るため。
自分という存在を信じてもらうために、それほどに名を大事にするのだ。
そしてここは学園内。
教室から離れているとはいっても、生徒や教師一人通らない場所ではないために、ヒロイン(仮)が名を名乗らなかったことを目撃した人は私とアレン以外にもいた。
ヒロイン(仮)の子供のような言動に、周りの者達が眉をひそめる。
周りの様子に気付いてくれたのか、ヒロイン(仮)はこれ以上声を荒げることもなく去っていった。
流石にヒロイン(仮)もその常識は知っていたのだろう。
逃げるように慌てて引き返していく姿をみて、私は(名乗れば済む話なのに…)と心の中で思っていた。
「ミレーナ様、大丈夫ですか?」
「なにが?」
「あの者に声を荒げられていたでしょう?」
「あぁ……」
心配そうに眉を下げるアレンに私は口端を上げた。
何故か最近というか、数年前から私をとてもか弱い令嬢扱いをするのだ。
沢山アレンに教養をつぎ込んでいた中に女の子は大事にするのよと伝えていたとはいえ、アレンとは沢山遊んできた。
それこそお父様とお母様の目を盗んで一緒にかけっこをしたり、子供用の木剣で勝負したり、木登りをしてみたりしていた筈なのにである。
「…ふふ、私は大声を出されただけで気が滅入ってしまう程柔なつくりはしてないわ。
それより守ろうとしてくれてありがとうね。嬉しかったわ」
「とんでもございません。ミレーナ様を守るのは私の役目です。ですが…」
「どうしたの?」
「…それすらも出来ませんでした」
「ふふ。私が止めたからね」
シュンと項垂れるアレンの頭を私は撫でた。
アレンを連れてきた当時はまだ私の目線位下にアレンの頭はあったのだけど、今では腕を高く持ち上げなければアレンの頭に触れることが出来ない。
それほど大きく健康的に、そして逞しく成長したアレンは私の自慢でもあったが、少しだけ寂しく感じる。
(いつまでも撫でさせてくれればいいのだけど…)と願うことは自由だと思う。
「それにしてもあのおん…いえ、あの令嬢は私がいないと“アイテム”が手に入らないといっていましたが、アイテムというのはアーティファクトの事でしょうか?」
この世界には魔法がある。
ただその魔法を日常生活の中で行使できる人は限られていた。
国や各貴族が保有している領地を守る立場である騎士、あらゆる道具を作り出し、そして騎士団を支える者や私達民の生活を支える道具を作り出す者達、他にも仕事上魔法を封じられては困る者以外、全ての国民が魔力を封じる魔道具を身に着けていた。
それは暴発的な魔力による事故は勿論、争いの種を潰すための国で定められた法である。
だから、私の手首にもアレンの手首にも、当然のように魔力を封じるブレスレットが付けられていた。
勿論学園の中で行う魔法の授業においては、魔道具を外すことは認められている。
外さないと魔力を放出することが出来ず、魔法が使えない為だ。
ちなみにこのブレスレットはお金を出して手に入れたものである。
魔力を封じることは法で決められていることの為、資金に余裕のない者は国で作られたチョーカーを首に付けているのだが、そのチョーカーは見る人にとっては首輪のように見える。
その為、形が気に召さない者はお金を出して好きな形の魔道具を作るのだ。
話を戻すが、この世界には魔法がある。
日常生活に使用している魔道具は予め魔力を溜めた魔石と言われているものを使用している為、やはり滅多に魔道具(ブレスレット)を外すことはない。
ならアーティファクトというものはなんだと言われれば、それも魔道具である。
ただ普通の魔道具と決定的に違う点は、魔力を必要とせずに発動できる魔道具をアーティファクトと言われているのだ。
アーティファクトは人工的に作られた道具ではあるが、世界にも片手で数える数しか存在しない。
それほどに貴重なものである。
「さぁ…わからないわ。
私はアレンと一緒にいて七年が経つけれど、国宝級ともいえるアーティファクトを目にしたこともないし……」
そうなのである。
私はアレンと七年共にしていたが、一度もアーティファクトを見つけたことがない。
そもそも探そうともしていなかったのだから、見つける可能性なんて低いし、ヒロイン(仮)の言うアーティファクトがどんなものかわかってない時点で見つけられないだろうけれど。
だけど、あのヒロイン(仮)はアレンのことを攻略対象といい、そして“アイテム”を見つける為にはアレンが必要とも言っていた。
漠然とした前世の記憶では、ヒロイン(仮)の言葉の意味はわかるが、元のネタまではわからない。
ん~と小さくうねりながら頭を悩ませている私にアレンは恐る恐るといった様子で言った。
「…あの、ミレーナ様はそのアーティファクトを手に入れられるとしたら………欲しい、と思いますか?」
まるで耳が垂れたワンちゃんがアレンの後ろに見えた気がした。
「欲しいとは思わないわね。
それに考えてみて?もし私がアーティファクトを持っていたとして、それを国に報告しなければならない。
例え所有を認められたとしても、国全体に私がアーティファクトを持っていることが知られている中でなにか事件があった場合、真っ先に疑われるのは魔力がなくても使うことが出来るアーティファクトを持っている私。
そんなの例え国宝級の品物だとしても持ちたいとは思えないわ」
「…確かにそうですね」
「ええ。そうよ」
胸を張って話すとアレンは嬉しそうに笑いながら安堵した様子を見せた。
きっと、アレンを利用してまで私がそのアーティファクトを欲しがるのではないかと思ったのだろう。
そんなことあるわけないのに、それに私はアレンの事を大事な家族のように思っている。
アレンを利用しようとか、そんな考えなんて最初から持ったりしないのだから、アレンはそんな心配しなくてもいいのだ。
だけど、ヒロイン(仮)がいうアイテムがもしアーティファクトであったなら、そうもいえなくなるのだが…。
でも今は帰ることを優先しよう。
ヒロイン(仮)にアイテムの事を尋ねてもきっと求める返事は返ってきそうにない。
それほどに話が通じなかったのだから。
「では、帰りましょうか」
「ええ」
学園に入学して二年。
私の執事兼従者として今後レリスロート子爵家を守っていくことになるだろうアレンは、授業以外私の傍を離れることはなかった。
常に私を主として寄り添うアレンに、私も頼もしさを感じていた。
だからこのときもアレンと共に廊下を歩き、帰宅しようとしていたところだった。
そんな時だった。
ピンク色の髪の毛を耳よりも高い位置に二つに分けて結っている女性に出会った。
女性は人差し指を私に突き刺し、開口一番でこういった。
「なによ!アンタ!私の攻略対象を奪っていいと思ってんの!?」
と。
私は意味がわからなかった。
ううん。漠然とだけど前世の記憶がある私には目の前の女性が何をいいたいのかという意図はわかってしまった。
何故ならピンク色の髪の毛は王道なヒロインの髪色で、攻略対象というのはゲームという遊び道具やマンガやラノベという小説によく出てくる言葉なのだ。
攻略対象の言葉の意味はヒロインと恋愛関係になる対象の人物という意味である。
だから目の前の女性がいう言葉の意味はわかった。
だけどそれでも意味がわからなかったのだ。
だってここはゲームやマンガ、小説の世界ではない現実世界。
私はお父様とお母様から命を授かって生まれた一人の人間だ。
キャラクターなどではない、本物の命を持ち、自分の意志で行動する人間なのだ。
そしてそれはアレンにも当てはまるし、他の全ての人たちに当てはまることだ。
だからシナリオなどないし、攻略対象という言葉だってあり得ない。
人の人生は決められているものではないのだから。
「お初にお見えになります。私はミレーナ・レリスロートと申します。
先程のお話しですが“攻略対象”…というものがどのようなものなのか存じませんが、アレンは私の従者です。
……失礼ですが、貴方のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
アレンがヒロイン(仮)に対し、私を守るように前に出ようとするのを私は止めてそう告げた。
ヒロイン(仮)は言い返されるとは思っていなかったのか、顔を真っ赤に染め上げて地団駄を踏む。
子供のような人だというのが正直な感想だ。
「うるさいうるさい!“名無し”がいないと始まらないのよ!
そいつがいないと必要なアイテムだって手に入らない!他の攻略対象にも容易に近づけないの!」
“名無し”というのはおそらくアレンのことだろう。
私がアレンを拾った時、アレンには名がなかったから。
それにしてもアイテムというのはなんだろうか。
そのアイテムがないと、攻略対象に近づけないというのは少しばかり穏やかなじゃなさそうだ。
「…色々と理解が出来ない言葉がありますが……。
どうやら貴方様は先ほどから私と会話をしようとしていないように窺えます」
はっきりいってヒロイン(仮)と話しが通じない事に私は眉をひそめた。
上下関係が厳しい貴族社会だとしても、常識が通じない相手には例え自分より家格が上の相手でも優位に立てる。
それほど常識というものは貴族社会にとって重要な問題なのだ。
貴族社会では最初に名を名乗る。
名を名乗らないのに本題を話すというのは、詐欺師のような手口を使う人間だと思われてしまうからだ。
名を明かすということは、信頼を得るため。
自分という存在を信じてもらうために、それほどに名を大事にするのだ。
そしてここは学園内。
教室から離れているとはいっても、生徒や教師一人通らない場所ではないために、ヒロイン(仮)が名を名乗らなかったことを目撃した人は私とアレン以外にもいた。
ヒロイン(仮)の子供のような言動に、周りの者達が眉をひそめる。
周りの様子に気付いてくれたのか、ヒロイン(仮)はこれ以上声を荒げることもなく去っていった。
流石にヒロイン(仮)もその常識は知っていたのだろう。
逃げるように慌てて引き返していく姿をみて、私は(名乗れば済む話なのに…)と心の中で思っていた。
「ミレーナ様、大丈夫ですか?」
「なにが?」
「あの者に声を荒げられていたでしょう?」
「あぁ……」
心配そうに眉を下げるアレンに私は口端を上げた。
何故か最近というか、数年前から私をとてもか弱い令嬢扱いをするのだ。
沢山アレンに教養をつぎ込んでいた中に女の子は大事にするのよと伝えていたとはいえ、アレンとは沢山遊んできた。
それこそお父様とお母様の目を盗んで一緒にかけっこをしたり、子供用の木剣で勝負したり、木登りをしてみたりしていた筈なのにである。
「…ふふ、私は大声を出されただけで気が滅入ってしまう程柔なつくりはしてないわ。
それより守ろうとしてくれてありがとうね。嬉しかったわ」
「とんでもございません。ミレーナ様を守るのは私の役目です。ですが…」
「どうしたの?」
「…それすらも出来ませんでした」
「ふふ。私が止めたからね」
シュンと項垂れるアレンの頭を私は撫でた。
アレンを連れてきた当時はまだ私の目線位下にアレンの頭はあったのだけど、今では腕を高く持ち上げなければアレンの頭に触れることが出来ない。
それほど大きく健康的に、そして逞しく成長したアレンは私の自慢でもあったが、少しだけ寂しく感じる。
(いつまでも撫でさせてくれればいいのだけど…)と願うことは自由だと思う。
「それにしてもあのおん…いえ、あの令嬢は私がいないと“アイテム”が手に入らないといっていましたが、アイテムというのはアーティファクトの事でしょうか?」
この世界には魔法がある。
ただその魔法を日常生活の中で行使できる人は限られていた。
国や各貴族が保有している領地を守る立場である騎士、あらゆる道具を作り出し、そして騎士団を支える者や私達民の生活を支える道具を作り出す者達、他にも仕事上魔法を封じられては困る者以外、全ての国民が魔力を封じる魔道具を身に着けていた。
それは暴発的な魔力による事故は勿論、争いの種を潰すための国で定められた法である。
だから、私の手首にもアレンの手首にも、当然のように魔力を封じるブレスレットが付けられていた。
勿論学園の中で行う魔法の授業においては、魔道具を外すことは認められている。
外さないと魔力を放出することが出来ず、魔法が使えない為だ。
ちなみにこのブレスレットはお金を出して手に入れたものである。
魔力を封じることは法で決められていることの為、資金に余裕のない者は国で作られたチョーカーを首に付けているのだが、そのチョーカーは見る人にとっては首輪のように見える。
その為、形が気に召さない者はお金を出して好きな形の魔道具を作るのだ。
話を戻すが、この世界には魔法がある。
日常生活に使用している魔道具は予め魔力を溜めた魔石と言われているものを使用している為、やはり滅多に魔道具(ブレスレット)を外すことはない。
ならアーティファクトというものはなんだと言われれば、それも魔道具である。
ただ普通の魔道具と決定的に違う点は、魔力を必要とせずに発動できる魔道具をアーティファクトと言われているのだ。
アーティファクトは人工的に作られた道具ではあるが、世界にも片手で数える数しか存在しない。
それほどに貴重なものである。
「さぁ…わからないわ。
私はアレンと一緒にいて七年が経つけれど、国宝級ともいえるアーティファクトを目にしたこともないし……」
そうなのである。
私はアレンと七年共にしていたが、一度もアーティファクトを見つけたことがない。
そもそも探そうともしていなかったのだから、見つける可能性なんて低いし、ヒロイン(仮)の言うアーティファクトがどんなものかわかってない時点で見つけられないだろうけれど。
だけど、あのヒロイン(仮)はアレンのことを攻略対象といい、そして“アイテム”を見つける為にはアレンが必要とも言っていた。
漠然とした前世の記憶では、ヒロイン(仮)の言葉の意味はわかるが、元のネタまではわからない。
ん~と小さくうねりながら頭を悩ませている私にアレンは恐る恐るといった様子で言った。
「…あの、ミレーナ様はそのアーティファクトを手に入れられるとしたら………欲しい、と思いますか?」
まるで耳が垂れたワンちゃんがアレンの後ろに見えた気がした。
「欲しいとは思わないわね。
それに考えてみて?もし私がアーティファクトを持っていたとして、それを国に報告しなければならない。
例え所有を認められたとしても、国全体に私がアーティファクトを持っていることが知られている中でなにか事件があった場合、真っ先に疑われるのは魔力がなくても使うことが出来るアーティファクトを持っている私。
そんなの例え国宝級の品物だとしても持ちたいとは思えないわ」
「…確かにそうですね」
「ええ。そうよ」
胸を張って話すとアレンは嬉しそうに笑いながら安堵した様子を見せた。
きっと、アレンを利用してまで私がそのアーティファクトを欲しがるのではないかと思ったのだろう。
そんなことあるわけないのに、それに私はアレンの事を大事な家族のように思っている。
アレンを利用しようとか、そんな考えなんて最初から持ったりしないのだから、アレンはそんな心配しなくてもいいのだ。
だけど、ヒロイン(仮)がいうアイテムがもしアーティファクトであったなら、そうもいえなくなるのだが…。
でも今は帰ることを優先しよう。
ヒロイン(仮)にアイテムの事を尋ねてもきっと求める返事は返ってきそうにない。
それほどに話が通じなかったのだから。
「では、帰りましょうか」
「ええ」
168
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる