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「エル」
「エルフォード」
「君は可愛いよ」
頭に響く大好きな先輩の声。
名前を呼ばれる度に心臓がキュッと押しつぶされそうになる。
大好きなかっこいい先輩。
みんなの人気者のヘンリー・アスタロス先輩。
独り占めしたい。でも、そんな事は許されないから、苦しくならないように、今日も俺は傍観者で居たい。
「ふーん...それで? 傍から見たらただのキモイストーカーなんだが?凄く良い先輩だけど、何がそこまで良いんだよ。ガワだけ好きならその辺の女とやってる事一緒だぜ?」
親友のルクシアード・セルージュが呆れ顔で俺に問いかける。
「ガワ....も、かっこいいのは間違いないけど、それだけじゃないんだ。成績優秀だし、すごく優しいんだよ!何度も助けてくれたし。それに......その.......先輩のそばにいる時とか、声聞いてると......その..........ぃ........っちゃいそうになる...」
「は?なんて?最後なんて?」
「だから、その......体が....熱くなって.....はつ....じょう...みたいな状態になる。」
「...................は?」
何を言わせるんだと思いつつ、赤くなりながら俯いていると、しばらくの沈黙の後、ルクシアード、通称ルクスが口を開く。
「それ......いや....なるほどね。お前一応、薬処方して貰え。人に欲情してしゃーねーっていったら、それを抑える薬くれるはずだ。」
「え?でも...勇気いる....」
「じゃあ、付き添ってやるから行け。俺たちは女性より色々面倒なんだから。」
「分かった....。」
俺とルクスは男性型両性と呼ばれる性別の人間。昔いた両性具有とも呼ばれていた人達と特徴は似てるらしいけど、彼らは両方の性別の機能が正常であるということはなく、片方だけ機能、あるいは両方未熟というのが普通であった。が、時が流れ進化の結果、両性別の機能が正常に機能する僕たち両性が生まれた。若干強い一方の性別の特徴により男性型、女性型とわけられる。例は子どもよりも大きくなってからの方がわかりやすい。胸の成長とかがそれにあたる。
孕ませることも孕むこともできる、人口が減少して行ったこの世界で、種の存続のための進化であった。
そのため、両性は性犯罪においてよく取り沙汰されることになる。中性的な見た目になることもあり、男の中にいると被害者になりやすく、女の中にいると加害者になりやすく....だから両性は両性でとなってもトラブル....と、両性と知られるだけでも腫れ物扱いになる事がある。世知辛い世の中だよ。
まあ、それは置いておいて
後日学校帰りにルクスと一緒に病院へ行き、薬をもらった俺は、少しの吐き気とともに登校するのだった。
「合わないか。」
「合わないね....ちょっとだけだからしょうがないと割り切るか諦めるか...」
「効果はどうなの?肝心の効果は。」
「まだわかんない。そのために先輩に会いにいく訳にもいかないしね。様子見。ダメならもう飲まない。うっ....気持ち悪い....」
「それもそうだな。」
ちょっとの吐き気を我慢しながら数日経つ。
その間先輩に会うことはなかったが、吐き気に頭が行っているので、そういう意味では効果はあったと思う。
廊下を歩いていると、ふと、良い香りがした。
その方向に顔を向けると人とぶつかった。
「あっすみません。」
「ああいや、こちらこそ....あれ?エル?」
「あれ?先輩?」
先輩の教室の前だった。あれ?なんでこんなところ歩いてたんだっけ。
「....図書室?」
「え?」
ああ、思い出した。この先は図書室だったな。クラスメイトに代わりに本返しに行ってくれと頼まれたんだった。
「そうです。今日までなのに今日急ぐから代わりに返してきてって頼まれて。」
「そっか。....大丈夫?なんか顔色悪いけど。」
「え?...大丈夫ですよ?ご心配ありがとうございます。」
いけない。吐き気のせいで顔色が悪くなっているようだ。心配かけたくない。早く用事を済ませて帰ろう。
「では先輩、失礼します」
「あ、ああ...。」
心臓がバクバク言っている。
欲情は出ていない。効果あったな。気持ち悪くても薬は飲み続けることにしよう。
本の返却をし、図書室から帰ると先輩がそこに立っていた。
「あ、エル、待っていた。一緒に帰ろう」
「え?」
戸惑いを隠せなかった。
さりげなく出された手に無意識に手を重ねてしまったが、あれ?これって手を繋いでいるという状況では?
