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最終話:愛について話そう
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「くくく……。あはははははははは!」
烏羽玉の身体から黒い煙が上がり、身体が再生を始めた。
「何をした」
「己の中にある〈人間〉の部分を殺したのだ。私は完全な禍ツ鬼になった」
烏羽玉は笑いながら翼を広げ、再び二振りの蕨手刀を掴んだ。
「これなら、弟を殺すことも出来よう。私の心には、何も映らぬ。もはや、心などという邪魔なものもない。愛しき悲しさも、何も無い」
「耐えきれないでしょう! 身体は人間だったはず。禍ツ鬼の邪悪な瘴気に、その身は壊れてしまう!」
「なんだ、心配してくれるのか? 翼禮よ」
「ちがう! お前がここで爆発でもしようものなら……、みんなが巻き込まれてしまう!」
「ははははは! ならば止めてみよ! 仙子の小娘!」
わたしは地上で戦う透華を見た。
身体のあちこちが傷つき、それでも立ち向かい続けている。
京を見ると、そこでは愛しい家族が戦っている。
わたしを生かすために。わたしが無事に帰ってくることを信じて。
「みんな……、ごめん……」
わたしは深く息を吸い、大きく吐き出した。
刀を杖に戻し、目を閉じた。
なんて幸せな人生だったのだろう。
大切な人たちに囲まれて、誰を信じればいいのか一目瞭然の善良な世界で、わたしは生きることが出来た。
それを守れるのなら、家族が生きていく世界を守れるのなら。
この命、惜しくもなんともない。
「仙術、疾風迅雷闇ヲ裂ク」
「ぐっ」
烏羽玉の目に雷鳴を浴びせ、僅かな時、視界を奪う。
「仙術、桃弧棘矢守護ノ籠・改」
桃の枝葉と、わたしの棘が編みあがっていく。
わたしと烏羽玉を包み、球状に。
「翼禮さん!」
地上から大好きな声がする。だからこそ、巻き込めない。
「……翼禮、何をする気だ」
烏羽玉の声が怒気を孕む。
その間にも、皮膚は裂け、瘴気が漏れ出している。
烏羽玉の身体は、破裂寸前の風船のようなもの。
それならば、爆発を促すよう、力を与えればいい。
「魔術……、射毒攻毒死ヲ賜ル」
「まさか、お前!」
わたしは瘴気を放ち始めた。
「な、なぜ仙子であるお前が、その魔術を!」
「わたしは大隔世遺伝により、この身に偉大なる魔女の血が流れている。今のお前を殺すほどの瘴気なら、生み出すことも出来よう。さぁ、逝こうか」
「くそ、くそ、くそぉぉおおお!」
斬りかかってくる烏羽玉の斬撃を杖で受け、はじき返す。
「力が入っていないようだが?」
「こ、小娘、が……」
肌が裂け、黒い煙が噴き出し、瞳は充血を通り越し、紫色になっている。
口から黒い血を流し、もう蕨手刀すら持てなくなった腕は白濁し、だらりと垂れ下がる。
「ごふっ……、かはっ」
「さようなら、悲しき皇子様」
煙が止まり、何の音も聞こえなくなった次の瞬間、烏羽玉だったものは、強烈な瘴気をまき散らしながら爆発した。
戦場に、鈍い音がこだました。
空の闇が一瞬濃くなり、空中にはハラハラと木くずが降っている。
その中に焦げた桃の花と薔薇の花弁が舞い散っていった。
禍ツ鬼たちは自分たちの長が敗れたことを感じ取り、隊列もなく方々に逃げ出した。
「よ、翼禮……。翼禮ぃぃいいい!」
火恋の制止も振り切り、竜胆は飛び出した。
黎明。
空を覆っていた闇が色を取り戻す時間。
「翼禮! 嫌だ! 駄目だよ! そんな……」
腕の痛みがわからなくなるほど、竜胆は悲しみに混乱していた。
歓声が上がる京。
禍ツ鬼の脅威は去った。
でも、家族が戻ってこなかったら、意味がない。
喜べない。景色が、一変してしまう。
竜胆が飛んだ先にいたのは、座り込み、うなだれる、傷だらけの透華だった。
「透華! 翼禮は……」
声に振り返った透華は泣いていた。
その腕の中に抱きしめたひとを、必死で抱えながら。
「……生きてる。翼禮さんは、生きてるよ」
「あ、ああ、ああっ……!」
竜胆は涙が止まらなかった。
透華の腕の中で眠る親友の姿に。
ボロボロだ。
みんなボロボロ。
でも、翼禮はどうして生きているのか不思議なほど、酷いありさまだ。
左腕と両足が折れ、右腕は骨が見えるほど裂けている。
全身に酷い瘴気火傷を負っており、右目はつぶれてしまっている。
でも、息をしている。すぅすぅと、呼吸をしている。
「なんで一人でやるのよ。私には危険な真似させないって言っておいて、どうして自分は……」
「竜胆さんのことが大切なんですよ。妬けます」
「……まったく。私も大好きよ、翼禮」
秋も深まった十月。
金木犀のいい香りが京中を覆っているようだ。
わたしは両親の許可が下り、今日から仕事に復帰することになった。
「義眼の調子はどう?」
わざわざ迎えに来てくれた竜胆に聞かれ、わたしは周囲をキョロキョロと見るふりをして、眼球を動かして見せた。
「いいみたいです。さすが胡仙様の作品。前よりも遠くまで見えるくらいですよ」
「まったく。あのとき、翼禮は自分の姿なんて見えてないからいいのかもしれないけど、私と透華は泣きっぱなしだったのよ!」
「ふふふ。火恋がしっかりしていてくれてよかったです。わたしを両親の元まで運んでくれたんですから」
「わ、私だってもう少し泣き止んでたらそうしたわよ」
「そうですね。そういうことにしておきましょう」
「ぷんぷん!」
「あははは」
久しぶりの外出は気持ちがよかった。
竜胆と透華は毎日見舞いに来てくれた。
火恋はあらゆる地獄を駆け巡り、わたしのために義眼の材料を集め、胡仙に持って行ってくれた。
主上は人脈の限りを尽くして国内外から薬草を買い集め、負傷者の治療を支えたらしい。
仙子族は一ヶ月間京に残ってくれて、禍ツ鬼の残党狩りを請け負ってくれたという。
「で、お兄さんとお姉さんは?」
「二週間くらい、弟が心配し過ぎて毎日泣くので、ずっと実家にいてくれましたよ。本当に、頭が上がりません」
「日奈子ちゃんも烏天狗たちと京を護衛してくれていたし。みんな、すごいわよね」
「聞きましたよ」
「なにを?」
「竜胆、聖女の力を使えるようになったとか」
「……夢中だったの。翼禮の身体から瘴気を抜くために、必死で祈ったら出来ちゃった」
「ありがとう、竜胆」
「いいのよ。当然のことだもの」
竜胆はニヤニヤと笑いながら、わたしの手を取った。
「透華とはどうなの? 家族公認になったんでしょう?」
「まぁ、そんなとこです」
「何よぉ、もっと話してよ!」
「あとで。まずは、陛下にご挨拶しなければなりません」
「相変わらず真面目ねぇ」
「それがわたしですから」
「大好きよ、翼禮」
「わたしもです。竜胆も、透華さんも、火恋も……。みんな、大好きです」
内裏に着くと、いろんな人から声をかけられた。
「おかえりなさい!」
「御身体はもう大丈夫なんですか?」
「おかえり!」
「また一緒に働けて光栄です!」
「英雄は案外小さいんだなぁ」
わたしはこういった歓迎には慣れておらず、すこし動揺しつつ、清涼殿へと向かった。
「適当に手でも振ってあげればいいのに」
「わたしは小心者なんです」
「嘘つけ」
清涼殿へつくとすぐに通され、中に入ると、主上が駆け寄ってきた。
「もういいのか? 大丈夫か? 無理してないか?」
「え、ええ。大丈夫です陛下。あの、ご挨拶を……」
「ああ、あの拝謁とかなんとかってやつな。いらんいらん。友達なのだから」
「……あはは」
「まだ休んでいてもいいんだぞ。急いで仕事に復帰しなくとも……」
座るよう促され、わたしと竜胆は座布団に腰を下ろした。
「いえ。もう家族から小言を言われる日々には飽きましたので」
「……あはははは! 愛ゆえだ。仕方がないこと」
「あの、陛下……」
金剛石にされた太皇太后と花信のことをどう伝えればよいか迷っていると、主上は優しく微笑みながら言った。
「もう知っている。それに、養母上は覚悟が出来ていたようだ。手紙を残してくれていた。花信叔母上も」
主上は「読んでみるか?」と手紙を見せてくれたが、わたしは丁寧に断った。
「それはお二人が愛する者へ向けた特別なもの。わたしは読むに値しません」
「まったく。真面目だな」
「どうも」
「本当に身体は大丈夫なのか?」
「ええ。もちろんです」
「では、さっそく二人に頼みたい仕事がある」
わたしは姿勢を正し、主上を見つめた。
「なんなりと」
「北方の異民族におかしな魔術を使う者がいるらしい。調査を頼めるか」
「謹んで拝命いたします」
「うむ!」
わたしと竜胆は平伏し、清涼殿を後にした。
「何日かかるかな?」
「どうでしょう」
「ふふふ。頑張りましょ」
「ええ。そうしましょう」
秋風が砂埃を舞い上げ、陽の光にキラキラと輝いている。
わたしと竜胆は仕事部屋に戻り、窓から空へと飛び出した。
いつものように、これまでも、これからも。
烏羽玉の身体から黒い煙が上がり、身体が再生を始めた。
「何をした」
「己の中にある〈人間〉の部分を殺したのだ。私は完全な禍ツ鬼になった」
烏羽玉は笑いながら翼を広げ、再び二振りの蕨手刀を掴んだ。
「これなら、弟を殺すことも出来よう。私の心には、何も映らぬ。もはや、心などという邪魔なものもない。愛しき悲しさも、何も無い」
「耐えきれないでしょう! 身体は人間だったはず。禍ツ鬼の邪悪な瘴気に、その身は壊れてしまう!」
「なんだ、心配してくれるのか? 翼禮よ」
「ちがう! お前がここで爆発でもしようものなら……、みんなが巻き込まれてしまう!」
「ははははは! ならば止めてみよ! 仙子の小娘!」
わたしは地上で戦う透華を見た。
身体のあちこちが傷つき、それでも立ち向かい続けている。
京を見ると、そこでは愛しい家族が戦っている。
わたしを生かすために。わたしが無事に帰ってくることを信じて。
「みんな……、ごめん……」
わたしは深く息を吸い、大きく吐き出した。
刀を杖に戻し、目を閉じた。
なんて幸せな人生だったのだろう。
大切な人たちに囲まれて、誰を信じればいいのか一目瞭然の善良な世界で、わたしは生きることが出来た。
それを守れるのなら、家族が生きていく世界を守れるのなら。
この命、惜しくもなんともない。
「仙術、疾風迅雷闇ヲ裂ク」
「ぐっ」
烏羽玉の目に雷鳴を浴びせ、僅かな時、視界を奪う。
「仙術、桃弧棘矢守護ノ籠・改」
桃の枝葉と、わたしの棘が編みあがっていく。
わたしと烏羽玉を包み、球状に。
「翼禮さん!」
地上から大好きな声がする。だからこそ、巻き込めない。
「……翼禮、何をする気だ」
烏羽玉の声が怒気を孕む。
その間にも、皮膚は裂け、瘴気が漏れ出している。
烏羽玉の身体は、破裂寸前の風船のようなもの。
それならば、爆発を促すよう、力を与えればいい。
「魔術……、射毒攻毒死ヲ賜ル」
「まさか、お前!」
わたしは瘴気を放ち始めた。
「な、なぜ仙子であるお前が、その魔術を!」
「わたしは大隔世遺伝により、この身に偉大なる魔女の血が流れている。今のお前を殺すほどの瘴気なら、生み出すことも出来よう。さぁ、逝こうか」
「くそ、くそ、くそぉぉおおお!」
斬りかかってくる烏羽玉の斬撃を杖で受け、はじき返す。
「力が入っていないようだが?」
「こ、小娘、が……」
肌が裂け、黒い煙が噴き出し、瞳は充血を通り越し、紫色になっている。
口から黒い血を流し、もう蕨手刀すら持てなくなった腕は白濁し、だらりと垂れ下がる。
「ごふっ……、かはっ」
「さようなら、悲しき皇子様」
煙が止まり、何の音も聞こえなくなった次の瞬間、烏羽玉だったものは、強烈な瘴気をまき散らしながら爆発した。
戦場に、鈍い音がこだました。
空の闇が一瞬濃くなり、空中にはハラハラと木くずが降っている。
その中に焦げた桃の花と薔薇の花弁が舞い散っていった。
禍ツ鬼たちは自分たちの長が敗れたことを感じ取り、隊列もなく方々に逃げ出した。
「よ、翼禮……。翼禮ぃぃいいい!」
火恋の制止も振り切り、竜胆は飛び出した。
黎明。
空を覆っていた闇が色を取り戻す時間。
「翼禮! 嫌だ! 駄目だよ! そんな……」
腕の痛みがわからなくなるほど、竜胆は悲しみに混乱していた。
歓声が上がる京。
禍ツ鬼の脅威は去った。
でも、家族が戻ってこなかったら、意味がない。
喜べない。景色が、一変してしまう。
竜胆が飛んだ先にいたのは、座り込み、うなだれる、傷だらけの透華だった。
「透華! 翼禮は……」
声に振り返った透華は泣いていた。
その腕の中に抱きしめたひとを、必死で抱えながら。
「……生きてる。翼禮さんは、生きてるよ」
「あ、ああ、ああっ……!」
竜胆は涙が止まらなかった。
透華の腕の中で眠る親友の姿に。
ボロボロだ。
みんなボロボロ。
でも、翼禮はどうして生きているのか不思議なほど、酷いありさまだ。
左腕と両足が折れ、右腕は骨が見えるほど裂けている。
全身に酷い瘴気火傷を負っており、右目はつぶれてしまっている。
でも、息をしている。すぅすぅと、呼吸をしている。
「なんで一人でやるのよ。私には危険な真似させないって言っておいて、どうして自分は……」
「竜胆さんのことが大切なんですよ。妬けます」
「……まったく。私も大好きよ、翼禮」
秋も深まった十月。
金木犀のいい香りが京中を覆っているようだ。
わたしは両親の許可が下り、今日から仕事に復帰することになった。
「義眼の調子はどう?」
わざわざ迎えに来てくれた竜胆に聞かれ、わたしは周囲をキョロキョロと見るふりをして、眼球を動かして見せた。
「いいみたいです。さすが胡仙様の作品。前よりも遠くまで見えるくらいですよ」
「まったく。あのとき、翼禮は自分の姿なんて見えてないからいいのかもしれないけど、私と透華は泣きっぱなしだったのよ!」
「ふふふ。火恋がしっかりしていてくれてよかったです。わたしを両親の元まで運んでくれたんですから」
「わ、私だってもう少し泣き止んでたらそうしたわよ」
「そうですね。そういうことにしておきましょう」
「ぷんぷん!」
「あははは」
久しぶりの外出は気持ちがよかった。
竜胆と透華は毎日見舞いに来てくれた。
火恋はあらゆる地獄を駆け巡り、わたしのために義眼の材料を集め、胡仙に持って行ってくれた。
主上は人脈の限りを尽くして国内外から薬草を買い集め、負傷者の治療を支えたらしい。
仙子族は一ヶ月間京に残ってくれて、禍ツ鬼の残党狩りを請け負ってくれたという。
「で、お兄さんとお姉さんは?」
「二週間くらい、弟が心配し過ぎて毎日泣くので、ずっと実家にいてくれましたよ。本当に、頭が上がりません」
「日奈子ちゃんも烏天狗たちと京を護衛してくれていたし。みんな、すごいわよね」
「聞きましたよ」
「なにを?」
「竜胆、聖女の力を使えるようになったとか」
「……夢中だったの。翼禮の身体から瘴気を抜くために、必死で祈ったら出来ちゃった」
「ありがとう、竜胆」
「いいのよ。当然のことだもの」
竜胆はニヤニヤと笑いながら、わたしの手を取った。
「透華とはどうなの? 家族公認になったんでしょう?」
「まぁ、そんなとこです」
「何よぉ、もっと話してよ!」
「あとで。まずは、陛下にご挨拶しなければなりません」
「相変わらず真面目ねぇ」
「それがわたしですから」
「大好きよ、翼禮」
「わたしもです。竜胆も、透華さんも、火恋も……。みんな、大好きです」
内裏に着くと、いろんな人から声をかけられた。
「おかえりなさい!」
「御身体はもう大丈夫なんですか?」
「おかえり!」
「また一緒に働けて光栄です!」
「英雄は案外小さいんだなぁ」
わたしはこういった歓迎には慣れておらず、すこし動揺しつつ、清涼殿へと向かった。
「適当に手でも振ってあげればいいのに」
「わたしは小心者なんです」
「嘘つけ」
清涼殿へつくとすぐに通され、中に入ると、主上が駆け寄ってきた。
「もういいのか? 大丈夫か? 無理してないか?」
「え、ええ。大丈夫です陛下。あの、ご挨拶を……」
「ああ、あの拝謁とかなんとかってやつな。いらんいらん。友達なのだから」
「……あはは」
「まだ休んでいてもいいんだぞ。急いで仕事に復帰しなくとも……」
座るよう促され、わたしと竜胆は座布団に腰を下ろした。
「いえ。もう家族から小言を言われる日々には飽きましたので」
「……あはははは! 愛ゆえだ。仕方がないこと」
「あの、陛下……」
金剛石にされた太皇太后と花信のことをどう伝えればよいか迷っていると、主上は優しく微笑みながら言った。
「もう知っている。それに、養母上は覚悟が出来ていたようだ。手紙を残してくれていた。花信叔母上も」
主上は「読んでみるか?」と手紙を見せてくれたが、わたしは丁寧に断った。
「それはお二人が愛する者へ向けた特別なもの。わたしは読むに値しません」
「まったく。真面目だな」
「どうも」
「本当に身体は大丈夫なのか?」
「ええ。もちろんです」
「では、さっそく二人に頼みたい仕事がある」
わたしは姿勢を正し、主上を見つめた。
「なんなりと」
「北方の異民族におかしな魔術を使う者がいるらしい。調査を頼めるか」
「謹んで拝命いたします」
「うむ!」
わたしと竜胆は平伏し、清涼殿を後にした。
「何日かかるかな?」
「どうでしょう」
「ふふふ。頑張りましょ」
「ええ。そうしましょう」
秋風が砂埃を舞い上げ、陽の光にキラキラと輝いている。
わたしと竜胆は仕事部屋に戻り、窓から空へと飛び出した。
いつものように、これまでも、これからも。
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