世士打傑

黄昏ノ鍵

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朝続

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洗面台に行って口元を拭いていると母親が声をかけてきた。

「世士打先生をあげてしまってごめんね。大輝には夕兄ちゃんみたいになって欲しくないんだよ。」

大輝は母親を少し睨むのだが、何故かなごんでしまう。
そんな魅力を持っている人なのだ。

「わかってるよ。だけど、学校にはどうしても行きたくないから、家で勉強がしたい。」

大輝には3歳上の兄がいて、いつも自室でゲームをしている不登校児だ。

彼の真似だけはしたくなかったのに、大輝がここまで追い込まれてしまったのはそう、“アイツ”のせいなのだ。

そんな事を考えていると、顎下に手が入って壁に押し当てられ強い衝撃が後頭部に走った。

「だぁいぃきぃぃ。学校は好きやろぉ。あいつもお前の事が好きなのに、何で学校行かんぜぇ?」

世士打はなぜか“アイツ”の肩を毎度持つのだ。

買収されたのか、親戚関係にあるのか、理由はさっぱりわからない。
ただ、世士打が自分の敵である事だけは明白だった。

「せんせぇ・・これ・・は・・ぼう・・こ・・」

静止の言葉を無視して世士打は笑顔で大輝の腹を殴る。

「だぁいぃぃきぃぃ。体罰は普通ぜぇ?先生が学校行ってた時は特になぁ。」

と、自分視点でしか物事を考えられない言葉を述べる世士打にうんざりしながらも腹を激痛が襲った。

「なに・・が・・あっ・・てもがっこう・・には・・」

「体罰は普通ぜぇ。もういいぜぇ。お前の母親を責めたてるぜぇ。」

世士打は手を離すと踵を返して母親の元に向かった。

母親が心配ではあるがやっと終わったと大輝は安堵しながら兄の部屋に向かった。

「夕君、匿ってほしい。」

兄は少し迷惑そうにしながらも、PCの手を止めてアイテムを使う車のゲームに誘ってくれた。

2人でゲームをしていると、母親が入ってきて泣き出した。

「夕、大輝、、私もう限界だよ。どうにか学校に行っておくれ。」

中1と高1の兄弟どちらも不登校なのは親にとってとても辛いのだ。
世士打はそこを突いて責め立てたに違いない。

大好きな母親を気遣って大輝は答える。

「僕ももう限界なんだよ。学校に行く以外でお母さんは何をしてくれたら嬉しい?」

料理を一緒にしてほしいと言われて大輝は了承して、夕は無言だった。

「世士打先生が帰ったら一緒に作るね」

母親は腫れた目をしながらも嬉しそうだったので、大輝の心も少し穏やかになる。

なぜか夕がいる場所に世士打は入ってこないので、昼間までレースをしながら時間を潰す事にした。





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