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24 婚約解消まで②
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「ふざけるな!何故こちら側の有責で書かれてある!?」
書類にいち早く目を通したカルンが乱暴に声を荒げた。
アリエスは「心当たりがないのですか?」ときょとんとした表情で尋ねるも、男たちの意見も態度も変わらなかった。
アリエスは無自覚な男たちにため息をつくと、更に用意していた書類たちを男たちに配っていった。
「まずはカリウス・プロント様について申し上げます。
◯月✕日、同月△日、同月▽日アリス・カルチャーシ様と校内で待ち合わせを行い、逢瀬を楽しむ。
◯月✕日同じくアリス・カルチャーシ様と街へと繰り出す。
尚、カリウス様はアリス様へ過剰ともいえる接触行為を行っていたことを、お渡しした書類に写真付きで載せておりますのでご確認ください。
また表記した日にちについて、期間を一週間に限定させていただきました為少ないように見えておりますが、裏を返せばたった一週間の間に婚約者でもない女性とこれほど頻繁に顔を合わせ、そして身体に触れるという意味を考えますと、浮気をしていた、と捉えられても仕方ありませんよね?」
アリエスが淡々と説明をし、そして最後には微笑みまで浮かべるとカリウスはわなわなと唇を震わせた。
「俺はアリス嬢のことをお前たちから守っていただけだ!それにこれは隠し撮りじゃないのか!?」
「指摘したいところはいくつかありますが……まず、私たちから守る、というのはどういうことですか?以前お会いしたときもそのような発言をなされていましたが」
「誤魔化す気か?お前らがアリス嬢を無視したあげく、教材を破り怪我を負わせていたことは知っているんだぞ!」
「以前にもお話しましたがアリス様と私たちはまずクラスが違います。話す以前に挨拶すらも交わした覚えはありません」
「今無視をしたと認めたな!?」
「お会いしたこともないのに無視をしたという解釈に何故なるのですか?その理屈が通るのなら、カリウス様は婚約者である私のことを常に無視していた、ということになりますね。カリウス様の行動こそが婚約者である私を蔑ろにしていた、つまりそれだけでも貴方に責があるということになりますが」
「話をすり替えるな!」
「人の言葉の揚げ足を取っているのは貴方です」
カリウスは口を閉ざしアリエスを強い眼差しを向けるも、アリエスははぁと溜息をつくだけだった。
「……そもそも何故私たちがアリス様を傷付ける必要があるのですか?」
「そんなの嫉妬しているからに決まっているからだろうが!」
「嫉妬?何故?」
アリエスは本当に分からないといった表情でカリウスを見つめた。
カリウスは怒りからか顔を真っ赤に染めアリエスを睨む。
答える気はなさそうだ。
「カリウス様、よく考えてください。私たちはアリス様と同じタイミングで入学しました。クラスも別です。お会いしたこともありません。家同士の繋がりもない。この時点でアリス様を虐げる理由はない筈です。
またアリス様においてもクラスメイトとの交流を自ら絶っていたという証言もございます。私たち、またアリス様のクラスメイトが無視をしていたというのは事実無根であります。
そしてアリス様への暴行、でしょうか。それについても嫉妬をしていたからと仰っていましたが、何故そう思っているのですか?まさか政略から婚約しただけで愛情も芽生えていない自身の婚約相手といい関係を築かれたから、そのように勘違いしているのでしょうか?」
アリエスがそう告げるとカリウスは顔を更に赤らませて「そうだ!」と言い切った。
そんなカリウスにアリエスは今度は深くため息をつく。
「……愛情がなくとも婚約相手が他の女性とイイ関係になっていたら、咎めるのが“普通の”対応です。ですがそれは嫉妬からの行動ではなく、家名に泥を塗る行為だからこその行動です。例えカリウス様の行動であっても婚約を結んでいる以上、我がウォータ家にも少なからず影響があるのですよ」
わかりますか?とアリエスは続けた。
カリウスはアリエスが嫉妬から注意をしたのではないことを指摘されると、俯き音を立てながら椅子に座る。
以前はここまで話してはいないが、それでも同様のことをカリウスに話していたアリエスは、魅了されてしまうと記憶障害にでもなるのかと不思議に思った。
「カルン・エドナー様ならびにロジェ・ルソー様も同様に、アリス・カルチャーシ様と何度も逢瀬を楽しんでいらっしゃいましたね。聡明で次期宰相と呼ばれている貴方様が有責となる心当たりが、本当に、ないのでしょうか?」
書類にいち早く目を通したカルンが乱暴に声を荒げた。
アリエスは「心当たりがないのですか?」ときょとんとした表情で尋ねるも、男たちの意見も態度も変わらなかった。
アリエスは無自覚な男たちにため息をつくと、更に用意していた書類たちを男たちに配っていった。
「まずはカリウス・プロント様について申し上げます。
◯月✕日、同月△日、同月▽日アリス・カルチャーシ様と校内で待ち合わせを行い、逢瀬を楽しむ。
◯月✕日同じくアリス・カルチャーシ様と街へと繰り出す。
尚、カリウス様はアリス様へ過剰ともいえる接触行為を行っていたことを、お渡しした書類に写真付きで載せておりますのでご確認ください。
また表記した日にちについて、期間を一週間に限定させていただきました為少ないように見えておりますが、裏を返せばたった一週間の間に婚約者でもない女性とこれほど頻繁に顔を合わせ、そして身体に触れるという意味を考えますと、浮気をしていた、と捉えられても仕方ありませんよね?」
アリエスが淡々と説明をし、そして最後には微笑みまで浮かべるとカリウスはわなわなと唇を震わせた。
「俺はアリス嬢のことをお前たちから守っていただけだ!それにこれは隠し撮りじゃないのか!?」
「指摘したいところはいくつかありますが……まず、私たちから守る、というのはどういうことですか?以前お会いしたときもそのような発言をなされていましたが」
「誤魔化す気か?お前らがアリス嬢を無視したあげく、教材を破り怪我を負わせていたことは知っているんだぞ!」
「以前にもお話しましたがアリス様と私たちはまずクラスが違います。話す以前に挨拶すらも交わした覚えはありません」
「今無視をしたと認めたな!?」
「お会いしたこともないのに無視をしたという解釈に何故なるのですか?その理屈が通るのなら、カリウス様は婚約者である私のことを常に無視していた、ということになりますね。カリウス様の行動こそが婚約者である私を蔑ろにしていた、つまりそれだけでも貴方に責があるということになりますが」
「話をすり替えるな!」
「人の言葉の揚げ足を取っているのは貴方です」
カリウスは口を閉ざしアリエスを強い眼差しを向けるも、アリエスははぁと溜息をつくだけだった。
「……そもそも何故私たちがアリス様を傷付ける必要があるのですか?」
「そんなの嫉妬しているからに決まっているからだろうが!」
「嫉妬?何故?」
アリエスは本当に分からないといった表情でカリウスを見つめた。
カリウスは怒りからか顔を真っ赤に染めアリエスを睨む。
答える気はなさそうだ。
「カリウス様、よく考えてください。私たちはアリス様と同じタイミングで入学しました。クラスも別です。お会いしたこともありません。家同士の繋がりもない。この時点でアリス様を虐げる理由はない筈です。
またアリス様においてもクラスメイトとの交流を自ら絶っていたという証言もございます。私たち、またアリス様のクラスメイトが無視をしていたというのは事実無根であります。
そしてアリス様への暴行、でしょうか。それについても嫉妬をしていたからと仰っていましたが、何故そう思っているのですか?まさか政略から婚約しただけで愛情も芽生えていない自身の婚約相手といい関係を築かれたから、そのように勘違いしているのでしょうか?」
アリエスがそう告げるとカリウスは顔を更に赤らませて「そうだ!」と言い切った。
そんなカリウスにアリエスは今度は深くため息をつく。
「……愛情がなくとも婚約相手が他の女性とイイ関係になっていたら、咎めるのが“普通の”対応です。ですがそれは嫉妬からの行動ではなく、家名に泥を塗る行為だからこその行動です。例えカリウス様の行動であっても婚約を結んでいる以上、我がウォータ家にも少なからず影響があるのですよ」
わかりますか?とアリエスは続けた。
カリウスはアリエスが嫉妬から注意をしたのではないことを指摘されると、俯き音を立てながら椅子に座る。
以前はここまで話してはいないが、それでも同様のことをカリウスに話していたアリエスは、魅了されてしまうと記憶障害にでもなるのかと不思議に思った。
「カルン・エドナー様ならびにロジェ・ルソー様も同様に、アリス・カルチャーシ様と何度も逢瀬を楽しんでいらっしゃいましたね。聡明で次期宰相と呼ばれている貴方様が有責となる心当たりが、本当に、ないのでしょうか?」
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