政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました

あおくん

文字の大きさ
19 / 19

② 終






『旦那様と契約を結ぼうと考えました』

そういって兄の執務室にやってきた彼女は初夜を放り出された女性の気弱な姿ではなく、寧ろ堂々としていた。
なんて強い人なんだと、俺は思った。
契約を結び、領地の書面を引継ぎもなく渡されても

『それが全て領地に関しての事でしたらお引き受けしましょう』

と強気な姿勢を見せる彼女。

そして彼女の周りにいる精霊は俺を見てグッと拳を握り笑みを見せた。
まるで俺に助けにきたよ、と、もう大丈夫だからね、とでも言っているかのようだった。
といってもそれが正しいのかわからない。精霊は何故か喋らなかったからだ。
ただ、俺が精霊をみてそう感じただけ。

「お前これからはここに来なくていいぞ」

彼女の部屋に書類を運び入れた俺は兄の執務室へと戻ると早々に言われた。
兄は爪を磨きながら、なんてことなく告げる。

「飽きたのだろう。もう誰も“遊ばなくなった”からな。
そうなったらお前が僕の傍にいる理由なんてないだろ」

「………」

「というか僕もお前の顔をみるのが嫌なんだ。
いや、正確にはお前を、だな。その甲冑から覗く目だって、まるで血のように醜い。
そうだ!お前これからあの女のところにいって、あの女を監視しろよ!
で、なにか下手をしたら僕に報告しろ!それを理由に離婚できるからな!」

ハハハと高笑いをあげる兄に俺は歯を食いしばった。
怒りでどうかなりそうだったのだ。

あの日兄が俺に手を差し伸べたのは、両親に俺の事を伝える為ではなく、ただの遊びの駒として使いたかったからだとわかったからだ。
何故この男を信じたのだろう。
何故俺は我慢してきたのだろう。
おかしいと思った時に声を上げればよかった。
母と父から心配されても、大丈夫だと答えずに助けを求めたら…

(いや、それはダメだ。父さんがいくら貴族と繋がっていても平民なんだ。
迷惑をかけてしまうのは変わりない)

だが、あの日。
手を差し伸べられた時に兄の本性に気付いて断っていたら、俺は今頃父の後を継ぐために必死に商人になる為の教育を受けていただろう。

だけど結局選択したのは自分自身。
血の繋がった親と顔を会わせてみたいと、受け入れられる可能性なんてゼロに近いのに、そんな甘えた考えをしてしまった自分が悪いのだと、考え直す。

そして俺は兄の部屋を出て、彼女の、兄の妻である奥様の元に向かった。

兄にいわれたからではない。
俺が自分で、兄ではなく彼女の傍にいたいとそう思ったから。

だから決して、彼女の情報をあいつにいうことはしない。



奥様の部屋は戦場だった。
当主の部屋から運び出した書類を執務席として用意した机だけではなく、ソファとあわせているテーブルいっぱいに広げ、メイド達の手を借りながら優先順位を定めて計画書を書き上げる。
それなのに、正妻という立場だからなのか、屋敷についての質問をする執事たちにも的確に指示する奥様は、優秀で有望。
加えて余裕などどこにあるのか、いやないはずなのに、決して態度に出すこともせず冷静に、そして笑みを浮かべて接する奥様に皆信頼をおいた。

(奥様が侯爵家にやってきてから、誰も当主の元に来なかった理由がわかるな)

最終判断として当主である兄のもとに承認を貰いにくる以外、ほとんど意見を求めにやってこなかったのだ。
きっと先代か、もしくは妻となる奥様のもとに来ていたのだろうと考えると、俺もなにか奥様の為に手伝いたいという気持ちになる。

「奥様、こちら参考になればと思いお持ちしました」

そういってディオダ侯爵領の地図を渡す。
彼女は、奥様は笑みを消し、目を丸くして驚いていた。
そんな奥様の様子に、知らず知らずのうちに口端が上がる。
そして少し疑い気な目をしながらも、俺の手から地図を受け取った奥様に頭を下げて部屋の隅に戻った。

俺には母から教えてもらった教養はあるが、領主としての知識はない。
だけど今まで侯爵家にいなかった精霊たちが俺に助言する。

【シエルに地図を渡して!】
【きっと喜ぶよ!】
【助けになるよー!】

という声の他にも

【こいつとこいつ!シエルのことあいつにチクってた!】
【一緒に連れてっちゃダメだよ!】
【僕はこの人たちがいいと思うなぁ】

そんな感じで精霊にアドバイスをもらっていた俺は、精霊の意見も取り入れ護衛を選ぶ。
流石に奥様を守るために俺一人というのは侯爵家として体裁がたたないからだ。
案の定そこまで手が回っていなかった奥様は、精霊の顔を伺いながら俺の意見を取り入れた。

(役に立てた…)

そう思うと胸が熱くなった。
嬉しくなった。

そして屋敷を出る時は俺も奥様についていった。
今思い出すと護衛の一覧に自分の名前を書いていなかったのだ。
だがそれにも関わらず拒否する言葉を一つも言わず、連れていくことを了承した奥様。
そんな奥様の役に立つために、最初の村で懸命に穴を掘った。
他の護衛達も穴を掘ることに疑問を抱いていたが、奥様の指示ということもあり真面目に取り組む。
なにか不満でもいうなら諭してやるのにとさえ思っていたけど、これが奥様の人望の結果だろうと考えると嬉しかった。

掘った穴から水がふいた。
精霊からの情報で水脈があることを知ることが出来た俺はただ黙って湧き出す水を眺めていたが、ふと周りを見渡すと感激して喜ぶ村の人たちの表情、そして村の人たちに笑顔が戻ったのをみて心から嬉しそうに笑った奥様に目を奪われた。

(ああ、この人は領地の事を本当に心から考えてくれているんだ)

兄が放置していた領地を、この人は頬に泥を付け、そして服を汚すことなど気にせずに取り組んでくれていたのは、心からこの場所を改善したいとそう思ってくれていたからなんだと、そう思った。
そして俺も、再び村の人たちの喜ぶ姿を見て、やっと達成感を味わえた。

(…彼女の隣に立つのが俺であればいいのに…)

絶対に叶わない願いは、そっと心の奥底にしまって。





次の村に向かう間俺は精霊に奥様が精霊たちの愛し子であることを聞いた。

【だからね!シエルはとてもいい子なんだ!】
【そうそう!綺麗で本当にいい子!ケインもそう思うでしょ!】

そう伝えてくる精霊に俺は笑って頷いた。
口に出してしまうと、同じように奥様が乗っている馬車を護衛する他の騎士たちに気付かれるからだ。

(でも、そうか)

精霊を見える人はこの世界の中には普通にいる。
その価値を知っている者達に狙われ悪用されてしまうから公言していないだけで、俺のように精霊を見れる人はいるのだ。
でもその人数は少ない。
だからもしかしたら自分が特別な存在なのかとさえ、一時期思ったことがある。

(でも、特別なのは奥様だったんだ)

奥様の隣に立ち、共に歩んでいきたいと、絶対に叶わないと思っていた願い。
平民と貴族、そして既婚者である奥様という以前に、そもそも精霊の愛し子だなんて手も届かない存在だ。

そしてなんとも言えない虚無感を抱きながら次の村に辿り着くと、そこでは虫が大量に発生していた。
まるで黒い霧のように村を覆いつくす蜂の群れに奥様が馬車を下りて一人で向かう。

「もしかして、貴方もくるの?」

そう横目で確認しながら訪ねる奥様に「ダメでしょうか?」と返すと、奥様は「ダメというわけではないけれど…」と納得していないような、そんな雰囲気を醸しながら答えた。
だが俺は護衛だ。
奥様を一人向かわせることは出来ないと強気の姿勢で答えると、奥様はそれ以上いうことなくあきれた様子で少しだけ体から力を抜いた。
まるでしょうがないわね。とでも言っているかのようだった。
そんな奥様の態度が、親しい仲の人に向けられているかのような、そんな感じがして嬉しく思う。

そして奥様の隣を歩いていると、ふと視線を感じる。

(隣は図々しかっただろうか…)

確かに護衛というものは、対象人物よりも後ろを歩いている印象だ。
俺もそうしなければいけないだろう。
そう思って少しだけ下がろうとしたところで奥様が口を開く。

「貴方、気を付けないと精霊が見えると疑われるわよ?」

隣ではなく後ろを歩きなさいと咎められると勝手に想像して思っていた俺は、タイミングよく話しかけられたことで大げさにも思える程に体が跳ねる。
だけど奥様が言った内容は俺を咎める言葉ではなかった。
その事に気付いて少しだけ反応が遅れる。

「……気付いていたのですか?」

「ええ、あからさまなんだもの」

それをいうなら奥様もだ。
精霊が原因だと気付いて一人で進もうと今も行動しているのだから。

「……奥様も同様かと」

「私はいいのよ」

俺は奥様の返事に何がいいのかとそう思った。
なにもよくない。なにもいいことなんてない。
精霊が見えるということだけで誘拐されたりと危険度が増すのに、愛し子だということがばれたらどれほどの危険が奥様に降りかかるだろう。
そうなったら俺は守れる自信があるのだろうか。
いや、なくても守らなければいけない。

「…よくありませんよ。奥様は唯一の存在なのですから…」

そう呟いた俺に奥様は足を止める。
そして大きな目をさらに大きくさせ、驚いたような表情を見せた。
自然を表すような深い緑色の瞳が、まるで宝石のようにキラキラと輝いていて、驚いていた表情ではあったがとても綺麗だった。

「どうして…」

「精霊に教えていただきましたから」

そう答えた俺に奥様はまたもや驚いた表情を浮かべる。
だけど、奥様の言葉に今度は俺が驚く番だった。

「精霊に?貴方精霊の声が聞こえるの?」

聞こえるの、と尋ねるということは普通は聞こえないという事なのだろうか。
聞いたこともない情報だったが、そもそも人からそんなことを尋ねることも出来ない。
ふと思い返してみると、精霊たちが俺に話しかける時奥様が近くにいないときだった。
俺は動揺し、そして奥様の問いに正直に答えてもいいのか迷っていると、奥様はなにかを察したのか「ふぅ」と息をついた。

「…まぁいいわ。
精霊が貴方に私の事を教えたということは、貴方が信用に置ける人だということだもの。
そもそも私は貴方を疑っていないしね」

“俺を疑っていない”
それはつまり、俺を信用しているという事だと思ってもいいのか。

__貴方の質問に対し、すぐに答えられなかった俺を。

胸がドキドキと高鳴った。
奥様が俺を信用していると、そう思っただけで嬉しくなる。
だけど質問にすぐに答えられなかった自分にもやもやとした気持ちが、罪悪感…なのだろうかそんな負の感情が絡みついた。

いつの間にか止めてしまっていた足に気付き、俺は奥様にかけよろうとしたところで奥様が振り返る。

「私、人を見る目はあるつもりよ」

「っ…」

なんだかモヤついた負の感情が振り払われたような気がした。

奥様にそう言われてしまったのなら、話すしかないだろう。
奥様が尋ねた精霊の声が聞こえるのかという問いの他にも、もしかしたら奥様は俺の事なんて興味がないかもしれないが、俺の生い立ちも全てあますことなく奥様に話したくなった。
そう思ったら自然と口が開く。

「…あとで、私の話を聞いてくださいますか?」





そして、彼女と想いが通じ合い、復讐が遂げられる未来は、もう少し先のこと。




(おまけその二終)







本編ではケインの名前が出てきてもほとんどがシエル視点で進めていた為、あまりケインの心情を書いていなく物足りないなと感じました。
なのでケイン視点で物語の途中までになりますが書いてみました!

後からこうしようああしようという設定をふんだんに取り入れてしまい「ん?」と思うような部分もあるかと思いますが、それでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました!!
クズ視点もと思ったのですが、クズの思考というかクズの歩みというか…ケイン視点は楽しくかけたのですが、クズ視点を書くには大変難しく書いてる途中で断念したため、これで本当に終わりです。

感想や誤記の指摘をしていただいた皆様、そしてお気に入り登録してくださっている皆様ありがとうございました!

とても励まされました!


感想 34

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(34件)

ゆず茶
2025.09.26 ゆず茶

 楽しく読ませていただきました。
 「4」の「細身の男性が体に合っていない~」等の文章のくだりも、きっとこの村長さんは普段から豊かな生活ではないけれど,村のために精一杯頑張って正装して主人公を出迎えたんだろうな、と必死さが伝わってくるし、実直で常に村民のことを、考えている人なんだろうな、などと物語を読んでいて想像が膨らみました。この章だけでなく、いろいろなエピソードが物語に深みをもたせていて、とても心に残りました。
 ヒロインも単純な善人ではなく、人間臭くて親しみが持てます。
 これから作者様のほかの作品も、楽しみに読ませていただきます。ありがとうございました。

解除
sanzo
2025.04.07 sanzo

面白かった〜!

感想としての私の言いたい事を他の方が書かれているので、あまり書くことも無いのですが…


確かに2人のその後や実家との関係とかも読みたいとは思いますが、
予想

暫くは(数年は)恐らく領地経営ガンバリ過ぎて、そんなに実家とは交流出来なさそうですよね?
そしてラブラブな2人の事です。
4〜5人くらい子供を産み、妊娠出産で余り他領へは動けない。
(でも手紙とかでは実家とも連絡取り合ってる)

でも侯爵領へはデカイ腹と子供達を抱えて飛び回る嫁!
(旦那は心配過ぎて、必ず付いてまわる)
そして、もれなく子供達も精霊が視えてます!

下の子がソコソコ大きくなり落ち着いた頃には、
弟も結婚して子供も居て、、、
そして、
アレ?侯爵領、すんげー潤ってませんか?!
国王も宰相も大喜び♪
(若い王太子は、まだまだま〜だ譲位させて貰えない。王も若いな🤣)
みたいな🤣

クズについては、大体の想像がつくし、書かなくても大丈夫〜かな〜。


2025.04.07 あおくん

コメントありがとうございます!
完結してから日も経っているのに読んでいただけることが本当に!すごく!嬉しいです!
そして楽しんでいただけてよかったです(⁠◕⁠ᴗ⁠◕⁠✿⁠)
二人のお子さんも精霊がみえたら楽しそうですね!
そして領地はすっごい潤います!これは断言します!(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました!

解除
東堂明美
2024.04.21 東堂明美

とっても楽しかったです♪ありがとうございます。ケインの生い立ちは数増を絶するほどの嫌な環境でしたが育ての両親が本当に良心的で優しい人たちで良かったです。シエルもお父様に愛されていた事がわかって良かったです。2人が幸せな結婚をする事が出来て本当にありがとうございます♪クズはどこまで行ってもクズなのですね?その両親も似た様なものですよね? ケインが彼らに似なかったのは一重に育ての親の愛情ときちんとした教育を受けさせたからなのでしょうね‼️番外編も読んでたのしめました。出来れば2人のその後とかお父様や弟達との交流や子供のことなんかが書かれていれば嬉しかったですが、それは最後のお話の展開から読み取れるかな?って思うので大変面白かったしハラハラしたりかなりムカついたり(特にクズと両親の考え方や行動)したけど最後の国王のざまぁがとっても良かったです♪演技派の国王様ですね。あんな人が国のトップならいい国づくりができるのでしょうね!これからも応援してますので頑張って下さいね☆次作も期待しています♪

2024.04.21 あおくん

コメントありがとうございます!
楽しんでいただきとても嬉しいです!
仰る通りケインがクズにならなかったのは、全て環境のお陰です。素晴らしい人のもとで育つことが出来たのでクズにはなりませんでした(笑)
王様のことも気に入っていただけたようでよかったです♪意外と王様もウキウキして楽しんでいたでしょう(笑)
またお会いできるよう(読んでいただけるよう)頑張ります!
最後まで読んでいただきありがとうございました!

解除

あなたにおすすめの小説

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました

ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。 けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。 やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。 ――もう、この結婚には見切りをつけよう。 夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。 身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。 一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。 幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。

幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。

たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。 彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。 『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』 「……『愛している』、ですか」 いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

死ぬまでに叶えたい十の願い

木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」 三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。 離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する—— 二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。 このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。 そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。 ーーーー 若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。 作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。 完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。 第一章 無計画な婚約破棄 第二章 無計画な白い結婚 第三章 無計画な告白 第四章 無計画なプロポーズ 第五章 無計画な真実の愛 エピローグ