気がついてしまうと熱がどんどん上がっていく。
「エル、久しぶりに会ったら様子がおかしいから心配で。君にはいつでも笑顔でいて欲しいから。」
「あ、ぅ...ありがとうございます....」
「今日は俺に送らせてくれ。」
先輩は繋いでいる手にキスを落とした。
「!!??」
驚いて先輩の顔を見るといたずらっ子のような顔で俺を見ていた。
「ホント、君は可愛いね。」
その一言で俺はショートした。
「エルフォード」
「君は可愛いよ」
頭に響く大好きな先輩の声。
名前を呼ばれる度に心臓がキュッと押しつぶされそうになる。
大好きなかっこいい先輩。
みんなの人気者のヘンリー・アスタロス先輩。
独り占めしたい。でも、そんな事は許されないから、苦しくならないように、今日も俺は傍観者で居たい。
「ふーん...それで? 傍から見たらただのキモイストーカーなんだが?凄く良い先輩だけど、何がそこまで良いんだよ。ガワだけ好きならその辺の女とやってる事一緒だぜ?」
親友のルクシアード・セルージュが呆れ顔で俺に問いかける。
「ガワ....も、かっこいいのは間違いないけど、それだけじゃないんだ。成績優秀だし、すごく優しいんだよ!何度も助けてくれたし。それに......その.......先輩のそばにいる時とか、声聞いてると......その..........ぃ........っちゃいそうになる...」
「は?なんて?最後なんて?」
「だから、その......体が....熱くなって.....はつ....じょう...みたいな状態になる。」
「...................は?」
何を言わせるんだと思いつつ、赤くなりながら俯いていると、しばらくの沈黙の後、ルクシアード、通称ルクスが口を開く。
「それ......いや....なるほどね。お前一応、薬処方して貰え。人に欲情してしゃーねーっていったら、それを抑える薬くれるはずだ。」
「え?でも...勇気いる....」
「じゃあ、付き添ってやるから行け。俺たちは女性より色々面倒なんだから。」
「分かった....。」
俺とルクスは男性型両性と呼ばれる性別の人間。昔いた両性具有とも呼ばれていた人達と特徴は似てるらしいけど、彼らは両方の性別の機能が正常であるということはなく、片方だけ機能、あるいは両方未熟というのが普通であった。が、時が流れ進化の結果、両性別の機能が正常に機能する僕たち両性が生まれた。若干強い一方の性別の特徴により男性型、女性型とわけられる。例は子どもよりも大きくなってからの方がわかりやすい。胸の成長とかがそれにあたる。
孕ませることも孕むこともできる、人口が減少して行ったこの世界で、種の存続のための進化であった。
そのため、両性は性犯罪においてよく取り沙汰されることになる。中性的な見た目になることもあり、男の中にいると被害者になりやすく、女の中にいると加害者になりやすく....だから両性は両性でとなってもトラブル....と、両性と知られるだけでも腫れ物扱いになる事がある。世知辛い世の中だよ。
まあ、それは置いておいて
後日学校帰りにルクスと一緒に病院へ行き、薬をもらった俺は、少しの吐き気とともに登校するのだった。
「合わないか。」
「合わないね....ちょっとだけだからしょうがないと割り切るか諦めるか...」
「効果はどうなの?肝心の効果は。」
「まだわかんない。そのために先輩に会いにいく訳にもいかないしね。様子見。ダメならもう飲まない。うっ....気持ち悪い....」
「それもそうだな。」
ちょっとの吐き気を我慢しながら数日経つ。
その間先輩に会うことはなかったが、吐き気に頭が行っているので、そういう意味では効果はあったと思う。
廊下を歩いていると、ふと、良い香りがした。
その方向に顔を向けると人とぶつかった。
「あっすみません。」
「ああいや、こちらこそ....あれ?エル?」
「あれ?先輩?」
先輩の教室の前だった。あれ?なんでこんなところ歩いてたんだっけ。
「....図書室?」
「え?」
ああ、思い出した。この先は図書室だったな。クラスメイトに代わりに本返しに行ってくれと頼まれたんだった。
「そうです。今日までなのに今日急ぐから代わりに返してきてって頼まれて。」
「そっか。....大丈夫?なんか顔色悪いけど。」
「え?...大丈夫ですよ?ご心配ありがとうございます。」
いけない。吐き気のせいで顔色が悪くなっているようだ。心配かけたくない。早く用事を済ませて帰ろう。
「では先輩、失礼します」
「あ、ああ...。」
心臓がバクバク言っている。
欲情は出ていない。効果あったな。気持ち悪くても薬は飲み続けることにしよう。
本の返却をし、図書室から帰ると先輩がそこに立っていた。
「あ、エル、待っていた。一緒に帰ろう」
「え?」
戸惑いを隠せなかった。
さりげなく出された手に無意識に手を重ねてしまったが、あれ?これって手を繋いでいるという状況では?
気がついてしまうと熱がどんどん上がっていく。
「エル、久しぶりに会ったら様子がおかしいから心配で。君にはいつでも笑顔でいて欲しいから。」
「あ、ぅ...ありがとうございます....」
「今日は俺に送らせてくれ。」
先輩は繋いでいる手にキスを落とした。
「!!??」
驚いて先輩の顔を見るといたずらっ子のような顔で俺を見ていた。
「ホント、君は可愛いね。」
その一言で俺はショートした。
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