24 / 92
24 婚約解消まで②
しおりを挟む
「ふざけるな!何故こちら側の有責で書かれてある!?」
書類にいち早く目を通したカルンが乱暴に声を荒げた。
アリエスは「心当たりがないのですか?」ときょとんとした表情で尋ねるも、男たちの意見も態度も変わらなかった。
アリエスは無自覚な男たちにため息をつくと、更に用意していた書類たちを男たちに配っていった。
「まずはカリウス・プロント様について申し上げます。
◯月✕日、同月△日、同月▽日アリス・カルチャーシ様と校内で待ち合わせを行い、逢瀬を楽しむ。
◯月✕日同じくアリス・カルチャーシ様と街へと繰り出す。
尚、カリウス様はアリス様へ過剰ともいえる接触行為を行っていたことを、お渡しした書類に写真付きで載せておりますのでご確認ください。
また表記した日にちについて、期間を一週間に限定させていただきました為少ないように見えておりますが、裏を返せばたった一週間の間に婚約者でもない女性とこれほど頻繁に顔を合わせ、そして身体に触れるという意味を考えますと、浮気をしていた、と捉えられても仕方ありませんよね?」
アリエスが淡々と説明をし、そして最後には微笑みまで浮かべるとカリウスはわなわなと唇を震わせた。
「俺はアリス嬢のことをお前たちから守っていただけだ!それにこれは隠し撮りじゃないのか!?」
「指摘したいところはいくつかありますが……まず、私たちから守る、というのはどういうことですか?以前お会いしたときもそのような発言をなされていましたが」
「誤魔化す気か?お前らがアリス嬢を無視したあげく、教材を破り怪我を負わせていたことは知っているんだぞ!」
「以前にもお話しましたがアリス様と私たちはまずクラスが違います。話す以前に挨拶すらも交わした覚えはありません」
「今無視をしたと認めたな!?」
「お会いしたこともないのに無視をしたという解釈に何故なるのですか?その理屈が通るのなら、カリウス様は婚約者である私のことを常に無視していた、ということになりますね。カリウス様の行動こそが婚約者である私を蔑ろにしていた、つまりそれだけでも貴方に責があるということになりますが」
「話をすり替えるな!」
「人の言葉の揚げ足を取っているのは貴方です」
カリウスは口を閉ざしアリエスを強い眼差しを向けるも、アリエスははぁと溜息をつくだけだった。
「……そもそも何故私たちがアリス様を傷付ける必要があるのですか?」
「そんなの嫉妬しているからに決まっているからだろうが!」
「嫉妬?何故?」
アリエスは本当に分からないといった表情でカリウスを見つめた。
カリウスは怒りからか顔を真っ赤に染めアリエスを睨む。
答える気はなさそうだ。
「カリウス様、よく考えてください。私たちはアリス様と同じタイミングで入学しました。クラスも別です。お会いしたこともありません。家同士の繋がりもない。この時点でアリス様を虐げる理由はない筈です。
またアリス様においてもクラスメイトとの交流を自ら絶っていたという証言もございます。私たち、またアリス様のクラスメイトが無視をしていたというのは事実無根であります。
そしてアリス様への暴行、でしょうか。それについても嫉妬をしていたからと仰っていましたが、何故そう思っているのですか?まさか政略から婚約しただけで愛情も芽生えていない自身の婚約相手といい関係を築かれたから、そのように勘違いしているのでしょうか?」
アリエスがそう告げるとカリウスは顔を更に赤らませて「そうだ!」と言い切った。
そんなカリウスにアリエスは今度は深くため息をつく。
「……愛情がなくとも婚約相手が他の女性とイイ関係になっていたら、咎めるのが“普通の”対応です。ですがそれは嫉妬からの行動ではなく、家名に泥を塗る行為だからこその行動です。例えカリウス様の行動であっても婚約を結んでいる以上、我がウォータ家にも少なからず影響があるのですよ」
わかりますか?とアリエスは続けた。
カリウスはアリエスが嫉妬から注意をしたのではないことを指摘されると、俯き音を立てながら椅子に座る。
以前はここまで話してはいないが、それでも同様のことをカリウスに話していたアリエスは、魅了されてしまうと記憶障害にでもなるのかと不思議に思った。
「カルン・エドナー様ならびにロジェ・ルソー様も同様に、アリス・カルチャーシ様と何度も逢瀬を楽しんでいらっしゃいましたね。聡明で次期宰相と呼ばれている貴方様が有責となる心当たりが、本当に、ないのでしょうか?」
書類にいち早く目を通したカルンが乱暴に声を荒げた。
アリエスは「心当たりがないのですか?」ときょとんとした表情で尋ねるも、男たちの意見も態度も変わらなかった。
アリエスは無自覚な男たちにため息をつくと、更に用意していた書類たちを男たちに配っていった。
「まずはカリウス・プロント様について申し上げます。
◯月✕日、同月△日、同月▽日アリス・カルチャーシ様と校内で待ち合わせを行い、逢瀬を楽しむ。
◯月✕日同じくアリス・カルチャーシ様と街へと繰り出す。
尚、カリウス様はアリス様へ過剰ともいえる接触行為を行っていたことを、お渡しした書類に写真付きで載せておりますのでご確認ください。
また表記した日にちについて、期間を一週間に限定させていただきました為少ないように見えておりますが、裏を返せばたった一週間の間に婚約者でもない女性とこれほど頻繁に顔を合わせ、そして身体に触れるという意味を考えますと、浮気をしていた、と捉えられても仕方ありませんよね?」
アリエスが淡々と説明をし、そして最後には微笑みまで浮かべるとカリウスはわなわなと唇を震わせた。
「俺はアリス嬢のことをお前たちから守っていただけだ!それにこれは隠し撮りじゃないのか!?」
「指摘したいところはいくつかありますが……まず、私たちから守る、というのはどういうことですか?以前お会いしたときもそのような発言をなされていましたが」
「誤魔化す気か?お前らがアリス嬢を無視したあげく、教材を破り怪我を負わせていたことは知っているんだぞ!」
「以前にもお話しましたがアリス様と私たちはまずクラスが違います。話す以前に挨拶すらも交わした覚えはありません」
「今無視をしたと認めたな!?」
「お会いしたこともないのに無視をしたという解釈に何故なるのですか?その理屈が通るのなら、カリウス様は婚約者である私のことを常に無視していた、ということになりますね。カリウス様の行動こそが婚約者である私を蔑ろにしていた、つまりそれだけでも貴方に責があるということになりますが」
「話をすり替えるな!」
「人の言葉の揚げ足を取っているのは貴方です」
カリウスは口を閉ざしアリエスを強い眼差しを向けるも、アリエスははぁと溜息をつくだけだった。
「……そもそも何故私たちがアリス様を傷付ける必要があるのですか?」
「そんなの嫉妬しているからに決まっているからだろうが!」
「嫉妬?何故?」
アリエスは本当に分からないといった表情でカリウスを見つめた。
カリウスは怒りからか顔を真っ赤に染めアリエスを睨む。
答える気はなさそうだ。
「カリウス様、よく考えてください。私たちはアリス様と同じタイミングで入学しました。クラスも別です。お会いしたこともありません。家同士の繋がりもない。この時点でアリス様を虐げる理由はない筈です。
またアリス様においてもクラスメイトとの交流を自ら絶っていたという証言もございます。私たち、またアリス様のクラスメイトが無視をしていたというのは事実無根であります。
そしてアリス様への暴行、でしょうか。それについても嫉妬をしていたからと仰っていましたが、何故そう思っているのですか?まさか政略から婚約しただけで愛情も芽生えていない自身の婚約相手といい関係を築かれたから、そのように勘違いしているのでしょうか?」
アリエスがそう告げるとカリウスは顔を更に赤らませて「そうだ!」と言い切った。
そんなカリウスにアリエスは今度は深くため息をつく。
「……愛情がなくとも婚約相手が他の女性とイイ関係になっていたら、咎めるのが“普通の”対応です。ですがそれは嫉妬からの行動ではなく、家名に泥を塗る行為だからこその行動です。例えカリウス様の行動であっても婚約を結んでいる以上、我がウォータ家にも少なからず影響があるのですよ」
わかりますか?とアリエスは続けた。
カリウスはアリエスが嫉妬から注意をしたのではないことを指摘されると、俯き音を立てながら椅子に座る。
以前はここまで話してはいないが、それでも同様のことをカリウスに話していたアリエスは、魅了されてしまうと記憶障害にでもなるのかと不思議に思った。
「カルン・エドナー様ならびにロジェ・ルソー様も同様に、アリス・カルチャーシ様と何度も逢瀬を楽しんでいらっしゃいましたね。聡明で次期宰相と呼ばれている貴方様が有責となる心当たりが、本当に、ないのでしょうか?」
667
あなたにおすすめの小説
遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした
おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。
真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。
ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。
「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」
「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」
「…今度は、ちゃんと言葉にするから」
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日
佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」
「相手はフローラお姉様ですよね?」
「その通りだ」
「わかりました。今までありがとう」
公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。
アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。
三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。
信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった――
閲覧注意
【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません
との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗
「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ!
あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。
断罪劇? いや、珍喜劇だね。
魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。
留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。
私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で?
治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな?
聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。
我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし?
面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。
訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結まで予約投稿済み
R15は念の為・・
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
妹に婚約者を奪われましたが、私の考えで家族まとめて終わりました。
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・フォンテーヌ公爵令嬢は、エドガー・オルレアン伯爵令息と婚約している。セリーヌの父であるバラック公爵は後妻イザベルと再婚し、その娘であるローザを迎え入れた。セリーヌにとって、その義妹であるローザは、婚約者であり幼馴染のエドガーを奪おうと画策する存在となっている。
さらに、バラック公爵は病に倒れ寝たきりとなり、セリーヌは一人で公爵家の重責を担うことになった。だが、イザベルとローザは浪費癖があり、次第に公爵家の財政を危うくし、家を自分たちのものにしようと企んでいる。
セリーヌは、一族が代々つないできた誇りと領地を守るため、戦わなければならない状況に立たされていた。異世界ファンタジー魔法の要素もあるかも?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる